小川毅士、ぶっちぎりで3勝目 第4戦 宮崎・えびの大会

2026年7月12日 宮崎県えびの市矢岳高原トライアルコース 動員数:800人 好天に恵まれた宮崎県での全日本トライアル選手権。今回はえびの市の矢岳高原トライアルコースを舞台に、熱戦が繰り広げられた。猛暑の注意喚起がニュースで叫ばれていたが、会場は高原でもあり、気温は高かったものの木陰の風は涼しかった。セクションはすべて傾斜地に設定されていて難易度の高さがライダーの体力を奪う一戦だった。 国際A級スーパー 5点の取り合いになるのではないか、1分で走りきれないセクションが多いのではないか、みんなが申告5点で抜けてしまうセクションが現れるのではないか、と予想された大会になった。予想は、その通りにもならなかったが、外れもしなかった。全員とは言わずとも、トップ5が全員クリーンしたセクションはひとつもなく、逆に全員が5点だったのは、最終第10セクションのみ(トライするライダーが少なかった)で、他は2ラップを通して5点になるライダーがいる一方、2ラップともクリーンするライダーがいる、という状況となった。得手不得手が出たのか、とにかく持てる技術をフルに注ぎ込まなければ走り抜けられないセクションばかりだったということだ。 前戦の北海道・和寒大会に続いて、今回も点数的には大接戦となった。点数的には1点を争う戦いだが、実際には5点になったり2点で抜けたり、というやり取りの結果、点差が接近してきたという構図だ。 圧勝した小川毅士。今年初の表彰台が優勝だった。しかしそんな中、出だしの2セクションで5点となり、苦しいスタートを切った小川毅士(ベータ)が、1ラップ目中盤からじわりじわりと点数をまとめ、2ラップ目に入るといよいよライバルを寄せつけず、そのまま10セクション2ラップを走りきった。クリーン連発、という戦い方ではなかった。クリーンは22セクションを走って3つと、最多クリーンをマークした氏川政哉(ヤマハ)の半分でしかない。しかし小川は、タイムオーバー5点になるライダーが多い中、残り1秒を切ってセクションアウトする職人芸をそこここで見せて、5点を(SSを含め)7つに抑えた。最多クリーンの氏川は11個もの5点があるから、その差は大きかった。 小川友幸は3位。小川らしいた走破力を各所で見せてくれた小川は、SSを待たず、10セクション2ラップを走り終えたところで勝利を確定した。その時点で2位の小川友幸(ホンダ)には13点の大差があった。圧勝だった。ライバルの動向を視野に入れず、一人先行してセクションをこなしていった戦いぶりも、今回の小川の勝因だったかもしれない。 氏川政哉は2位だが、ランキングは単独トップ勝敗はすでに決していたSSだったが、小川はSS第1を2点で抜けた。次々と5点になる中、ここを抜けられたのは氏川と小川だけだったが、一か八かのエキセントリックラインをとった氏川に対し、小川は真正面から大岩にトライしての2点。この日の小川の好調を象徴するSSだった。もっとも、続くSS第2では、最後の超大岩でほんの少しラインを乱して5点となってしまった。優勝に華を添えるクリーンとはならなかったが、しかしこの日の小川は一日を通じて見事だった。 4位武田呼人2位以下は大混戦だった。SSを前にして63点が二人。小川友幸(クリーン3・1点X3)と武田呼人(ホンダ・クリーン3・1点X2)だ。そして65点がやはり二人。氏川はクリーン6、柴田暁(TRRS)はクリーン4。2点の間に4人がひしめく緊張感あふれるSSとなった。 柴田暁は5位この4人の中で、唯一SS第1を抜けたのが、氏川だった。この1点が、氏川を4位から2位に引き上げた。2戦続けて、SSで2位浮上した氏川は、ここまで優勝2回2位2回と、ほぼベストに近いチャンピオン争いを演じている。 6位久岡孝二SS第1を攻略した氏川を含め、SS第2でのさらなる逆転劇の可能性もあったが、ここは氏川と小川友幸がクリーンを決めて、氏川が2位、小川友幸3位の順位が決まった。小川はちょうど1年前に肩を負傷してから、今回が初めての表彰台獲得となった。まだまだ本領発揮には遠いコンディションだが、SS第2をクリーンして見せた確実かつ自信に満ちたライディングは、復調をアピールするに充分だった。 ランキングでは、氏川が単独トップ。2位には前戦で初勝利を挙げた柴田暁がつけるが、そのポイント差は23ポイントに広がっている。 国際A級スーパークラス表彰式。