D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ第3戦 関東大会埼玉トヨペットCUP レースリポート

山本鯨、内田篤基、川井麻央がいずれも両ヒート制覇!! D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズは、5月1日(土)~2日(日)に予定していた第2戦中国大会が、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で延期となり、5月15日(土)~16日(日)に埼玉県のウエストポイント オフロードヴィレッジで開催された第3戦関東大会埼玉トヨペットCUPが、シーズン2戦目となった。 土日とも曇り空が基本で、各クラスの決勝が実施された日曜日は曇り時々雨。しかし午後には一時薄日が差すなど、目まぐるしく空模様が変化した。 今大会前にコースは大幅な仕様変更が施され、これまで以上に多彩なジャンプが配された、スーパークロステイストが強いレイアウトとなった。ただし、踏み切り側の角度が急な減速方向に作用するジャンプが多めで、スタート直後のジャンプとリズムセクションを除けば、なるべくリスクを避ける仕様とされた。路面をかなり掘り起こしてから念入りに散水したことで、乾くと固く締まるオフロードヴィレッジとは思えない柔らかな土質。強風だったが、ホコリもほとんど舞うことはなかった。 決勝日の最高気温は21度。観客数は2日間で4,000名となった。 【IA1】昨年度王者・山本鯨が今季初優勝&両ヒート制覇 決勝ヒート1では、ホンダサポートライダーの山本鯨(#1)がホールショット。1コーナーでは、ヤマハファクトリーチームの渡辺祐介(#3)ら3台がクラッシュして、渡辺は1周目20番手と大きく出遅れた。オープニングラップをトップでクリアしたのは山本。カワサキに乗る安原志(#19)や、これが地元大会となるヤマハユーザーの星野優位(#8)らが続いた。2~3周目、安原は山本のハイペースについていけず、しかし星野以下も安原を攻略できず、結果的に安原が蓋をするカタチとなり、この間に山本が約9秒もの大量リードを築いた。4周目に星野が安原をパスして2番手に浮上したが、なおも山本のほうがハイペース。6周目には、ヤマハファクトリーチームの富田俊樹(#2)が星野を抜いた。 富田は山本より1秒ほどペースが速く、少しずつ差を詰めたが、富田が2番手に浮上した段階で山本のリードは10秒以上。かなりの余裕がある山本は、10~11周目に少しペースを上げるなどしながら、完全にレースをコントロールした。そしてレースは20周で終了。山本が今季初優勝を挙げ、富田が2位となった。一方で3番手争いは、レース終盤に再び接戦となった。富田に抜かれて以降は単独走行となっていた星野に追いついたのは、ホンダサポートの小方誠(#4)。スタートで完全に出遅れ、1周目を11番手で通過した小方は、8周目に5番手まで順位を回復すると、その後はカワサキファクトリーチームの能塚智寛(#5)に肉迫していた。しかし逆転のチャンスをなかなか得られず、14周目にようやくパッシングに成功。そこから一気に前との距離を詰め、星野を攻め続けた。星野は必死に守り続けたが、最終ラップの残りあとわずかというところで転倒。これで小方が3位、星野が4位となった。5位には能塚、6位にはスタート直後の転倒から追い上げた渡辺が入った。 決勝ヒート2でも、再び山本がホールショット。小方と渡辺が続くとオープニングラップで順位を入れ替えた。2周目にはトップの山本が後続をわずかに引き離したが、すぐに渡辺と小方が対応し、3周目には山本、渡辺、小方がそれぞれ約1秒間隔に。そこから4秒ほど離れた混戦の4番手争いでは、富田が先頭に立った。4~6周目にかけ、トップ4台の差はほぼ膠着状態だったが、7周目に入ったあたりから渡辺が山本に近づき、僅差のトップ争いが勃発。これに加わりたい小方だったが、9周目にミスしてラップタイムを落とし、富田に次ぐ4番手に後退した。 これにより、山本と渡辺がトップ争い、3秒ほど遅れて富田と小方が3番手争いという構図に。しかし13周目あたりから、渡辺と富田の距離が縮まりはじめた。