2024年11月3日 大阪府大阪市中央公会堂・中之島通り 動員数:7,000人
2024年全日本選手権は、今年もシティ・トライアル・ジャパン大会が最終戦となった。第7戦SUGO大会が終わった時点でランキング10位までに入った選手に参加の資格がある。ランキング11位以降の選手は、第7戦時点でランキングが決定する。トップ10、そしてチャンピオン争いは、この大会が最後の勝負となる。
昨年は突然の雨で、セクション部材とした無垢の丸太がツルツルに滑り、その対処に難儀をした。今年も土曜日は台風の余波で大雨になり、昨年の二の舞いが心配されたが、しかし当日は朝から晴れ渡って、多少のグリップの悪さは残ったものの、コンディションはなかなか良好となった。今大会は、有料の観客席が設けられ、熱心なファンにはありがたい観戦環境となった。無料の立ち見席は健在だ。
セミ・ファイナル
試合のプロローグはセミ・ファイナルから。設営された4セクションを往復して全8セクションをトライしてファイナルへの進出権を争う。このスタート順は、第7戦終了時点のランキングによっている。
第7戦でシティ・トライアル・ジャパン大会への出場権を得た黒山陣、久岡孝二、そして藤波貴久の3人が最初にトライする。黒山は過去2回、少年ライダーのデモンストレーションとしてこの大会に彩りを添えていたが、今回はきっちり選手として登場となった。ファイナル進出はならなかったが、果敢なトライに観客から大きな声援が飛んでいた。
15才の中学生、黒山陣の果敢なトライ
藤波はさすがのトライ。しかしその実、足のつけない戦況になることを予想して、緊張に包まれつつのトライだった。
ホンダの電動トライアルマシン、RTL ELECTRICで3連勝した藤波貴久
セミファイナルは往路の4セクション、復路の4セクションで争われたが、前半のトップは藤波の1点、これを2点で小川友幸、氏川政哉、小川毅士が追う展開。しかし復路の4セクションで小川友幸と氏川が5点を喫し、小川毅士はふたつの5点で順位を落とした。代わって黒山健一が4セクションをオールクリーンして順位を上げてきた。
セミ・ファイナルの8セクションを終えて、トップ6が決まった。ファイナル進出がならなかったのは久岡孝二、黒山陣、そして華麗なライディングを披露しながら、4つの5点でスコアをまとめられなかった柴田暁。柴田はこのセミ・ファイナル敗退でランキングも6位と逆転を許した。なお、本来この大会に出場しているはずの野﨑史高は、ひざの負傷で療養中につき欠場。会場ではライディング解説役として活躍した。
レディースレース
お昼休みには、山森あゆ菜、中川瑠菜、米澤ジェシカ、小玉絵里加の4人による、レディースライダーのデモンストレーション・レースが行われた。本来なら、土曜日に行われるはずだったが、悪天候の影響でこの日におこなうことになったもの。第1セクションの一部を使ってのトライは、いつもとは異なる難度の高さだったが、4人の女性陣は果敢にこれに挑戦し、熱心な観衆をわかせていた。
レディースレースに出場した4選手。左から小玉絵里加、米澤ジェシカ、中川瑠菜、山森あゆ菜
2023-2024レディースチャンピオン、山森あゆ菜のライディング
ファイナル
ファイナルは第1と第2、その逆走の第7、第8の4セクションで競われた。セクションはセミ・ファイナルから変更がなし。すでにクリーンの出ているセクションだが、足が出せない勝負にもなった。そしてまた、少しのミスで5点にもなれる設定ゆえ、まったく油断ができないファイナルの戦いとなった。
藤波が2点、小川友幸と氏川政哉が同点の7点、セミ・ファイナル後半をオールクリーンした黒山健一が8点でこれに続く。藤波に続いて、チャンピオン争いの3人がきれいに2位から4位までに並んでのファイナル開始だ。ファイナルはセミ・ファイナルの順位にしたがってトライ順が決められている。
必勝を目指す藤波、V14目前の小川友幸、そしてタイトル奪還を目指す黒山健一の集中力は見事だった。両者とも、是が非でも足をつかない気迫のトライが続く。たいして武田呼人、小川毅士、氏川にはミスが出た。武田は第1、第2を連続5点、氏川は第7で足が出て、第8ではタイムオーバーで5点となり、かろうじて可能性の残っていたタイトル争いに自ら終止符を打ってしまった。小川毅士に5点はなかったが、1点、3点と減点を重ねた。小川毅士は第8で唯一高い丸太から高い丸太に一気に飛んで会場をわかせたが、順位は5位となった。しかし小川は、これでランキング4位を獲得している。
氏川政哉は4位。シリーズランキング3位
果敢なトライを見せ続けた小川毅士は5位。シリーズランキング4位
勝負の焦点は、藤波とホンダの電動RTLの全日本3連覇なるか、小川友幸と黒山健一、タイトルを得るのか。先行してトライを終えた黒山は、ファイナルの4セクションをオールクリーンした。点差は1点。セミ・ファイナル終了時点でクリーン数も同一なので、小川が1回でも足をつけば、2位黒山、3位小川となる。ランキングポイントは小川が黒山に3点リード。黒山が2位、小川が3位となれば、2024年全日本チャンピオンが黒山に渡ることを意味していた。
1回も足をつけない尋常ではない緊張感の中、小川がトライする。確実、正確が身上の小川だが、さすがに乱れが出た。しかしその乱れを、足をつくことなく修正して、ファイナル4セクションをオールクリーン。小川友幸、12連覇、14回目の全日本タイトルを獲得だ。
小川友幸がIASチャンピオンを獲得
最後にトライした藤波は、小川のタイトル獲得に喧騒に動じることなく、自らのトライに集中。藤波のトライも完璧ではなかったが、ライディングの乱れを足をつくことなく修正して、ついに出場3戦の全日本を全勝としてその仕事を終えた。
ホンダの電動マシンのデビューを最高のかたちで飾った藤波、1点を争うチャンピオン争いを制した小川友幸。大ベテランの集中力が、最後の最後まで客席を引きつけた最終戦となった。
左から2位小川友幸、優勝藤波貴久、3位黒山建一、4位氏川政哉、5位小川毅士、6位武田呼人
小川友幸のV14を祝うチームメイトたち
優勝を喜ぶ藤波貴久
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2024年10月27日 宮城県柴田郡村田町スポーツランドSUGO 動員数:1,500人
2024年全日本選手権第7戦SUGO大会。トップカテゴリーのIASはこのあとシティ・トライアル・ジャパン大会が控えているが、その他のクラスはこれが最終戦となる。例年、最終戦のこの時期は寒さに震えることが多いのだが、今年は絶好のトライアル日和。体を使ってライディングするライダーには、ちょっと暑いくらいの陽気になった。
前回、和歌山・湯浅大会に続いて、今回も元世界チャンピオンの藤波貴久(Honda)が参戦。インターバルの2週間で、さらに乗り込みとセッティングを進めてきたということで、終盤戦のスポット参戦とはいえ、必勝の体制だ。ちなみに藤波が最後に全日本選手権に参戦したのは2003年最終戦のSUGO大会。21年ぶりに、藤波が世界チャンピオンとなってSUGOに戻ってきた、ということになる。
セクションは例年とほとんど変わらず。各クラスともトップライダーにとっては減点を最小限に抑えなければいけない神経戦の様相で、前回大会とはずいぶん性格が違う戦いを強いられたと、藤波も語った。IB・LTRは第5と第8を除く8セクション2ラップ、IAは10セクション2ラップ、そしてIASがこれにふたつのSSを加えての戦いとなった。
参加はIASが17名、IAが36名、LTRが9名、IBが63名、そして来日していて出場を希望したイタリアのレディースGPクラスのライダー、アレシア・ババケッタが賞典外でレディースクラスのセクションにトライする。スタートはIBとそれに続くバチェッタまでが1分に2台、それ以降は1台ずつ1分間でスタートとなった。
国際A級スーパー
神経戦の戦いと想定してのスタートだったが、開始早々の第3セクションで藤波が1点を失った。小さな石にタイヤをとられてのホッピングの失敗。これに藤波は大きな危機感を覚えていた。しかしスタート以降全セクションをクリーンしていた小川友幸(Honda)、氏川政哉(ヤマハ)が第6セクションで5点になって形勢は逆転、以後、最小限の減点でセクションを走破していく藤波には、誰もついていくことができなかった。藤波の2連勝で、ランキングポイントも50ポイントとなり、ここまでのランキングを8位として、次戦、ランキング10位までが出場権を持つシティ・トライアル・ジャパン大会にも出場が決まった。
電動トライアルバイクRTL ELECTRICで二連勝した藤波貴久
一方、全日本チャンピオンを争う日本勢は、なかなかの接戦を演じた。1ラップ目、5点なしの黒山健一(ヤマハ)がトータル7点、これに小川友幸と氏川が10点で続く。小川毅士(ベータ)が12点と僅差で追うが、タイトルを争う3人は手堅い。ランキングでは黒山がトップで、これを小川友幸と氏川が4点差で追っている。今大会の勝負もランキングも、どちらも大接戦だ。この大会、黒山は新型マシンを持ち込んだ。これまでのTY-E2.2から一気に進化したTY-E3.0。詳細は明らかにされないが、モーターなどの作動音が格段に静かになったのが大きな変化。もちろん性能的にもそれ以上の変革が施されているにちがいない。
電動ヤマハTY-E3.0を走らせる黒山健一
