2024年7月14日 北海道上川郡和寒町わっさむサーキット 動員数:680人
2024年全日本選手権第4戦は、恒例の海の日の連休に北の大地で開催される。ここ数年、北海道での戦いといえば、どこかで雨にたたられてつるつるの泥地獄と戦っていたものだが、今回は天気予報にも雨の心配はなく、そのとおり、当日もいいお天気となった。日差しが強く照りつけてかなり厳しいコンディションにはなったが、本州各地から遠征してきたライダーには、湿度の低いからっとした空気が新鮮だったようだ。
下見を終えての選手は、セクションについて全体的に神経戦との感想を語った。必ずしも簡単というばかりでなく、大きな岩やブロックを越えなければいけないポイントは多々あり、小さなミスが5点につながる。そこを越えてくるトップ争いにとっては、慎重に1点を削っていくメンタル勝負の大会が予想された。
参加者は98名。北海道大会としてはなかなかの盛況になった。IASが17名、IAが26,レディースが7、IBが42、そして全日本選手権に併催のオープントロフィーNAに6名のエントリーがあった。
用意されたのは10セクションとSSがひとつ。SS第2は第10セクションを手直しして設定される。
国際A級スーパー
第1セクションはウォーミングアップのような設定で、下見もそこそこにトライして、各ライダーはあっという間にクリーンしていった。第2セクションは、誰もが走破不可能ではないかと思われる急斜面へのトライとなったが、これもトップグループはあぶなげなくクリーンしていった。ところがここで、小川友幸(ホンダ)が失敗。チャンピオンの波乱の幕開けだった。
細かい減点をしながら、5点なしで1ラップを走りきったのは氏川政哉(ヤマハ)だった。今回、鬼門は第3から第5あたりと目されていた。その3セクションを、氏川は1点、2点、2点で切り抜けた。1ラップ目、氏川の減点は5点。しかしある意味、氏川以上に好調だったのが柴田暁(TRRS)だ。柴田は第3で1点、第4で5点をとるも、それ以外の8セクションをすべてクリーンした。氏川とは1点差で暫定2位だが、クリーン数では勝っている。
全日本2連勝は初めてという氏川政哉
3位に野﨑史高(ヤマハ)。野﨑までが、1ラップ目を一桁減点でまとめたライダーとなった。4位の小川毅士(ベータ)は12点、黒山健一(ヤマハ)が19点で5位、同じく19点の武田呼人(ガスガス)が6位。小川友幸は22点で、なんと7位から追い上げを余儀なくされた。そして小川に1点差で武井誠也(ホンダ)、4点差で黒山陣(シェルコ)がつけている。
ヤマハTY-Eを走らせる野﨑史高は2位
2ラップ目、氏川は堂々たる走りっぷりを見せた。1ラップ目にクリーンしていた第6と第7を、それぞれ1点と6点と、悔しい減点があったものの、それでも氏川のこのスコアを上回ったライダーは皆無だった。2ラップを終えて、氏川の減点は11点。2位には引き続き野﨑がつけていたが、野﨑とはちょうど10点差があり、クリーンや1点の数を数えると、この時点で氏川の勝利は決まった。
1ラップ目に5位と7位、不本意な順位に甘んじた二人のチャンピオン、黒山建一と小川友幸は、それぞれ2ラップ目に追い上げを見せた。黒山は9点でこのラップ2位。小川は11点でラップ3位をマークしたが、僅差の戦いの中、順位の逆転はならず、黒山5位、小川7位で2ラップを終えた。
3位を確保した小川毅士
3位には小川毅士。1ラップ目に好調だった柴田は2ラップ目に3つの5点で後退して4位。しかし小川毅士とは1点差だから、まだ逆転のチャンスはある。SSで逆転がないのはトップの氏川のみで、2位から10位までは、いずれもSSの減点次第で順位が入れ替わる可能性があった。
1ラップ目から好調だった柴田暁
SS第1は、出口が超難関。しかし3番手でトライした黒山陣がここを1点で通過して場を沸かせる。次にトライするのが小川友幸で、小川もまた、黒山とは若干ラインを変えながら1点で通過。このあとトライした武田が5点となって、ここで小川と順位が入れ替わった。そして黒山、柴田とついにこの難関をクリーン。小川毅士、野﨑が続けて5点となったことで、まず柴田が一気に2位まで浮上した。SS第2の結果次第で、さらに順位が大きく入れ替わる感じになってきた。
第3戦までポイントリードしていた小川友幸だったが、今回は6位へ
最後にトライした氏川は、ここで5点。優勝を決めたあとのSSは美しくクリーンしたいところだったが、もちろんこれでも結果は変わらない。
そしてSS第2。最初にトライした久岡孝二(ホンダ)が完璧なトライでクリーン。このクリーンで、久岡は武井を逆転して9位に浮上した。黒山陣はちょっとばたばたしたが3点で抜けて8位をキープ。自己最高位を更新した。
2位から7位までの争いはまだ続いている。まず6位争い。武田はここでも5点となって、武田の7位が決まった。小川友幸は1点。トライは悪くなかったが、6位はワースト順位を更新。ランキングトップも氏川に譲り渡すことになった。
黒山のSSは見事だった。最後のSSでは足が出たものの、その1点のみで切り抜けた。しかし残念ながら、5位以上に進出することはできなかった。
5位になった黒山健一
表彰台争いは、柴田のトライから始まる。きっちり走ればクリーンできるこのSS第2。無難に走れば表彰台は確実。クリーンすれば2位も決まる。ところが柴田は、難関の手前の飛び石でまさかの前転。これでまた表彰台争いは混とんとしてきた。