そして14周目、大きなジャンプの区間で転倒者が発生したことから黄旗振動となり、これで一度スローダウンしたことで4台の距離は完全になくなった。ここから4台による優勝争いがスタート。しかし17周目、富田はミスで集団から脱落した。トップの山本は、渡辺の猛攻を巧みにかわして走行。後ろに小方を従える渡辺も、大胆なトライができずにいた。そしてレースは、20周を逃げ切った山本が勝利。渡辺が2位、小方が3位、富田が4位となった。レース中盤から順位を守った能塚が5位、星野が6位でチェッカーを受けている。 【IA2】内田篤基がライバルを圧倒する速さで両ヒート優勝 決勝ヒート1では内田篤基(#4)がホールショット。鴨田翔(#17)がこれを追い、序盤は2秒ほど後方でマークを続けた。鴨田の背後は混戦で、西條悠人(#5)が3番手を守っていたが、3周目に大城魁之輔(#2)、4周目に中島漱也(#10)、5周目に大倉由揮(#6)と池田凌(#9)がこれを抜いた。そして、大城が鴨田との距離を詰めると、6周目に逆転した。この段階で、トップの内田は大城を約3秒先行。すると、7~8周目にかけて大城はそのギャップを1秒ほど削った。 しかし9~10周目には、再び内田がリードを1秒ほど拡大。その後も内田と大城はほぼ互角のラップタイムを刻み続け、ラスト4周となった17周目にはその差が4秒ほどだった。18周目、大城がこの周だけで1秒ほど差を縮めて最後の勝負を狙ったが、19周目には内田が冷静にペースアップ。20周のレースは内田が勝利を収め、大城が2位となった。3番手は、レース中盤から中島がキープしていたが、16周目に転倒して7秒ほどタイムロス。この間に大倉が先行し、大倉が3位、中島が4位となった。鴨田は粘り強く走って5位。1周目10番手と出遅れた岸桐我(#8)が、6位まで追い上げてゴールした。 決勝ヒート2は、鳥谷部晃太(#35)がホールショット。内田、大倉、中島、岸がこれに続くと、まずは内田が鳥谷部を抜いてトップに立った。ヒート1で2位となった大城はスタートで出遅れ、大混戦の中でストップしかけたところに後ろから追突されて転倒。1周目23番手とさらに遅れた。2周目、大倉と岸が鳥谷部をパス。中島はこれに続けず、その後ろには鈴村英喜(#15)らが数珠つなぎとなった。レース序盤、上位勢は縦に長い展開となり、5周目あたりにはすでに、各ライダーが3~5秒ほど離れた状態となった。 その中で、トップを守り続けたのは内田。2番手の大倉に対してそのラップタイムは1秒前後速く、徐々にアドバンテージを拡大していった。結局、レース中盤から内田は完全に独走状態。再び20周でチェッカーとなったレースを危なげなく走破して、自身初の両ヒート制覇と、開幕戦ヒート2からの3連勝を達成した。レース終盤、岸が大倉との距離を少し詰めたが、大倉が2位を守ってフィニッシュ。岸は3位で表彰台に登壇した。4位に入賞したのは小川孝平(#11)。1周目18番手と出遅れながら、粘り強く追い上げた。この小川にラスト3周で抜かれた鳥谷部が5位。大城は6位でレースを終えた。 【IBオープン】伊藤晃が安定感あるレースで総合優勝 土曜日の最終レースとして実施された決勝ヒート1で、ホールショットを奪ったのは伊藤晃(#48)。これに大西力靖(#38)や鈴木龍星(#47)らが続くと、鈴木が大西を抜いて2番手に浮上した。1周目は伊藤、鈴木、大西、笹島克久(#4)、有山大輝(#2)町田勘太(#53)のトップ6。2周目になると、伊藤と鈴木が後続を一気に引き離し、トップ2を形成した。後方では町田が5番手、村野昴弥(#50)が6番手に浮上したが、ミスで止まりかけた町田に村野が追突して、村野のみ転倒後退。笹島、大西、町田、有山が3~6番手集団となった。3周目の段階で、トップ2台は10秒以上もリード。そして、伊藤のペースが落ちて鈴木が逆転した。 トップに立った鈴木も4周目以降はペースダウンしたが、ラップタイムの落ち幅は伊藤のほうが大きく、これで鈴木は1周につきコンマ数秒から2秒ほどリードを広げ、徐々に独走態勢となった。一方、3番手争いでは4周目に町田が集団から一気に抜け出し、こちらも単独走行に。さらに、6周目には有山が笹島を抜いて4番手に浮上し、抜かれた笹島はその後に後退していった。レース後半、トップ4はそれぞれ単独走行を継続。