2023年4月23日 熊本県山鹿市矢谷渓谷キャンプ場特設トライアル場 観客数:800人
愛知・岡崎大会に続く2023年全日本選手権第2戦は、九州の熊本・山鹿大会。昨年に続き、矢谷渓谷キャンプ場の特設トライアル場での開催となった。これまで使われていなかったエリアもセクションとして登場し、昨年とはちがう、新鮮な印象の会場配置となっていた。
天候は土曜日から気持ちのいい好天気。朝夕は肌寒かったが、日中は暑からず寒からず、絶好のトライアル観戦日よりとなった。こんなに気持ちのいいトライアルデイも、久しぶりだ。
セクションはいくつか難度の高いものがあるということだったが、雨の中での前例が多かったため、路面が乾けば意外な神経戦になるのではないかという予測もあった。いずれにしろトライアルは、始まってみなければわからない。
国際A級スーパー
序盤好調だったのは前回勝利の氏川政哉(ホンダ)と、電動マシンの成長にすべてのパワーを注ぐ黒山健一(ヤマハ)。ふたりは第3セクションまでをクリーン、第4セクションの(昨年のSSだったもの)で初めて5点となった。その第4を、唯一クリーンしたのが柴田暁(TRRS)だった。このクリーンで柴田が逆転トップ。第5で唯一黒山がクリーンして再び黒山がトップ。しかし残るセクションを5点なし、最小減点で走り抜けたのはV13のかかる小川友幸だった。
1ラップ目でトップに立った小川友幸
1ラップ目のトップは小川で14点。2位に2点差で黒山、さらに2点差で柴田。氏川は柴田に遅れること5点差で4位で試合を折り返した。
電動トライアルバイク、TY-Eで参戦する黒山健一
2ラップ目、今度は小川が好調を取り戻した。難関のヒルクライムもクリーンの快進撃だ。小川に続いて調子を上げてきたのが、1ラップ目5位の野﨑史高(ヤマハ)だった。しかし小川は、野﨑以下を寄せ付けず、2ラップ目を5点二つで切り抜けて暫定トップでSSを迎えることになった。
2ラップ目の2位は野﨑だったが、1ラップ目とトータルすると、SS前の2位は柴田だった。柴田の減点は33点。小川とは7点差。数字的には逆転の可能性はある。暫定3位は氏川。氏川は柴田に5点差で、ここにも逆転の可能性があった。しかし4位に野﨑史高が追い上げていて、氏川と野﨑は1点差。さらに野﨑に2点差で黒山が続いていた。2位から4位まで、SS次第で順位はどう変わっていくか、わからない。
キレのあるライディングを見せ続けた柴田暁
SSは、新しい試み。SS第1とSS第2が同じセクションで、第1と第2でゲート設定を変更する。セクションの見どころもそれぞれだが、ギャラリーはSS第1と第2を移動しないで観戦できるメリットがあった。
SS第1を最初に走破したのは久岡孝二(ホンダ)。9位でSS進出を果たしたが、これで逆転の目が出てきた。その後また5点が続き、次にここを走破したのが黒山だった。川の流れの音がさわやかな渓谷のキャンプ場に、電動のヒューンという動作音が響く。
黒山の後のトライは氏川。2連勝の夢はすでに断たれているが、このまま2位で終わるのか、氏川の走りは力強いものだった。クリーン! これはあとに続く柴田にも大きなプレッシャーを与えることになった。
氏川政哉は2位
そして柴田。なんとゲートを飛ばして5点。これで氏川と柴田が38点の同点となった。クリーン数は氏川の方が多く、氏川が有利な展開となった。
最後のトライの小川は勝利が決まっていてプレッシャーのない状態だったが、なんと5点となって、SS第1は終了した。
SS第2、今度は大岩が目玉となったが、SS第1より走破するライダーが増えた。磯谷玲が3点、久岡が1点、そして今日はついに本領を発揮できずに終わろうとしていた小川毅士が、見事なクリーンをたたき出した。
黒山が、再びモーター音を響かせて1点、黒山は野﨑を逆転して、4位浮上を果たした。5位が決まってしまった野﨑は5点となった。
大接戦の2位争い。最初にトライするのは、SS前に暫定3位だった氏川。ここでも氏川は気合いの入ったトライでクリーン。これで柴田のトライを待つことなく、自力で2位獲得を決めた。柴田は3点。それでも、開幕2連続表彰台獲得だ。
小川友幸は、最後に華麗なトライを見せて有終の美を飾るのが決まり手。今日も美しいトライを見せてくれるかと期待されたが、1回足が出てトータル減点32。2位氏川に6点差での勝利となった。
IAS優勝の小川友幸。左は2位の氏川政哉
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国際A級
開幕戦を3位で終えて、次は必ず勝つと宣言していた黒山陣(スコルパ)。第5セクションで5点となったが、他は最小減点で1ラップ目からトップ。2ラップ目は5点の一つもなく、唯一両ラップを一桁減点で走りきって勝利を決めた。2位にはちょうどダブルスコアの差をつけていた。13歳の黒山の勝利は、国際A級最年少勝利記録となった。黒山は、もちろんランキングトップにも躍り出ている。
IAクラスは13歳の黒山陣が初優勝
2位は田中裕人(ホンダ)。久々に参戦の開幕戦から、今回は勝ちに行くということだったが、黒山に差をつけられての2位となった。3位は砂田真彦(ホンダ)。
九州の徳丸新伍(ホンダ)が4位、開幕戦を欠場した小谷徹が5位で、山形から遠征、15歳の浦山瑞希が6位入賞した。
今回は勝利に自信を持っていた黒山陣
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レディース
3人のみの参加でちょっとさびしい戦いとなったが、山森あゆ菜(モンテッサ)が切れ味のいい走りで勝利。5点ひとつもなしの絶好調だった。
レディースクラスは山森あゆ菜が第2戦を勝利
いつも笑顔の米澤ジェシカ(TRRS)は山森に31点差となった。
開幕戦で勝利した小玉絵里加(ガスガス)のエンジンがかからないというトラブルが発生。パドックに戻して修理を試みるが断念。可能な限りマシンを押して申告5点でセクションを回ろうとするが、この際に他人の力を借りたという規則違反で失格となった。
ランキングトップは山森だが、山森に8点差のランキング2位が米澤、小玉が米澤に5点差、小玉に5点差で中川瑠菜と続いていて、なかなかの接戦だ。
優勝は山森あゆ菜(右)2位の米澤ジェシカ(左)
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国際B級
開幕戦勝利の村田隼が2連勝。厳しい戦いだったというが、同じ中部の山田敬典に3点差で勝利した。3位は地元熊本の辰己貴俊が入り、4位に鹿児島の後藤研一、5位に11歳の永久保圭、6位に古市光と、6位までは4人の中部勢、二人の九州勢に占められた。
Vertigoを走らせるIB村田隼
IBクラス連勝、村田隼
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2023年4月2日 愛知県キョウセイドライバーランド 観客数:1,800人
2023年の全日本選手権は昨年同様にキョウセイドライバーランドで開幕した。去年までは中部大会とタイトルがついていたが、今年からは愛知・岡崎大会と呼ばれることになった。表彰式には中根康浩岡崎市長も臨席、地域の特産品なども紹介されて、地元岡崎市とのリレーションシップがより強固になった全日本トライアルとなった。
事前の天気予報では当日はまちがいなく雨ということで、滑るキョウセイでのサバイバルな戦いが予想されたが、当日が近づくにつれて予報も好転。朝はちょっと肌寒いながらもいいお天気。走るほうも観戦するほうも、なかなかのトライアル日和となった。しかし予報では、この地域は午後から雨雲の訪問を受けるということで、それがいつなのか、はたしてほんとうに雨が降るのか、雨雲が勝負の行方を握るのか、運を天に任せてスタートするライダーも多かったようだ。
国際A級スーパー
1ヶ月半のスペイン修業から帰ってきて、その成果をアピールしたい氏川政哉(ホンダ)、ヤマハからホンダにマシンをスイッチした久岡孝二など、新しいシーズンにふさわしい話題は多かったが、圧倒的に注目を集めたのが、黒山健一とヤマハTY-E 2.1だった。電動マシンが、初めて全日本選手権を走る記念すべき1戦となった。
初めて全日本選手権を走る電動トライアルマシン
東京モーターサイクルショーで、黒山とヤマハTY-Eが走る姿を目撃した人も多いかと思われるが、ちゃんとした実戦でこのコンビネーションを見た人はほとんどいない。黒山とTY-Eはこれまでに5戦の実績があるが、いずれも世界選手権が舞台だった。