続く小川毅士。減点は小川が1点優位なので、減点を1点におさめれば表彰台ゲット。野﨑の結果次第で2位も狙える情況だ。難所を無事に通過し、クリーン目前というところで、しかし小川も失敗。あわや5点、あわやタイムオーバーというところで、ぎりぎり1点で走りきった。これで柴田とは同点ながら、クリーン数の差で3位以上を獲得。柴田は4位以上が確定して、野﨑のトライを待つことになった。
野﨑は2ラップ目の第4セクションで足を負傷して手負いの状態だったが、そんな気配は感じさせず、トライを進めていく。しかしわずかにバランスを崩して失点。1回、2回、3回、いや2回だ。減点2。なんと2位から4位までが1点差で、野﨑2位、小川毅士3位、柴田4位の並びが決まった。
最後のトライとなった氏川は1点。氏川はこれで自身初めての全日本2連勝だが、この2戦、SSでのクリーンがない。勝者がSSで華麗にクリーンするシーンは、次回のお楽しみ、ということになる。
逆転ランキングトップにたった氏川は、2位に5ポイント差。2位には小川友幸と黒山、ふたりのチャンピオンが鎮座している。
IAS表彰式。左より2位野﨑史高、1位氏川政哉、3位小川毅士、4位柴田暁、5位黒山建一、6位小川友幸
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国際A級
1点の減点が勝敗に直結する神経戦となった。1ラップ目、わずか1点でトップに立ったのが成田匠(EM)。成田のEMは、トライアルGPでデビューした4速ミッション付きの新型。全日本は、今回が初登場になる。2ラップ目、成田は3つのセクションで減点、トータル減点を6点として結果を待ったのだが、そのスコアを上回るライバルは現れず。3連勝が決まった。
EMの成田匠が三連覇
2位は開幕戦の勝利以来の表彰台獲得となった平田貴裕(スコルパ)。2ラップ目の5点が痛い失点となった。
平田と同点、クリーン数差で3位表彰台に上がったのが成田亮(EM)。IASはヤマハTY-Eがワンツーとなったが、こちらは1位と3位。国際A級の6つの表彰台のうち、4つまでを電動マシンが占めることになった。
若手ではランキング2位の宮澤陽斗が5位、高橋寛冴が11位、12歳の黒山太陽が15位で初めてのポイント獲得となった。
IA表彰式。左より2位平田貴裕、1位成田匠、3位成田亮、4位小野貴史、5位宮澤陽斗、6位高橋健啓
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レディース
7名が出場のレディースクラス。若手の二人、中川瑠菜(ベータ)と山森あゆ菜(モンテッサ)の1ラップ目は接戦だった。中川が11点、山森が12点で、どちらが勝ってもおかしくない。3位の小玉絵里加(TRRS)は19点で、ややスコアが開いていた。
中川瑠菜の勝利。2位の山森に10点差でまとめた。
2ラップ目、中川ががぜん調子を上げてきた。1ラップ目と同じように、13点で2ラップ目をまとめた山森に対し、中川の減点はたった4点。2ラップを終えると、1位と2位には10点差がついていた。
3位は小玉を逆転して、1点差で米澤ジェシカが入った。ランキング争いでも、山森と中川は4ポイント差、小玉と米澤は1ポイント差と、大接戦になってきた。
レディース表彰式。左より2位山森あゆ菜、1位中川瑠菜(代理)、3位米澤ジェシカ、4位小玉絵里加、6位加藤里沙
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国際B級
開幕から3連勝してきた高橋淳(TRRS)に、ついに土がついた。1ラップ目の高橋は1点で、12歳の永久保圭(ベータ)と同点トップ。しかし2ラップ目に高橋が5点を喫して、永久保が3点差で初優勝となった。
国際B級は永久保圭が初優勝
3位はシーズン3度目の表彰台を獲得したチェン・ウェンマオ(ホンダ)。今シーズン、この3人で表彰台の9割を独占している。
IB表彰式。左より2位高橋淳、1位永久保圭、3位チェン・ウェンマオ、4位田上拓、5位袋井就介、6位寺澤迪志
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2024年6月2日 栃木県芳賀郡茂木町 モビリティリゾートもてぎ 動員数:3,000人
2024年全日本選手権第3戦は、トライアルGP日本大会の余韻もさめやらぬ栃木県モビリティリゾートもてぎでの「もてぎ大会」として開催された。前日の土曜日は暑いくらいの陽気だったが、当日の天気予報は雨。しかし夜半から降り始めた雨は朝方には止んで、昼間は日差しも出るほどになった。とはいえ、午後の降雨は避けられそうにない。
セクションは、基本的にトライアルGPで使われた部材を利用していて、厳しさもトライアルGP並か。朝まで雨が降っていたから、滑る滑ると評判のもてぎの地形ゆえ、その難度はGPを超えていたかもしれない。GPを走ることがないクラスは、一目瞭然にむずかし目の設定となった。
スタートは全日本の通常より30分遅い8時ちょうど。国際A級と国際B級は1分に2台ずつ、国際A級スーパーとレディースは1分ずつスタートで、レディースと国際A級の間に1時間15分ほどのインターバルが置かれていた。国際A級スーパーと国際A級は第1セクションと第9セクションをのぞく10セクション2ラップ、レディースと国際B級は第6と第11をのぞく10セクション2ラップ、これを4時間半で回る戦いが始まった。