レースは13周でチェッカーとなり、鈴木が全日本初優勝、伊藤が2位、町田が3位、有山が4位となった。5位には1周目12番手から追い上げた堀越秀鷹(#7)、6位にはラスト2周でひとつ順位を上げた平塚豪(#10)が入賞した。 日曜日に実施された決勝ヒート2は、オープニングのアクシデントで赤旗再スタートに。これがヒート1の勝者と2位の明暗を分けた。ヒート1で優勝した鈴木は、最初のスタートでは直後に5番手あたりを走っていたが、赤旗再スタート後は1周目25番手と出遅れ、その後に転倒してリタイヤ。一方、ヒート1で2位となった伊藤は19番手と出遅れていたところで赤旗再スタートとなり、今度は4番手あたりを確保すると、1周目に有山に次ぐ2番手まで浮上した。大混戦が少し落ち着いた3周目の段階で、トップは有山。僅差で伊藤と町田が追い、3秒ほど間隔を開けて山田康介(#28)と関根凌太(#12)と堀越がセカンドグループを形成した。 4周目、トップ争いが激化してそれまで以上の接近戦となり、町田が伊藤を抜いて2番手に浮上。4番手以下を引き離しながら、5周目もこのバトルは続いた。セカンドグループでは、この周に堀越が2台を次々に抜いて先頭に。しかも山田と関根を数秒離した。3番手の伊藤はラップタイムが安定せず、これで有山と町田がやや抜け出したが、7周目から町田のペースが突然落ち、町田と伊藤の2番手争いとなった。8周目、伊藤が町田をパス。抜かれた町田は引き離された。この段階で、有山は3~4秒のリードを奪っていたが、10周目に単独転倒。これでトップに浮上した伊藤は、そのまま逃げ切って今季2勝目を挙げた。町田が2位、堀越が3位で表彰台に登壇。山田が4位、一時は10番手まで後退した藤井一輝(#57)が5位、関根が6位に入賞した。 【レディース】クラス初の1大会2ヒート制は川井麻央の独壇場に 全日本選手権では初めて、1大会2ヒート制が導入されたレディースクラス。決勝はいずれも日曜日に実施され、そのヒート1は小野彩葉(#4)のホールショットで幕を開けた。これに本田七海(#2)が続き、さらに昨年度チャンピオンの川井麻央(#1)が3番手浮上。小野がシフトミスで一旦停止する間に本田と川井が先行し、川井が本田をパスしたことから、1周目は川井、本田、小野、木村綾希(#8)、楠本菜月(#5)、久保まな(#3)のトップ6となった。2周目、川井に迫ろうとした本田がミスで遅れ、小野が再逆転。7番手以下は大きく遅れた。 3周目、小野と本田は僅差の2番手争いを展開。4番手争いでは楠本が木村を抜いたが、3番手の本田とはすでに5秒ほど離れていた。この段階で、トップの川井は4秒近いリードを確保。後続との距離を測りながら、安定したペースで周回を重ねた。レース中盤、本田は小野から一度は2~3秒遅れたが、レース終盤にかけ再び接近。ラスト2周となる9周目を迎えるころには、再びテール・トゥ・ノーズとなった。一方、4番手の楠本は単独走行となり、5番手争いでは7周目に久保が木村を逆転した。そしてレースは、終始安定した走行を続けた川井が勝利。最終ラップの残りわずかというところで本田が逆転に成功し、本田が2位、小野が3位となった。楠本は大きく離されて4位。久保が5位、木村が6位となった。 決勝ヒート2は、本田がホールショット。これに小野が迫り、混戦の中で順位を上げた川井も近づいた。オープニングラップだけで、この3台が4番手以下を4~5秒も引き離す展開。2周目、本田と小野と川井による三つ巴のバトルは激しさを増し、この中で川井が小野を抜いた。大きく遅れた4番手争いでは久保が先行。3周目、小野はミスでタイムロスし、これでトップ2台から3秒ほど遅れると、その後はペースが上がらずさらに引き離されていったが、4番手を走る久保よりは速いラップタイムを維持した。…

2021D.I.D全日本モトクロス選手権第2戦中国大会延期に伴うチケットのお取り扱いについて