黒山の第1セクションは5点。しかしスコアはともかく、IASでも失敗するライダーが多いポイントを美しく走破していく様を見せ、たとえ5点になっても多くの驚きと拍手を呼び込みながら、黒山は電動トライアルライダーとしてスタートを切った。
電動マシン、YAMAHA TY-E 2.1を駆る黒山健一
前日の下見では、意外に減点数は押える戦いになるのではないかという読みもあったが、第1セクションをクリーンしたのは氏川と武井誠也(ホンダ)の二人だけ。野﨑史高(ヤマハ)が3点となった以外は、みな5点という厳しい滑り出しとなった。
序盤、クリーン、1点、クリーンと好調だったのが氏川。11連覇V13を狙う小川友幸(ホンダ)は、第1セクションから5点、第3でも3点を失うなど、本来の正確なライディングができていないように見える。野﨑史高(ヤマハ)は5点が少ない代わりに細かい減点が大目、柴田暁(TRRS)、小川毅士(ベータ)は序盤2セクションで連続5点を喫して幸先が悪い。柴田はその後調子を上げていったが、小川毅士はついに調子が出ないまま1ラップを終えてしまった。
1ラップ目のトップは氏川で22点、2位につけたのはなんと電動マシンをデビューしたばかりの黒山だった。マシンもまだこれからというところも多く、ライダーもまだまだなれなければいけないことが多い。それでも、第1戦にしてエンジンマシンを相手にほぼ互角の戦いが見せられているというのは、本人には大きな収穫となったに違いない。見る者はその活躍ぶりにびっくりだ。
序盤から好調だった、氏川政哉
小川友幸は過去にない不調といいながら、氏川に5点差で1ラップ目を折り返した。
2ラップ目、氏川はわずかにライバルよりも好調をキープ。本人としてはもっと減点を減らした走りをしたかったようだが、それでも10セクション2ラップを走り終えて、2位小川友幸に8点差。SSを前に、開幕勝利が見えてきた。
2位には小川友幸が上がってきていた。氏川との点差8点は可能性はゼロではないが逆転もむずかしい点差だ。3位は黒山で、小川との点差もおなじく8点だった。
11連覇V13を狙う小川友幸
黒山以下は接戦だった。黒山と野﨑が62点で同点(クリーン数は黒山が勝る)、柴田が64点、2ラップ目に復調した小川毅士が68点。SSの結果次第では、この4人に表彰台のチャンスがあった。
SS第1はタイヤや岩を越えた後、ヒルクライムを上っていく設定。今回は第6セクションに極大ヒルクライムが用意されていたが、それよりは低くなだらかで、しかし細かいテクニックが必要そう。
このSS、しかしヒルクライム以前に玉砕するライダーが多く、抜けられたのは柴田だけだった。そんな中、黒山がタイムオーバーで5点ながら最後まで走りきって、ここでも電動マシンの可能性を見せつけた。
上位陣がそろって5点となったので、氏川の優勝はこの時点で決まった。小川友幸の2位も決まった。3位争いは柴田が黒山、野﨑を逆転。そして勝負は最後のSS第2に移った。
SS第2は、入口に巨大な岩への飛びつき、その後降りて上って降りて上って上ってアウトという設定。ダイナミックな大岩への飛びつき、細かいテクニックを要す下りや木の根の処理、最後の土の斜面と鬼門は多かった。1分半の時間内にセクションアウトできるかどうかも問題だ。
しかしここでは、3番手にトライした久岡が3点で抜けると、武井、小川毅士と3点。上位陣にはクリーンの可能性も出てきたが、同時に何人かが走ってわだちが掘れてくるなどの問題も出てくる。
柴田が2点のあと、野﨑が1点で抜けた。両者は同点で、クリーン数の差で、野﨑が再び柴田を逆転して3位争いが混とんとしてきた。続く黒山が1点以下で抜ければ、黒山が再々逆転で表彰台を得ることになる。しかし黒山は惜しくも2回の足つきを喫して、黒山は5位に。去年までの黒山なら、5位はかなり厳しい結果ということになるが、今年は大きな可能性を見せてくれての、さらに将来が楽しみな5位となった。
SSで逆点、3位の野﨑史高
そして最後の二人。まず小川友幸が美しくクリーン。さすが小川友幸というライディングが最後に発揮された。すでに氏川の勝利は決まっているが、小川のクリーンを目の当たりにして、ここで失点をするわけにもいかない。すると氏川は、今日一番の自信たっぷりの走りを見せて、自身の優勝に大きな華を添えるクリーン。開幕戦は政哉デイとなった。
開幕戦の勝利。氏川政哉
左から、2位の小川友幸、優勝氏川政哉、3位野﨑史高、4位柴田暁、5位黒山健一、6位小川毅士
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国際A級
古くからのトライアルファンにはなつかしい名前が目白押しのこのクラス。マシンをヴェルティゴにスイッチした加賀国光、優勝引受人の本多元治(ホンダ)、2021年IAチャンピオンの村田慎示(ホンダ)、去年まで廣畑伸哉(今年は1年間のスペイン修業に出た)のアシスタントを務めた田中裕人(ホンダ)……。大ベテランばかりで、若手には厳しい戦いだ。
優勝は加賀。1ラップ目序盤にふたつの5点を取りながらよく挽回。雨が降ってコンディションが悪化した2ラップ目に減点を減らしての勝利だった。2位は本多元治。加賀とは2点差。最終セクションの5点が2点以内だったら、本多が勝利していたかもしれなかった。
IAクラス優勝、加賀国光
3位には、若き黒山陣(スコルパ)が入った。今年はチャンピオンを目指すという黒山は、加賀から13点ほど点差をつけられたものの、並み居るベテランを押えて表彰台を得た。黒山は、昨年近畿大会以来、2度目の3位表彰台獲得だ。
10歳で国際A級に昇格した黒山家の三男の太陽(たお)は、11歳で初めての全日本IAクラス参戦、3点一つタイムオーバー2点でオール5点相当の100点ちょうど。41人中最下位の結果だった。3点でも2点でも抜ければガッツポーズと試合前に話していたが、ガッツポーズは次回にお預け。
IA表彰式。左から2位本多元治、優勝加賀国光、3位黒山陣、4位田中裕人、5位村田慎示、6位森岡慎哉
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レディース
レディースクラスは大接戦。1ラップ目のトップは山森あゆ菜(モンテッサ)で15点、これに続いたのが、マシンをガスガスにスイッチした小玉絵里加で16点。チャンピオンの楠玲美(ホンダ)と中川瑠菜(ベータ)が21点でこれに続いた。
2ラップ目、IASのトライに巻き込まれて時間が押せ押せ。早周りをした楠、山森はタイムペナルティなしでゴール。楠が38点、山森はわずか1点差の39点。じっくりトライを続けている小玉と中川のスコアを見守ることになった。
最終セクションをクリーンした中川は32点。次に最終セクションをトライした小玉は5点で、トータル34点。しかし両者にはタイムペナルティがあり、中川6点、小玉4点の減点が加算された。
大接戦のレディース。クリーン差で優勝した小玉絵里加
結果、小玉、中川、楠の3人が38点で並ぶことに。勝負はクリーン差で決着がつくことになった。小玉のクリーンが7。中川が6、楠が5と、ここでも僅差だったが、2023年初の勝利は小玉に軍配。実力伯仲のレディースクラスの顔ぶれの中、ただひとり2勝したライダーとなった。
レディース表彰式。左から2位中川瑠菜、優勝小玉絵里加、3位楠玲美、4位山森あゆ菜、5位伊藤沙樹、6位米澤ジェシカ
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国際B級
新しいシーズンを迎えて、今年は誰が強いのか。今回が2023年の試金石となる。
1ラップ目、ベストスコアは14点。関東選手権のチャンピオン最右翼の小原諄也(TRRS)と、同じく中部選手権のチャンピオン最右翼の村田隼(ヴェルティゴ)。2ラップ目もこの二人は好調だったが、より確実に減点を押えた村田が、全日本デビュー戦にして初優勝となった。…
2022年10月23日 宮城県柴田郡スポーツランドSUGO 観客数:1,200人
久しぶりに、中止、延期、日程変更のないシーズンとなった2022年が、宮城県スポーツランドSUGOで幕を下ろすことになった。IASはこれが8戦目、その他のクラスは7戦目の全日本選手権となる。