国際A級スーパー
今回も参加は17名。ここまで2連勝を飾っているディフェンディングチャンピオンの小川友幸(ホンダ)は、最初のトライとなる第2セクションで失敗。いつもの小川なら、ここから建て直してきっちり優勝するか、せめて表彰台まで順位を戻してくるのだが、今回はなかなかペースが戻らない。
1ラップ目から不調だったチャンピオン小川友幸
こんな中、2週間前に2日間にわたって2ラップを走っているライバルは、難セクションに果敢にチャレンジしていく。1ラップ目、2位以下に5点差をつけてトップに立ったのは今年から体制をがらりと変えて全日本を戦う氏川政哉(ヤマハ)。氏川も小川同様に第2セクションで5点となっているが、その後の巻き返しが見事にきいた。
1ラップ目からリードし、優勝した氏川政哉
2位は同点で二人。野崎史高と黒山健一、氏川と同じヤマハTY-Eに乗るベテランが並んだ。この二人に2点差で小川毅士(ベータ)、小川友幸は小川毅士に4点差の5位で試合を折り返した。
EVを走らせる黒山健一は2位
2ラップ目、氏川の好調は変わらない。1ラップ目の失敗を修正したり、細かいミスを出したりしながら、トータル減点は1ラップ目と変わらず21点。2ラップのトータルを42点とした。これに続くは黒山。しかしその差は7点に開いていて、SSで逆転劇を演出するには、ちょっと点差が大きい。
EVで3位表彰台を決めた野崎史高
野崎も2ラップ目に少し減点を増やしていて、クリーン数で勝ってはいるものの、減点53点、小川毅士と同点でSSを迎えた。小川友幸は59点と、計算上は逆転の目はあるが、上位進出はむずかしそうだ。
SSは、これもトライアルGPの最終セクションを使って行われた。2ラップ目の終盤から、予定通り雨が降り始めて、SSが始まる頃には本降りに。濡れた丸太の安全性が危惧されて、一部設定を変更してSSが始まった。この変更もあいまってSSの難度は若干さがり、大きな逆転劇の可能性も下がった。
SS第1、最後にトライした氏川が1点を失ったものの、トップグループはおおむねクリーン。この時点で、氏川のリードは7点となり、氏川の今シーズン初優勝、そしてヤマハTY-Eの初優勝が決まった。
SS第2は終盤の高い板への飛びつきとそこからどうやって降りるかが難関。久岡孝二(ホンダ)が前輪から落ちて肝を冷やすこととなったが、トップ5は上手に足を着きながらこの難関を克服していく。
小川友幸は3点で5位をキープ、小川毅士はここで2点を失って、表彰台争いのライバルの野崎のトライを待つことになった。果たして野崎は1点。これで黒山のトライを待つことなく、ヤマハTY-Eの表彰台独占が決まった。第2戦で、国際A級の成田匠とEMによる、全日本選手権初のEV勝利があったが、今回はトップカテゴリーでのEV勝利。それも1位2位3位独占の快挙となった。
ランキングでは、開幕2連勝を飾った小川友幸が依然としてトップをキープした。しかし3戦連続で2位入賞を果たした黒山が1ポイント差でこれに続く。ランキングでもヤマハ勢の巻き返しが始まっている。
国際A級スーパー表彰式。左より2位黒山建一、優勝氏川政哉、3位野崎史高、4位小川毅士、5位小川友幸、6位柴田暁
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国際A級
第2戦で勝利したEMの成田匠が、今回も好調。ほぼ全員が5点となった第3と第12以外を最小限点にまとめて、全日本2連勝を飾った。IASの表彰台独占とともに、全日本でも一気にEV化の波が押し寄せてきた印象だ。
電動トライアルバイクを走らせる国際A級、成田匠
成田に遅れること9点で2位となったのが、これもベテランの本多元治(ホンダ)。奇しくも、成田も本多も世界選手権のセクションづくりに奔走した重要スタッフだが、成田は自分で構成したセクション群を、参加者として走るのはこれが初めてだった。
3位に、第2戦に続いて連続表彰台となった宮澤陽斗(ベータ)。ランキングでも、成田と、去年までIASだった平田貴裕(スコルパ)に続き、3位をキープしている。平田は今回4位、5位に、成田の弟で、やはりGPのセクション設営に尽力した亮が入っている。
今回はベテラン勢が上位を独占していて、若手は3位の宮澤が一人気を吐いた結果となった。
国際A級表彰式。左より2位本多元治、優勝成田匠、3位宮澤陽斗、4位平田貴裕、5位成田亮、6位小野貴史
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レディース
参加は8名。第1戦第2戦と1位2位をわけあった山森あゆ菜(モンテッサ)と中川瑠菜(ベータ)の勝負の行方が注目される。
今回は難度も高め。大岩を越えていかなければ先に行けない設定のセクションも多く、加えて2ラップ目はIASやIAの1ラップ目の大群に追いついて、先の見えない渋滞と闘わなければいけなかった。
それでも、タイムコントロールはトライアルの戦いのエッセンスの一つ。申告5点も視野に入れながら、減点を少しでも減らしてゴールすべく、戦いは続いた。
チャンピオン山森あゆ菜が、ランキングトップ
結果は7点差で山森の勝利。山森はこれでランキングトップの座を確固たるものにした。2位はソアレス米澤・ジェシカ(TRRS)。日本人離れしたライディングが魅力の米澤が、ついに女子大生コンビの間に割って入った。中川は米澤に1点差の3位だった。