新型コロナウイルスの影響により開催が延期となりました「2021D.I.D全日本モトクロス選手権第2戦 中国大会」のチケットの取り扱い及び払戻し方法をご案内いたします。 チケットは延期後の大会でご使用いただけます お手持ちのチケットは延期後の大会に有効となりますので、そのまま保管していただけますようお願い申し上げます。 チケットをご購入いただきました皆様には大変ご迷惑をおかけすることとなりますが、何卒ご理解を頂けますよう、よろしくお願いいたします。 払い戻しをご希望の方 下記払い戻し方法をご確認の上、必ず払い戻し期限までにお手続きをお願いいたします。 また、お手元のチケットは払い戻しの際に必要になりますので、大切に保管をお願いいたします。 ※返金期間・返金方法は購入方法によって異なります。 ※期間を過ぎての払い戻しはできません。 チケットを委託で販売していただいている販売店またはコンビニエンスストアで購入された場合 ご購入の店舗にて払い戻しを行います。 ご購入いただいたお店へお問い合せください。 チケットぴあにてご購入いただいた場合 【払い戻し期間】 2021/04/30(金)10:00~2021/08/07(土) ※延期後の日程が決定後に払い戻し最終日が延長される場合がございます。 【払戻方法】 払い戻し方法詳細は下記URL、またはQRコードからご確認ください。 チケットぴあでの払い戻しはこちら 【お問い合わせ】 チケットぴあインフォメーションセンター 0570-02-9111 MotoSportsPromotionにて電子チケットご購入いただいた場合 【払戻方法】 下記URLまたはQRコードにて必要なインフォメーションを送信してください。 情報確認後、お振込にて返金いたします。 MSPでの払い戻しはこちら 【お問い合わせ】 株式会社モトスポーツプロモーション 神奈川県厚木市上荻野3683-20 電話:046-205-0874…

JMX Rd.2中国大会の開催延期につきまして

MFJは、本日4月24日に、5月1~2日、広島県・世羅グリーンパーク弘楽園にて開催予定の標記大会について、開催延期を決定いたしました。 詳しくはこちらをご覧ください 【開催延期】D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ第2戦中国大会の開催延期を決定いたしました。 本大会の延期に伴い、当社にてご購入いただいたチケットは 延期に伴う日程変更後の同中国大会にてご使用 ご購入いただいた代金のご返金 のいずれかをお選びいただけるご対応をさせていただきます。 また、ご返金の場合のご連絡手段、ご返金受付期間等につきましては、後日改めてお知らせいたします。 本大会の開催を楽しみにしてくださった皆様には大変申し訳ございません。 何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。

D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ第1戦 HSR九州大会 レースリポート

今季の全日本モトクロス選手権シリーズは全7戦の設定。その開幕戦が4月10日(土)~11日(日)に熊本県のHSR九州で開催された。天候は土日とも晴れで、路面はドライコンディション。土日とも風が強めで、日差しとのダブルパンチにより路面が乾き、散水作業が追いつかず大量の土ボコリが舞う中でのレースとなった。 世界選手権が開催できるレベルのコース幅を誇る全日本屈指の超ハイスピードコースは、昨年とほぼ同様のレイアウト。ただし、細部のセッティングは見直された。 決勝日の最高気温は23度。観客数は2日間で2,531名となった。 【IA1】能塚智寛が2ヒートで勝利。富田俊樹も1勝をマーク 全日本最高峰となるIA1は、今大会に決勝3ヒート制を導入。通常は30分+1周の2ヒート制だが、レース時間を15分+1周にしながら3回の決勝を実施した。その決勝ヒート1では、2年連続チャンピオンとして今季を迎えたホンダの山本鯨(#1)がホールショット。オープニングラップはその山本が制し、こちらも昨年同様の体制となるヤマハファクトリーチームの富田俊樹(#2)と渡辺祐介(#3)、今季からカワサキに移籍してファクトリーチーム入りした能塚智寛(#5)、ヤマハを駆る星野優位(#8)らが続いた。2周目、山本と富田は早くもし烈なトップ争いをスタート。その後方では、能塚が渡辺をパスして3番手に浮上した。山本と富田の争いは、4周目になってさらに激しくなり、両者がマシンを並べる大接戦。富田が先行したところで山本がコーナーでインを突いたが、ここで山本がエンストを喫してストップし、能塚の先行を許した。 