2ラップ目、3人は揃って、難関の第6セクションまではクリーンした。藤波を上回るスコアをたたき出すのはむずかしいものの、2番手を誰が奪うかでタイトル争いの流れが変わってくる。大きな勝負の分かれ目は、第9、第10だった。このふたつを、黒山、氏川ともに5点。小川友幸は両方を1点ずつで抜けた。
2ラップを終えて、小川友幸は15点、黒山が20点、氏川が25点。きっちり5点差ずつ。しかし黒山と氏川の間には、23点の小川毅士が割って入っていた。小川毅士は、第9をクリーン、第10を3点で抜けて、表彰台争いに加わってきた。
ベータの小川毅士が3位獲得
SSは、建築素材のコンクリートブロックを絶妙に並べたもの。同じセクションを往復することで、SS1とSS2としてトライする。高さがあるだけでなく、セクションがコンクリートブロックの幅しかないから、ちょっとラインを乱すとセクションから飛び出してしまうリスクもある。
SSに進出する10位までには、ここまでに登場した5人の他、久岡孝二(Honda)、武田呼人(ガスガス)、黒山陣(シェルコ)、武井誠也(Honda)、そして柴田暁(TRRS)。柴田は1ラップ目後半にマシントラブルに見舞われ、そのまま修復はならず、なんとかコースを一回りして申告5点のパンチをもらってゴール。2ラップ目はオール5点だが、それでも10位に入っていた。しかしSSはトライできず。柴田のSSのスコアは5点ふたつ、ということになる。
電動ヤマハTY-E2.2の氏川政哉は5位になりランキング3番手
SS1を最初に抜けたのは武田だった。武田と久岡は6位争いの渦中にいたが、負けじと久岡もSS1を3点で抜け、両者の点差は変わらず。その後、氏川が5点、小川毅士が初めて1点で抜けたあと、黒山も5点。これで黒山は小川毅士に逆転を許して4位となった。黒山のあと、小川友幸は確実に2点で走破、2位が決まった。
最後の藤波は、すでに勝利は決まっている。SSをふたつとも5点でも優勝できるのだが、藤波には課題があった。前回、SSをふたつとも5点となったのが、大きな心残りであり、悔しかった。この日は念入りに下見をし、慎重の上にも慎重に、そして渾身の集中を注いでSS1をトライした。クリーンだ。
小川友幸は今大会2位へ、ランキングトップに立った
残りSS2一つとなり、順位がおおかた確定してきたものの、小川毅士と黒山の3位争いはまだ決着がついていない。その差1点で小川毅士が上位につける。まず小川毅士がトライ。クリーンすれば毅士の3位が決まる。しかしむずかしいポイントで、毅士は確実に足をついてマシンを送り出した。1点。さぁ黒山のトライだ。氏川はSS2も5点だったので、黒山の4位以上は決まっている。失うものはない。クリーンが出れば、毅士と同点、クリーン数差で黒山が3位となる。しかし黒山もまた、小川同様に足が出た。安全にマシンを運ぶにはいたしかたなかったが、それは黒山から表彰台を奪う結果となった。
残る二人、現役全日本チャンピオンと、元世界チャンピオン。二人は共に、1回の足つきもなく、この難セクションを走破した。藤波にすれば、前回大会の借りを返しての完全制覇。そして小川にすれば、中盤以降苦しんだタイトル争いで、僅差ではあるがランキングトップを取り戻した渾身のトライとなった。
泣いても笑っても残りは次週のシティ・トライアル・ジャパン1戦。最終戦は、ここまでの自然地形を相手にしたトライアルとは異なり、人工物を相手となる。そこにはまた、未知数の波乱も待ち受けている。
IAS表彰式、左から2位小川友幸、優勝藤波貴久、3位小川毅士、4位黒山健一、5位氏川政哉、6位久岡孝二
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国際A級
前回和歌山・湯浅大会で、成田匠(EM)のシリーズタイトルは決まっている。ホンダとヤマハの電動マシンの対決で話題沸騰の全日本トライアルだが、このクラスではフランス製EMがひと足早く栄冠をものにしている。
しかし成田は、1ラップ目に3つの5点で苦戦を強いられた。1ラップ目、トップに立ったのが、砂田真彦(Honda)だった。砂田を2点差で追うのが、今シーズンの若手のホープ、宮澤陽斗(ベータ)。表彰台の常連となって、あとはいつ初優勝を遂げるかがテーマだった。
10年ぶりの優勝。砂田真彦
神経戦の中、二人の争いは接戦。2ラップ目、今度は宮澤が砂田の減点を上回った。しかしわずか1点差。トータルでは、1点差で砂田の勝ちとなった。砂田は元IASライダーだが、それ以前にIAクラスを走っていた際に1勝して以来、今回は10年ぶりの2勝目となる。
宮澤に次ぐ3位は長くIAの中堅を続けている中里侑(TRRS)が、初の3位表彰台を獲得した。成田は4位となった。
国際A級表彰式、左より2位宮澤陽斗、優勝砂田真彦、3位中里侑、4位成田匠、5位高橋寛冴、6位小野貴史
国際A級の成田匠。電動トライアルバイクで初の全日本チャンピオン獲得。
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レディース
1ポイント差で最終戦を迎えたチャンピオン争い。中川瑠菜(ベータ)と山森あゆ菜(モンテッサ)のタイトル争いは激戦だった。序盤、試合をリードしたのは中川だった。1ラップ目、中川のリードは5点。山森は2ラップ目の巻き返しにかけた。
しかし2ラップ目、中川に異変。マシントラブルで動けない。ピットまで押して戻り、再びコースに出たときには、すでに持ち時間はぎりぎりだった。残る4セクションをすべて申告5点として、さらに6点のタイムオーバーを喫してゴール。勝利は山森のものとなったが、それでも中川は2点差で2位を確保した。
レディースクラス2連覇、山森あゆ菜
同い年で地域も近く、ずっといっしょに切磋琢磨してきた二人。タイトル争いも一進一退で最終戦まで争ってきた。それが意外な結末で決着を見た。山森は、タイトル獲得の喜びを聞かれ、ライバルの脱落によるくやしい勝利だった今回を踏まえ、ちゃんと勝って、すっきりした3連覇を目指すと誓った。
3位は 齋藤由美(ベータ)だったが、ランキング3位は米澤ジェシカ(TRRS)が獲得した。
賞典外で走ったアレシア・バケッタはやはり別格の強さを見せた。レディースのマーカーを通りながら、他クラスのマーカーにもトライして、山森の1/3のスコアで全セクションを走破した。女子T2クラスのチャンピオンにして、女子GPのデビューイヤーを堅実に走って来年以降の飛躍が期待されるイタリアの新星は、やはり実力者だった。
賞典外だったが、女子GPクラスの実力を見せたイタリアのアレシア・バケッタ
レディース表彰式、左から2位中川瑠菜、優勝山森あゆ菜、3位齋藤由美、4位米澤ジェシカ、5位小玉絵里加、6位中澤瑛真
レディースチャンピオン獲得、山森あゆ菜
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国際B級
永久保圭(ベータ)が2連勝したことで、高橋淳(TRRS)に5ポイント差まで迫った最終戦。永久保が優勝すれば、高橋が2位でもタイトルは永久保となる。しかし戦況は高橋に有利だ。
国際B級は高橋淳の勝利
ここ2戦、テープを切ったりの5点で勝利を逃していた高橋だが、今回は改心のトライ。2ラップ目2点、2ラップ目3点はほぼベストといっていいだろう。永久保は地元の長谷川一樹(モンテッサ)に1点差で敗れて3位。しかし堂々、ランキング2位で国際A級への昇格切符を手中にした。
国際A級への昇格を決めたのは、高橋、永久保、台湾のChen(Honda)、袋井就介(EM)、そして田上拓(モンテッサ)の5名だった。
高橋淳はシリーズチャンピオンを獲得
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2024年10月13日 和歌山県有田郡湯浅町・湯浅トライアルパーク 動員数:1,274人 2024年全日本選手権は、第5戦広島・三次灰塚大会が台風の直撃の恐れで中止となり、今回は2ヶ月ぶりの大会開催となった。和歌山県、湯浅トライアルパークでの第6戦は、天気もよく日中は久々の暑さに体力を消耗する選手も少なくなかった。 今回の大きな注目は、藤波貴久。ホンダの新しい電動マシンRTL ELECTRICを初めて実戦に投入してきた藤波だが、2021年に世界選手権で引退を宣言した藤波は、今回はテストライダーとしての参戦となる。とはいえ、全日本に参戦するのは2003年のSUGO大会以来。コロナ禍により日本では公式大会で引退試合などのセレモニーができなかったから、今回の参戦は日本のトライアルファン、フジガスファンへの素晴らしいプレゼントにもなった。
セクションはすべてが登り斜面含みだが、第1から第3までが岩盤も含む土メインで、第4から第7が岩ごろごろの沢、IB・LTRのみの第8を経て、第9、第10が再びふかふかの土、最終第11が大岩をメインとしたアクロバチックなものになっていた。
参加はIASが16名、IAが35名、LTRが9名、IBが71名、併催のオープントロフィー・オーバー50が1名、全部で132名の大盛況。スタートは第1スタートからIAまでが1分に2台ずつ、その後IASは1分1台、持ち時間はIASが30分短い設定となっていた。IAの時間設定が厳しかったが、その他のクラスはぎりぎりながら、持ち時間内になんとか走りきれていたようだ。
SSは、第10、第11を手直しして設定された。なお北海道・和寒大会で靭帯を負傷した野﨑史高(ヤマハ)は手術を受けて欠場。来シーズンの復帰に向けてリハビリ中だ。