2ラップ目に2位で追い上げた小玉絵里加(TRRS)が4位、清水忍(TRRS)、齋藤由美(ベータ)が5位、6位となった。
レディース表彰式。左より2位米澤ジェシカ、優勝山森あゆ菜、3位中川瑠菜、4位小玉絵里加、5位清水忍、6位齋藤由美
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国際B級
開幕2連勝を飾っている髙橋淳(TRRS)が、今回も勝利を飾った。絶好調。高橋は、1ラップ目をクリーン6の減点6でまとめて2位の中学生、永久保圭(ベータ)にダブルスコア以上の差をつけた。
国際B級で連勝する高橋淳
ところが2ラップ目、髙橋が戦わなければいけなかったのは渋滞だった。申告5点で先を急がざるを得ず、1ラップ目の減点6から一気に減点22まで増やしてしまった。それでも、2位のチェン・ウェンマオ(今回からホンダに乗る)に5点差で、開幕3連勝を飾ったのだった。
ランキングは、上位3人が安泰。髙橋、永久保、チェンの順に並ぶ。髙橋と永久保のポイントギャップは、すでに19ポイントまで広がっている。
国際B級表彰式。左より2位chen wenmao、優勝高橋淳、3位永久保圭、4位小倉功太郎、5位小倉功太郎、6位大櫃千明
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2023年11月12日 大阪府大阪市中央公会堂前中之島通り 観客数:5,000人
国際A級スーパー
2023年全日本トライアルシリーズが最終戦を迎えた。例年と異なり、第7戦までのランキング10位の選手のみが参戦できるシティ・トライアル・ジャパン大会が最終戦、チャンピオン争いの最後の1戦に選ばれた。トライアルの発展、よりいっそうの盛り上がりを目指して、通常の全日本とはシステムやルールを変更して、新たなスタイルを確立した画期的最終戦となった。
ランキング上位10名のIAS選手のみ出走する今年のCIty Trial Japan。スタート前の選手紹介
最初のトライはセミ・ファイナル。ランキング10位の磯谷玲と9位の田中善弘がトップトライで大会は始まる。セクションは4つ。これを往復するので8セクション。ラインを変更して、セミ・ファイナルからファイナルに向けて、難易度も変更できるようになっている。
最終戦に向けては、ランキング8位武井誠也、田中、磯谷の3人が接戦、ランキング7位の久岡のポジションが変動する可能性は低いが、ランキング5位の柴田暁、6位小川毅士も接戦だ。そしてもちろん、ハイライトは小川友幸と氏川政哉のチャンピオン争い。ライダーは、いつもとまったく異なるスタイルの戦いで最後の決戦に挑んだ。
スタート7番手以降の中では、磯谷が前半に一つ、後半に一つ3点をたたき出して、これでランキングも9位に躍り出ることになった。
しかしセミ・ファイナルの後半、2組目のトライの最中に雨が降り始めた。用意されたセクションは、板も丸太もつるつるで、雨の中でのトライは非常に危険だ。試合を中断して、セクションに加工を施す一方、途中でセクション条件が大きく異なることになり、しかもすでにトライを終えた4人とこれから走る6人との公平性などが協議され、そこまでの減点数を考慮した結果、セミ・ファイナルは4人が8セクション、6人が4セクションを走った時点で終了となり、ファイナルは6人のライダーが二人ずつ、第1と第2、第7と第8(第1と第2の逆走)の4セクションを走ることになった。雨はひとしきりセクションを濡らしたあとに上がったが、つるつるに滑るようになった部材が急速に復活する感じではない。
ファイナルはセミ・ファイナルでの結果順に走るので、一番スタートはセミ・ファイナル6位の柴田暁。勝敗はセミ・ファイナルとファイナルの減点をトータルで競われる。柴田はファイナルの4セクションを減点14点で終えている。トータルでは28点になる。
セミ・ファイナルを6位で終えた柴田暁
柴田といっしょに走った小川毅士は、5点なしの7点。トータルでは18点だった。ファイナルが始まる時点で小川の暫定順位は5位で、この順位では柴田と小川のランキングは変わらない。
小川毅士はセミ・ファイナルで5位
次を走るのは野﨑史高と黒山健一だった。野﨑はヤマハ4ストロークサウンドを響かせ、難セクションを走破していく。5点、3点、1点、そしてクリーンひとつで9点。トータル16点。しかし、セミ・ファイナルを6点で終えていて、まだ勝利の望みもあった黒山のファイナルは波乱となった。4セクション中3セクションで5点となり、15点を献上。トータル21点で、セミ・ファイナル2位から、一気に5位に転落した。これで小川毅士が4位に浮上し、ランキングも5位に上がることになった。
パワフルな4ストロークサウンドが響く。野﨑史高
唯一のモーター音。電動バイクで難セクションに挑む黒山健一
残るは小川友幸と氏川政哉の頂上対決。とはいえ、万が一彼らが4セクションすべてで5点をとると、勝利どころか4位、5位まで転落する可能性もあるという戦況だ。もちろんチャンピオン争いも重要で、氏川が勝利、小川が4位なら氏川が逆転チャンピオンとなる。勝負の行方、タイトルの行方、華々しい演出とは裏腹、緊張感あふれるファイナルの4セクションが始まった。
小川は、第1こそクリーンしたが、その後は5点を避けて確実に2位をキープする作戦。第2で3点、帰り道も1点と3点。このラップのトータル7点は小川毅士と並んでトップ、そしてトータルは12点だった。