今回も、天気予報は日曜日の昼から雨という予報を伝えていた。雨は土曜日のうちに激しく降り、さらに日曜日の朝いちでぱらっと降り、その後は晴れ間が見えてあたたかくもなって、なかなかの観戦日より。しかし2ラップ目終盤からSSにかけて短時間ながらそこそこの雨降り。今年はなかなか1日中晴れることのないシーズンだった。
10セクション2ラップとSSという、いつものとおりの試合形態。レディース、IB、OT125は8セクション2ラップでの戦いとなった。スタートするや、第1セクションで渋滞発生。列は長く、30分〜40分はここで時間が消費されていく。
例年、SUGOのセクションは難易度が低めだが、その分、確実に走らなければ成績を出すのはむずかしい。難度が高かったのは第4セクションと最終セクション。その他の8セクションはクリーンすることがトップ争いの条件となった。
国際A級スーパー
1ラップ目のトップは、鬼門の二つのセクションの他、二つのセクションで減点1をとった小川友幸(ホンダ)。小川に4点差で黒山健一(ヤマハ)。黒山は5点3つのほか、7つのセクションでクリーンをたたき出した。
安定したライディングを続け、優勝した小川友幸
2位になった黒山健一、ランキング2位をキープ
前回初優勝した氏川政哉(ホンダ)は、1ラップ目に4つの5点を喫して、黒山に5点差で1ラップを終えた。氏川に2点差で野﨑史高(ヤマハ)、さらに野﨑に3点差で柴田暁(TRRS)、柴田に1点差で小川毅士(ベータ)、小川に1点差で久岡孝二(ヤマハ)、久岡に2点差で武井誠也(ホンダ)と6人が8点の中にひしめく1ラップ目となった。あわや全員が5点かと思われた最終セクションで、柴田が叩き出したクリーンは見事だったが、柴田はクリーンすべきセクションでの5点が痛かった。
3位になった氏川政哉
2ラップ目、各ライダー、それぞれ1ラップ目の経験をもとに、より精度の高い走りをかたちにしてきた。中でも、5点なし、3点一つと1点一つで10セクションを走り抜けた小川友幸はすごかった。それでも小川は、第4セクションをクリーンできなかったことが悔しい様子。2ラップを終えて、2位の黒山にはちょうど10点差。ふたつのSSのどちらかを3点で抜ければ、小川の勝利が決まる計算だ。
黒山は、難関の第4と最終を抜け出ることができず。しかしそれ以外はすべてクリーンした。ふたつの鬼門セクションを両方抜け出たのは、小川の他には氏川がいた。氏川もまた、2ラップ目は5点なし。小川の4点に次ぐ7点をマークして黒山を追いつめる。黒山とは2点差。
SSは、複雑な岩の上を渡っていくもので、SS第1とSS第2は同じセクションを逆走する設定だった。
SS第1はトップライダーの多くがクリーン。これで小川の最終戦勝利を始め、逆転の可能性の多くが消えた。残る勝負は、黒山と氏川の2位争い、野﨑と柴田の4位争い。2位争いは2点差、4位争いは1点差の戦いだった。
野﨑は雨に濡れたコンクリートブロックを斜めから飛びつき2点でここを抜け出した。これが柴田にはプレッシャーとなり、柴田はこのポイントで5点。最後の最後で野﨑に4位の座を明け渡すことになった。
波のあるシーズンだった。最終戦の野﨑史高は4位
2位争いは、氏川が大岩までジャンプしてクリアする作戦をとって盛り上げるが、これは飛距離が足りずに失敗。黒山のトライを待つことなく、黒山2位、氏川3位が決まった。
最後を走る小川は、野﨑と同じように斜めからコンクリートブロックに飛びついたが、野﨑の2点に対し小川は1点で通過。王者の風格を見せつけて、2022年シーズンの幕を下ろした。
優勝小川友幸(中央)2位黒山健一(左)3位氏川政哉(右)
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国際A級
田中善弘(ホンダ)と永久保恭平(ベータ)によるチャンピオン争いは、前戦まででその差が15ポイントに広がり、永久保が優勝しても田中が5位以上なら田中のタイトル獲得が決まる計算だ。ここまで4勝して4位より落ちたことがない田中にすれば、タイトル獲得は確実と思われた。
圧勝した田中善弘
田中は、10セクション2ラップを5点はおろか、2点もなし。2ラップ目にはオールクリーンも狙ったという好調ぶりで圧勝。永久保もきっちり表彰台に上ったのだが、田中3点に対して永久保19点ではさすがに勝負があった。
3位には、2020年IBチャンピオンの中山光太(ベータ)が入った。4位はこれも若手の福留大登(ガスガス)。福留は今回の4位でランキング5位となり、国際A級スーパーを走る道が開けた。
6位に、国際B級でチャンピオンを決め、再昇格の申請をした宮崎航が入っている。
国際A級シリーズチャンピオン、田中善弘
優勝田中善弘(中央)2位永久保恭平(左)3位中山光太(右)
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レディース
小玉絵里加(ホンダ)と山中玲美(ホンダ)の1ポイント差でのチャンピオン争いが注目されたレディースクラスの最終戦。ほぼ、この大会で上位につけたほうが新チャンピオンになる構図だ。
優勝は、今シーズン2度目の出場の元国際A級の片桐真理子(ベータ)。1ラップ目3点、2ラップ目1点と、ほぼ完璧な勝利だった。
ベテランライダー片桐真理子の完璧な勝利
2位にはソアレス米澤・ジェシカ(TRRS)。2ラップ目の3点は素晴らしいスコアだった。とはいえ、2位から6位までは7点差という大接戦だった。
山中はソアレス米澤に4点差、3位の山森あゆ菜(ベータ)に2点差で4位となった。しかし小玉が6位となったことで、山中は2点差で新チャンピオンの栄冠をつかんだ。山中と小玉は3点差。5位には、山中に1点差で前戦優勝の中川瑠菜が入っている。
シリーズチャンピオン獲得、山中玲美
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国際B級
宮崎航(ベータ)が国際A級に再昇格し、最後の戦いはチャンピオン不在となった。
優勝は、開幕2戦を欠場した岡山の小椋陽(モンテッサ)。宮崎に勝てぬままシーズンが終わったのがくやしいというが、来年は舞台を国際A級に移して戦いが続く。
岡山県の小椋陽が優勝
2位に藤堂慎也(モンテッサ)、3位に川添蒼太(ホンダ)と、久々に若手が表彰台を独占した。
シリーズチャンピオン宮崎航。今回は国際A級クラスを走り6位に
優勝小椋陽(中央)2位藤堂慎也(左)3位川添蒼太(右)
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オープントロフィー125
栃木の国内A級、神長叡摩が出場。まだ12歳で、将来が楽しみだ。神長のスコアは、国際B級の31位相等だった。
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2022年10月9日 和歌山県湯浅町湯浅トライアルパーク 観客数:800人 全8戦で開催される2022年全日本選手権も終盤戦。IASはこれが第7戦、他のクラスは6戦目の戦いとなる。
湯浅町の山あいにある湯浅トライアルパークでの全日本大会は、昨2021年にはコロナ禍で中止となっているので、今回は2年ぶりの開催となる。
今回も、天気予報は雨まじり。午後から雨という予報は正確で、正しく昼過ぎから雨が降り始め、国際A級や国際A級スーパーの後半は雨の中の戦いとなった。
国際A級スーパー
国際A級スーパーに昇格して5年目、ホンダのファクトリーマシンに乗って2年目の19歳、氏川政哉が全日本初優勝。去年から、いつ勝ってもおかしくない戦いっぷりを続けてきたが、ようやくの勝利となった。
氏川政哉、今回は文句なしの勝利
氏川は、1ラップ目2ラップ目ともにトップ、SSでも両セクションを1点で切り抜け、文句なしの勝利だったが、個々のセクションでは思い通りに走れない5点もあって、苦しみながら勝利を目指すことになった。
ランキング争いのトップを独走する小川友幸(ホンダ)は氏川を追うスコアで逆転優勝を狙っていた。SSを前にして氏川と5点差。こういうケースで、ここまで逆転勝利を飾ったことのある小川だったが、今回は失敗した。SS第1で1点、SS第2で5点となった。特にSS第2の5点は、黒山健一(ヤマハ)にも逆転され、小川の最終順位は3位となった。
3位になった小川友幸
それでも小川は、ランキング争いで黒山に15ポイントの大差をつけている。最終戦で5位に入れば、黒山の順位如何にかかわらず、小川のタイトルが決定する計算だ。
黒山健一は今大会2位、ランキングも2位にいる