この段階で、富田と能塚と山本はそれぞれ1~2秒差。山本は6周目には能塚を抜くと、この間に4秒近くまでリードを広げていたトップの富田を詰めていった。そしてラストラップとなった9周目に、再び富田と山本がデッドヒート。山本が富田をコーナーアウト側に押し出すようにしながら抜いた。するとそこから3個先のコーナーで、今度は富田が山本のインにアタック。これで両者が転倒してマシンが重なり、復帰に時間を要した。この間に、能塚と渡辺が先行。能塚がトップチェッカーを受けて全日本最高峰クラス初優勝を挙げ、渡辺が2位、山本が3位となった。星野が4位、富田が5位、6年ぶりにホンダのマシンに戻った小方誠(#4)が6位となった。 決勝ヒート2は、富田と渡辺がトップ2で1周目をクリア。ヤマハのマシンを駆る町田旺郷(#28)が3番手、星野が4番手、能塚が5番手で続いた。山本は1周目8番手と出遅れたが、2周目には5番手、3周目には町田をパスして4番手に浮上。これ以降、町田は順位を下げた。トップ争いでは富田が3~4秒程度のアドバンテージを確保し、能塚が町田を攻略するまでの間に渡辺は6秒程度先行。3台が距離を開ける一方で、山本は能塚の背後に迫った。ところが4周目、山本のゴーグル内部に土が入ってしまうトラブルが発生。これにより山本はゴーグルを外して走る選択をしたが、このヒートはとくに土ボコリの発生が酷く、山本は大きく視界を奪われることになった。 山本のペースが落ちたことで、富田と渡辺に加えて3番手の能塚も単独走行に近い状態に。一方、山本の背後には2周目10番手と出遅れていた小方が近づいた。これを受けて山本は7周目にペースを上げたが、目を開けづらい状況で走行ラインの確認ができず、その影響で転倒。これで7番手まで順位を下げた。そしてレースは9周でチェッカー。最初から最後まで危なげなくトップを快走した富田が優勝、渡辺が2位となった。3番目にチェッカーを受けたのは能塚だったが、こちらはレース後の音量測定で規定値をオーバーしていたことから失格に。これで順位が繰り上がって小方は4位、1周目10番手から追い上げたホンダに乗る横澤拓夢(#10)が4位、星野が5位、山本が6位となった。 決勝ヒート3では山本がホールショットを奪ったが、この段階から山本の排気音に異変。山本はエキゾーストパイプをのぞき込んで状態を確認しながらの走行となり、この間に小方、渡辺、能塚が先行した。富田はスタート直後に11番手あたりと出遅れたが、それでも1周目に7番手、2周目には5番手までポジションアップ。山本の背後につけた。トラブルを抱えた山本のペースが上がらないこともあり、上位3台が序盤から後続を引き離す展開。この中で、2周目に能塚が小方をパスしてトップに浮上した。3周目まで、このトップグループは比較的接近した状態だったが、4周目になると渡辺がここから遅れはじめた。一方、4番手の山本は後続の富田をけん制しつつ順位を守った。 レース後半、渡辺はトップ集団から完全に遅れ、優勝争いは能塚と小方のマッチレースに。7周目に一度は僅差となり、8周目にその差は1秒ほど開いたが、最終ラップとなった9周目に再びドッグファイトが開始された。そして、小方がコーナーでインを突いてクリーンに能塚をパス。しかし能塚も粘り、コースの終盤となるリズムセクションからタイトターン進入の区間で再逆転。そのまま逃げ切りレースを制した。小方は悔しい2位。渡辺が単独走行の3位でフィニッシュした。注目の4番手争いは、ラストラップに先行した富田に軍配。5位でゴールした山本のマシンは、エキゾーストパイプに穴が開いた状態だったが、こちらは規定の音量測定では数値をクリアしており、失格は免れた。6位にはスタートからほぼ順位を守り続けた星野が入った。 【IA2】大城魁之輔と内田篤基がスピードで圧倒的に勝る 決勝ヒート1では内田篤基(#4)がホールショット。すぐに大城魁之輔(#2)が内田を抜いて先頭に立ち、これを川上龍司(#7)と鈴村英喜(#15)と中島漱也(#10)らが追った。レース序盤、ラップタイムで勝る大城と内田は、3番手以下を引き離しながら僅差のトップ争いを展開。しかし4周目になると、それまで喰らいついていた内田が少し離れはじめた。