リスクのない確実なライン取りを選ぶ小川友幸。V13獲得。
氏川は第2の入口で5点、しかしこの5点では首位は変わらない。勝負は最終セクション、ここで小川が3点となったところで、氏川の最終戦勝利が決まった。勝利が決まった氏川は、最終セクションをダニエル走法を使って華麗にクリーンしようともくろんだが、グリップがむずかしい丸太は氏川に有終の美を許さなかった。残念5点。
最終セクションを前に優勝を決めた氏川政哉
しかし氏川は、2023年シーズン、開幕戦と最終戦で勝利、大きな成長の証を残してシーズンを終えた。
左より2位小川友幸、優勝氏川政哉、3位野﨑史高、4位小川毅士、5位黒山健一、6位柴田暁
2023年6月25日 和歌山県有田郡湯浅町湯浅トライアルパーク 観客数:1,200人 6月2回目の全日本選手権。世界選手権もてぎを含めると、6月には3大会のトライアルビッグイベントが開催されたことになる。今回は、醤油の町、和歌山県湯浅町での開催となる。
国際A級スーパーと国際A級、国際B級(とオープントロフィー)が10セクション(それぞれ1セクションずつ専用セクションあり)2ラップ、レディースが8セクション2ラップ。加えて国際A級スーパー上位10名にはSSでの決戦が待っている。
天気はよく、ただし林の中など湿気もあって、ライダーにも観戦者にも、ちょっと厳しいコンディションになったかもしれない。
国際A級スーパー
第3戦で勝利こそ逃したもののランキングの単独トップに立った若い氏川政哉(ホンダ)。ここでもポイントリードを広げる活躍をしたいところ。
氏川政哉が今季2勝目
しかし1ラップ目、トップ争いは大接戦だった。粘るトライを見せて5点を二つに抑えたのは、電動マシンのパフォーマンスがどんどん進化する黒山健一(ヤマハ)だったが、クリーンが多いのは小川友幸(ホンダ)。氏川はその両者にはさまれて2位で1ラップを折り返した。この3人は1点差ずつ、さらにトップから3点差で野﨑史高(ヤマハ)、柴田暁(TRRS)が並んでいる。上位5人、誰が勝ってもおかしくない戦況だ。
電動で2位獲得の快挙。黒山健一
2ラップ目、クリーン5をマークして調子を上げてきた黒山、対して2ラップ目序盤4連続クリーンから調子を崩し、最後は3連続5点、4つの5点で1ラップ目より7点減点を増やしてしまった小川友幸。柴田、野﨑も減点を増やし、追い上げがままならない。そんな中、5点二つのみ、1ラップ目より減点を4点減らしてきたのが氏川だった。
小川友幸は3位に
クリーン数こそ少ないものの、減点を確実に抑えた氏川は、2ラップを36点でゴール。2位につけたのは黒山で41点。さらに3位小川友幸は45点、柴田46点、野﨑51点と、SS次第では順位が大きく動き可能性もあった。
SSは二つとも難セクションだった。それでもSS第1は、野﨑、小川友幸、黒山がクリーン。氏川は減点2。電動マシンに乗る黒山が初優勝まであと3点と迫った。そしてSS第2。今回いいところがない小川毅士がもう一歩でアウトするところまでいったものの、それ以降にトライしたライダーはことごとく5点。こうなるとそれぞれの逆転劇はならず、小川友幸、黒山の5点で、氏川の勝利も決まった。
しかし氏川の和歌山・湯浅大会はこれで終わってはいなかった。さらに集中しなおし、誰も抜けられなかったSS第2にトライ。惜しくもクリーンはならなかったが、わずか1点でここを抜けて、自身の2勝目に華を添えて第4戦は決着した。
今回の結果、氏川のポイントリードは16ポイントに広がり、2位小川友幸と3位野﨑の間も11ポイント差に広がった。
野﨑が今シーズン初勝利。4戦目にして、3人目の勝利者が出て、氏川のランキングリードは変わらないまま、シリーズ争いがより興味深いものになったもてぎ大会となった。
IAS表彰式。左から2位黒山健一、優勝氏川政哉、3位小川友幸、4位柴田暁、5位野﨑史高、6位小川毅士
2023_R4_IAS_resultsダウンロード
国際A級
第3戦に続いて本多元治(ホンダ)が参戦。初タイトルに向けてポイントを積み上げる黒山陣(スコルパ)の前に立ちはだかった。1ラップ目、本多の5点に対し黒山は3点。トップは黒山だが、わずか2点差で攻防が続く。
2ラップ目、両者は1点の足つきも許さぬ勢いでセクションを回り、結局両者は減点1点ずつ。結果、点差は1ラップ目のまま、2点差で黒山が勝利した。黒山は今シーズン2勝目だが、なにより前回敗北した本多に勝利したことが喜びだという。
黒山陣がベテランをおさえて勝利
3位に村田慎示(ホンダ)、4位に、フランスの電動マシンEMに乗る成田匠が入っている。
成田匠が電動マシン(EM)を走らせて4位
国際A級表彰式。左から2位本多元治、優勝黒山陣、3位村田慎示、4位成田匠、5位砂田真彦、6位宮澤陽斗
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レディース
7人がエントリーだったが、米澤ジェシカが負傷で戦線離脱、6名での戦いとなった。
1ラップ目は、このクラスも大接戦。トップ中川瑠菜(ベータ)が6点、2連勝した山森あゆ菜(モンテッサ)が9点、小玉絵里加(ガスガス)が11点、楠玲美(ホンダ)が12点という争いだ。
中川瑠菜がダブルスコアで勝利
