2023年6月4日 栃木県芳賀郡茂木町モビリティリゾートもてぎ 観客数:1,800人 全日本選手権は熊本・山鹿大会に続く第3戦。途中、世界選手権トライアル日本ラウンド「2023 Hertz FIMトライアル世界選手権第3戦 大成ロテック日本グランプリ」が開催され、その同じ会場で2週間後に全日本選手権もてぎ大会の開催となった。 国際A級スーパーと国際A級が10セクション、レディースと国際B級が8セクション2ラップ。もちろん国際A級スーパーにはその後に上位10名によるSSがある。 トップカテゴリーのセクション難度は世界選手権のTR2クラスよりむずかしい、ということだったが、トップ争いはオールクリーンに近い勝負になるのではという声もあった。 土曜日は日本列島太平洋側を襲った大雨の影響が残ってグリップは悪そう。しかし日曜日は天候が回復して暑いくらいの1日になった。遠征の選手などにとっては、悪天候の中を移動するのがまず最初のトライアルとなったもてぎ大会となった。
国際A級スーパー
1ラップ目、一桁減点で10セクションをまとめたのは野﨑史高(ヤマハ)と小川友幸(ホンダ)、二人だけだった。野﨑が5点、小川が6点。彼らの走りはほぼ完璧に近かった。 3位は氏川政哉(ホンダ)。氏川は第6セクションでテープを切って5点となったのが痛かった。
氏川政哉は1ラップ目の失点が最後まで影響してしまう
2ラップ目、野﨑の好調は変わらない。1ラップ目と同じようなペースで10セクションを走りきって、ラップ減点は4点。2ラップを通じて、本領発揮のトライアルだった。 2ラップ目に3点のベストスコアをマークしたのが氏川。氏川は2位まで追い上げたが、しかし野﨑の好調の前に、その差はまだ4点差でSSを迎えることになった。 3位で2ラップを終えたのが小川。2ラップ目の小川は細かい減点と5点があって、氏川に3点差となっている。
1ラップ終了時点では3位の小川友幸
1ラップ目の5位から、小川友幸を追う4位までポジションを進めてきたのが小川毅士(ベータ)だった。2ラップ目の毅士は5点と好スコアをマークした。毅士は小川と3点差。
小川毅士は3位を確保した
さらにパワーアップしたというTY-Eを駆った黒山健一(ヤマハ)は序盤は好調だったものの、鬼門セクションがあるようで、毅士に5点差の5位で2ラップを終えている。2週間前の世界選手権ではポイントを獲得した柴田暁(TRRS)は、体調不良に苦しみ7位。久岡孝二(ホンダ)が黒山に6点差で6位につけた。
電動TY-Eを巧みに操る黒山健一
SSは厳しい設定だったが、5点もクリーンもあり。SSでの逆転劇もありそうだ。SS第1を最初に抜けたのは黒山で2点。小川毅士1点の後、なんと小川友幸が5点。これで3位が入れ替わった。氏川は1点、最後にトライした野﨑は見事なクリーンで、これで野﨑の勝利が確定的となった。 SS第2。柴田が2点で抜けるも、すでに逆転はできず。黒山はここも3点で抜けてその走破性をアピールするが、順位を上げるには至らなかった。再逆転を狙う小川友幸は、しかしここでも5点で4位が決定。小川毅士は美しいクリーンを見せたが、これも逆転には至らなかった。
今シーズン初勝利の野﨑史高
野﨑が今シーズン初勝利。3戦目にして、3人目の勝利者が出て、氏川のランキングリードは変わらないまま、シリーズ争いがより興味深いものになったもてぎ大会となった。
IAS表彰式。左から、2位氏川政哉、優勝野﨑史高、3位小川毅士、4位小川友幸、5位黒山健一、6位久岡孝二
2023_R3_IAS_resutlsダウンロード
国際A級
第2戦熊本・山鹿大会を欠場した本多元治(ホンダ)が今シーズン2度目の全日本出場。5点一つもない確実な走りで勝利を果たした。
ベテラン、本多元治の優勝
2戦を終えてダントツランキングトップの黒山陣(スコルパ)は今回は完敗と語る。しかし2ラップ目を1点で終えられたのは次回に期待ができる内容だった。…
2022年9月4日 広島県三次市灰塚ダムトライアルパーク 観客数:1,500人
IASのみで開催された第5戦シティトライアルジャパン大会をはさみ、全日本選手権第6戦中国大会は灰塚ダムトライアルパークでの開催となった。中国大会は2020年、2021年と原瀧山トライアルパークでの開催予定だった大会が中止となっているので、3年ぶりの開催ということになる。灰塚ダムトライアルパークでの開催も、やはり3年ぶりだ。
事前の予報では当日はまちがいなく雨が降るということで、主催者はセクションの設営に悩み、ライダーは濡れた岩が強烈に滑ることに頭を抱えていたが、なんとまたしても天気予報はいいほうにはずれ、当日は曇りで始まり、途中は太陽がさんさんと輝いて暑さと戦わなければいけない好天候となった。
国際A級スーパー
シティトライアル大会で思わぬ苦戦となった小川友幸(ホンダ)は、中国大会で再び流れを変えるべく、必勝の構えだった。しかし第1セクションをクリーンしたあとの第2セクション、小川は入口の比較的難度が低いと思われるポイントで5点。またしても苦戦の戦いとなってしまった。
ポイントリーダー小川友幸は2位