この段階で、川上を先頭としたセカンドグループはすでに8秒ほど後方。川上と鈴村と中島が一度は縦に長くなったが、5周目あたりから3台が近づき三つ巴の争いとなった。この集団からさらに間隔を開けた縦長のサードグループでは、6周目に池田凌(#9)がその先頭となる6番手に浮上。翌周には、後続を置き去りにしながら6秒ほど前にいるセカンドグループを追った。 7~9周目にかけ、川上と鈴村と中島の3番手争いは激しさを増し、とくに鈴村と中島は接戦。9周目、バトルの際に鈴村と中島が接触して、鈴村は転倒により7番手まで順位を落とした。転倒を免れた中島は川上に迫り、10周目に逆転。表彰台圏内に順位を上げたが、その背後には川上や池田、さらに鳥谷部晃太(#35)が連なった。このころ、トップの大城と2番手を走る内田のギャップは5秒以上に拡大。それぞれ単独走行となった。レース終盤、3番手争いの集団では池田が川上に迫ったが、池田はラスト3周となった13周目にミスして9番手後退。14周目には鳥谷部が川上を抜いて4番手に浮上し、川上の背後には1周目13番手から追い上げてきた小川孝平(#11)が迫った。そしてラストラップでは、鳥谷部が3番手の中島、小川が5番手の川上を猛追。このうち小川が逆転に成功し、レースは大城が優勝、内田が2位、中島がIA初表彰台となる3位、鳥谷部が4位、小川が5位、川上が6位となった。 決勝ヒート2では、再び内田がホールショット。これに岸桐我(#8)と川上と大城と鈴村が続いた。内田は1周目だけで3秒以上のアドバンテージを確保。2周目に川上、3周目に岸をパスして大城が2番手にポジションを上げた段階で、すでに約8秒も先行していた。このギャップを埋めるべく、大城は4周目にペースアップするが、ラップタイムは内田とほぼ互角。しかも翌周以降、より速いライン取りを探り悪戦苦闘する大城はむしろラップタイムを1~2秒落としてしまい、これにより内田は周回ごとにリードを積み重ねていくことになった。大城から数秒遅れた3番手争いは、岸と川上のバトル。5周目、岸がエンストのミスにより5番手に後退し、川上が前後に5秒前後の間隔がある3番手となった。 4番手争いは池田を先頭に岸、鈴村、2階級特進で今季からIAに昇格した柳瀬大河(#34)による接近戦。レース中盤には、この中で池田が順位を下げ、岸は集団の先頭となる4番手に順位を回復したが、なおも背後には鈴村が迫った。レース終盤、トップの内田と2番手の大城はそれぞれ完全な単独走行状態。一方、岸は鈴村をやや引き離しながら、3番手を走る川上に接近していった。そしてラスト2周となった14周目に、岸が川上を逆転。レースは内田が優勝、大城が2位、岸が3位となり、岸はIA初表彰台登壇を果たした。4位は川上、5位は鈴村。勝負強さを見せた小川が、ラスト2周で池田、ラストラップに柳瀬を抜いて6位に入賞した。 【IBオープン】ヒート1は村野昴弥、ヒート2は伊藤晃が優勝 土曜日の最終レースとして実施された決勝ヒート1。ホールショットを奪ったのは、2019年のこのクラスランキング12位で、昨年のチャンピオン候補でありながら、ケガによりシーズンを棒に振った村野昴弥(#50)。これに町田勘太(#53)、鈴木龍星(#47)、伊藤晃(#48)らが続いた。レース序盤、村野と町田と鈴木がまずは逃げ、3周目にはこの3選手の間隔も開いたことで、上位勢は村野から7番手の齋藤銀汰(#3)までが、それぞれ2~3秒ずつ間隔を開けた縦に長い隊列となった。するとここから、2019年秋のHSR九州大会では両ヒート優勝も経験している村野が逃げはじめ、1周につき1~2秒のリードを築いていった。 5周目になると、3番手の鈴木が遅れはじめ、これで2番手の町田は単独走行に。鈴木の背後には伊藤と、1周目10番手から追い上げてきた那須愛斗(#59)が近づいた。そして6周目、那須が伊藤をパス。さらに翌周、那須は鈴木の攻略にも成功して3番手に浮上すると、その後は一気にリードを拡大していった。抜かれた鈴木は、伊藤の猛攻に耐えて4番手をキープ。するとその間に、1周目11番手から追い上げてきた大塚貴斗(#32)が2台に近づいて三つ巴の4番手争いとなった。一方、那須は3番手に浮上した段階で5秒ほどあった前との差を詰めていった。そして10周目に、大塚は伊藤と鈴木を次々にパス。