国際A級スーパー
元世界チャンピオンの藤波だが、全日本での実績がないこともあって、スタートはIASの誰よりも早い。ざくざくの登り斜面が多いこの会場では、早いスタートはかなりの難易度アップを伴う。ライバルに追いつかれないよう、さっさと走ると宣言していた藤波だが、いざとなれば念入りな下見を繰り返し、藤波のトライをIAS全員が見守るシーンがたびたびあった。
RTL ELECTRICをデビューウィンさせた藤波貴久
藤波が初めて5点となったのは第7セクションだったが、第6セクションまでの点数を見ると、藤波は7点、この時点で2位につける小川毅士(ベータ)が14点、小川友幸(ホンダ)15点、黒山健一(ヤマハ)19点と続き、ランキングトップの氏川政哉(ヤマハ)は21点で苦戦している。
しかし第7で5点を取った藤波は、ここから3連続で5点。最終第11セクションはぎりぎりのタイミングで2点をもぎとったが、小川友幸がよく追い上げていて、この1ラップ目、藤波のリードは2点まで縮まった。3位は黒山で藤波とは8点差。柴田暁(TRRS)、小川毅士、氏川らは、藤波から遅れること10点以上となってた。
1ラップ目は2位に僅差に迫られた藤波だが、2ラップ目はさすがの修正ぶりを見せた。3つの5点を献上した1ラップ目から、2ラップ目はたったの一つ。1ラップ目に5点になった3ヶ所は3点、2点、クリーンと、この3セクションだけで10点も減点を減らしてきた。 久しぶりの全日本ということもあって、全日本には全日本なりのむずかしさがある、そこが藤波の不安でもあり、ライバルにとっては一矢を報いるチャンスでもあったのだが、さすがフジガス、そのスキはほぼ見せることなく10セクション2ラップを走りきった。
電動TY-Eに乗る黒山健一、IASランキングトップに立った
2ラップを終えて2位は黒山。黒山も1ラップ目より減点を10点減らしてきたが、この時点で藤波には15点離されていて、優勝争いは決着してしまっていた。しかし残るSSでどんな華麗なライディングをするか、彼らには最後の戦いが残った。
体調に不安があった小川友幸は黒山に7点差。計算上は逆転のチャンスもあるが、コンディションを考えれば3位も上々の結果とのこと。
体調に問題があった小川友幸だが、3位を守った
SSで逆転の可能性があったのは同点の柴田と氏川、1点差の小川毅士と黒山陣(シェルコ)だった。今年は世界選手権、トライアル・デ・ナシオン日本代表と貴重な経験をしてきた黒山が、いよいよトップ6入り目前までポジションを上げてきた。
SSは、第1も第2も難度は高かった。SS第1は最後の崖登りが最大の難関。そこまでも、ブロックやダニエルで運ぶ岩飛びで失敗する選手は多かった。
SS第1を抜けたのは二人だけ。小川毅士の1点に続いて黒山健一がクリーン。藤波も、最後の崖登りで失敗を喫した。
SS第2は巨大大岩をモチーフとしたセクションだが、走行ラインが限定されていて、何度は極めて高い。4番目にトライした黒山陣が、最初にここをアウト。これは大喝采だった。
急成長する中学生、黒山陣は7位
ところがその後、トップ陣が次々に5点。最後のポイントまでたどりついたライダーは、黒山陣ただ一人だった。
SSでは黒山健一がトップスコアとなったが、それでも藤波の圧勝には変わりはなかった。大きなプレッシャーと戦いながら、まったくのニューマシンを勝利に導いた藤波だったが、最後にSSを走破できなかったことで、自信を情けないと責めながらのゴールとなった。
藤波はこのあと、第7戦SUGO大会にも出場。この結果次第で、ランキング10位までに出場権のあるシティ・トライアル・ジャパンにも出場の可能性が大だ。
今回、ランキングトップの氏川が5位に沈んだことでタイトル争いにも異変が。黒山健一が4ポイント差でトップに立ち、これを小川友幸と氏川が同点で追うことになった。
5位になった氏川政哉は黒山健一と4ポイント差、小川友幸と同ポイントで並んだ
IAS表彰式。左より2位黒山健一、優勝した藤波貴久、3位小川友幸、4位柴田暁、5位氏川政哉、6位小川毅士
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国際A級
広島・三次灰塚大会が中止となったことで全6戦で争われることになったIA以下の全日本選手権。第2戦から3連勝をしている成田匠(EM)は、ここで電動トライアルマシンでタイトルを決める可能性も大。
しかしそこに現れたのが伏兵というか、このクラスの常勝ライダー、本多元治(ホンダ)だった。今シーズン3戦目の出場となる本多は、ここまで2位2回。あと一歩、勝ちきれていない。それだけに今回は必勝を期してトレーニングを重ねてきたという。
国際A級の優勝は本多元治
このクラスは、全体にタイムコントロールがむずかしかった。本多も、1ラップ目の最終セクションを申告5点で抜けてタイムオーバーを免れたが、ここをトライした2ラップ目は2点のタイムオーバー減点を喫している。成田は1ラップ目も2ラップ目も、2点ずつのタイムオーバーがあった。
勝利は、勝利に向かってきっちり試合を進めた本多だった。5点は申告した最終セクションの1回だけ。2位に7点差は、まず大きな勝利だった。
最終戦を前に、電動のEMでIAチャンピオンを決定した成田匠
2位は小野貴史(ホンダ)。最終セクションでの5点以外、5点なしで、小野も堅実なトライを重ねた。成田は3位。しかしタイトル争いのライバル平田貴裕(スコルパ)が6位となり、今回チャンピオンシップポイントをさらに6ポイント離すことに成功、成田のポイントリードが32点となり、最終戦を待たずして、IAクラス(IASができて以降)2回目のチャンピオンを獲得した。
若手最上位は宮澤陽斗(ベータ)の5位。高橋寛冴(シェルコ)の9位、黒山太陽(シェルコ)の11位、小椋陽(TRRS)の13位と続いた。
国際A級表彰式。左から2位小野貴史、優勝本多元治、3位成田匠、4位砂田真彦、5位宮澤陽斗、6位平田貴裕
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レディース
今回は9名が出場で盛況となったレディースクラス。ランキングのトップ争い、3位争いがそれぞれ接戦となっている中での、最終戦を目前とした一戦となった。…
2024年7月14日 北海道上川郡和寒町わっさむサーキット 動員数:680人
2024年全日本選手権第4戦は、恒例の海の日の連休に北の大地で開催される。ここ数年、北海道での戦いといえば、どこかで雨にたたられてつるつるの泥地獄と戦っていたものだが、今回は天気予報にも雨の心配はなく、そのとおり、当日もいいお天気となった。日差しが強く照りつけてかなり厳しいコンディションにはなったが、本州各地から遠征してきたライダーには、湿度の低いからっとした空気が新鮮だったようだ。
下見を終えての選手は、セクションについて全体的に神経戦との感想を語った。必ずしも簡単というばかりでなく、大きな岩やブロックを越えなければいけないポイントは多々あり、小さなミスが5点につながる。そこを越えてくるトップ争いにとっては、慎重に1点を削っていくメンタル勝負の大会が予想された。
参加者は98名。北海道大会としてはなかなかの盛況になった。IASが17名、IAが26,レディースが7、IBが42、そして全日本選手権に併催のオープントロフィーNAに6名のエントリーがあった。
用意されたのは10セクションとSSがひとつ。SS第2は第10セクションを手直しして設定される。
国際A級スーパー
第1セクションはウォーミングアップのような設定で、下見もそこそこにトライして、各ライダーはあっという間にクリーンしていった。第2セクションは、誰もが走破不可能ではないかと思われる急斜面へのトライとなったが、これもトップグループはあぶなげなくクリーンしていった。ところがここで、小川友幸(ホンダ)が失敗。チャンピオンの波乱の幕開けだった。
細かい減点をしながら、5点なしで1ラップを走りきったのは氏川政哉(ヤマハ)だった。今回、鬼門は第3から第5あたりと目されていた。その3セクションを、氏川は1点、2点、2点で切り抜けた。1ラップ目、氏川の減点は5点。しかしある意味、氏川以上に好調だったのが柴田暁(TRRS)だ。柴田は第3で1点、第4で5点をとるも、それ以外の8セクションをすべてクリーンした。氏川とは1点差で暫定2位だが、クリーン数では勝っている。
全日本2連勝は初めてという氏川政哉
3位に野﨑史高(ヤマハ)。野﨑までが、1ラップ目を一桁減点でまとめたライダーとなった。4位の小川毅士(ベータ)は12点、黒山健一(ヤマハ)が19点で5位、同じく19点の武田呼人(ガスガス)が6位。小川友幸は22点で、なんと7位から追い上げを余儀なくされた。そして小川に1点差で武井誠也(ホンダ)、4点差で黒山陣(シェルコ)がつけている。
ヤマハTY-Eを走らせる野﨑史高は2位
2ラップ目、氏川は堂々たる走りっぷりを見せた。1ラップ目にクリーンしていた第6と第7を、それぞれ1点と6点と、悔しい減点があったものの、それでも氏川のこのスコアを上回ったライダーは皆無だった。2ラップを終えて、氏川の減点は11点。2位には引き続き野﨑がつけていたが、野﨑とはちょうど10点差があり、クリーンや1点の数を数えると、この時点で氏川の勝利は決まった。