2ラップ目、中川はさらに調子を上げて8セクションを4点でまとめた。トータル減点は10点。これで1年前のこの会場での近畿大会に続く自身2勝目となった。2位にダブルスコアの圧勝だった。
2位は小玉。体力的に厳しい2ラップ目に減点を減らせたのが2位獲得のポイントとなった。3連勝ならずの山森は3位。小玉とはわずか1点差だった。
チャンピオン楠は4位となっている。
レディース表彰式。左から2位小玉絵里加、優勝中川瑠菜、3位山森あゆ菜、4位楠玲美、5位寺田智恵子、6位河村真弓
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国際B級
3戦目にして土がついた村田隼(ヴェルティゴ)が第3戦の勝者、小原諄也(TRRS)にリベンジを果たして3勝目。小原は1ラップ目第3セクションでの5点が痛かったが、トータルでは村田にたったの1点差だった。
ランキングでは村田が小原に30ポイント差のトップ、小原もランキング3位の古市光に30ポイント近い差で2位につける。ランキング4位以下は8位までが3ポイント差という大接戦となっている。
国際B級は村田隼が3勝目
IB表彰式。左から2位小原諄也、優勝村田隼人、3位大櫃千明、4位小倉功太郎、5位滝浪猛、6位和田弘行
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2023年4月2日 愛知県キョウセイドライバーランド 観客数:1,800人
2023年の全日本選手権は昨年同様にキョウセイドライバーランドで開幕した。去年までは中部大会とタイトルがついていたが、今年からは愛知・岡崎大会と呼ばれることになった。表彰式には中根康浩岡崎市長も臨席、地域の特産品なども紹介されて、地元岡崎市とのリレーションシップがより強固になった全日本トライアルとなった。
事前の天気予報では当日はまちがいなく雨ということで、滑るキョウセイでのサバイバルな戦いが予想されたが、当日が近づくにつれて予報も好転。朝はちょっと肌寒いながらもいいお天気。走るほうも観戦するほうも、なかなかのトライアル日和となった。しかし予報では、この地域は午後から雨雲の訪問を受けるということで、それがいつなのか、はたしてほんとうに雨が降るのか、雨雲が勝負の行方を握るのか、運を天に任せてスタートするライダーも多かったようだ。
国際A級スーパー
1ヶ月半のスペイン修業から帰ってきて、その成果をアピールしたい氏川政哉(ホンダ)、ヤマハからホンダにマシンをスイッチした久岡孝二など、新しいシーズンにふさわしい話題は多かったが、圧倒的に注目を集めたのが、黒山健一とヤマハTY-E 2.1だった。電動マシンが、初めて全日本選手権を走る記念すべき1戦となった。
初めて全日本選手権を走る電動トライアルマシン
東京モーターサイクルショーで、黒山とヤマハTY-Eが走る姿を目撃した人も多いかと思われるが、ちゃんとした実戦でこのコンビネーションを見た人はほとんどいない。黒山とTY-Eはこれまでに5戦の実績があるが、いずれも世界選手権が舞台だった。
黒山の第1セクションは5点。しかしスコアはともかく、IASでも失敗するライダーが多いポイントを美しく走破していく様を見せ、たとえ5点になっても多くの驚きと拍手を呼び込みながら、黒山は電動トライアルライダーとしてスタートを切った。
電動マシン、YAMAHA TY-E 2.1を駆る黒山健一
前日の下見では、意外に減点数は押える戦いになるのではないかという読みもあったが、第1セクションをクリーンしたのは氏川と武井誠也(ホンダ)の二人だけ。野﨑史高(ヤマハ)が3点となった以外は、みな5点という厳しい滑り出しとなった。
序盤、クリーン、1点、クリーンと好調だったのが氏川。11連覇V13を狙う小川友幸(ホンダ)は、第1セクションから5点、第3でも3点を失うなど、本来の正確なライディングができていないように見える。野﨑史高(ヤマハ)は5点が少ない代わりに細かい減点が大目、柴田暁(TRRS)、小川毅士(ベータ)は序盤2セクションで連続5点を喫して幸先が悪い。柴田はその後調子を上げていったが、小川毅士はついに調子が出ないまま1ラップを終えてしまった。
1ラップ目のトップは氏川で22点、2位につけたのはなんと電動マシンをデビューしたばかりの黒山だった。マシンもまだこれからというところも多く、ライダーもまだまだなれなければいけないことが多い。それでも、第1戦にしてエンジンマシンを相手にほぼ互角の戦いが見せられているというのは、本人には大きな収穫となったに違いない。見る者はその活躍ぶりにびっくりだ。
序盤から好調だった、氏川政哉
小川友幸は過去にない不調といいながら、氏川に5点差で1ラップ目を折り返した。
2ラップ目、氏川はわずかにライバルよりも好調をキープ。本人としてはもっと減点を減らした走りをしたかったようだが、それでも10セクション2ラップを走り終えて、2位小川友幸に8点差。SSを前に、開幕勝利が見えてきた。
2位には小川友幸が上がってきていた。氏川との点差8点は可能性はゼロではないが逆転もむずかしい点差だ。3位は黒山で、小川との点差もおなじく8点だった。
11連覇V13を狙う小川友幸
黒山以下は接戦だった。黒山と野﨑が62点で同点(クリーン数は黒山が勝る)、柴田が64点、2ラップ目に復調した小川毅士が68点。SSの結果次第では、この4人に表彰台のチャンスがあった。