伊藤も大塚に次いで鈴木を抜いた。レースは11周でチェッカーとなり、村野が独走優勝。町田が最後まで順位を守って2位、約1.6秒差で那須が3位、大塚が4位、伊藤が5位、鈴木が6位に入賞した。 日曜日に実施された決勝ヒート2は、ホールショットの桒垣竜斗(#68)らを抜いて、1周目に村野がトップに浮上。2周目に入るところで伊藤が2番手、藤井一輝(#57)が3番手に順位を上げた。村野はオープニングラップだけで5秒以上のアドバンテージを得たが、2~3周目にかけて伊藤が村野とのギャップを少しずつ削って接近。3番手の藤井はこれについていけず、しかし後方集団よりペースが速く、4周目の段階で4番手に浮上した町田を7秒ほど先行して伊藤からは約8秒遅れた、単独走行の3番手となった。この周から、村野と伊藤は接近戦を開始。しばらく村野が粘ったが、レースがちょうど後半に入った6周目に、伊藤がついに逆転した。 トップに立った伊藤は、一気に村野を引き離して独走。これにより伊藤、村野、藤井、4番手集団から抜け出していた町田まで上位4台が、それぞれ単独走行となった。5番手争いは、7周目になると5台が縦長に続いた状態で、1周目16番手から追い上げてきた山田康介(#28)が7周目にその先頭に。しかし背後から、1周目に転倒して27番手に沈んでいた大塚貴斗(#32)が近づき、ラスト2周となった9周目に逆転した。そしてレースは、伊藤がそのまま独走で勝利。村野が2位、藤井が3位、町田が4位、大塚が5位、山田が6位となった。 【レディース】川井麻央が全日本連勝記録を「5」に伸ばした ホールショットを奪ったのは小野彩葉(#4)。これに本田七海(#2)が続くと、昨年度チャンピオンの川井麻央(#1)が混戦の中でポジションを上げ、3番手で本田を追った。さらに、久保まな(#3)が4番手に浮上してきた。1周目後半、本田と川井が2番手争いを繰り広げ、コーナー進入でラインが交錯して接触。本田が転倒して6番手と遅れた。これにより上位勢は小野、川井、久保、井川実乃里(#6)と松木紗子(#10)、本田、楠本菜月(#5)というオーダー。しかし松木は2周目に後退した。レース前半、小野と川井はランデブーを続けながら3番手以下を引き離して、久保が後続に蓋をする間にリードを拡大。4周目には、その差が約10秒にまで広がった。そしてこの周、コーナーで小野がややミスを喫したのを見逃すことなく、川井がトップに立った。 同じころ、セカンドグループでは久保、本田、井川がし烈な3番手争い。当初は少し遅れていた楠本もこれに近づくと、レースがちょうど後半に入った5周目には、本田が久保を抜いて3番手、楠本が井川を抜いて5番手に浮上した。レース終盤、周回遅れの処理でも技術を見せながら、トップの川井は少しずつリードを拡大。そのまま逃げ切って、昨年の開幕戦から全日本5連勝を達成した。小野は2位でフィニッシュして、全日本自己ベストリザルトを更新。本田が3位で表彰台に登壇した。6周目以降に接近戦が続いた4番手争いは最終ラップに楠本が制し、4位に楠本、5位に久保、6位に井川の順となった。 【チャイルドクロス】安藤龍太郎が独走で勝利 キッズライダーが参加するチャイルドクロスは、ベストラップタイムが1分強ほどにショートカットされた専用コースで、8分+1周により競われた。レースには9台がエントリー。安藤龍太郎(#24)がホールショットを奪い、これに羽田啓人(#75)や中村夏乃(#72)、壬生かりん(#19)らが続いた。1周目は、安藤が約3秒のリードを奪いながらトップをキープ。ラップタイムでライバルたちを圧倒する安藤は、2周目以降もリードを拡大していった。 2周目、羽田を追っていた中村が転倒を喫して6番手に後退。これで壬生が3番手に浮上したが、その背後には僅差で高原琉生(#61)と齋藤颯天(#88)と中村が続いた。ラップタイムで上回る中村は、しばらく前走車を抜きあぐねていたが、4~5周目にかけて3台を次々にパス。これで順位を3番手に回復した。レースは9周で終了となり、最初から最後まで危なげなくトップを守った安藤が優勝。羽田が2位、最後はこの羽田まで約2.4秒差に迫った中村が3位となった。

月刊ダートスポーツ『がんばれ!! 全日本モトクロス応援プロジェクト』特別賞を全戦で進呈!!