1ラップ目に5位と7位、不本意な順位に甘んじた二人のチャンピオン、黒山建一と小川友幸は、それぞれ2ラップ目に追い上げを見せた。黒山は9点でこのラップ2位。小川は11点でラップ3位をマークしたが、僅差の戦いの中、順位の逆転はならず、黒山5位、小川7位で2ラップを終えた。
3位を確保した小川毅士
3位には小川毅士。1ラップ目に好調だった柴田は2ラップ目に3つの5点で後退して4位。しかし小川毅士とは1点差だから、まだ逆転のチャンスはある。SSで逆転がないのはトップの氏川のみで、2位から10位までは、いずれもSSの減点次第で順位が入れ替わる可能性があった。
1ラップ目から好調だった柴田暁
SS第1は、出口が超難関。しかし3番手でトライした黒山陣がここを1点で通過して場を沸かせる。次にトライするのが小川友幸で、小川もまた、黒山とは若干ラインを変えながら1点で通過。このあとトライした武田が5点となって、ここで小川と順位が入れ替わった。そして黒山、柴田とついにこの難関をクリーン。小川毅士、野﨑が続けて5点となったことで、まず柴田が一気に2位まで浮上した。SS第2の結果次第で、さらに順位が大きく入れ替わる感じになってきた。
第3戦までポイントリードしていた小川友幸だったが、今回は6位へ
最後にトライした氏川は、ここで5点。優勝を決めたあとのSSは美しくクリーンしたいところだったが、もちろんこれでも結果は変わらない。
そしてSS第2。最初にトライした久岡孝二(ホンダ)が完璧なトライでクリーン。このクリーンで、久岡は武井を逆転して9位に浮上した。黒山陣はちょっとばたばたしたが3点で抜けて8位をキープ。自己最高位を更新した。
2位から7位までの争いはまだ続いている。まず6位争い。武田はここでも5点となって、武田の7位が決まった。小川友幸は1点。トライは悪くなかったが、6位はワースト順位を更新。ランキングトップも氏川に譲り渡すことになった。
黒山のSSは見事だった。最後のSSでは足が出たものの、その1点のみで切り抜けた。しかし残念ながら、5位以上に進出することはできなかった。
5位になった黒山健一
表彰台争いは、柴田のトライから始まる。きっちり走ればクリーンできるこのSS第2。無難に走れば表彰台は確実。クリーンすれば2位も決まる。ところが柴田は、難関の手前の飛び石でまさかの前転。これでまた表彰台争いは混とんとしてきた。
続く小川毅士。減点は小川が1点優位なので、減点を1点におさめれば表彰台ゲット。野﨑の結果次第で2位も狙える情況だ。難所を無事に通過し、クリーン目前というところで、しかし小川も失敗。あわや5点、あわやタイムオーバーというところで、ぎりぎり1点で走りきった。これで柴田とは同点ながら、クリーン数の差で3位以上を獲得。柴田は4位以上が確定して、野﨑のトライを待つことになった。
野﨑は2ラップ目の第4セクションで足を負傷して手負いの状態だったが、そんな気配は感じさせず、トライを進めていく。しかしわずかにバランスを崩して失点。1回、2回、3回、いや2回だ。減点2。なんと2位から4位までが1点差で、野﨑2位、小川毅士3位、柴田4位の並びが決まった。
最後のトライとなった氏川は1点。氏川はこれで自身初めての全日本2連勝だが、この2戦、SSでのクリーンがない。勝者がSSで華麗にクリーンするシーンは、次回のお楽しみ、ということになる。
逆転ランキングトップにたった氏川は、2位に5ポイント差。2位には小川友幸と黒山、ふたりのチャンピオンが鎮座している。
IAS表彰式。左より2位野﨑史高、1位氏川政哉、3位小川毅士、4位柴田暁、5位黒山建一、6位小川友幸
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国際A級
1点の減点が勝敗に直結する神経戦となった。1ラップ目、わずか1点でトップに立ったのが成田匠(EM)。成田のEMは、トライアルGPでデビューした4速ミッション付きの新型。全日本は、今回が初登場になる。2ラップ目、成田は3つのセクションで減点、トータル減点を6点として結果を待ったのだが、そのスコアを上回るライバルは現れず。3連勝が決まった。
EMの成田匠が三連覇
2位は開幕戦の勝利以来の表彰台獲得となった平田貴裕(スコルパ)。2ラップ目の5点が痛い失点となった。
平田と同点、クリーン数差で3位表彰台に上がったのが成田亮(EM)。IASはヤマハTY-Eがワンツーとなったが、こちらは1位と3位。国際A級の6つの表彰台のうち、4つまでを電動マシンが占めることになった。
若手ではランキング2位の宮澤陽斗が5位、高橋寛冴が11位、12歳の黒山太陽が15位で初めてのポイント獲得となった。
IA表彰式。左より2位平田貴裕、1位成田匠、3位成田亮、4位小野貴史、5位宮澤陽斗、6位高橋健啓
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レディース
7名が出場のレディースクラス。若手の二人、中川瑠菜(ベータ)と山森あゆ菜(モンテッサ)の1ラップ目は接戦だった。中川が11点、山森が12点で、どちらが勝ってもおかしくない。3位の小玉絵里加(TRRS)は19点で、ややスコアが開いていた。
中川瑠菜の勝利。2位の山森に10点差でまとめた。
2ラップ目、中川ががぜん調子を上げてきた。1ラップ目と同じように、13点で2ラップ目をまとめた山森に対し、中川の減点はたった4点。2ラップを終えると、1位と2位には10点差がついていた。
3位は小玉を逆転して、1点差で米澤ジェシカが入った。ランキング争いでも、山森と中川は4ポイント差、小玉と米澤は1ポイント差と、大接戦になってきた。
レディース表彰式。左より2位山森あゆ菜、1位中川瑠菜(代理)、3位米澤ジェシカ、4位小玉絵里加、6位加藤里沙
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国際B級
開幕から3連勝してきた高橋淳(TRRS)に、ついに土がついた。1ラップ目の高橋は1点で、12歳の永久保圭(ベータ)と同点トップ。しかし2ラップ目に高橋が5点を喫して、永久保が3点差で初優勝となった。
国際B級は永久保圭が初優勝
3位はシーズン3度目の表彰台を獲得したチェン・ウェンマオ(ホンダ)。今シーズン、この3人で表彰台の9割を独占している。
IB表彰式。左より2位高橋淳、1位永久保圭、3位チェン・ウェンマオ、4位田上拓、5位袋井就介、6位寺澤迪志
2024_R4_IB_resultsダウンロード
2024年6月2日 栃木県芳賀郡茂木町 モビリティリゾートもてぎ 動員数:3,000人
2024年全日本選手権第3戦は、トライアルGP日本大会の余韻もさめやらぬ栃木県モビリティリゾートもてぎでの「もてぎ大会」として開催された。前日の土曜日は暑いくらいの陽気だったが、当日の天気予報は雨。しかし夜半から降り始めた雨は朝方には止んで、昼間は日差しも出るほどになった。とはいえ、午後の降雨は避けられそうにない。
セクションは、基本的にトライアルGPで使われた部材を利用していて、厳しさもトライアルGP並か。朝まで雨が降っていたから、滑る滑ると評判のもてぎの地形ゆえ、その難度はGPを超えていたかもしれない。GPを走ることがないクラスは、一目瞭然にむずかし目の設定となった。
スタートは全日本の通常より30分遅い8時ちょうど。国際A級と国際B級は1分に2台ずつ、国際A級スーパーとレディースは1分ずつスタートで、レディースと国際A級の間に1時間15分ほどのインターバルが置かれていた。国際A級スーパーと国際A級は第1セクションと第9セクションをのぞく10セクション2ラップ、レディースと国際B級は第6と第11をのぞく10セクション2ラップ、これを4時間半で回る戦いが始まった。
国際A級スーパー
今回も参加は17名。ここまで2連勝を飾っているディフェンディングチャンピオンの小川友幸(ホンダ)は、最初のトライとなる第2セクションで失敗。いつもの小川なら、ここから建て直してきっちり優勝するか、せめて表彰台まで順位を戻してくるのだが、今回はなかなかペースが戻らない。
1ラップ目から不調だったチャンピオン小川友幸
こんな中、2週間前に2日間にわたって2ラップを走っているライバルは、難セクションに果敢にチャレンジしていく。1ラップ目、2位以下に5点差をつけてトップに立ったのは今年から体制をがらりと変えて全日本を戦う氏川政哉(ヤマハ)。氏川も小川同様に第2セクションで5点となっているが、その後の巻き返しが見事にきいた。
1ラップ目からリードし、優勝した氏川政哉
2位は同点で二人。野崎史高と黒山健一、氏川と同じヤマハTY-Eに乗るベテランが並んだ。この二人に2点差で小川毅士(ベータ)、小川友幸は小川毅士に4点差の5位で試合を折り返した。
EVを走らせる黒山健一は2位
2ラップ目、氏川の好調は変わらない。1ラップ目の失敗を修正したり、細かいミスを出したりしながら、トータル減点は1ラップ目と変わらず21点。2ラップのトータルを42点とした。これに続くは黒山。しかしその差は7点に開いていて、SSで逆転劇を演出するには、ちょっと点差が大きい。
EVで3位表彰台を決めた野崎史高
野崎も2ラップ目に少し減点を増やしていて、クリーン数で勝ってはいるものの、減点53点、小川毅士と同点でSSを迎えた。小川友幸は59点と、計算上は逆転の目はあるが、上位進出はむずかしそうだ。
SSは、これもトライアルGPの最終セクションを使って行われた。2ラップ目の終盤から、予定通り雨が降り始めて、SSが始まる頃には本降りに。濡れた丸太の安全性が危惧されて、一部設定を変更してSSが始まった。この変更もあいまってSSの難度は若干さがり、大きな逆転劇の可能性も下がった。