SS第1はタイヤや岩を越えた後、ヒルクライムを上っていく設定。今回は第6セクションに極大ヒルクライムが用意されていたが、それよりは低くなだらかで、しかし細かいテクニックが必要そう。
このSS、しかしヒルクライム以前に玉砕するライダーが多く、抜けられたのは柴田だけだった。そんな中、黒山がタイムオーバーで5点ながら最後まで走りきって、ここでも電動マシンの可能性を見せつけた。
上位陣がそろって5点となったので、氏川の優勝はこの時点で決まった。小川友幸の2位も決まった。3位争いは柴田が黒山、野﨑を逆転。そして勝負は最後のSS第2に移った。
SS第2は、入口に巨大な岩への飛びつき、その後降りて上って降りて上って上ってアウトという設定。ダイナミックな大岩への飛びつき、細かいテクニックを要す下りや木の根の処理、最後の土の斜面と鬼門は多かった。1分半の時間内にセクションアウトできるかどうかも問題だ。
しかしここでは、3番手にトライした久岡が3点で抜けると、武井、小川毅士と3点。上位陣にはクリーンの可能性も出てきたが、同時に何人かが走ってわだちが掘れてくるなどの問題も出てくる。
柴田が2点のあと、野﨑が1点で抜けた。両者は同点で、クリーン数の差で、野﨑が再び柴田を逆転して3位争いが混とんとしてきた。続く黒山が1点以下で抜ければ、黒山が再々逆転で表彰台を得ることになる。しかし黒山は惜しくも2回の足つきを喫して、黒山は5位に。去年までの黒山なら、5位はかなり厳しい結果ということになるが、今年は大きな可能性を見せてくれての、さらに将来が楽しみな5位となった。
SSで逆点、3位の野﨑史高
そして最後の二人。まず小川友幸が美しくクリーン。さすが小川友幸というライディングが最後に発揮された。すでに氏川の勝利は決まっているが、小川のクリーンを目の当たりにして、ここで失点をするわけにもいかない。すると氏川は、今日一番の自信たっぷりの走りを見せて、自身の優勝に大きな華を添えるクリーン。開幕戦は政哉デイとなった。
開幕戦の勝利。氏川政哉
左から、2位の小川友幸、優勝氏川政哉、3位野﨑史高、4位柴田暁、5位黒山健一、6位小川毅士
2023_R1_IAS_resultsダウンロード
国際A級
古くからのトライアルファンにはなつかしい名前が目白押しのこのクラス。マシンをヴェルティゴにスイッチした加賀国光、優勝引受人の本多元治(ホンダ)、2021年IAチャンピオンの村田慎示(ホンダ)、去年まで廣畑伸哉(今年は1年間のスペイン修業に出た)のアシスタントを務めた田中裕人(ホンダ)……。大ベテランばかりで、若手には厳しい戦いだ。
優勝は加賀。1ラップ目序盤にふたつの5点を取りながらよく挽回。雨が降ってコンディションが悪化した2ラップ目に減点を減らしての勝利だった。2位は本多元治。加賀とは2点差。最終セクションの5点が2点以内だったら、本多が勝利していたかもしれなかった。
IAクラス優勝、加賀国光
3位には、若き黒山陣(スコルパ)が入った。今年はチャンピオンを目指すという黒山は、加賀から13点ほど点差をつけられたものの、並み居るベテランを押えて表彰台を得た。黒山は、昨年近畿大会以来、2度目の3位表彰台獲得だ。
10歳で国際A級に昇格した黒山家の三男の太陽(たお)は、11歳で初めての全日本IAクラス参戦、3点一つタイムオーバー2点でオール5点相当の100点ちょうど。41人中最下位の結果だった。3点でも2点でも抜ければガッツポーズと試合前に話していたが、ガッツポーズは次回にお預け。
IA表彰式。左から2位本多元治、優勝加賀国光、3位黒山陣、4位田中裕人、5位村田慎示、6位森岡慎哉
2023_R1_IA_resultsダウンロード
レディース
レディースクラスは大接戦。1ラップ目のトップは山森あゆ菜(モンテッサ)で15点、これに続いたのが、マシンをガスガスにスイッチした小玉絵里加で16点。チャンピオンの楠玲美(ホンダ)と中川瑠菜(ベータ)が21点でこれに続いた。
2ラップ目、IASのトライに巻き込まれて時間が押せ押せ。早周りをした楠、山森はタイムペナルティなしでゴール。楠が38点、山森はわずか1点差の39点。じっくりトライを続けている小玉と中川のスコアを見守ることになった。
最終セクションをクリーンした中川は32点。次に最終セクションをトライした小玉は5点で、トータル34点。しかし両者にはタイムペナルティがあり、中川6点、小玉4点の減点が加算された。
大接戦のレディース。クリーン差で優勝した小玉絵里加
結果、小玉、中川、楠の3人が38点で並ぶことに。勝負はクリーン差で決着がつくことになった。小玉のクリーンが7。中川が6、楠が5と、ここでも僅差だったが、2023年初の勝利は小玉に軍配。実力伯仲のレディースクラスの顔ぶれの中、ただひとり2勝したライダーとなった。
レディース表彰式。左から2位中川瑠菜、優勝小玉絵里加、3位楠玲美、4位山森あゆ菜、5位伊藤沙樹、6位米澤ジェシカ
2023_R1_LADIES_resultsダウンロード
国際B級
新しいシーズンを迎えて、今年は誰が強いのか。今回が2023年の試金石となる。
1ラップ目、ベストスコアは14点。関東選手権のチャンピオン最右翼の小原諄也(TRRS)と、同じく中部選手権のチャンピオン最右翼の村田隼(ヴェルティゴ)。2ラップ目もこの二人は好調だったが、より確実に減点を押えた村田が、全日本デビュー戦にして初優勝となった。…
