2カ月以上のインターバルを経て開催されたD.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2022 第3戦 SUGO大会が7月16日(土)、17日に開催された。

勢力の強い低気圧の影響で、スポーツランドSUGOのある宮城県は16日に大雨に見舞われてコースコンディションが悪化。そのためこの日の予選ヒート、決勝レースはコースが大幅にショートカットされてしまった。だが翌17日には奇跡的に天候は回復し、コースコンディションも大幅に改善。大坂やヨーロピアンセクションといった、スポーツランドSUGOが誇る名物セクションを舞台に、各レースで手に汗握るバトルが繰り広げられた。



IA1

Heat1 : #2富田俊樹が今季5勝目を飾る

YAMAHA FACTORY RACING TEAMがワンツーフィニッシュを決めた

IA-1クラスは当初3ヒート制が予定されていたが、前日の雨による大幅なスケジュール変更により、25分+1周の2ヒート制に変更された。ヒート1のホールショットは#2富田俊樹(YAMAHA FACTORY RACING TEAM/ヤマハYZ450FM)。2番手に#6小島庸平(Bells Racing/ホンダ CRF450R)、3番手には#11町田旺郷(TEAM887 with YSP浜松/ヤマハ YZ450F)が続く。2周目には町田が2番手に浮上し、3周目には#4渡辺祐介(YAMAHA FACTORY RACING TEAM/ヤマハ YZ450FM)が3位に上がる。レース中盤になるとバックマーカーが出始め、上位3台の差は接近。そして8周目のターン12で渡辺が町田をパスすると、町田の直後につけていた#22大城魁之輔(Honda Dream Racing Bells/ホンダ CRF450R)も9周目の大坂で3番手に上がり、上位2台を猛追する。ここまでトップを走り続ける富田だが、渡辺との差はわずか。10周目のYAMALUBEコーナーでは渡辺が富田のインにマシンを振るが、富田は渡辺の先行を許さず、再びその差を広げて今季5勝目を飾った。「かなりプッシュされましたが、何とか逃げ切れました。コースにはラインが少なく、難しいコンディションでしたね」(富田選手)

Heat2 : #22大城魁之輔が最高峰クラスで待望の初優勝

ライバルらも#22大城魁之輔の優勝をボッテガゴールドで祝福

ホールショットを奪ったのは大城。ヒート1を制した富田が2番手で、#5小方誠(TEAM HAMMER/ホンダ CRF450R)が3番手でオープニングラップを通過。大城の背後でトップ浮上を狙う富田だったが、その差は縮まりこそすれ、なかなか前には出られない。レース中盤には上位陣の間隔はやや狭まるが、その後方からスタートでやや出遅れた#3能塚智寛(Team Kawasaki R&D/カワサキ KX450-SR)が猛然と追い上げてきた。10周目のターン7で能塚は小方をパスすると、11周目には大城にやや離された富田をも抜き去って2番手に浮上するが、この時点で大城と能塚の差は3秒ほどにまで開いていた。大城は追いすがるベテラン勢を抑え切ってIA-1初優勝。チェッカーをくぐった大城は体全体で喜びを表現していた。「レース中盤には(富田選手に)プッシュされましたが、そこで硬くなってしまうのは良くないと思っていました。冷静だったかと言われると決してそうではありませんでしたが、とにかく大きなミスがないように心がけました。初優勝出来たことは、とにかくうれしいですね」(大城選手)

IA2

Heat1 : SUGOでもやはり強かった#16ジェイ・ウィルソン

#16ジェイ・ウィルソンは2位に10秒以上もの差を開いた

グリッドのアウト側からスタートした#16ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY RACING TEAM/ヤマハ YZ250F)がホールショット。オープニングラップから積極的な走りを展開。2番手は#10柳瀬大河(Bells Racing/ホンダ CRF250R)、3番手には#7西條悠人(ピュアテックレーシング/カワサキ KX250)が続いた。ウィルソンはレース序盤で2番手の柳瀬に圧倒的な差を築くと、危なげない走りで一人旅状態を築き、2番手に10秒以上の差をつけて今季6勝目をものにした。その後方では2番手柳瀬と3番手の西條の差が詰まり、5周目のターン13でその柳瀬が転倒し、西條が2番手に浮上する。転倒で5番手にまで落ちてしまった柳瀬だが、その翌周には3番手にまで順位を回復。しかし前を走る西條との差は大きく開いてしまい、逆転は叶わなかった。4位には宮城が地元の#22佐々木麗(Y’s RACING with 東北トラス/ヤマハ YZ250F)が入った。「第2戦のオフロードヴィレッジ以降、スタートの方法を変えましたが、それが上手く決まりましたね。とてもスムーズなレースでした」(ウィルソン選手)