今回の4位は、世界選手権にフル参戦して帰国した小川毅士(ベータ)、5位には第6戦で勝利してはずみをつけたかった野﨑史高(ヤマハ)、6位に柴田暁(TRRS)が入った。柴田はSSまでは7位だったが、SS第2をクリーンしたことで廣畑伸哉(ガスガス)を逆転した。廣畑は5位に5点差の6位でSSに臨んだが、ふたつのSSを失敗したことで7位に甘んじることになった。
今回は18名が出場、村田慎示(ホンダ)が、今シーズン初めてのSS進出を果たしている。
優勝した氏川政哉(中央)2位黒山健一(左)3位小川友幸(右)
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国際A級
田中善弘(ホンダ)と永久保恭平(ベータ)によるチャンピオン争いは両者一歩も引かず。しかしこの近畿大会で田中が初めて連勝、ポイント差を15点に広げて、タイトル争いの覇権を握った。田中は1ラップ目も2ラップ目もトップを守って勝利。永久保は1ラップ目は田中を追う2位につけたが、2ラップ目に追い上げならずで4位に甘んじた。
連勝する田中善弘
2位は今シーズン3度目の出場になる本多元治(ホンダ)。今回は勝利ならずだったが、今回の2位でホンダはランキング3位に躍り出ている。
3位は、中学生ライダーの黒山陣が入った。国際A級2年目の黒山は、これが初めての表彰台獲得。ランキングは6位。IAS昇格の条件のランキング5位まで、あと3ポイントに迫った。
国際A級表彰式。優勝田中善弘(中央)2位本多元治(左)3位黒山陣(右)
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レディース
北海道大会以降、このクラスは毎回新しい勝利者が誕生している。今回のニュー・ウイナーは、高校生の中川瑠菜(ベータ)だった。今回は、1位から4位までが1点差という大接戦となった。
高校生ライダー、中川瑠菜が全日本レディースクラス初優勝。
ランキングトップの小玉絵里加(ホンダ)はペースを乱して優勝争いに加われず6位。小玉とチャンピオン争いをしている山中玲美(ホンダ)は、1ラップ目はぶっちぎりの好スコアをマークしたが2ラップ目に失敗が相次いだ。それでも3位入賞したことで、両者のポイント差はわずか1点。最終戦SUGOが文字通りの最終決戦となる。
レディース表彰式。優勝中川瑠菜(中央)2位ソアレス米澤ジェシカ(左)3位山中玲美(右)
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国際B級
宮崎航(ベータ)が今シーズン5勝目を獲得。ランキングでも2位に倍近いポイントを獲得したことで、2022年チャンピオンも決まった。宮崎にとっては、全日本の初タイトルとなった。
今季5勝目。最終戦を前に2022タイトルを確定した宮崎航。
しかし地元和歌山の大ベテラン和田弘行(ガスガス)が1ラップ目にトップをとり、宮崎を脅かす存在となった。和田は2ラップ目に3つの5点で減点を増やし、宮崎の連勝を阻むことができなかった。
3位以下には若手の藤堂慎也(モンテッサ)、小椋陽(モンテッサ)、清水寧郁(スコルパ)、吉本由輝(スコルパ)が並んだ。ランキング争いは2位から5位までが6ポイント差と接戦だ。
国際B級表彰式。優勝宮崎航(中央)2位和田弘行(左)3位藤堂慎也(右)
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オープントロフィーOV50
全日本選手権に併催で組まれている50歳以上のIA・元IAによるOV50は、国際B級と同じセクションを走る。
優勝は兵庫の喜岡修(モンテッサ)。1ラップ目は同点だったが、2ラップ目に喜岡が逃げ切って勝利。広島の三浦直喜(TRRS)が2位となった。
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2022年9月4日 広島県三次市灰塚ダムトライアルパーク 観客数:1,500人
IASのみで開催された第5戦シティトライアルジャパン大会をはさみ、全日本選手権第6戦中国大会は灰塚ダムトライアルパークでの開催となった。中国大会は2020年、2021年と原瀧山トライアルパークでの開催予定だった大会が中止となっているので、3年ぶりの開催ということになる。灰塚ダムトライアルパークでの開催も、やはり3年ぶりだ。
事前の予報では当日はまちがいなく雨が降るということで、主催者はセクションの設営に悩み、ライダーは濡れた岩が強烈に滑ることに頭を抱えていたが、なんとまたしても天気予報はいいほうにはずれ、当日は曇りで始まり、途中は太陽がさんさんと輝いて暑さと戦わなければいけない好天候となった。
国際A級スーパー
シティトライアル大会で思わぬ苦戦となった小川友幸(ホンダ)は、中国大会で再び流れを変えるべく、必勝の構えだった。しかし第1セクションをクリーンしたあとの第2セクション、小川は入口の比較的難度が低いと思われるポイントで5点。またしても苦戦の戦いとなってしまった。
ポイントリーダー小川友幸は2位
試合の滑り出しは氏川政哉(ホンダ)がよかったものの、第4セクションで5点になると、第5、第7、第9、第11と半分のセクションで5点となり、さらにタイムオーバーも5点という万事休する展開。ふたつの5点で1ラップを走りきった黒山健一が(ヤマハ)が、1ラップ目のトップに出た。黒山は、1週間前のフランスGPにTY-E 2.0で出場、帰国したばかりだ。小川は前半5セクションで3つの5点を喫したが、その後しっかり立て直して黒山と同点の2位。やはり5点3つの柴田暁が19点で1ラップ目3位につけている。
柴田暁、3位表彰台
2ラップ目、暑さはいよいよ本格的。ときおり雲が出て風が吹けばしのぎやすくなるも、太陽が出て風が止むと、じりじりと暑くて体力を奪われていく。多くのライダーが手を攣り足を攣り、苦しげにトライを続けている。
1ラップ目、全員が5点となった第5セクションを、唯一1点で通過したのが黒山。これは見事なトライだった。しかし黒山は第3で5点となっていて2ラップ目を6点で終えた。2ラップ目にトップスコアをマークしたのは、第5セクション以外を全部クリーンしてきた野﨑史高(ヤマハ)だった。野﨑は1ラップ目に26点で4位と出遅れていたが、こつこつと追い上げてきた。それでも2ラップを終えてのトップは黒山の22点。野﨑は4点差の2位だ。
2ラップを終えたところでトップに立った黒山健一
ところが野﨑と同点の22点は、ほかにもいた。小川と柴田暁(TRRS)だ。柴田はクリーン数差で劣っていたが、小川はクリーンも1点も2点も3点も野﨑といっしょ。順位は競技所要時間が短いほうが上位という規則で、野﨑が2位、小川3位、柴田4位となっている。このあとSSが控えているので、トップの黒山を含めて、逆転劇があるかもしれない。
この日のSSは、最近の傾向からすると難度は低め。となると、このままの順位で決定するかと思われたのだが、なんとSS第1の、しかもインで黒山が失敗。これは大波乱だった。結局、黒山以外の上位6名はSSのふたつをクリーンした。しかし順位が動かないのではないかと見られていたSSで優勝者が変わり、黒山は、これトップから4位まで転落してしまった。
優勝した野崎史高
ランキングでは、小川がリードを19点として、前回詰められたポイント差をやや回復した。2戦にわたって苦戦が続いた小川だったが、それでも連覇への道が、少しずつ具体性を帯びてきた。野﨑は今回の勝利で、ランキング2位の黒山に6点差と迫っている。
1位野崎史高(中央)2位小川友幸(左)3位柴田暁(右)
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国際A級
田中善弘(ホンダ)と永久保恭平(ベータ)、元IAS二人によるチャンピオン争いが、だんだんと熾烈になってきた。前回、北海道大会では永久保が2勝目をあげ田中が4位となったが、今回はその反対の順位となった。二人のタイトル争いは、一歩も引かぬシーソーゲームが続いている。
国際A級は田中善弘の圧勝
2位はベテラン小野貴史(ホンダ)。トップの田中には倍以上の差をつけられてしまったから、いかに田中が減点を抑えてきたか、ということになる。それでも田中は2ラップ目にわずか減点を増やしたことで、勝利の確信を持てずに後続のゴールを待つことになった。