SS第1、最後にトライした氏川が1点を失ったものの、トップグループはおおむねクリーン。この時点で、氏川のリードは7点となり、氏川の今シーズン初優勝、そしてヤマハTY-Eの初優勝が決まった。
SS第2は終盤の高い板への飛びつきとそこからどうやって降りるかが難関。久岡孝二(ホンダ)が前輪から落ちて肝を冷やすこととなったが、トップ5は上手に足を着きながらこの難関を克服していく。
小川友幸は3点で5位をキープ、小川毅士はここで2点を失って、表彰台争いのライバルの野崎のトライを待つことになった。果たして野崎は1点。これで黒山のトライを待つことなく、ヤマハTY-Eの表彰台独占が決まった。第2戦で、国際A級の成田匠とEMによる、全日本選手権初のEV勝利があったが、今回はトップカテゴリーでのEV勝利。それも1位2位3位独占の快挙となった。
ランキングでは、開幕2連勝を飾った小川友幸が依然としてトップをキープした。しかし3戦連続で2位入賞を果たした黒山が1ポイント差でこれに続く。ランキングでもヤマハ勢の巻き返しが始まっている。
国際A級スーパー表彰式。左より2位黒山建一、優勝氏川政哉、3位野崎史高、4位小川毅士、5位小川友幸、6位柴田暁
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国際A級
第2戦で勝利したEMの成田匠が、今回も好調。ほぼ全員が5点となった第3と第12以外を最小限点にまとめて、全日本2連勝を飾った。IASの表彰台独占とともに、全日本でも一気にEV化の波が押し寄せてきた印象だ。
電動トライアルバイクを走らせる国際A級、成田匠
成田に遅れること9点で2位となったのが、これもベテランの本多元治(ホンダ)。奇しくも、成田も本多も世界選手権のセクションづくりに奔走した重要スタッフだが、成田は自分で構成したセクション群を、参加者として走るのはこれが初めてだった。
3位に、第2戦に続いて連続表彰台となった宮澤陽斗(ベータ)。ランキングでも、成田と、去年までIASだった平田貴裕(スコルパ)に続き、3位をキープしている。平田は今回4位、5位に、成田の弟で、やはりGPのセクション設営に尽力した亮が入っている。
今回はベテラン勢が上位を独占していて、若手は3位の宮澤が一人気を吐いた結果となった。
国際A級表彰式。左より2位本多元治、優勝成田匠、3位宮澤陽斗、4位平田貴裕、5位成田亮、6位小野貴史
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レディース
参加は8名。第1戦第2戦と1位2位をわけあった山森あゆ菜(モンテッサ)と中川瑠菜(ベータ)の勝負の行方が注目される。
今回は難度も高め。大岩を越えていかなければ先に行けない設定のセクションも多く、加えて2ラップ目はIASやIAの1ラップ目の大群に追いついて、先の見えない渋滞と闘わなければいけなかった。
それでも、タイムコントロールはトライアルの戦いのエッセンスの一つ。申告5点も視野に入れながら、減点を少しでも減らしてゴールすべく、戦いは続いた。
チャンピオン山森あゆ菜が、ランキングトップ
結果は7点差で山森の勝利。山森はこれでランキングトップの座を確固たるものにした。2位はソアレス米澤・ジェシカ(TRRS)。日本人離れしたライディングが魅力の米澤が、ついに女子大生コンビの間に割って入った。中川は米澤に1点差の3位だった。
2ラップ目に2位で追い上げた小玉絵里加(TRRS)が4位、清水忍(TRRS)、齋藤由美(ベータ)が5位、6位となった。
レディース表彰式。左より2位米澤ジェシカ、優勝山森あゆ菜、3位中川瑠菜、4位小玉絵里加、5位清水忍、6位齋藤由美
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国際B級
開幕2連勝を飾っている髙橋淳(TRRS)が、今回も勝利を飾った。絶好調。高橋は、1ラップ目をクリーン6の減点6でまとめて2位の中学生、永久保圭(ベータ)にダブルスコア以上の差をつけた。
国際B級で連勝する高橋淳
ところが2ラップ目、髙橋が戦わなければいけなかったのは渋滞だった。申告5点で先を急がざるを得ず、1ラップ目の減点6から一気に減点22まで増やしてしまった。それでも、2位のチェン・ウェンマオ(今回からホンダに乗る)に5点差で、開幕3連勝を飾ったのだった。
ランキングは、上位3人が安泰。髙橋、永久保、チェンの順に並ぶ。髙橋と永久保のポイントギャップは、すでに19ポイントまで広がっている。
国際B級表彰式。左より2位chen wenmao、優勝高橋淳、3位永久保圭、4位小倉功太郎、5位小倉功太郎、6位大櫃千明
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2024年4月14日 大分県玖珠町玖珠トライアルヒルズ 動員数:750人 2024年全日本選手権は、大分県玖珠町で第2戦を迎えた。会場は5年ぶりの開催となる玖珠トライアルヒルズ。春の陽気を少しだけ通り越して、日中は暑いくらいのいいお天気での全日本選手権となった。
国際A級スーパー
ルーキーにして開幕戦で9位となった黒山陣(シェルコ)がエントリーを忘れるというハプニングがあり、今回の参加は17名。 セクションは滑る斜面をベースに作られていて難度はとても高かった。加えてポイントが多く、1分間の持ち時間がぎりぎりとなりそう。なかなか厳しい戦いとなりそうだ。 そんな中でも、第1〜第4、第10は比較的減点数を抑えられそうな設定で、ここをいかに最小減点で抜けられるかが勝負となる。試合が始まると、しかしこの最初の数セクションで減点を出すライダーが続出。開幕戦勝利者の王者小川友幸(ホンダ)は、第4までで6点を失って、苦境に立たされる。
1ラップ目の第6までは、6点を失っていた小川友幸
前半から1ラップ目にかけて好調だったのは武田呼人(ガスガス)。武田は開幕戦を7位で終えているが、2戦目のIAS参戦でいよいよ本領発揮というところ。ただし武田は、前回開幕戦で右ひざに重症をかかえていて、逆境の中の戦いとなっている。 武田はよく減点を抑えて1ラップ目を回ったが、タイムオーバーが3点あって、1ラップ目の順位は4位。トップはやはり小川で、2位には、そろそろEVのTY-Eの初優勝の声を聞かせたい黒山健一(ヤマハ)、3位にEV1年生の氏川政哉(ヤマハ)が入って、2ラップ明光の逆転を期す。1ラップ目は、1位から8位までが10点の中にひしめく接戦だった。
4年間スペインでトライアルを学んできた武田呼人
2ラップ目、トップの小川はいよいよ好調。本人は必ずしも乗れているわけじゃないというが、小川しか抜けられないセクションがあったり、ライバルが3点で抜けることを目指す中でクリーンを出したり、なにより5点を最小限に抑える試合運びはさすが。 2ラップ目、2位のスコアをマークしたのは野崎史高(ヤマハ)だった。野崎は開幕戦同様に、1ラップ目に多くの減点を喫してしまったが、2ラップ目に修正してスコアを大幅に改善してきた。 黒山と武田の2ラップ目は同スコア。安定感はあるが、これでは優勝争いにはちょっと届かない。 2ラップを終えて、トップの小川は40点、2位の黒山に5点差。クリーンは小川が多いので、SSで小川がふたつとも5点となり、黒山がたとえばクリーンと3点ならば逆転劇となるが、SSはこれがまた難度の高い設定で、はたしてクリーンなど出るのか、いやいや走破するものが出るのかと天を仰ぎたくなる。
2位の黒山健一
しかしIASのトップ10の実力はさすがだ。まず最初のSS。2番手の野本佳章(ベータ)が3点で抜け、野崎も3点、小川毅士(ベータ)が2点と、トライが進むに従い、減点が減ってきた。そしてついに柴田暁(TRRS)がクリーンをたたき出す。しかしこのあたりから、大岩への加速ポイントの路面が崩れてきた。 柴田の次にトライした武田が5点。柴田と同点だった3位争いからいったん脱落してしまった。黒山はコンディションの悪化したこのセクションを、なんとか1点でおさめる。最後にトライした小川はあっぱれだった。むずかしいのは、滑る斜面から斜めの岩を攻略するポイントだが、9人が走って荒れた今、簡単なポイントなどどこにもない。しかし小川は、見事にここをクリーン。チャンピオンの貫録を見せつけたと同時に、黒山との点差を6点として、ここで黒山の逆転優勝の芽を摘むにいたった。小川の勝利が確定だ。 SS第2。ここはさらに厳しさを増した。3個の大岩をすべてきれいに超えていくなど、人間業ではないと思われる。しかしそれもIASの手にかかると、どこかに攻略法があるようだ。野本、久岡、野崎が3点、小川毅士がクリーンして、一転、この難セクションがクリーン必須のセクションとなった。 SS第1をクリーンして、相手次第では2位表彰台まで可能性のある柴田は、美しいライディングを披露して出口へ。しかし出口でわずかにラインを乱して5点。このあと武田がクリーンして、柴田と武田は再び同点に。クリーン数も同じで、1点の数の差で柴田は表彰台を逃すことになった。武田はIAS参戦2戦目にして3位表彰台獲得の快挙。 すでに2位が確定した黒山が1点、そして最後に登場した小川もまた、優勝が決まっている。開幕戦では、こういう情況でSSを失敗して、優勝しながら悔しい思いをひきずることになった。今回は、見事なクリーン。開幕2連勝を飾るとともに、今度こそSSで有終の美を飾り、まず完璧な勝利となった。