Heat2 : 国内勢も健闘するが、それでも#16ジェイ・ウィルソンは止められない

D.I.Dゴールドリムトロフィーとボッテガゴールドとともに笑顔を見せる#16ジェイ・ウィルソン

ホールショットは#4鳥谷部晃太(bLU cRU TEAM エムFACTORY by NCXX/ヤマハ YZ250F)。2番手に#23真野凌輔(オートスポーツ清水/スズキ RM-Z250)が続く。イン側のグリッドを選んだウィルソンは3番手で大坂を駆けあがる。2周目には真野が鳥谷部をパスし、ウィルソンもターン17で鳥谷部をかわして2番手に上がる。真野を追うウィルソンは3周目に転倒して鳥谷部に一瞬先行されるものの、すぐさまリスタートしてあっという間に2番手を奪還し、4周目のルンバルンバで真野をパスしてトップに立つ。レース中盤、鳥谷部は真野をかわして2番手に浮上。8周目のターン7では柳瀬大河が3番手に上がる。その間ウィルソンは他を圧倒するペースでラップを重ね、レース終盤には2番手鳥谷部に7秒以上もの差をつけた。ウィルソンはこの勝利で今季負けなしの7連勝となった。「ヒート2はコースコンディションがすごく良くなっていて驚きました。いい仕事をしてくれたトラッククルーに感謝したいです。私はひとつひとつのレースに集中しており、チャンピオンシップのことはあまり考えていませんが、ここまで7勝もできたことは驚きですし、もちろん嬉しいです」(ウィルソン選手)

IB-OPEN

Heat1 : ワダチを得意とする#13西岡蒼志が優勝

ポイントリーダーの#13西岡蒼志が今季初優勝

アウト側のグリッドから絶妙なスタートを決めた#5齋藤銀汰(野田ジュニアRC/ヤマハ YZ250F)がまっさきに1コーナーに飛び込んでいく。だがイン側のグリッドからスタートした#13西岡蒼志(讃岐白馬会with NEUTRAL/ヤマハ YZ250F)がすぐさまトップを奪い、レース序盤は1番手が西岡、2番手 齋藤、#23千葉漣希(T.E.SPORT/ホンダCRF250R)が3番手で続く。レース中盤、トップの西岡の後方では2番手の齋藤と3番手の千葉がバトルを展開。10周目に千葉が齋藤をパスして2番手に浮上するが、12周目には齋藤が再び2番手を奪い、千葉を引き離す。その間西岡は順調にラップを重ね、終わってみれば2番手に13秒もの差をつけて独走優勝を飾った。「1周目で前に出られたのが良かったです。今日のような轍の多い路面は得意なので、自分にとってはベスコンといってもいい路面でした」(西岡選手)

Heat2 : #5齋藤銀汰がIB‐OPENクラス初優勝を飾る

逆転優勝を飾った#5齋藤銀汰

コースコンディションは前日よりも改善したため、ヒート1ではカットされて使われなかったヨーロピアンセクションが使われることになった(大坂のみショートカット)。オープニングラップをトップで回ってきたのは#1有山大輝(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ250F)。2番手にはヒート1で2位となった#5齋藤銀汰、3番手に#28佐野壮太(ジュニアライダーズ/カワサキ KX250が続く。齋藤は2周目に有山をかわして1番手に浮上するが、最終コーナー手前で転倒し、有山が再びトップに立った。レース中盤、一時は開いたかに見えた有山と齋藤の差は少しづつ縮まっていき、最終ラップには両者の距離はほとんどなくなった。そして齋藤は狙いすましたようにトップを奪い返すと、追いすがる有山を抑え切って初優勝を飾った。ヒート1を制した西岡は3位となった。「レース序盤で前に出ようと焦っていました。転倒後は冷静になることができて、ラインをしっかりと見定めて走りました。(初優勝は)考えられないくらい嬉しいですね」(齋藤選手)

