全日本トライアル第2戦関東大会レポート

全日本トライアル第2戦関東大会レポート 2021年5月30日開催 ツインリンクもてぎ(栃木県) 観客数:3,300人 天気:晴天→雷雨 イベント情報はこちら 開幕戦となった九州大会に続いて開幕第2戦となったのが、関東大会。ツインリンクもてぎの特設コースは世界選手権を開催されるために配置された大岩やコンクリートブロックを、全日本選手権用に手直しして設定され、130名のエントリーを集めて開催された。 なかなかおさまらないコロナ禍の中、エントリーしながら参加を見合わせたライダーもあり、スタートしたのは125名。パドックへの立ち入りは関係者のみとして人と人との接触を極力削減する配慮がとられた。その結果、2ヶ所のパドックに隣接する5つのセクションはお客さまには観戦できないということとなった。関東域でのトライアル大会観戦を楽しみにしていた方々には、よくご理解をいただけて、残るセクションでの観戦を楽しんでもらったようだ。 世界選手権用の大きな素材が要素となっているため、セクションの難度は高めの10セクション。それらを使わないラインを通ることが多いレディース、国際B級は減点数の少ない神経戦となった。 国際A級スーパークラス IAS 優勝:小川友幸 国際A級スーパーは、第1セクションから氏川政哉(ホンダ)、野崎史高(ヤマハ)が失敗5点、黒山健一(ヤマハ)が3点と減点が続出。その中でクリーンをしたのは小川友幸(ホンダ)と小川毅士(ベータ)のふたりだけ。柴田暁(ヴェルティゴ)が1点で抜けて、戦いが始まった。 IAS 優勝:小川友幸 IAS 3位:黒山 健一 黒山は、第2セクションでもゲートマーカー接触の判定で5点、野崎はクリーンをしたが、小川友幸も1点で抜けて、ここで小川は単独トップに立ち、以後、ライバルを少しずつ、確実に引き離していくことに成功する。特に難関だったのは第6セクション以降の後半セクションだが、ここで連続5点を取るライバルを尻目に、小川は確実に3点で抜けていった。1ラップ目の減点は15点、1ラップ目にして2位の野崎に13点差の大きなマージンを築いた。 IAS 2位:野﨑 史高 2位争いはなかなかの接戦。1ラップ目は野崎28点、柴田30点、小川34点、黒山36点と、誰が抜け出してもおかしくない。開幕戦九州大会で2位となった氏川政哉(ホンダ)はミスが多く実力を反映できず、1ラップ目は減点42点で10位に沈んでいる。 トップグループが1ラップ目の中盤の頃から、にわか雨に見舞われた。泥が乗った岩の表面はつるつるとなり、状況はさらに困難となったが、こんな中でもトップはドライと変わらないスコアをマークしていく。 2ラップ目、小川友幸の絶好調は変わらず。小川の2ラップ目の減点は15点。1ラップ目と同じくだった。2ラップ目に減点を減らしてきたライバルが多かったが、それでも小川の15点を上回るスコアをマークした者は現れず。2ラップ目終了時点で、2位に22点の大差をつけた。この後、2セクションによるスペシャルセクション(SS)が残っているが、点差的にはこの時点で勝利は確定した。九州は最後の最後での逆転勝利だったが、今回は最初から王者らしい戦いぶりだった。 2位争いは、黒山が追い上げを見せたものの野崎には届かず、野崎2位、黒山3位、柴田、小川毅士と続くが、野崎から小川毅士までは9点の間におさまった。なかなかの接戦だった。氏川は追い上げたが、トップグループまでは追いつけず、小川毅士に11点差の6位に終わっている。 2ラップのあと行われるはずだったSSの開始直前、雷の接近に伴い協議がおこなわれ、何より安全を考慮して、SSと表彰式の中止が決まり、SSでの逆転劇はなくなって、2ラップ終了時点での結果で、順位が確定した。 2連勝した小川友幸はランキングでも2位以下を大きく引き離した。今回の2位で、ランキング2位に浮上したのは野崎だが、小川はその野崎に17点のアドバンテージを築いている。 ケガのため開幕戦を欠場した廣畑伸哉(ガスガス)がIASデビュー戦、14位に入って、早くもポイントを獲得した。本業のオートレースのインターバルに出場を果たしたの野本佳章(ベータ)は15位で、これもポイントを獲得、来シーズンのIASの席を確保した。 国際A級 IA優勝 村田慎示 九州大会はベテランの実力派の欠場が目立ったが、今回はフルメンバーに近い。そんな中、僅差の戦いを制したのは、九州大会で2位となった村田慎示(ホンダ)だった。 IA2位 本多 元治 2位本多元治(ホンダ)、3位小野貴史(ホンダ)は、ともに今シーズン初参加。早いスタートでライン選びに苦労しつつも、さすがの実力を見せつけて2位、3位を得た。 開幕戦勝利の磯谷郁(ベータ)は4位。ランキングはトップ村田が45点、2位磯谷が38点と、逆転の上に、点差がちょっと開いている。 レディース レディース優勝:西村 亜弥 8名の参加、4名が今シーズン初出場だ。1点を争う神経戦の勝負となったが、序盤に減点のあった西村亜弥(ベータ)が、1ラップ目中盤以降から本領を発揮、2ラップ目は減点なしのオールクリーンで走りきって勝利した。 レディース2位:小玉 絵里加 2位は減点11点の小玉絵里加(ホンダ)。その小玉に同点、クリーン差で3位となったのは、齋藤由美(ベータ)だった。 国際B級…