国際A級スーパー表彰式。左より2位黒山建一、優勝小川友幸、3位武田呼人、4位柴田暁、5位小川毅士、6位氏川政哉
2024_R2_IAS_resultsダウンロード
国際A級
開幕戦で勝利した平田貴裕(スコルパ)が第1セクションで3点、第2セクションで5点と意外な滑り出し。こんな中、1ラップ目にトップとなったのは若い宮澤陽斗(ベータ)だった。大ベテランの全日本チャンピオン、成田匠(EM)を3点引き離す堂々たるスコアだった。さらに宮澤、成田に続いて、3位につけたのが髙橋寛冴(シェルコ)。関東の若手が、いよいよトップ争いに駒を進めてきた。 2ラップ目、戦況はほとんど変わらず、減点15点から20点少々の間での接戦の優勝争いだ。こんな中、減点14で2ラップ目のトップスコアをマークしたのが成田だった。
成田匠により、全日本EV初勝利。
成田が乗るのはフランス製のEM。トライアルEVのパイオニアだ。全日本でのEV初勝利記録は、ヤマハに先んじて、成田とEMが刻むことになった。弟の成田亮も4位に入賞、二人は開幕戦でも好調だったが、今回は人車それぞれの実力を遺憾なく披露した。 …
2024年3月31日 愛知県岡崎市キョウセイドライバーランド 動員数:2,631人 2024年全日本トライアル選手権開幕戦。会場は昨年同様キョウセイドライバーランド。いいお天気で、たいへん快適なトライアル日和となった。
国際A級スーパー
黒山陣(シェルコ)、浦山瑞希(ホンダ)の2名の10代ライダーのIAS入り、スペイン修業から帰ってきた武田呼人(ガスガス)のIAS初登場と、新しい顔ぶれでにぎわう今年の全日本選手権、そして大トピックは、氏川政哉(ヤマハ)がメーカーとチームを変えての登場だった。 ホンダのワークスマシンに乗るのは、昨年に続き小川友幸(ホンダ)。13回の全日本チャンピオンは、今年もこのマシンで連覇更新を狙う。そして氏川が加入したヤマハは、黒山健一、野﨑史高の先輩を含めて3人が電動マシン、TY-E2.2に乗る布陣。18人の参加者中、3人が電動という新時代の幕開けとなった。TY-Eのデビューは昨年のここでの開幕戦だったから、この1年間の真価が発揮されることになる。
シーズン初戦から強さを見せつけた小川友幸
最年長王者は、開幕戦は勝てないというジンクスがある。しかし今回は、序盤から試合の主導権を握った。ミスはあった。一瞬リードを奪われることもあった。しかし5点がない戦いぶりは圧巻。1ラップ目の減点はわずか5点で、最も大きな減点が第4セクションでの2点と、その安定感は圧巻だった。 小川にはやや離されたが、1ラップ目に2位につけたのが氏川。エンジンマシンから電動マシンへ、チームもなにもまったく環境が変わった開幕戦で、堂々たる優勝争いをするのは、若さゆえの順能力か。
ヤマハへ移籍、初めての電動。新しいチャレンジをする氏川政哉の初戦は3位
電動での全日本挑戦プロジェクトを推進してきた黒山は、勝利は自分の手でつかみたい。1ラップ目は氏川に1点差の3位につける。 2ラップ目、小川の好調は変わらない。6つのセクションで減点をしたものの、減点はいずれも1点で、このラップを6点で終えた。クリーン数こそ最多とはならなかったが、2ラップを11点で終えて、SSを待つ。 小川を追いつめ、逆転を図りたかった氏川は、逆に減点を増やしてしまって黒山に逆転され、2ラップトータル24点。SSでの逆転勝利の可能性もなくなっていた。2ラップ目の黒山は5点なしで追い上げたが、小川には届かず。2ラップトータル20点で、小川とは11点差の2位。残るSSで、かろうじて逆転勝利の可能性が残るという戦況だ。
電動マシンを操る黒山健一は2位
4位の小川毅士は、すでにそのポジションが確定的となっている。5位と6位は同点で野﨑史高と武田呼人が並んだ。スペインから帰ってきて初のIAS参戦となった武田だが、トップ6に混ざっての戦いを演じる実力を証明した。7位は、らしくない失敗が相次いだ柴田暁となっている。 SSに進出するのは、8位の久岡孝二(ホンダ)、デビュー戦で堂々9位に入ってきた黒山陣、そして10位は武井誠也(ホンダ)。武井は1ラップ目の第10セクションで足を痛めていて、苦戦の中のSS進出だった。 SS進出を果たせず、ここで順位が決定するのが11位以降。オートレースの開催スケジュールと調整しながら全日本に参戦する野本佳章(ベータ)が11位、1点差で北陸の怪童、田中善弘(ホンダ)が12位、ヤマハのエンジンマシンを走らせる唯一の存在の濵邉伶が13位。平田雅裕(スコルパ)14位、岡村将敏(シェルコ)15位で、ここまでがポイント獲得圏。古傷のひざを痛めた磯谷玲(ベータ)16位、デビュー戦でIASの高い壁の洗礼を受けた浦山瑞希(ホンダ)が17位、1ラップ目第5セクションで足首を痛めた磯谷郁(ベータ)が完走を果たして18位となっている。 そしてSS。今回のSSは、ダイナミックかつ難易度も高め。SS第1は終盤に配置された180cmの真直角ステアが鬼門。その鬼門に最初に到達したのが久岡だった。次の柴田はその手前で5点となり、野﨑、武田と次々に5点。高さだけでなく、時間もぎりぎりで、余裕を持ってトライすることができない。結局黒山まで全員が5点で、最後のトライとなったのが小川。しかし小川は序盤の飛びつきで5点となってちょっと小川らしくない結末。結局このSS第1は全員が減点5となった。 SS第2は最終第12セクションを改変したものだが、距離も延び、ポイントも増えてハードな設定。沢を走り、泥斜面の登って降りるのが最初の関門、次にそびえる大岩が次の鬼門。高さはそれほどでもないが、精度が要求される3つの岩飛び、そして巨大なタンクに登って、最後は石垣を登ってフィニッシュ。最も難度が高かったのは大岩だが、どこでも失敗ができる難ポイントばかりだ。 最初に大岩を越えたのが柴田。柴田はここを1点で抜け、ようやく柴田らしいキレを見せた。続く武田は大岩の後の岩飛びで転倒。これで武田は柴田の逆転を許して7位となった。5点になれば柴田に逆転される計算の野﨑は、きっちり3点でここを抜けて5位の座をキープ。 小川毅士は大岩で2点。それ以外はスムーズにアウト。この流れだと、あるいはクリーンが見られるのではないかという期待も出てきた。氏川が3点で3位を確定した後、黒山は初めて大岩を完璧に攻略。しかしその後1点を失ってクリーンはならず。やはり期待は、最後にトライする小川に集まった。小川も、しかしクリーンはできなかった。このままきっちり走りきって勝利のゴールへ向かうと思われた矢先の巨大タンク登り。なんと登った瞬間にリヤを跳ねさせ、そのまま前転するように転倒。なんと優勝を決めてからの小川は、連続5点で試合を終了。しかし何年ぶりかという開幕戦勝利で、新しいシーズンに幸先のいいスタートを切った。
IAS表彰式。左から2位黒山健一、優勝小川友幸、3位氏川政哉、4位小川毅士、5位野﨑史高、6位柴田暁
2024r1_iasダウンロード
国際A級
昨年1年、負傷療養で全日本参戦をお休みしていたIASの平田貴裕(スコルパ)が今年はこのクラスに参戦。実力のある大ベテランがずらりと揃った激戦クラスとなった。 1ラップ目のトップは、ゼッケン1番の砂田真彦(ホンダ)。砂田もおととしまでIASを走っていた。砂田の減点は3点で、勝利をつかむには減点を最小限におさえる必要がある。 2ラップ目、砂田が第6セクションで3点、1点を争う展開でこの3点は厳しかったが、さらに第11セクションで5点をとって万事休す。砂田は3位に落ち着いた。 1ラップ目の3位から砂田を逆転して2位となったのが本多元治(ホンダ)。砂田とはかつて同じチームにいた先輩格の本多は最多クリーンもたたき出しての表彰台獲得となった。…
2023年11月12日 大阪府大阪市中央公会堂前中之島通り 観客数:5,000人
国際A級スーパー
2023年全日本トライアルシリーズが最終戦を迎えた。例年と異なり、第7戦までのランキング10位の選手のみが参戦できるシティ・トライアル・ジャパン大会が最終戦、チャンピオン争いの最後の1戦に選ばれた。トライアルの発展、よりいっそうの盛り上がりを目指して、通常の全日本とはシステムやルールを変更して、新たなスタイルを確立した画期的最終戦となった。
ランキング上位10名のIAS選手のみ出走する今年のCIty Trial Japan。スタート前の選手紹介
最初のトライはセミ・ファイナル。ランキング10位の磯谷玲と9位の田中善弘がトップトライで大会は始まる。セクションは4つ。これを往復するので8セクション。ラインを変更して、セミ・ファイナルからファイナルに向けて、難易度も変更できるようになっている。
最終戦に向けては、ランキング8位武井誠也、田中、磯谷の3人が接戦、ランキング7位の久岡のポジションが変動する可能性は低いが、ランキング5位の柴田暁、6位小川毅士も接戦だ。そしてもちろん、ハイライトは小川友幸と氏川政哉のチャンピオン争い。ライダーは、いつもとまったく異なるスタイルの戦いで最後の決戦に挑んだ。
スタート7番手以降の中では、磯谷が前半に一つ、後半に一つ3点をたたき出して、これでランキングも9位に躍り出ることになった。
