2022年7月17日 北海道わっさむサーキット 観客数:716人
7月の全日本選手権は北海道。コロナ禍で去年一昨年と2年続けて中止になっていたが、2022年第4戦は、3年ぶりに北の大地に返ってきた。
天気予報は、またしてもまたしても雨予報。しかし当日の朝、雨は降らず、午前中のうちは天気は持ちそう、ということになり、セクション設定も天候に翻弄されることになった。今回は7セクションが用意され、これを3ラップ、SSのあるIASをのぞくすべてのクラスが、21セクションで勝敗を競うことになった。
晴れ設定を雨設定に、当日になってできる範囲で晴れ設定に戻したというセクションが、天候の変化とともにどんな結果をもたらすのか、スタートする頃には、太陽も顔を出し、北海道の夏らしい陽気になっていった。
国際A級スーパー
第3戦で圧勝とも言える勝ちっぷりを見せた小川友幸(ホンダ)は、今回もすばらしい走りを見せた。減点は最小限、5点となる失敗は一つもなかった。1ラップ目2ラップ目はラップ3点、3ラップ目はオールクリーンと、7セクション3ラップを終えた時点ですでに文句なく勝利を決めた。
雨が降る前に早めにセクションをトライしていった小川友幸、3連勝
この日の小川は、雨が降ることを想定して、少しでも条件がいいうちにトライを進めるべく、いつもよりかなり早周りして試合を進めた。この小川の早周りに引っ張られるように、今回は全体的に試合のペースが早かった。結局、雨が降ったのはほとんどのライダーが3ラップを終えようという頃で、小川は完全にドライなうちに3ラップをゴールした。
難関だったのは、晴れていても水が湧き出して地面が湿っている第4セクション。小川はここを1点2点クリーンと最小減点で走破したが、他にここをクリーンしたライダーはなし、いかに5点にならずにここを抜けられるかが2位争い以下の勝負となった。
2位争いは、世界選手権T2に参戦中の小川毅士(ベータ)を中心に展開された。1ラップ目は黒山健一(ヤマハ)が2位、毅士が1点差の3位。2ラップ目になり、黒山が第4での5点に続いて第5でも3点となると、毅士に2位を奪われ、さらに2ラップ目をクリーン6(減点したのは第4での3点のみ)で追い上げてきた氏川政哉(ホンダ)に3位も奪われた。
優勝の小川に大差をつけられたが、氏川政哉は2位
3ラップ目、毅士がポジションを守れるかどうかの戦いとなったが、氏川は再び第4以外をクリーンして追い上げた。毅士は第4で5点、最終第7で1点を失い(この頃、ちょうど雨が降り始めていた)政哉と毅士は同点(クリーン数で政哉が上位)となった。
優勝は小川友幸で決まり。SSでの勝負は、2位争いの二人に、5点差の黒山がどうからむかが興味の的となった。この頃には雨は本格的に降っていて、特にSS第1は滑る岩から発進して岩に上がるポイントが難所になった。ここを抜けたのは、黒山健一と小川友幸のみ。どちらも1点の足つきで走破している。
氏川、毅士ともに5点となったため、2位争いは大接戦。氏川と毅士が24点、黒山が25点に迫った。入口の岩を回り込むポイント、中盤の大ブロックから飛び降り、最後に用意された直角2mへの飛びつきと、失敗はどこででもできた。そしてSS第2にトライするライダーは、みなそれぞれのポイントで失敗して、なかなか最後まで走破ができない。
今年は世界選手権Trial2に参戦中の小川毅士。一時帰国して参戦、3位
最初にクリーンが出るかと思われたのが、黒山だった。直角2mまでは順調にマシンを進めた黒山、失敗してからここを登りきったライダーはここまでにもいたので、黒山が登るのは確実と思われたが、なんと失敗。続く毅士は、飛び降りで1回足つきがあったものの、初めてここを走破。黒山の逆転劇はなくなった。残るは毅士と氏川の2位争いだ。毅士が1点で抜けて、総減点は25点。クリーン数は氏川に分があるので、氏川が1点以内で走破すれば氏川が2位、2点以上なら毅士が2位だ。氏川は1ラップ目、最終第7セクションとして登場したこのセクションの中盤の大ブロックを失敗している。今度はどうか。そのプレッシャーに打ち勝ち、氏川は見事なクリーン。氏川2位、毅士3位が決まった。