全日本トライアル第1戦九州大会レポート

全日本トライアル第1戦九州大会レポート 2021年4月25日開催 宮崎県えびの市矢岳高原トライアルコース 観客数:620人 天気:晴天 イベント情報はこちら IAS 表彰式 2021年も、コロナ禍はなかなかおさまらない。そんな中、昨2020年は中止となった九州大会が、2019年と同じ、美しくダイナミックな矢岳高原のトライアルコースで開催となった。 直前に、東京や大阪などで緊急事態宣言が出されるなど、開催に向けてはけっして順調とは言えなかったが、感染防止対策を徹底する一方、断腸の思いでパドックと表彰式はお客さんの立ち入りをご遠慮いただくなどしてのご協力もお願いすることになった。 10セクション2ラップのセクション配置は比較的コンパクトだが、高低差がなかなか。それでも、展望台からは広大な眺めが眼下に広がり、走るにも見るにも、素晴らしいロケーションだった。 国際A級スーパークラス 国際Aスーパークラスの戦いは接戦。神経戦ではあったが、ワンミスが5点につながることも多く、そのあたりのコントロールが課題となったようだ。 1ラップ目は小川毅士(ベータ)が5点でトップ、これに、ホンダでのデビュー戦となる氏川政哉が同点クリーン数差で続く。2点差で3位の黒山健一(ヤマハ)は、今回からニューマシンに乗っている。連覇を続けている小川友幸(ホンダ)はトップと4点差で4位につける。 IAS優勝:小川友幸 2ラップ目、小川友幸と黒山、二人の大ベテランか気迫のこもった走り。10セクションをすべてクリーンして追い上げてきた。氏川も2ラップ目は減点を2点に抑えたが、2ラップを終えてのトップは減点7の黒山となった。2位に8点の氏川、小川友幸が10点で続く。小川毅士は最終セクションの5点で4位まで後退していた。 見晴らしのいいエリアに設けられたふたつのSS、トップグループはまず第1をクリーンして、最後の勝負はSS第2で決することになった。 IAS優勝:小川友幸 / SS2をクリーンで逆転 2ラップ目の下位の順にトライするSS。優勝争いで最初にトライするのは小川友幸からだったが、その小川が、誰もクリーンすることができていなかったSS第2を、美しくクリーン。試合の流れが変わってきた。小川の総減点は1ラップ目から変わらず、10点。 IAS 2位:氏川政哉 氏川は細かいミスが出て、それでも5点にならずにリカバリーしてSS第2を走破した。氏川の総減点も10点だが、小川のクリーン数18に対し、氏川は15。小川の成績が氏川に勝るのは確定した。 IAS 3位:黒山健一 そして最後に黒山。この日の黒山は、1ラップ目にマシントラブルに見舞われている。SS第2でも、中盤の岩から滑り落ちてテープを切って5点。この瞬間、黒山の総減点は12点となり、2021年の開幕ダッシュに成功したのは、ゼッケン1番の小川友幸ということになった。 IAS 優勝:小川友幸 国際A級 IA優勝 磯谷 郁 地元の徳丸新伍(ホンダ)の初優勝なるかと期待を一身に受け、強いプレッシャーを感じていた徳丸は、今回も勝利ならず。優勝は大学生になったばかりの磯谷郁(ベータ)。1ラップ目にトップスコアをマークして、そのまま辛くも逃げ切った。 2位はゼッケン1番村田慎示。磯谷とは2点差だった。その村田からさらに2点差で徳丸が3位に入っている。 レディース レディース優勝:西村 亜弥 6名の参加となったレディースクラス。西村亜弥(ベータ)の強さはあいかわらずだが、今回は特に好調だ。10セクション2ラップを一度も足を着かずに走りきり、オールクリーンで勝利した。 レディース優勝:西村 亜弥 2位は減点20点の小玉絵里加(ホンダ)。小玉に10点差で山中玲美(ホンダ)が3位となった。 国際B級 IB優勝:中野 禎彦 42人が出走、九州の中野禎彦(ベータ)が好走を見せ、1点差で勝利した。惜しくも2位となった浦山瑞季(TRRS)は山形から遠征の弱冠13歳。去年は2度ほどオープントロフィー125クラスに参加していて、国際B級での全日本選手権はこれがデビュー戦。今シーズンが楽しみだ。 3位は米澤健(ガスガス)。レディースに参戦、4位になった米澤ジェシカと夫婦での参戦で、こちらは見事表彰台入りを果たした。