3位は香川の三野明飛夢(ガスガス)。5位に山本直樹(シェルコ・鳥取)、6位に尾藤正則(シェルコ・岡山)、10位に伏見裕貴(ホンダ)と、四国・中国のもよりの選手の活躍が光った。
1位田中善弘(中央)2位小野貴史(左)3位三野明飛夢(右)
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レディース
このクラス創設に尽力した小玉絵里加(ホンダ)が、ついに全日本選手権初優勝を果たした。今回のレディースセクションは合計減点の少ない設定で、減点は1点でも痛い、5点は致命的という状況で、のしかかるプレッシャーによく耐えて、小玉は3点差を死守して初勝利を得た。
全日本初勝利、小玉絵里加
3位は中川瑠菜が、初表彰台を獲得している。ランキング争いを見ると、小玉はこれで7点のポイントリードを持って、ランキングトップに躍り出た。
1位小玉絵里加(中央)2位山中玲美(左)3位中川瑠菜(右)
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国際B級
宮崎航(ベータ)がオールクリーン達成でシーズン4勝目をマークした。宮崎のトライアル人生で、初めてのオールクリーンだった。
オールクリーンで優勝。宮崎航
2位には黒山太陽(スコルパ)が入った。3位は3年ぶりの全日本出場という小倉功太郎(ホンダ)、岡山の小椋陽(モンテッサ)が3戦目で初めて表彰台を逃して4位となった。
1位宮崎航(中央)2位黒山太陽(左)3位小倉功太郎(右)
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オープントロフィーOV50
50歳以上のIA、もしくは元IAが出場できるOV50は、国際B級と同じセクションを走って勝負を決める。
優勝は兵庫の喜岡修(モンテッサ)。倍以上の点差が開いてしまったが、広島の三浦直喜(TRRS)が2位となった。
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2022年7月17日 北海道わっさむサーキット 観客数:716人
7月の全日本選手権は北海道。コロナ禍で去年一昨年と2年続けて中止になっていたが、2022年第4戦は、3年ぶりに北の大地に返ってきた。
天気予報は、またしてもまたしても雨予報。しかし当日の朝、雨は降らず、午前中のうちは天気は持ちそう、ということになり、セクション設定も天候に翻弄されることになった。今回は7セクションが用意され、これを3ラップ、SSのあるIASをのぞくすべてのクラスが、21セクションで勝敗を競うことになった。
晴れ設定を雨設定に、当日になってできる範囲で晴れ設定に戻したというセクションが、天候の変化とともにどんな結果をもたらすのか、スタートする頃には、太陽も顔を出し、北海道の夏らしい陽気になっていった。
国際A級スーパー
第3戦で圧勝とも言える勝ちっぷりを見せた小川友幸(ホンダ)は、今回もすばらしい走りを見せた。減点は最小限、5点となる失敗は一つもなかった。1ラップ目2ラップ目はラップ3点、3ラップ目はオールクリーンと、7セクション3ラップを終えた時点ですでに文句なく勝利を決めた。
雨が降る前に早めにセクションをトライしていった小川友幸、3連勝
この日の小川は、雨が降ることを想定して、少しでも条件がいいうちにトライを進めるべく、いつもよりかなり早周りして試合を進めた。この小川の早周りに引っ張られるように、今回は全体的に試合のペースが早かった。結局、雨が降ったのはほとんどのライダーが3ラップを終えようという頃で、小川は完全にドライなうちに3ラップをゴールした。
難関だったのは、晴れていても水が湧き出して地面が湿っている第4セクション。小川はここを1点2点クリーンと最小減点で走破したが、他にここをクリーンしたライダーはなし、いかに5点にならずにここを抜けられるかが2位争い以下の勝負となった。
2位争いは、世界選手権T2に参戦中の小川毅士(ベータ)を中心に展開された。1ラップ目は黒山健一(ヤマハ)が2位、毅士が1点差の3位。2ラップ目になり、黒山が第4での5点に続いて第5でも3点となると、毅士に2位を奪われ、さらに2ラップ目をクリーン6(減点したのは第4での3点のみ)で追い上げてきた氏川政哉(ホンダ)に3位も奪われた。
優勝の小川に大差をつけられたが、氏川政哉は2位
3ラップ目、毅士がポジションを守れるかどうかの戦いとなったが、氏川は再び第4以外をクリーンして追い上げた。毅士は第4で5点、最終第7で1点を失い(この頃、ちょうど雨が降り始めていた)政哉と毅士は同点(クリーン数で政哉が上位)となった。
優勝は小川友幸で決まり。SSでの勝負は、2位争いの二人に、5点差の黒山がどうからむかが興味の的となった。この頃には雨は本格的に降っていて、特にSS第1は滑る岩から発進して岩に上がるポイントが難所になった。ここを抜けたのは、黒山健一と小川友幸のみ。どちらも1点の足つきで走破している。
氏川、毅士ともに5点となったため、2位争いは大接戦。氏川と毅士が24点、黒山が25点に迫った。入口の岩を回り込むポイント、中盤の大ブロックから飛び降り、最後に用意された直角2mへの飛びつきと、失敗はどこででもできた。そしてSS第2にトライするライダーは、みなそれぞれのポイントで失敗して、なかなか最後まで走破ができない。
今年は世界選手権Trial2に参戦中の小川毅士。一時帰国して参戦、3位
最初にクリーンが出るかと思われたのが、黒山だった。直角2mまでは順調にマシンを進めた黒山、失敗してからここを登りきったライダーはここまでにもいたので、黒山が登るのは確実と思われたが、なんと失敗。続く毅士は、飛び降りで1回足つきがあったものの、初めてここを走破。黒山の逆転劇はなくなった。残るは毅士と氏川の2位争いだ。毅士が1点で抜けて、総減点は25点。クリーン数は氏川に分があるので、氏川が1点以内で走破すれば氏川が2位、2点以上なら毅士が2位だ。氏川は1ラップ目、最終第7セクションとして登場したこのセクションの中盤の大ブロックを失敗している。今度はどうか。そのプレッシャーに打ち勝ち、氏川は見事なクリーン。氏川2位、毅士3位が決まった。
選手権争いは、優勝の小川はランキング2位の黒山に26ポイントの大差でリード、黒山に10点差で、氏川が追い上げている。
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国際A級
田中善弘(ホンダ)と永久保恭平(ベータ)の優勝争い、チャンピオン争いが激戦のIAクラス。今回は第2戦九州大会に続いて永久保が2勝目。田中が4位となったため、タイトル争いでも永久保が9点のリードでトップとなった。
国際A級は永久保恭平が優勝
1ラップ目2ラップ目と、永久保は好調。2点、1点とほぼパーフェクトな走りで2位以下を突き放す。
3ラップ目、永久保がふたつの5点で11点減点。大きな減点だったが、1ラップ目2ラップ目の貯金が効いて、5点差で逃げ切り勝利を果たした。田中は3ラップ目にトップスコアで追い上げるも間に合わずだった。
2位は今シーズン2回目の出場の小野貴史(ホンダ)、3位にはベテラン中のベテラン、小谷徹(モンテッサ)、5位に中里侑(TRRS)が初入賞、岡山のベテラン、尾藤正則が久々に6位入賞した。
国際A級表彰式。左から2位小野貴史、優勝永久保恭平、3位小谷徹、4位田中善弘、5位中里侑、6位尾藤正則
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レディース
西村亜弥(ベータ)が負傷療養のため欠場、女王不在で次の女王の座を争って6人がしのぎを削った。
1ラップ目のトップは静岡の高校生、山森あゆ菜(ベータ)。減点は4点だった。小玉絵里加(ホンダ)が6点、ソアレス米澤・ジェシカ(TRRS)と山中玲美(ホンダ)が同点の8点で続く。
2ラップ目、今度は1ラップ目5位の中川瑠菜(ベータ)がラップトップ。第2セクションの1点以外はすべてクリーンという素晴らしいスコアで、この日のベストスコアにもなった。
しかし3ラップ目は、山中玲美(ホンダ)が3点でラップをまとめた。地道にスコアをまとめていたのは小玉だったが、山中は小玉と同点、クリーン数の差で、全日本選手権レディースの初優勝をあげた。小玉が2位、山森が3位、山森から2点差で、ソアレス米澤と中川が並ぶという、大接戦のレディースクラスだった。