2020年同様、今季もオフロードバイク専門誌「月刊ダートスポーツ」による『がんばれ!! 全日本モトクロス応援プロジェクト』が発信。全日本モトクロスライダーを応援するために各企業に協賛を募り、全会場で見応えたっぷりのフリーペーパーを配布すると共に、特別賞を進呈します。 特別賞はオープニングラップでトップ通過したライダーに贈る「オープニングラップ賞」、ホールショットラインを最初に通過したライダーに贈る「ホールショット賞」、そしてダートスポーツスタッフが選ぶ「ナイスファイト賞」などを予定しています。 対象となるクラスは、IA1、IA2、IB-OPEN、レディースに加え、ジュニアクロス、KIDS65も用意。ライダーの皆様のご活躍を応援します!

2021年のレースシーズン開幕!

東京でソメイヨシノの開花が確認され、北陸や北日本を除き、その他の地域では概ね晴れまさに絶好のレース日和となった3月14日。関東地方と中部地方では関東モトクロス選手権と中部モトクロス選手権がそれぞれ開催された。 関東モトクロス選手権シリーズ第1戦の舞台となったのは埼玉県川越市のオフロードヴィレッジだ。緊急事態宣言が延長された中でも〝例年通り〟仲間と共にレースができる喜びから、会場を歩く選手をはじめレース関係者たちの表情も明るい。 コースは前日の雨の影響で午前中はマディではあったが、気温の上昇とともに乾いていき第2ヒートの頃にはベスコンまではいかないまでもソフトにまで回復。コースにはエンジンの快音が終始響き渡っていた。 中部モトクロス選手権第1戦は三重県いなべ市のいなべモータースポーツランドで開催され、こちらは快晴でコース状態はベスコン。総エントリー数は160台に上り大盛況であった。 なお、中国モトクロス選手権は一足早く2月28日に山口県岩国市の周東モータースポーツランドで行なわれ、昨年の開幕戦に近いエントリー台数となり例年同様の賑わいを見せいていた。 今後の各地方選手権は、3月21日・九州モトクロス選手権第1戦(HSR九州オフロードコース)、4月4日・東北モトクロス選手権第1戦(スポーツランドSUGO)、4月18日・四国モトクロス選手権第1戦(MXパーク土佐)、5月9日・近畿モトクロス選手権第1戦(ミキアネックスパーク)、5月23日・全道モトクロス選手権第1戦(新千歳モーターランド オフロードコース)が予定されている。

速い選手がすぐに分かる!! ゼッケン番号がランキング順に統一されました

2020年までは、昨年のランキングをもとに1番からゼッケン番号が割り振られ、そのうえで希望ゼッケン制度を使用する選手が多数おり、例年、各選手お決まりのゼッケン番号でシリーズを戦っていました。しかし、中には割り振られた番号をそのまま使う選手もいます。 従来からのモトクロスファンなら、上位を走っている選手をゼッケン番号で見分けることができますが、モトクロスレース観戦のビギナーにとっては、その番号を一瞬で判別するのはなかなか難しいものがありました。 そこで、2021年から全日本格式のIA1/2、IBOPEN、レディースクラスでは、希望ゼッケン制度が廃止され、全選手に昨年のランキングをもとにゼッケン番号が割り振られることになりました。さらにゼッケン1〜10の選手は、赤ベースに白文字の「リーダーズゼッケン」が採用となり、どの選手が昨年速かったのか、より分かりやすくなります。 ※IBOPENクラスでは、上位10名がIAクラスへ昇格することから、リーダーズゼッケン制度は実施されていません。