しかしセミ・ファイナルの後半、2組目のトライの最中に雨が降り始めた。用意されたセクションは、板も丸太もつるつるで、雨の中でのトライは非常に危険だ。試合を中断して、セクションに加工を施す一方、途中でセクション条件が大きく異なることになり、しかもすでにトライを終えた4人とこれから走る6人との公平性などが協議され、そこまでの減点数を考慮した結果、セミ・ファイナルは4人が8セクション、6人が4セクションを走った時点で終了となり、ファイナルは6人のライダーが二人ずつ、第1と第2、第7と第8(第1と第2の逆走)の4セクションを走ることになった。雨はひとしきりセクションを濡らしたあとに上がったが、つるつるに滑るようになった部材が急速に復活する感じではない。
ファイナルはセミ・ファイナルでの結果順に走るので、一番スタートはセミ・ファイナル6位の柴田暁。勝敗はセミ・ファイナルとファイナルの減点をトータルで競われる。柴田はファイナルの4セクションを減点14点で終えている。トータルでは28点になる。
セミ・ファイナルを6位で終えた柴田暁
柴田といっしょに走った小川毅士は、5点なしの7点。トータルでは18点だった。ファイナルが始まる時点で小川の暫定順位は5位で、この順位では柴田と小川のランキングは変わらない。
小川毅士はセミ・ファイナルで5位
次を走るのは野﨑史高と黒山健一だった。野﨑はヤマハ4ストロークサウンドを響かせ、難セクションを走破していく。5点、3点、1点、そしてクリーンひとつで9点。トータル16点。しかし、セミ・ファイナルを6点で終えていて、まだ勝利の望みもあった黒山のファイナルは波乱となった。4セクション中3セクションで5点となり、15点を献上。トータル21点で、セミ・ファイナル2位から、一気に5位に転落した。これで小川毅士が4位に浮上し、ランキングも5位に上がることになった。
パワフルな4ストロークサウンドが響く。野﨑史高
唯一のモーター音。電動バイクで難セクションに挑む黒山健一
残るは小川友幸と氏川政哉の頂上対決。とはいえ、万が一彼らが4セクションすべてで5点をとると、勝利どころか4位、5位まで転落する可能性もあるという戦況だ。もちろんチャンピオン争いも重要で、氏川が勝利、小川が4位なら氏川が逆転チャンピオンとなる。勝負の行方、タイトルの行方、華々しい演出とは裏腹、緊張感あふれるファイナルの4セクションが始まった。
小川は、第1こそクリーンしたが、その後は5点を避けて確実に2位をキープする作戦。第2で3点、帰り道も1点と3点。このラップのトータル7点は小川毅士と並んでトップ、そしてトータルは12点だった。
リスクのない確実なライン取りを選ぶ小川友幸。V13獲得。
氏川は第2の入口で5点、しかしこの5点では首位は変わらない。勝負は最終セクション、ここで小川が3点となったところで、氏川の最終戦勝利が決まった。勝利が決まった氏川は、最終セクションをダニエル走法を使って華麗にクリーンしようともくろんだが、グリップがむずかしい丸太は氏川に有終の美を許さなかった。残念5点。
最終セクションを前に優勝を決めた氏川政哉
しかし氏川は、2023年シーズン、開幕戦と最終戦で勝利、大きな成長の証を残してシーズンを終えた。
左より2位小川友幸、優勝氏川政哉、3位野﨑史高、4位小川毅士、5位黒山健一、6位柴田暁
2023年10月22日 宮城県柴田郡村田町菅生スポーツランドSUGO 観客数:1,200人
2023年全日本トライアルシリーズ終盤。例年最終戦となることが多い宮城・SUGO大会だが、今年は国際A級スーパー(IAS)の最終戦がCityTrialJapan大会となるため、それ以外の3クラスについて最終戦としての開催となった。
スタートしたのは全クラス合わせて131台。SUGOでの開催では過去にない盛況で、渋滞対策としてセクションは若干短めとなっていた。その施策が功を奏したか、激しい渋滞はなく、競技はスムーズに進行した。
レディース(LTR)と国際B級(IB)は8セクション2ラップ、国際A級は10セクション2ラップ、IASはこれにSSの2セクションを加えた22セクションで競われた。
国際A級スーパー
今回は全クラスがオールクリーンを目指す設定だった。トップクラスのIASも、オールクリーンはともかく、大きな減点が勝利を遠ざける可能性が大きい設定だった。
最初の難関は第3。野﨑史高(ヤマハ)、久岡孝二(ホンダ)、柴田暁(TRRS)、小川毅士(ベータ)が1点の減点を喫する。しかしここで痛恨の5点を取ってしまったのが、大接戦のチャンピオン争い展開中の氏川政哉(ホンダ)だった。2点差でランキングトップを守ってきて、ここで一気に初タイトルに向けて加速したかった氏川だが、そのもくろみに暗雲がたちこめた。
1ラップ目の第3セクションで5点。以来ペースが乱れた氏川政哉
好調だったのは黒山健一、そして小川友幸。黒山は1ラップ目をオールクリーンして、ヤマハのEVマシンの初勝利の可能性が高まってきた。逆転タイトル連覇を目指す小川は、第6セクションで1点を取ったものの、この時点でライバルにも減点が増えてきていて、優勝争いは黒山と小川の一騎打ちの様相を呈してきた。
1ラップ目をオールクリーン、電動バイクの黒山健一
1ラップ目の上位陣は、オールクリーンの黒山を始め、小川友幸1点、小川毅士6点、氏川と柴田が7点と、5人が一桁減点をマークした。
2ラップ目、小川友幸は勝利に向けて、黙々と仕事をこなしていく。逃げ切りたい黒山だが、なんと第6の岩場を抜ける際にチェーンがはずれてしまい5点となってしまった。2ラップ目は、1ラップ目に一桁減点をマークした5人に加えて久岡と野﨑も一桁減点の仲間入り。2ラップを終えて、トップは小川友幸で1点。黒山5点、小川毅士8点、氏川9点、柴田16点、久岡と野﨑が17点で、最後のSSを迎えることになった。
3連勝した、小川友幸
今回のSSはシンプルな人工セクション。第1はコンクリートブロック、第2はビッグ・タイヤが構成物となった。ひとつひとつの障害はともかく、連続技で攻めるのはむずかしい。
SS第1は、トップグループにとってはクリーン必須と思われたが、野﨑が1点、さらに黒山がなんとテープから飛び出して5点に。これで小川友幸の勝利が決まり、2位には小川毅士が、氏川が3位に浮上した。
SS第1セクションの小川毅士。2位を獲得
最後の勝負のSS第2。大きなタイヤで野﨑が5点になったが、ここもまたトップグループにはクリーン必須だった。しかしここでまた波乱が起きた。氏川が1点をつき、黒山と同点に並ばれ、クリーン数差で再び4位に後退した。最後に小川友幸が1点をついたが、これは勝敗には影響なし。2位にはSSをふたつともクリーンした小川毅士が入った。
この1戦で、シリーズの流れも大きく動いた。小川友幸が今シーズン初めて単独トップに立ち、しかも10ポイントの大量リードを築いた。最終戦はスタジアム形式でここまでのシリーズとは異なるスタイルだが、小川友幸が連覇に向けて優位を築いたのはまちがいない。
国際A級スーパー表彰式。左より2位小川毅士、優勝小川友幸、3位黒山健一、4位氏川政哉、5位柴田暁、6位久岡孝二
2023_R7_IAS_resultsダウンロード
国際A級
チャンピオンを決めたものの、前回マシントラブルで2位となった黒山陣(スコルパ)は、最終戦を勝利して有終の美を飾りたいとスタートした。
IAチャンピオン黒山陣
ところが第2セクションで5点となり、これで勝利は絶望的状況となってしまった。黒山はこのあと第9セクションでもエンストによる5点を喫して、5位を得るのが精いっぱいだった。
代わって本領を発揮したのがベテラン勢。今シーズン3回目の出場の田中裕人(ホンダ)は1ラップ目の減点が3点、2ラップ目にオールクリーンを達成して、2023年最終戦を制することになった。田中の勝利は13年ぶりで、4ストロークのRTLでの勝利はこれが初めてということだった。
国際A級最終戦を制した田中裕人
2位は砂田真彦が入り、ランキングも2位を獲得。3位に山形の15歳、浦山瑞希が入り、ランキング3位も獲得した。
国際A級表彰式。左より2位砂田真彦、1位田中裕人、3位浦山瑞希、4位森岡慎哉、5位黒山陣、6位仲里侑
2023_R7_IA_resultsダウンロード
レディース
7名が参加のレディース大会。初出場、青森の木村亜紀(TRRS)にはちょっと厳しい戦いとなったが、無事に完走。そして上位5名はまさに1点を争う大接戦となった。
高校生の全日本チャンピオン。山森あゆ菜
勝利は1ラップ目も2ラップメモトップスコアをマークした楠玲美(ホンダ)。1戦を欠場したことでタイトル争いには加われなかったが、2勝と最終戦勝利をものにして、ランキングも2位に浮上、チャンピオンとしてのシーズンを締めくくった。
レディース優勝は楠玲美、ランキング2位へ浮上
2位は楠に2点差で山森あゆ菜(ベータ)。楠に20ポイント差で、初めてのタイトルを獲得した。IAクラスに続いて、10代チャンピオンの誕生だ。
レディース表彰式。左より2位山森あゆ菜、1位楠玲美、3位齋藤由美、4位清水忍、5位小玉絵里加、6位寺田智恵子
2023_R7_LTR_resultsダウンロード
国際B級
すでにタイトルを決めている村田隼(ヴェルティゴ)は、最終戦ではオールクリーンすると決めていた。そしてそのとおり、16セクションをすべてクリーンしてチャンピオンとしての最終戦を走りきった。
国際B級は前戦でチャンピオンを決めている村田隼。SUGOをオールクリーン勝利で締めくくる
2位は、これもランキング2位を決定していた小原諄也(TRRS)が入った。