レディースクラス初優勝、山中玲美
レディースクラス。左から2位小玉絵里加、優勝山中玲美、3位山森あゆ菜、4位ソアレス米澤ジェシカ、5位中川瑠菜
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国際B級
宮崎航(ベータ)は、1ラップ目からオールクリーンで快調な滑り出し、2ラップ目1点、3ラップ目1点、タイムオーバーの1点を加えて、全部で3点でゴール。2位の小椋陽(モンテッサ)が14点だから、圧倒的大差だった。小椋は第3戦から出場して、2戦連続の2位表彰台獲得となった。
3位は岡山の清水寧郁(スコルパ)。今シーズン発表彰台獲得だ。
シリーズランキングではもちろん宮崎がトップ、2位に今回4位の辻本雄河(TRRS)、3位に本田隆史(ガスガス)、4位に吉本由輝(スコルパ)、5位に今回3位の清水と続く。本田から清水まで7ポイントと、ランキング争いも熾烈だ。
国際B級優勝はベテランの宮崎航
国際B級表彰式、左から2位小椋陽、優勝宮崎航、3位清水寧郁、4位辻本雄河、5位滝浪猛、6位本田隆史
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オープントロフィーNA
今回のオープントロフィーはNAライセンス所持者によるもので、北海道から2名、東北から1名、北陸から1名の4名で競われた。
優勝は石川県の沖野時彦(モンテッサ)、宮城県の矢吹睦夫(ホンダ)を2点差で抑えての勝利だった。
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2022年6月5日 栃木県:モビリティリゾートもてぎ 観客数:2,800人
全日本選手権第3戦は関東大会もてぎ。コロナ禍となって3年目、世界選手権のキャンセルが続いて3年目のもてぎ大会となった。今年からツインリンクもてぎがモビリティリゾートもてぎと名称変更となり、モビリティリゾートもてぎでのトライアルは、これが初めてとなった。
予報は今回も雨の心配があったが、土曜日は快晴、日曜日も朝のうちは小雨が残っていたが、スタートする頃には雨は止んで、途中暑いくらいの好天になりながら、ほぼ1日曇り空のコンディションとなった。
セクションはどこのクラスもむずかしめということで、激戦が期待された。
国際A級スーパー
スーパークラス優勝の小川友幸(ホンダ)ランキングでは2位の黒山に14点差でトップ
開幕戦で敗北しながら第2戦で土壇場の逆転勝利を飾った小川友幸(ホンダ)は、今回は堂々たる走りを披露した。10セクション2ラップはどれもむずかしく、オール5点となってしまった選手も何人かいる中、小川は20セクションを走って5点が一つのみと、スコアも素晴らしかった。
これを追うのは黒山健一(ヤマハ)だったが、1ラップ目からダブルスコアに近い差をつけられ、2ラップ目には5点を二つ喫して、2ラップ目が終わった時点で16点差と、勝負の決着はついていた。この日の小川には、死角がまったく感じられなかった。
果敢にセクションを攻めていく黒山健一(ヤマハ)だが、小川の点数に届かなかった
3位には氏川政哉(ホンダ)。1ラップ目の4位から、2ラップ目に追い上げ、黒山と5点差でSSに挑んだ。黒山を逆転しての2位浮上はならなかったが、今シーズン結果が伴わなくて不本意続きだった氏川には、ようやく表彰台に乗ることができて一安心だった。
3位の氏川政哉(ホンダ)今シーズン初の表彰台へ
その氏川にわずか1点差でSSに挑んだ野崎史高(ヤマハ)は、SS第1で大岩攻略を失敗し、これで4位を決定づけた。柴田暁(TRRS)は難セクションを走破する好調ぶりも見せつつ、全体としてはスコアをまとめられずに5位。10個もの5点で苦しんだ小川毅士(ベータ)が6位となった。
IASとなって2年目の若手、廣畑伸哉が自身最高位の7位を獲得して、ランキングも7位に浮上した。独自のスタンスを貫くオートレーサー野本佳章が9位となって廣畑に続くランキング8位。今年のIASは、SSへの進出争い(10位までがSSに進む)、そして15位までの選手権ポイント争いなど、トップ争い以外でも見どころが多い。
チャンピオン争いは、トップの小川友幸が2位黒山に14ポイント差をつけた。以前より上位に入った場合のポイントが獲得が大きくなっているから、まだまだ今後の波乱もありそうだ。
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国際A級
ベテラン田中善弘の勝利
開幕戦、第2戦と永久保恭平(ベータ)の後塵を拝した田中善弘(ホンダ)が、3戦目の正直で今シーズンの初勝利を飾った。
田中は1ラップ目にふたつのセクションで減点して4点、2ラップ目は5点一つのみで、総減点9点、クリーン17の見事な勝利を飾った。
チャンピオン争いで田中と競りあう永久保恭平(ベータ)は5点5つで4位。ランキングでも3点差で、田中がトップに躍り出た。
2位は本多元治(ホンダ)、3位は山崎頌太(ベータ)、6位に砂田真彦(ホンダ)と、いずれもIAS経験のある実力者たちが並んだが、この中で、5位にIA昇格2年目の黒山陣(スコルパ)が5位に入って気を吐いた。
国際A級表彰式、優勝田中善弘(中央)2位本多元治(左)3位山崎頌太(右)
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レディース
大接戦だったが、連勝記録は続く。レディース西村亜弥
チャンピオン西村亜弥(ベータ)の妹であり、日本レディース唯一人IAだった実績のある片桐真理子(ベータ)が参戦、姉妹対決が注目を集めた。
二人はペース配分をまちがえたということで、セクションのいくつかを申告5点でパスして試合を進めることになったが、2点差で現役チャンピオンが勝利。片桐はわずか1点差で小玉絵里加(ホンダ)をかわすという大接戦となった。
4位は、前回3位表彰台を獲得した山森あゆ菜(ベータ)、前回2位の山中玲美(ホンダ)は5位。山森と山中の点差もわずか2点だった。今回の参加は、8名だった。
レディース表彰式、1位西村亜弥、2位桐生真理子、3位小玉絵里加、4位山森あゆ菜、5位山中玲美、6位ソアレス米澤
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国際B級
IBクラス優勝、宮崎航
IASからライセンス失効でIBに出場、開幕戦で勝利した宮崎航(ベータ)が、再び登場。1ラップ目、宮崎は第2戦で勝利した辻本雄河(TRRS)に4点差の8点でトップ。しかし思わぬ失点もあって、トライアルのむずかしさをあらためて痛感していた。
2ラップ目は渋滞もあって試合展開は波乱含み。宮崎も5点4つを喫しながら、それでも2位に4点差で2勝目を挙げた。
2位となったのは、GC大会で勝利した小椋陽(モンテッサ)。もの不足でマシンの修理や調達ができずに開幕2戦を欠場したということだが、3戦目でデビュー、宮崎に迫る2位獲得はよい結果となった。
IA昇格の権利をかけたランキング争いは、昇格申請が可能な宮崎を含めてなかなか熾烈。シーズンが進むにつれて、昇格レースはさらに興味深いものになっていくにちがいない。
IBクラス、優勝宮崎航、2位小椋陽、3位辻本雄河、4位本田隆史、5位吉本由輝、6位新井昭多
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オープントロフィー125
全日本選手権に併催されて組まれたオープントロフィー125には、栃木県の14歳、神長叡摩が参加した。全日本の舞台、IBセクションへのトライと、このクラスへの参戦経験は将来に向けて貴重なものとなるはずだ。
オープントロフィー125に出場した神長叡摩
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2022年4月24日 熊本県矢谷渓谷キャンプ場 観客数:1,200人
2022年の全日本選手権シリーズ、その第2戦。昨年の宮崎県えびの高原から、今年は会場を熊本県矢谷渓谷キャンプ場に移して開催された。この会場での全日本大会は、2016年以来となる。
雨予報で、当日未明まではそこそこの雨が降り続いたが、朝のスタート時刻ころには雨は止んだ。その後、午前中に小雨に降られたものの、日が沈む頃には薄日がさすほどになり、雨具もいらなくなっていった。