試合の滑り出しは氏川政哉(ホンダ)がよかったものの、第4セクションで5点になると、第5、第7、第9、第11と半分のセクションで5点となり、さらにタイムオーバーも5点という万事休する展開。ふたつの5点で1ラップを走りきった黒山健一が(ヤマハ)が、1ラップ目のトップに出た。黒山は、1週間前のフランスGPにTY-E 2.0で出場、帰国したばかりだ。小川は前半5セクションで3つの5点を喫したが、その後しっかり立て直して黒山と同点の2位。やはり5点3つの柴田暁が19点で1ラップ目3位につけている。
柴田暁、3位表彰台
2ラップ目、暑さはいよいよ本格的。ときおり雲が出て風が吹けばしのぎやすくなるも、太陽が出て風が止むと、じりじりと暑くて体力を奪われていく。多くのライダーが手を攣り足を攣り、苦しげにトライを続けている。
1ラップ目、全員が5点となった第5セクションを、唯一1点で通過したのが黒山。これは見事なトライだった。しかし黒山は第3で5点となっていて2ラップ目を6点で終えた。2ラップ目にトップスコアをマークしたのは、第5セクション以外を全部クリーンしてきた野﨑史高(ヤマハ)だった。野﨑は1ラップ目に26点で4位と出遅れていたが、こつこつと追い上げてきた。それでも2ラップを終えてのトップは黒山の22点。野﨑は4点差の2位だ。
2ラップを終えたところでトップに立った黒山健一
ところが野﨑と同点の22点は、ほかにもいた。小川と柴田暁(TRRS)だ。柴田はクリーン数差で劣っていたが、小川はクリーンも1点も2点も3点も野﨑といっしょ。順位は競技所要時間が短いほうが上位という規則で、野﨑が2位、小川3位、柴田4位となっている。このあとSSが控えているので、トップの黒山を含めて、逆転劇があるかもしれない。
この日のSSは、最近の傾向からすると難度は低め。となると、このままの順位で決定するかと思われたのだが、なんとSS第1の、しかもインで黒山が失敗。これは大波乱だった。結局、黒山以外の上位6名はSSのふたつをクリーンした。しかし順位が動かないのではないかと見られていたSSで優勝者が変わり、黒山は、これトップから4位まで転落してしまった。
優勝した野崎史高
ランキングでは、小川がリードを19点として、前回詰められたポイント差をやや回復した。2戦にわたって苦戦が続いた小川だったが、それでも連覇への道が、少しずつ具体性を帯びてきた。野﨑は今回の勝利で、ランキング2位の黒山に6点差と迫っている。
1位野崎史高(中央)2位小川友幸(左)3位柴田暁(右)
2022_R6_IAS_resultダウンロード
国際A級
田中善弘(ホンダ)と永久保恭平(ベータ)、元IAS二人によるチャンピオン争いが、だんだんと熾烈になってきた。前回、北海道大会では永久保が2勝目をあげ田中が4位となったが、今回はその反対の順位となった。二人のタイトル争いは、一歩も引かぬシーソーゲームが続いている。
国際A級は田中善弘の圧勝
2位はベテラン小野貴史(ホンダ)。トップの田中には倍以上の差をつけられてしまったから、いかに田中が減点を抑えてきたか、ということになる。それでも田中は2ラップ目にわずか減点を増やしたことで、勝利の確信を持てずに後続のゴールを待つことになった。
3位は香川の三野明飛夢(ガスガス)。5位に山本直樹(シェルコ・鳥取)、6位に尾藤正則(シェルコ・岡山)、10位に伏見裕貴(ホンダ)と、四国・中国のもよりの選手の活躍が光った。
1位田中善弘(中央)2位小野貴史(左)3位三野明飛夢(右)
2022_R6_IA_resultダウンロード
レディース
このクラス創設に尽力した小玉絵里加(ホンダ)が、ついに全日本選手権初優勝を果たした。今回のレディースセクションは合計減点の少ない設定で、減点は1点でも痛い、5点は致命的という状況で、のしかかるプレッシャーによく耐えて、小玉は3点差を死守して初勝利を得た。
全日本初勝利、小玉絵里加
3位は中川瑠菜が、初表彰台を獲得している。ランキング争いを見ると、小玉はこれで7点のポイントリードを持って、ランキングトップに躍り出た。
1位小玉絵里加(中央)2位山中玲美(左)3位中川瑠菜(右)
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国際B級
宮崎航(ベータ)がオールクリーン達成でシーズン4勝目をマークした。宮崎のトライアル人生で、初めてのオールクリーンだった。
オールクリーンで優勝。宮崎航
2位には黒山太陽(スコルパ)が入った。3位は3年ぶりの全日本出場という小倉功太郎(ホンダ)、岡山の小椋陽(モンテッサ)が3戦目で初めて表彰台を逃して4位となった。
1位宮崎航(中央)2位黒山太陽(左)3位小倉功太郎(右)
2022_R6_IB_resultダウンロード
オープントロフィーOV50
50歳以上のIA、もしくは元IAが出場できるOV50は、国際B級と同じセクションを走って勝負を決める。
優勝は兵庫の喜岡修(モンテッサ)。倍以上の点差が開いてしまったが、広島の三浦直喜(TRRS)が2位となった。
2022_R6_OT_Over50_resultダウンロード