3位争いは大接戦。6位までが一桁減点で、そしてIAに昇格できるランキング5位争いもまた大接戦だった。こんな中、終盤になって一気に上位を獲得するようになった神長叡摩(シェルコ)が、今回3位でランキング5位を獲得。北海道・和寒大会で勝利した本田隆史(ガスガス)は9位で、ランキング4位でIA昇格を決めた。ここまでランキング3位だった古市光(ホンダ)は今回17位でポイント獲得ならずだったが、ランキング3位を守って昇格を決めた。ランキング争いは、3位から5位までが1点差ずつの接戦だった。
国際B級表彰式。左より2位小原諄也、優勝村田隼人、3位神長叡摩、4位山田敬典、5位紙谷充紀、6位永久保圭
2023_R7_IB_resultsダウンロード
シリーズチャンピオン。左から黒山陣(IAチャンピオン)、村田隼(IBチャンピオン)、山森あゆ菜(レディースチャンピオン)
2023年8月27日 広島県三次市吉舎町安田灰塚ダムトライアルパーク 観客数:730人
2023年全日本トライアルシリーズも終盤戦。第6戦は広島県三次市の灰塚ダムトライアルパークでの開催となる。去年は9月の開催で今年は8月開催。周囲を山に囲まれていて盆地地形の会場なので、この季節に暑くなるのはやむなしだが、薄日がさす時間が多かったこともあって、去年よりは少し暑さは和らいだか。それでも暑い厳しい戦いだったのはまちがいない。選手はもちろん、会場に集うすべての人が体調管理を気遣いながらの大会となった。
今回は全クラス合わせて135名の参加申し込みがあった。スタートしたのは129名だった。このところ、渋滞対策を念頭に、国際B級をグループ分けしてセクションを分散させる取り組みをする大会が多かったが、今回は第1セクションから一斉スタートした。最終スタートのIASとIBやレディースの2ラップ目が重なった第2から第4あたりで渋滞はあったものの、渋滞は少なめだった。今回は全体に減点数の少ないセクション設定だったが、特にIBとレディースは減点数が少なかった。スムーズにセクションをアウトできれば渋滞は起きにくい、ということかもしれない。セクションは11用意されたが、全クラス10セクション2ラップ。これに国際A級スーパーの上位10名のみ、SSの2セクションでの最終決戦をおこなういつものスタイルは変わらない。
国際A級スーパー
オールクリーンが勝利を確実にする条件。そしてそれが可能な設定での戦いが始まった。オールクリーンができるとはいえ、簡単ということではない。濡れれば当然滑るし、砂のような土にグリップを奪われることもある。足をつく要素はいっぱいあるし、それが5点につながってしまうリスクは当然存在する。
第2までをクリーンしたのは9名。まずまず予想通りの展開だ。最初の鬼門は第3セクションだった。武井誠也(ホンダ)は2点で抜けたが、久岡孝二(ホンダ)、小川毅士(ベータ)、野﨑史高(ヤマハ)が5点、さらに氏川政哉(ホンダ)も5点となって厳しい戦いを強いられることになる。このセクション、小川友幸は1点、黒山健一(ヤマハ)が2点で抜けたが、柴田暁(TRRS)が唯一クリーンを叩き出している。
電動TY-Eで、好調にクリーン決める黒山健一
その後はまたクリーン合戦となるが、第5でふたつめの5点をとった野﨑が厳しい戦いとなり、柴田、黒山もクリーン連発とはいかない。こんな中、第6でアクシデント。氏川が岩からの下りで前転、首と背中を強打した。あわやリタイヤかというアクシデントだったが、氏川は試合続行を決断。痛みに顔を歪め、叫びながらのトライが続くことになった。
1ラップ目のアクシデントはあったが、試合を続行した氏川政哉
1ラップ目が終わって、トップは第3での1点のみの小川友幸、これを3点の黒山と柴田が追う。氏川は5点二つのみの10点で4位。小川毅士が同点で並ぶ。野﨑は16点、久岡は23点で7位につけている。
2ラップ目、小川友幸が第3をクリーン。黒山、氏川も1点で抜けたが、ラップオールクリーンを目指せるのは小川だけということになった。その小川が、今度は第6で5点。戦況に大きな影響があるかとも思われたが、黒山は第5で、柴田は第6で5点となっていて、その差は変わらなかった。
2ラップ目、トップスコアの1点をマークしたのは氏川だった。負傷を押して、第3での1点以外すべてのセクションをクリーンするというパフォーマンスを発揮した。10セクション2ラップを終えてみると、トップは小川の6点、続いて黒山が9点、氏川は11点で3位まで浮上してきた。柴田は氏川に遅れること2点の4位でSSを迎えることになった。
小川友幸が持つ本来のパフォーマンスを見ることができた
SSは難セクション、最後の逆転劇も予見されたが、基本的に去年と同様の設定(もちろん難度は上がっている)は、トップライダーには攻略する糸口があったようだ。トップ4人はSSの二つを見事にクリーンして、順位は変わらず。小川が2連勝でシーズン3勝目をあげ、黒山が2度めの2位、氏川は今シーズン初めて、3位に甘んじることになった。
氏川が圧倒的に優位だったチャンピオン争いは、小川が一気に2ポイント差に詰め寄ってきた。残り2戦、メーカー、チームが同じ二人の大接戦が続きそうだ。
IAS表彰式。左より、2位黒山健一、優勝小川友幸、3位氏川政哉、4位柴田暁、5位野﨑史高、6位小川毅士
2023_R6_IAS_resultsダウンロード
国際A級
ランキングトップでこの大会を迎えることになった黒山陣(スコルパ)だが、ランキング2位の本多元治がこの大会にエントリーをしないことが判明した時点で、早々とチャンピオンが決定。チャンピオンとして、この大会を含む残り2戦を戦うことになった。
2023国際A級チャンピオン、黒山陣。14歳
その黒山にトラブルが発生したのは第8セクション。こちらもあわやリタイヤかというマシントラブルだったが、ギヤを1速のみとすれば走れることがわかり、それで試合を続行する。これで黒山は、第8を含んで3つの5点を献上して、かなり厳しい戦いとなった。
そんな中、今シーズン3度めの出場となった小野貴史(ホンダ)が好調。第1で5点となって幸先は悪かったが、第6での5点とあわせて5点二つの10点で1ラップを終え、トップに立った。2ラップ目は減点を若干増やしたものの、黒山を含む誰にも追いつかれることなく勝利した。
国際A級は小野貴史が、黒山陣と同点クリーン数の差で勝利
トラブルに泣いた黒山はといえば、なんとその小野と同点。クリーン数の差で勝利はならず、2位表彰台獲得ということになった。結果的に、6戦を終えて3勝、2位3回という、終わってみればまずまずの結果となった。
3位には、前回大会に続き、山形の15歳、浦山瑞希が入った。ランキングも4位に浮上していて、黒山といっしょに10代のIASライダーとなる可能性も出てきた。
2023_R6_IA_resultsダウンロード
レディース
7名が参加のレディースは、なかなかの神経線だった。結果的に、トップ3には5点はひとつもなしという争いになった。
1ラップ目、わずか1点のリードながらトップに立ったのは中川瑠菜(ベータ)。続いてここまで2勝しているポイントリーダーの山森あゆ菜(モンテッサ)が3点、昨年のチャンピオンであるゼッケン1番の楠玲美(ホンダ)が山森と同じく3点、クリーン数差で3位。さらに小玉絵里加(ガスガス)が4点で続く。大接戦だ。
今シーズン2勝目。中川瑠菜が勝利
2ラップ目、流れは変わらなかった。暑い中、小玉が調子を崩して減点を増やし、楠がわずかに減点を増やす間に高校生デュオは1ラップ目の調子を維持した。
中川が1ラップ目も2ラップ目も2点、計4点で勝利。今シーズン3戦目の出場で2勝をあげることになった。
山森は3点と3点で6点で2位。この2戦、ポイントリードを減らしてしまっていた山森だが、これでほぼ元通りに。リードは21ポイントとなって、最終戦で4ポイント(12位)を獲得すれば、ライバルの順位に関係なく初のタイトル決定ということになる。
レディース表彰式。左より2位山森あゆ菜、優勝中川瑠菜、3位楠玲美、4位小玉絵里加、5位寺田智恵子、6位山下実結
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国際B級
ポイントリーダー村田隼(ヴェルティゴ)は、ここまでランキング2位に34ポイントの大差をつけて、この1戦でチャンピオンを決定するであろうと思われていた。しかし、エントリーしていたランキング2位の小原諄也(TRRS)が欠場。この時点で村田のタイトルは決まった。
チャンピオンとしての戦いもバッチリ。1ラップ目は2点のみ、2ラップ目はオールクリーンの快挙で、総減点わずか2点での勝利だった。
シリーズチャンピオンを決めた村田隼
2位に入ったのは神長叡摩(シェルコ)。トータル4点は見事だった。3位には留学中で夏休みのみ全日本参加の辻本雄河(TRRS)が入った。6位までが、トータル一桁減点をマークした。
国際A級昇格争いは、村田と小原がランキング5位以内確定で決定。ランキング3位古市光(ホンダ・今回8位)58ポイント、4位本田隆史(ガスガス・今回25位)50ポイント、5位神長叡摩40ポイント、6位永久保圭(ベータ・今回6位)40ポイント、7位田上拓(モンテッサ・今回24位)35ポイント、8位大櫃千明(モンテッサ・今回23位)33ポイントと、最終戦でもう一波乱ありそうな展開となっている。
国際B級表彰式。左より2位神長叡摩、優勝村田隼、3位辻本雄河、4位中野禎彦、5位林大作、6位永久保圭
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