選手権争いは、優勝の小川はランキング2位の黒山に26ポイントの大差でリード、黒山に10点差で、氏川が追い上げている。
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国際A級
田中善弘(ホンダ)と永久保恭平(ベータ)の優勝争い、チャンピオン争いが激戦のIAクラス。今回は第2戦九州大会に続いて永久保が2勝目。田中が4位となったため、タイトル争いでも永久保が9点のリードでトップとなった。
国際A級は永久保恭平が優勝
1ラップ目2ラップ目と、永久保は好調。2点、1点とほぼパーフェクトな走りで2位以下を突き放す。
3ラップ目、永久保がふたつの5点で11点減点。大きな減点だったが、1ラップ目2ラップ目の貯金が効いて、5点差で逃げ切り勝利を果たした。田中は3ラップ目にトップスコアで追い上げるも間に合わずだった。
2位は今シーズン2回目の出場の小野貴史(ホンダ)、3位にはベテラン中のベテラン、小谷徹(モンテッサ)、5位に中里侑(TRRS)が初入賞、岡山のベテラン、尾藤正則が久々に6位入賞した。
国際A級表彰式。左から2位小野貴史、優勝永久保恭平、3位小谷徹、4位田中善弘、5位中里侑、6位尾藤正則
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レディース
西村亜弥(ベータ)が負傷療養のため欠場、女王不在で次の女王の座を争って6人がしのぎを削った。
1ラップ目のトップは静岡の高校生、山森あゆ菜(ベータ)。減点は4点だった。小玉絵里加(ホンダ)が6点、ソアレス米澤・ジェシカ(TRRS)と山中玲美(ホンダ)が同点の8点で続く。
2ラップ目、今度は1ラップ目5位の中川瑠菜(ベータ)がラップトップ。第2セクションの1点以外はすべてクリーンという素晴らしいスコアで、この日のベストスコアにもなった。
しかし3ラップ目は、山中玲美(ホンダ)が3点でラップをまとめた。地道にスコアをまとめていたのは小玉だったが、山中は小玉と同点、クリーン数の差で、全日本選手権レディースの初優勝をあげた。小玉が2位、山森が3位、山森から2点差で、ソアレス米澤と中川が並ぶという、大接戦のレディースクラスだった。
レディースクラス初優勝、山中玲美
レディースクラス。左から2位小玉絵里加、優勝山中玲美、3位山森あゆ菜、4位ソアレス米澤ジェシカ、5位中川瑠菜
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国際B級
宮崎航(ベータ)は、1ラップ目からオールクリーンで快調な滑り出し、2ラップ目1点、3ラップ目1点、タイムオーバーの1点を加えて、全部で3点でゴール。2位の小椋陽(モンテッサ)が14点だから、圧倒的大差だった。小椋は第3戦から出場して、2戦連続の2位表彰台獲得となった。
3位は岡山の清水寧郁(スコルパ)。今シーズン発表彰台獲得だ。
シリーズランキングではもちろん宮崎がトップ、2位に今回4位の辻本雄河(TRRS)、3位に本田隆史(ガスガス)、4位に吉本由輝(スコルパ)、5位に今回3位の清水と続く。本田から清水まで7ポイントと、ランキング争いも熾烈だ。
国際B級優勝はベテランの宮崎航
国際B級表彰式、左から2位小椋陽、優勝宮崎航、3位清水寧郁、4位辻本雄河、5位滝浪猛、6位本田隆史
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オープントロフィーNA
今回のオープントロフィーはNAライセンス所持者によるもので、北海道から2名、東北から1名、北陸から1名の4名で競われた。
優勝は石川県の沖野時彦(モンテッサ)、宮城県の矢吹睦夫(ホンダ)を2点差で抑えての勝利だった。
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