左から2位氏川政哉、優勝小川毅士、3位小川友幸、4位武田呼人、5位柴田暁、6位久岡孝二2026_R4_IASダウンロード国際A級 今シーズンからIAクラスに活躍の舞台を移した野本佳章(ベータ)が、今シーズン初優勝。4戦目にして、4人目の勝利者が誕生した。 IAは野本佳章の勝利2位は、今シーズン3戦目の出場となる本多元治(ホンダ)がシーズン初表彰台。 前戦で初優勝した黒山太陽(シェルコ)が3位に入って、初めてランキングトップに躍り出た。 国際A級表彰式。左から2位本多元治、優勝野本佳章、3位黒山太陽、4位岡村将敏、5位磯谷郁、6位宮澤陽斗2026_R4_IAダウンロードレディース チャンピオン、中川瑠菜(ベータ)がシーズン3勝目。第2戦で初優勝した寺澤心結(ベータ)は中川に肉薄するも、3点差で届かずの2位となった。 今シーズン3勝目の中川瑠菜今回、滋賀の10歳、泉心愛(メカテクノ)がデビュー。参加者は4名だが、うち2名が10代、それもローティーンという世代交代が見られた。 レディース表彰式。左から2位寺澤心結、優勝中川瑠菜、3位米澤ジェシカ、4位泉心愛莉2026_R4_LTRダウンロード国際B級 大ベテラン、上福浦明男(ベータ)が今シーズン2度目の出場、前回の2位から今回は優勝。ランキングトップの辻本雄河(TRRS)が2位、ランキングの上位が今回のリザルトの上位に並んでいる。 大ベテランの上福浦明男が辻本と2点差で勝利国際B級表彰式。左から、2位辻本雄河、優勝上福浦明男、3位岩間隆介、4位青山宏、5位笹原智紘2026_R4_IBダウンロード

小川毅士、11年ぶりの勝利 R7 和歌山・湯浅大会

2025年10月26日 和歌山県有田郡湯浅町・湯浅トライアルパーク 動員数:800人 天候:曇りのち雨 気温:23℃ 10人を除く、ほとんどの全日本選手権参加選手にとって、今大会が最終戦。レディースについては前戦宮城・SUGO大会でタイトルが決しているが、その他のクラスはまだ決戦の真っ最中。国際A級は1ポイント差、国際B級も6ポイント差で今大会に入った。そしてどちらも逆転チャンピオン誕生の結末となった。 雨確実の予報ではあったが、朝は曇り、ときどきぱらぱらと降られつつも、ほとんどのライダーは雨の中を走ることなくゴールした。試合終盤にちょっと雨量が増えて、表彰式前まで降った雨は、表彰式が終わると上がるという一日となった。セクションは大岩の配置や人工物に大きく手を入れられていた。 今回、会場の一角には、先日病魔に勝てずにお亡くなりになった4回の全日本チャンピオン、近藤博志さんを偲ぶコーナーが設けられた。思い出の写真や近藤さんの手作りマシン「エイリアン」が展示されていて、そこに集った近藤ファンが、故人の思い出を語りあっていた。 国際A級スーパー 難度が高いと目されていた今大会の10セクション。第1セクションを唯一クリーンしたの武田呼人(ホンダ)だった。ここはIASとIAしかトライしない激しい岩盤登りセクション。今大会は滑り出しから激しい。 武田呼人、第1セクションをただ一人クリーン。2位の氏川政哉クリーンの多かった第2セクションの後、恒例の奥の沢に入る。湯浅の勝負どころはこの沢と、後半のヒルクライム系となるのが常だ。 第3から第6までの沢セクションは5点が多かった。8人が4セクションを全部5点、7人が3つで5点。ふたつ抜け出たのが柴田暁(TRRS)、そしてただ一人、4セクション中3つを出てきたのが黒山健一(ヤマハ)だった。ここだけで黒山は、ライバルに4点以上のアドバンテージを築いた。 柴田暁らしいスピーディーな走りで各セクションを抜けていったポイントリーダー黒山健一。次週最終戦、City Trial Japanの結果に注目だ。第7セクションはいつも最終セクション(とSS)に使われている岩場で、これも難セクション。第8、第9はヒルクライム系で、第10は掘り起こした大岩と後半の人工物が肝になった。 第9セクションはふかふかの斜面の難関ぶりと時間のなさで、多くのライダーが申告5点の作戦をとり、結局全員が5点。そんな中、第8を唯一1点で抜けて、第10を唯一クリーンした小川毅士(ベータ)が、1ラップ目のトップに出た。2位は氏川政哉(ヤマハ)で、その差は3点。黒山は氏川にさらに2点差で3位につけた。黒山と同点で、黒山陣(シェルコ)が4位につけて試合を折り返す。 小川毅士の勝利。終始安定した走り。2ラップ目、小川の好調は変わらない。