2022年10月9日 和歌山県湯浅町湯浅トライアルパーク 観客数:800人 全8戦で開催される2022年全日本選手権も終盤戦。IASはこれが第7戦、他のクラスは6戦目の戦いとなる。
湯浅町の山あいにある湯浅トライアルパークでの全日本大会は、昨2021年にはコロナ禍で中止となっているので、今回は2年ぶりの開催となる。
今回も、天気予報は雨まじり。午後から雨という予報は正確で、正しく昼過ぎから雨が降り始め、国際A級や国際A級スーパーの後半は雨の中の戦いとなった。
国際A級スーパー
国際A級スーパーに昇格して5年目、ホンダのファクトリーマシンに乗って2年目の19歳、氏川政哉が全日本初優勝。去年から、いつ勝ってもおかしくない戦いっぷりを続けてきたが、ようやくの勝利となった。
氏川政哉、今回は文句なしの勝利
氏川は、1ラップ目2ラップ目ともにトップ、SSでも両セクションを1点で切り抜け、文句なしの勝利だったが、個々のセクションでは思い通りに走れない5点もあって、苦しみながら勝利を目指すことになった。
ランキング争いのトップを独走する小川友幸(ホンダ)は氏川を追うスコアで逆転優勝を狙っていた。SSを前にして氏川と5点差。こういうケースで、ここまで逆転勝利を飾ったことのある小川だったが、今回は失敗した。SS第1で1点、SS第2で5点となった。特にSS第2の5点は、黒山健一(ヤマハ)にも逆転され、小川の最終順位は3位となった。
3位になった小川友幸
それでも小川は、ランキング争いで黒山に15ポイントの大差をつけている。最終戦で5位に入れば、黒山の順位如何にかかわらず、小川のタイトルが決定する計算だ。
黒山健一は今大会2位、ランキングも2位にいる
今回の4位は、世界選手権にフル参戦して帰国した小川毅士(ベータ)、5位には第6戦で勝利してはずみをつけたかった野﨑史高(ヤマハ)、6位に柴田暁(TRRS)が入った。柴田はSSまでは7位だったが、SS第2をクリーンしたことで廣畑伸哉(ガスガス)を逆転した。廣畑は5位に5点差の6位でSSに臨んだが、ふたつのSSを失敗したことで7位に甘んじることになった。
今回は18名が出場、村田慎示(ホンダ)が、今シーズン初めてのSS進出を果たしている。
優勝した氏川政哉(中央)2位黒山健一(左)3位小川友幸(右)
2022_R7_IAS_resultダウンロード
国際A級
田中善弘(ホンダ)と永久保恭平(ベータ)によるチャンピオン争いは両者一歩も引かず。しかしこの近畿大会で田中が初めて連勝、ポイント差を15点に広げて、タイトル争いの覇権を握った。田中は1ラップ目も2ラップ目もトップを守って勝利。永久保は1ラップ目は田中を追う2位につけたが、2ラップ目に追い上げならずで4位に甘んじた。
連勝する田中善弘
2位は今シーズン3度目の出場になる本多元治(ホンダ)。今回は勝利ならずだったが、今回の2位でホンダはランキング3位に躍り出ている。
3位は、中学生ライダーの黒山陣が入った。国際A級2年目の黒山は、これが初めての表彰台獲得。ランキングは6位。IAS昇格の条件のランキング5位まで、あと3ポイントに迫った。
国際A級表彰式。優勝田中善弘(中央)2位本多元治(左)3位黒山陣(右)
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レディース
北海道大会以降、このクラスは毎回新しい勝利者が誕生している。今回のニュー・ウイナーは、高校生の中川瑠菜(ベータ)だった。今回は、1位から4位までが1点差という大接戦となった。
高校生ライダー、中川瑠菜が全日本レディースクラス初優勝。
ランキングトップの小玉絵里加(ホンダ)はペースを乱して優勝争いに加われず6位。小玉とチャンピオン争いをしている山中玲美(ホンダ)は、1ラップ目はぶっちぎりの好スコアをマークしたが2ラップ目に失敗が相次いだ。それでも3位入賞したことで、両者のポイント差はわずか1点。最終戦SUGOが文字通りの最終決戦となる。
レディース表彰式。優勝中川瑠菜(中央)2位ソアレス米澤ジェシカ(左)3位山中玲美(右)
2022_LTR_resultダウンロード
国際B級
宮崎航(ベータ)が今シーズン5勝目を獲得。ランキングでも2位に倍近いポイントを獲得したことで、2022年チャンピオンも決まった。宮崎にとっては、全日本の初タイトルとなった。
今季5勝目。最終戦を前に2022タイトルを確定した宮崎航。
しかし地元和歌山の大ベテラン和田弘行(ガスガス)が1ラップ目にトップをとり、宮崎を脅かす存在となった。和田は2ラップ目に3つの5点で減点を増やし、宮崎の連勝を阻むことができなかった。
3位以下には若手の藤堂慎也(モンテッサ)、小椋陽(モンテッサ)、清水寧郁(スコルパ)、吉本由輝(スコルパ)が並んだ。ランキング争いは2位から5位までが6ポイント差と接戦だ。
国際B級表彰式。優勝宮崎航(中央)2位和田弘行(左)3位藤堂慎也(右)
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オープントロフィーOV50
全日本選手権に併催で組まれている50歳以上のIA・元IAによるOV50は、国際B級と同じセクションを走る。
優勝は兵庫の喜岡修(モンテッサ)。1ラップ目は同点だったが、2ラップ目に喜岡が逃げ切って勝利。広島の三浦直喜(TRRS)が2位となった。
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