2024年4月14日 大分県玖珠町玖珠トライアルヒルズ 動員数:750人 2024年全日本選手権は、大分県玖珠町で第2戦を迎えた。会場は5年ぶりの開催となる玖珠トライアルヒルズ。春の陽気を少しだけ通り越して、日中は暑いくらいのいいお天気での全日本選手権となった。
国際A級スーパー
ルーキーにして開幕戦で9位となった黒山陣(シェルコ)がエントリーを忘れるというハプニングがあり、今回の参加は17名。 セクションは滑る斜面をベースに作られていて難度はとても高かった。加えてポイントが多く、1分間の持ち時間がぎりぎりとなりそう。なかなか厳しい戦いとなりそうだ。 そんな中でも、第1〜第4、第10は比較的減点数を抑えられそうな設定で、ここをいかに最小減点で抜けられるかが勝負となる。試合が始まると、しかしこの最初の数セクションで減点を出すライダーが続出。開幕戦勝利者の王者小川友幸(ホンダ)は、第4までで6点を失って、苦境に立たされる。
1ラップ目の第6までは、6点を失っていた小川友幸
前半から1ラップ目にかけて好調だったのは武田呼人(ガスガス)。武田は開幕戦を7位で終えているが、2戦目のIAS参戦でいよいよ本領発揮というところ。ただし武田は、前回開幕戦で右ひざに重症をかかえていて、逆境の中の戦いとなっている。 武田はよく減点を抑えて1ラップ目を回ったが、タイムオーバーが3点あって、1ラップ目の順位は4位。トップはやはり小川で、2位には、そろそろEVのTY-Eの初優勝の声を聞かせたい黒山健一(ヤマハ)、3位にEV1年生の氏川政哉(ヤマハ)が入って、2ラップ明光の逆転を期す。1ラップ目は、1位から8位までが10点の中にひしめく接戦だった。
4年間スペインでトライアルを学んできた武田呼人
2ラップ目、トップの小川はいよいよ好調。本人は必ずしも乗れているわけじゃないというが、小川しか抜けられないセクションがあったり、ライバルが3点で抜けることを目指す中でクリーンを出したり、なにより5点を最小限に抑える試合運びはさすが。 2ラップ目、2位のスコアをマークしたのは野崎史高(ヤマハ)だった。野崎は開幕戦同様に、1ラップ目に多くの減点を喫してしまったが、2ラップ目に修正してスコアを大幅に改善してきた。 黒山と武田の2ラップ目は同スコア。安定感はあるが、これでは優勝争いにはちょっと届かない。 2ラップを終えて、トップの小川は40点、2位の黒山に5点差。クリーンは小川が多いので、SSで小川がふたつとも5点となり、黒山がたとえばクリーンと3点ならば逆転劇となるが、SSはこれがまた難度の高い設定で、はたしてクリーンなど出るのか、いやいや走破するものが出るのかと天を仰ぎたくなる。
2位の黒山健一
しかしIASのトップ10の実力はさすがだ。まず最初のSS。2番手の野本佳章(ベータ)が3点で抜け、野崎も3点、小川毅士(ベータ)が2点と、トライが進むに従い、減点が減ってきた。そしてついに柴田暁(TRRS)がクリーンをたたき出す。しかしこのあたりから、大岩への加速ポイントの路面が崩れてきた。 柴田の次にトライした武田が5点。柴田と同点だった3位争いからいったん脱落してしまった。黒山はコンディションの悪化したこのセクションを、なんとか1点でおさめる。最後にトライした小川はあっぱれだった。むずかしいのは、滑る斜面から斜めの岩を攻略するポイントだが、9人が走って荒れた今、簡単なポイントなどどこにもない。しかし小川は、見事にここをクリーン。チャンピオンの貫録を見せつけたと同時に、黒山との点差を6点として、ここで黒山の逆転優勝の芽を摘むにいたった。小川の勝利が確定だ。 SS第2。ここはさらに厳しさを増した。3個の大岩をすべてきれいに超えていくなど、人間業ではないと思われる。しかしそれもIASの手にかかると、どこかに攻略法があるようだ。野本、久岡、野崎が3点、小川毅士がクリーンして、一転、この難セクションがクリーン必須のセクションとなった。 SS第1をクリーンして、相手次第では2位表彰台まで可能性のある柴田は、美しいライディングを披露して出口へ。しかし出口でわずかにラインを乱して5点。このあと武田がクリーンして、柴田と武田は再び同点に。クリーン数も同じで、1点の数の差で柴田は表彰台を逃すことになった。武田はIAS参戦2戦目にして3位表彰台獲得の快挙。 すでに2位が確定した黒山が1点、そして最後に登場した小川もまた、優勝が決まっている。開幕戦では、こういう情況でSSを失敗して、優勝しながら悔しい思いをひきずることになった。今回は、見事なクリーン。開幕2連勝を飾るとともに、今度こそSSで有終の美を飾り、まず完璧な勝利となった。
国際A級スーパー表彰式。左より2位黒山建一、優勝小川友幸、3位武田呼人、4位柴田暁、5位小川毅士、6位氏川政哉
2024_R2_IAS_resultsダウンロード
国際A級
開幕戦で勝利した平田貴裕(スコルパ)が第1セクションで3点、第2セクションで5点と意外な滑り出し。こんな中、1ラップ目にトップとなったのは若い宮澤陽斗(ベータ)だった。大ベテランの全日本チャンピオン、成田匠(EM)を3点引き離す堂々たるスコアだった。さらに宮澤、成田に続いて、3位につけたのが髙橋寛冴(シェルコ)。関東の若手が、いよいよトップ争いに駒を進めてきた。 2ラップ目、戦況はほとんど変わらず、減点15点から20点少々の間での接戦の優勝争いだ。こんな中、減点14で2ラップ目のトップスコアをマークしたのが成田だった。
成田匠により、全日本EV初勝利。
成田が乗るのはフランス製のEM。トライアルEVのパイオニアだ。全日本でのEV初勝利記録は、ヤマハに先んじて、成田とEMが刻むことになった。弟の成田亮も4位に入賞、二人は開幕戦でも好調だったが、今回は人車それぞれの実力を遺憾なく披露した。 …
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