砂と石まじりの土質で、水に濡れてもそれほど泥々にならず、グリップも一見悪くないのだが、岩はつるつるに滑り、グリップがあると思っていた路面も突発的に滑ったりと、なかなかにむずかしいトライアルとなった。
国際A級スーパー
SSで逆転勝利。小川友幸
開幕戦で黒山健一(ヤマハ)の好走を止められなかったチャンピオンの小川友幸(ホンダ)だったが、九州ではチャンピオンの走りが戻ってきた。1ラップ目の10セクションをクリーン4、5点二つでまとめてきた。小川が残した二つの5点は第3と第10で、この二つは全員が5点(第3は1ラップ目のみ全員5点)となったところだった。
今回、小川を脅かすべきは野崎史高(ヤマハ)だった。野崎は大会直前に腰を痛め、さらにウォーミングアップ中に指を痛めていて、コンディション的には最悪だったのだが、トライ中にはそんなハンディを感じさせない走りを見せていた。その野崎も、小川には9点差をつけられている。小川の1ラップ目は15点だから、9点差はかなりの大差だ。
1ラップ目の3位は、今シーズンからマシンを乗り換えた柴田暁(TRRS)だった。野崎とは1点差の25点。この後も、小川毅士(ベータ)26点、吉良祐哉(シェルコ)27点、黒山29点と接戦が続く。前回優勝の黒山が1ラップ目を終えて6位というのも、意外な展開だった。
2ラップ目、今度は小川友幸が調子を崩した。ゲート接触の5点が多く、2ラップ目には5点が5個にもなった。2ラップ目の減点は28点と、自身の1ラップ目と比べても、ダブルスコアに近い。
2ラップ目に調子を上げたのは二人。小川毅士と氏川政哉(ホンダ)だった。小川毅士は自身の1ラップ目より10点減点を減らし、1ラップ目の小川友幸のベストスコアに匹敵する16点で追い上げてきた。これで、2ラップが終わった時点では、トップは1点差で小川毅士のものとなっていた。
2ラップ終了時点でトップに立った小川毅士
氏川は1ラップ目から8点減点を減らして、7位から4位にポジションを上げて2ラップを終えた。
1ラップ目3位だった柴田は、2ラップ目に5点減点を増やし、7位までポジションを落として2ラップを終えた。点数の近いライバルがひしめいているから、小さな減点が順位を動かしていく。
残るSS。今回のSSは難度が高く、特にSS第2はだれも上れないのではないかと言われる大ヒルクライム。逆転劇は、5点以内の点差でポジションを争うライダーにのみ実現できそうだ。優勝争いは1点差だから、もちろん逆転劇が生まれる可能性は大だ。
優勝争いから6点差で、単独3位が野崎。野崎と4点差で氏川だが、ここに逆転の可能性はあるだろうか、むしろ氏川に1点差で迫る黒山、さらに3点差の柴田、吉良による四つどもえの4位争いとなりそうだ。
8位廣畑伸哉(ガスガス)は、7位までの間に18点が開いて、これ以上の結果は望めない。しかし廣畑を含め、久岡孝二(ヤマハ)と野本佳章(ベータ)が同点で並んでいて、ここにも逆転劇は生まれそうだ。
SS第1、最初にトライした野本が3点で抜け、久岡が5点。ここで野本が久岡を逆転した。廣畑も3点で抜けたが、廣畑の順位は変わらず。そしてここから、4人による4位争いとなる。
3位表彰台を確保した野崎史高
まず柴田が2点をマークしてライバルにプレッシャーをかける。吉良は5点、次の黒山は、柴田を上回る1点で、逆転を狙う柴田の頭を押さえた。ここで氏川が5点。この時点では、黒山が4位に進出し、氏川5位、柴田6位、吉良7位と並んだ。
続く、難攻不落と思われていたSS第2。焦点はどこまでもどこまでも登っていく特大ヒルクライムだが、それ以前に入口の空中丸太越えも難所だった。トップを切ってトライした野本はこの丸太で激しく滑って5点。それでもSSとあってヒルクライムにも挑戦……、と思いきやヒルクライム入口で華麗なバックフリップを決めてSSを見守るギャラリーを沸かせていた。野本のバックフリップを見るのも、そういえば久しぶりだ。
その後も丸太で5点、丸太を抜けてもヒルクライムの加速がむずかしく、頂点までは届かない。しかし全開を維持しながら、最大限にスピードを乗せた柴田が1点で抜けると、後続にとっては登りきらなければいけない使命が生まれた。しかし黒山、氏川と続けて失敗。野崎が3点で抜け、順位争いも混とんとしてきた。
優勝争いの二人は、まず小川友幸が3点で抜け、小川毅士は加速でマシンコントロールがわずかに乱れて失敗、勝負は3点差でチャンピオンの勝利となった。
リザルトは、SSで順位ががらりと変わった。柴田が7位から4位にポジションをアップさせ、氏川が4位から6位にドロップ、黒山は3位も狙える勢いを見せながら5位となった。
ランキングテーブルでは、開幕戦2位、第2戦2位の小川友幸がトップだが、2位の黒山に早くも9点のポイントリードを築くことになった。野崎が黒山に4点差のランキング3位、さらに2点差で小川毅士と続いている。
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国際A級
国際A級優勝、永久保恭平
開幕戦で2位の永久保恭平(ベータ)がリベンジを果たした。前回3位の田中善弘(ホンダ)と同点クリーン数差の勝負を制しての優勝だった。
3位は宮崎県の徳丸新伍(ホンダ)。昨年九州大会以来、1年ぶりの全日本選手権参戦で、きっちり表彰台を獲得した。ベテランばかりの表彰台にあって、4位に福留大登(ガスガス・17歳)が入った。福留は、永久保、田中、本多に続き、ランキングでも4位となっている。
10代の若手では中山光太(ベータ・2019年IBチャンピオン16歳)が8位、黒山陣(スコルパ・2020年IBチャンピオン12歳)が10位、浦山瑞希(TRRS・2021年IBチャンピオン14歳)が13位と、それぞれより上位を目指して奮闘中だ。
国際A級表彰式。左から優勝永久保恭平、2位田中善弘、3位徳丸新伍
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レディース
2ラップ目でアクシデントはあったが、圧勝した西村亜弥
チャンピオン西村亜弥(ベータ)が苦戦した。結果は2位にほぼダブルスコアと圧勝だったものの、2ラップ目の第4セクションで手を負傷するアクシデント。以後、残りのセクションは痛みと戦いながらのトライとなった。
2位は前回5位からリベンジを果たした山中玲美(ホンダ)。3位はデビュー2戦目で表彰台獲得の高校生、山森あゆ菜(ベータ)が入った。
今回は6名の参加だった。
レディース表彰式。左から優勝西村亜弥、2位山中玲美、3位山森あゆ菜
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国際B級
全日本選手権初出場で初優勝、国際B級辻本雄河
昨年GC大会で昇格した辻本雄河(TRRS)が、初出場初優勝を決めた。開幕戦は病欠で、第2戦の今回がデビュー戦となっていた。
2位はこれも昨年GC大会で昇格した吉本由輝(スコルパ)。3位には、開幕戦2位の藤堂慎也(モンテッサ)が入った。ランキングトップは藤堂で、2位は9ポイント差で辻本となっている。
やはり昨年GC大会で昇格した10歳の黒山太陽(たお)は、今回13位で初ポイントを獲得した。
国際A級表彰式。左から優勝辻本雄河、2位吉本由輝、3位藤堂慎也
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2022年4月3日(日)開催 愛知県岡崎市キョウセイドライバーランド 観客数:900人 天気:雨のち曇り
2022年の全日本選手権シリーズが始まった。コロナ禍はまだ収束しきっていないが、2022年開幕戦は、当初の予定のまま開催することができた。
天気予報は二転三転したが、当日は悪い方に転がった。土曜日夕方から降り始めた雨は、日曜日朝には小降りになってはいたが、1日中降ったり止んだり。雨量がそれほど多くなかったのは観戦する側には不幸中の幸いだったが、参加ライダーにはこれ以上ない難しいコンディションとなった。どのクラスもクリーンを目指すライディングではなく、一つでも多くのセクションを抜け出すのが勝負になった。
国際A級スーパー
開幕戦の勝利。国際A級スーパークラス黒山健一
10セクションを2ラップ+SS2セクションで競技が進められたIASは、第1セクションから黒山健一(ヤマハ)が好調をアピールした。第3セクションを終えて、減点を一桁に抑えられたのは黒山だけだった。そして黒山は好調のまま、1ラップ目を減点26で走り抜けた。2位につけたのはディフェンディングチャンピオンの小川友幸(ホンダ)だが、黒山には15点のリードを許すことになった。