LMX

#2本田七海が今季初優勝を飾る

2019年チャンピオンの#2本田七海が久々の勝利

#27畑尾樹璃(TEAM HAMMER/ホンダ CRF150)が絶妙なスタートでレース序盤をリードする。開幕2連勝中の#4小野彩葉(T.E.SPORT/ホンダ CRF150R)は2番手で続く。ランキング2番手の#5楠本菜月(actionracing with alphathree/ハスクバーナ TC85)は2周目に転倒して大きくポジションを落としてしまった。レース中盤、畑尾と小野の距離が接近し、その後方から#2本田七海(bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド/ヤマハ YZ85LW)も猛然と追い上げる。4周目のターン17で小野は畑尾のインに入ってトップを奪う。後方の本田も上位2台をプッシュし、7周目に畑尾をかわして2番手に浮上すると、8周目には小野をもとらえて1番手に立った。しかし2連勝中の小野は落ち着いていて、ラストラップのターン1で本田のインに飛び込んで1番手を奪還すると、追いすがる本田を振り切って1番手でチェッカーを受けた。これで開幕3連勝かと思われた小野だったが、黄旗区間での違反行為があったということで順位がひとつ降格となり、本田が優勝という結果となった。3位に入ったのは終盤で畑尾をかわした#3久保まな(TEAM HAMMER/ホンダ CRF150R)だった。

JX

序盤から独走状態を築いた#10吉田琉雲

難しいコンディションながら#10吉田琉雲のスピードは衰えない

土曜日の最初のレースとなったJX。午前中に降っていた雨は午後には止んだものの、粘り気が強い土はワダチが出来やすく、練習走行や予選ヒートでは苦労するライダーが続出していた。ホールショットは#6外間大誌(T.E.SPORT Jr./ホンダCRF150R)が奪うが、オープニングラップで前戦のウィナー、#10吉田琉雲(MX-build/GASGAS MC85)がすぐさまトップに立つ。2番手には#40大西凛音(オートスポーツ清水/工藤ぶどう園/スズキ RM85)が上がるが、吉田のスピードは群を抜いており、その差はどんどん開いていくと、2番手に1分以上もの差をつけて優勝した。予選ヒートB組1番手の#80水野零埜(ヤマハ YZ85LW)はスタートでミスをしてしまったが、その後猛然と追い上げて、レース終盤に大西をかわして2位でチェッカーを受けた。

CX

重い土がキッズたちを苦しめた

Bクラス優勝の#24門間大和(左)とAクラス優勝の#94阿部哲昇

チャイルドクラスは8人のライダーがエントリー。コースはスターティングエリアに設けられた左回りのオーバルだ。#94阿部哲昇(マウンテンライダーズClub/スズキ DR-Z50)がスタートで飛び出し、湿った重い土に苦しむライバルを尻目に2周目に突入するが、下りでフロントからスリップダウンしてしまった。阿部にかわってトップに立ったのは唯一の2ストロークマシンを駆るBクラスの#24門間大和(MX-bild/GASGAS MC50)だったが、阿部や他のライダー同様、何度も転倒を喫してしまう。だが門間は転んでもすぐさまマシンを起こして最後まで走り抜き、総合トップでゴールした。4ストロークマシンのAクラスの優勝は阿部で、両者は肩を並べて表彰台の真ん中に登壇した。

2st125 Class

グループA : 2ストロークサウンドがSUGOにこだまする

ヤマハYZ125を駆る#22住友睦巳

エキシビションマッチとして開催された2st.125ccクラス。タイムが速いA組のレースは8分+1周で、18台のマシンがグリッドに並んだ。ホールショットは#888高橋生真(KTMうず潮レーシング福山/KTM 125SX)だったが、#22住友睦巳がすぐさま首位を奪うと、高橋を引き離しにかかる。住友、高橋は周を重ねるごとにその差を広げてそれぞれが単独走行となるが、その後方では#929中山裕(SekisohBody/スズキ RM125)と#11樋口絆里(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ125)が3番手争いを展開する。住友は2番手の高橋に3秒以上の差をつけて優勝。3位争いは15歳の樋口が44歳の中山を下した。

グループB : スズキRM125の#13西村健がBグループ優勝

白煙とともに15台のマシンが一斉にスタート

Bグループは15台によって争われた。#68小島靖義(ジュニアライダース/カワサキ KX125)が序盤トップに立つものの、3周目には#13西村健(TEAM SRF 秋田&B! COOL/スズキ RM125)がトップを奪取。3番手には#74加藤隼(AGR37/ヤマハ YZ125)が続く。西村は難しいコンディションのコースを果敢に攻めて小島を引き離すと独走状態を築き、2番手の小島に6秒以上もの差をつけて優勝した。小島は終盤3番手の#35牧野達夫(MX金子組/カワサキ KX125)にプッシュされるが、ラストラップで再び牧野を再び引き離して2番手を守り切った。

Result

IA1

IA2

IB OPEN

LMX

JX

CX

2st125

Next JMX

次戦D.I.D JMX 2022 R4は近畿大会。
2022/09/10-11 名阪スポーツランド(奈良県)にて。
大会情報はこちらから
>MFJ Webサイト内大会ページ

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