2ラップ目では第1セクションを唯一クリーンし、さらに難関第7セクションを唯一クリーン。この好調ぶりを、本人は知らないまま、試合を進めていた。1ラップ目にクリーンした第10セクションを1点で抜けて2ラップを終えると、小川の減点は56点。2位の氏川は54点で、勝利は決まってはいないが、かなりの大差であるのは確かだ。 そしてSS。第1は第10セクションの逆送。第2は第7を全面的に組み換えてのもの。どちらも難度は高いが、どちらかというと第1は抜けられるが失点を誘う、第2は行けるか行けないか、な感じの設定となっていた。 SS第1をクリーンしたのは柴田と武田の二人のみ。小川は人工物の上での方向転換で1点をついてアウト。ここで小川の勝利は決まった。 SS第2は5点が多かった。久岡孝二(ホンダ)、野﨑史高(ヤマハ)、黒山陣、柴田と次々に5点。武田が1点で抜けたあと、黒山がまた5点。最後の二人、氏川と小川がようやく美しいクリーンを見せて、大会は終了した。 毅士の勝利は2014年中部大会以来の11年ぶり。ランキングも、野﨑を逆転して3位に浮上している。 国際A級スーパークラス表彰式。左から2位氏川政哉、優勝小川毅士、3位黒山健一、5位柴田暁、6位黒山陣第7戦湯浅大会_IASリザルトダウンロード国際A級 ランキングトップ高橋寛冴(シェルコ)と平田貴裕(スコルパ)のチャンピオン争いはわずか1ポイント差。優勝するかどうかはさておき、最終戦でライバルを上回った方がチャンピオンになる公算大ということで注目されていた。 優勝はシーズン4回目の出場にしてシーズン初となった本多元治(ホンダ)。2位に2点差の勝利だった。 ベテラン本多元治の勝利。その2位は黒山太陽(シェルコ)。前戦宮城・SUGO大会でようやく表彰台に上がった黒山が、さらにポジションを一歩進めた。黒山は、2ラップ目後半6連続クリーンの大活躍だった。 そして3位に平田貴裕(スコルパ)。これで平田の逆転チャンピオンが決まった。高橋は第1セクションでクラッシュしてペースを乱し、平田に17点差の7位でゴールした。 国際A級表彰式。左から、2位黒山太陽、優勝本多元治、3位平田貴裕、4位永久保圭、5位砂田真彦、6位小野貴史第7戦湯浅大会IAクラスリザストダウンロードレディース 新チャンピオンの中川瑠菜(ベータ)は、最後の一戦は納得のいく走りができたようだ。チャンピオンよりも喜びは大きいというシリーズ全勝優勝を決めた。2位とは13点差の大差だった。 シリーズ全勝全勝を達成した中川瑠菜2位は小玉絵里加(TRRS)。兼田歩佳とのランキング2位争いの渦中にいたが、最終戦で兼田をつきはなして、ランキング2位に返り咲きだ。 小玉と2位を争ったのは、寺澤心結(ベータ)。クリーンは小玉より3つも多いのだが、減点で小玉にわずか1点及ばず、出場4戦連続の3位表彰台となった。寺澤のアシスタントには、2023〜2024、2年連続チャンピオンの山森あゆ菜がついていた。 兼田はその寺澤とさらに1点差の4位となっている。 レディース表彰式。左から、2位小玉絵里加、優勝中川瑠菜、3位寺澤心結、4位金田歩佳、6位寺田智恵子第7戦湯浅大会レディースクラスリザストダウンロード国際B級 ランキングトップは寺澤迪志(ベータ)だが、前戦宮城・SUGO大会前に骨折をして、今大会も出場が危ぶまれながらの参加。木村倭(シェルコ)が優勝しても、寺澤が2位に入ればランキングトップは守れるという戦況だった。 国際B級の優勝は木村倭。シリーズチャンピオンも獲得した。1ラップ目、木村は2位の林大作(TRRS)に8点差の減点3でトップ。寺澤は減点16で7位につけた。走れてはいるが、やはり本調子ではなさそうだ。 2ラップ目、木村に5点が出た。第3セクションと第10セクション。時間がなくての申告5点もあって、これで後続に点差を詰められることになった。 今年、IAの陳文懋のアシスタントをした辻本雄河が2ラップ目のベストスコアをマークして追い上げ、木村と同点のトータル19点となった。結果は、クリーン数ふたつの差で木村の勝利。2戦を欠場し世界選手権に参戦しながらも、2025年IBチャンピオンを決めた。 3位は林大作。寺澤は2ラップ目に木村の減点を上回ってラップ2位で追い上げるも4位。ランキングでは6ポイント差で2位となった。 IAに昇格できるランキングトップ5には、木村、寺澤の他、岡直樹(今回15位)、小倉功太郎(同8位)、大櫃千明(同19位)が入っている。…