2ラップ目、黒山が減点を増やし、小川がやや復調してきたが、しかし1ラップ目の差は大きく、10セクション2ラップを終えたところで両者の点差は9点。今回の黒山は、盤石だった。
1ラップ目から黒山にリードを譲ってしまった小川友幸、2位
黒山と小川には離されたが、3位争いは接戦だった。SSを残して、氏川政哉(ホンダ)と柴田暁(TRRS)が87点、野崎史高(ヤマハ)が88点と、1点を争う大接戦だ。
SSは人工セクションで、往路がSS第1、復路がSS第2として設定されていた。観戦する側が移動しないで見続けられることになった。
往路はダイナミックなジャンプと、コンクリートの三段ステア、濡れて滑る中空ステアがポイントとなった。5番手でトライした小川毅士(ベータ)までは三段ステアまでで5点となっていたが、小川毅士以降の6人はSS第1をクリーン。これで1位、2位と、小川毅士の6位が確定的となった。
復路のポイントも基本的には同じだが、三段ステアをどう降りるか、そして復路はジャンプで発射台からヒューム管へ飛び移るのにはリスクがあるので、中空のヒューム管をどう登るかが鍵となった。
ヒューム管に最初に登ったのは、10位でSSに進出した野本佳章(ベータ)だった。野本はこの3点で、一気に10位から7位までポジションをアップさせた。7位争いも、大接戦だったのだ。
小川毅士はコンクリートブロックの下りで1点、続く野崎は美しいクリーンを見せた。野崎と3位争いをする柴田と氏川には大きなプレッシャーだ。はたして二人はヒューム管登りに失敗、野崎はこのクリーンで5位から3位にジャンプアップを果たした。
SSのクリーンで順位を上げ3位になった野崎史高
残る二人は、順位はすでに決定しているが、チャンピオン経験者の二人は、華麗なライディングを見せるべくセクションイン。しかしこの日の小川友幸は、やはり完調ではなかったようだ。ヒューム管登りで柴田同様にバランスを崩して5点となってしまった。
最後は黒山のトライ。黒山は、ここまでの全員が選ばなかった、発射台からヒューム管へのジャンプを選択した。これにはお客さんも大喜びだった。SSを2セクションともクリーンしたのは黒山と野崎二人のみ、そしてSS以外のセクションをクリーンしたのは、黒山(3個)と小川毅士(1個)のふたりだけだった。小川毅士はこのクリーン一つ以外はすべて5点。クリーン一つで最下位から6位まで急浮上するのが、この日のトライアルだった。
今年昇格した4人のルーキーたちは、磯谷郁(ベータ)と濵邉伶(スコルパ)が13位と14位でポイント獲得。IAS経験のある加賀国光(TRRS)と、最年長村田慎示(ホンダ)は18位と19位、最下位争いをすることになってしまった。12位以降の8人はフルペナルティの全セクション5点だった。
2022resultsR1IAS
国際A級
国際A級は本多元治の勝利
国際A級。優勝が本多元治(ホンダ)、2位永久保恭平(ベータ)、3位田中善弘と、IASを経験した大ベテランが表彰台を独占した。
4位には福島の森岡慎也(ホンダ)、5位にこれまた大ベテランの小谷徹(モンテッサ)、6位に若手の福留大登(ガスガス)がはいっている。ベストクリーンは森岡の5つだった。
2022年に昇格してきたルーキーでは、チャンピオンの浦山瑞希(TRRS)が15位で早くもポイントを獲得した。
今シーズンは強力なベテランがひしめいているこのクラス、若手がトライアルの経験を学ぶには、厳しいながらもよいチャンスだ。
国際A級表彰式。左から1位本多元治、2位永久保恭平、3位田中善弘
2022resultsR1IA
レディース
レディース優勝の西村亜弥
レディースチャンピオンの西村亜弥(ベータ)も、この日のコンディションには苦戦を余儀なくされた。減点もクリーン数も2位以降とは圧倒的差があったが、それでも本人には納得がいかなかったようだ。
西村以外はクリーンをひとつとるのがやっとという悪戦苦闘ぶりで、3点一つが順位を大きく変動させる展開となった。2位は小玉絵里加(ホンダ)だったが、同点3位に齋藤由美(ベータ)、そして1点差で地元中部の高校生、中川瑠菜(ベータ)が入り、参加者の増大とともに今後の展開がよりにぎやかになりそうな期待もある。
今回は12名の参加で、初登場は3人。山森あゆ菜(ベータ)は9位、伊藤沙樹(ベータ)が11位となり、黒山健一の妹、黒山和江(スコルパ)は12位となった。
レディース表彰式・1位西村亜弥(中央)2位小玉絵里加(左)3位齋藤由美(右)
2022resultsR1L
国際B級
国際B級は、元国際A級スーパー宮崎航の圧勝だった
ライセンスを失効していて、国際B級に降格していた宮崎航(ベータ)が久々に全日本に復帰、元IASのテクニックを存分に見せてぶっちぎりの優勝を果たした。クリーン15、全クラスを通じても、二ケタのクリーンは宮崎だけだった。2ラップ目の減点2点も圧倒的ベストスコア。とはいえ、最初にトライした第6セクションで5点を喫したり、IBクラスならではのむずかしさも味わったようだ。
2位以降は大接戦で、2位から5位までは1点差ずつ。そんな中、2位となったのは藤堂慎也(モンテッサ)。今回は、比較的経験の豊富なライダーが上位をかためてきたが、そんな中、去年のGC大会で2位となって昇格してきた吉本由輝(スコルパ)が11位となった。小学生の黒山太陽のデビュー戦は17位(GC大会5位)だった。
国際B級表彰式。左から1位宮崎航、2位藤堂慎也、本田隆史
2022resultsR1IB
2021年11月14日(日)開催 愛知県キョウセイドライバーランド 観客数:1500人 天気:晴れ
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第3戦中部大会の翌日、第8戦中部大会は、2021年全日本選手権最終戦だ。2日間の開催だが、第6、第7、第9セクションは場所を移動してまったく新規のセクションとなり、その他のセクションも設定を変更するなどして、土曜日とはやや雰囲気を異にしている。
国際B級、レディースの半分が第5セクションからスタートする変則的試合形態はそのままだが、第3、第5をのぞいた8セクション2ラップで争われ、IASのSS(スペシャル・セクション)が設定されている。参加者は4クラス合わせて118名で、土曜日より9名ほど多いが、土曜日のみ参加する選手もいれば、日曜日のみ参加する選手もいた。
国際A級スーパークラス
IAS 優勝#3黒山健一 2位#5氏川政哉 3位#6柴田暁
この日の設定は、前日とはちがってセクションの難易度は高めとなっていた。土曜日には小川友幸(ホンダ)がオールクリーンを達成したが、2日続けてというのは無理そうだ。
それは、早くも第2セクションで明らかになった。オールクリーンどころか、3点で抜ける選手もごく少ない。18人の参加者中、ここを抜けられたのは3人、武井誠也(ホンダ)、久岡孝二(ヤマハ)、そして小川だった。
しかしその後、小川は第4、第6と連続5点を喫し、第2、第3と連続5点となった黒山健一(ヤマハ)に逆転を許して1ラップ目を終了した。トップは黒山の13点、小川は2位で15点。小川と同点クリーン数差で氏川政哉(ホンダ)が3位につけた。4位は野崎史高(ヤマハ)で18点。なかなかの接戦だ。
2ラップ目、氏川ががぜんスパートをかけた。第1から第3までただ一人クリーン。第9では5点になったものの、2ラップ目のスコアは9点。ラップを一桁で回ったのは氏川ただ一人だった。
#5 氏川政哉
氏川同様、2ラップ目にスコアをアップさせたのは柴田暁(ヴェルティゴ)だった。柴田は1ラップ目の20点から2ラップ目に12点まで減点を減らしてきた。しかし黒山、小川ともに1ラップ目と同様のスコアで2ラップ目をまとめてきた。はたして2ラップを終えた時点でのトップは氏川となった。2位黒山に3点差、チャンピオンを決めたばかりの小川には7点差だ。そして小川には1点差で柴田が迫っている。計算上は柴田までが優勝のチャンスがある。SSは、人工セクションの第1と、自然地形の斜面の岩場での第2が用意されていた。
SSも、今回は辛口設定だった。初めてSSを走る廣畑伸哉(ガスガス)が2点で走破したが、続くライダーはことごとく5点。柴田も小川も、氏川も5点となった。最後の真直角ブロックが難関だった。ここを黒山が2点で抜けきって、なんとこれで、氏川と黒山は減点数で並んだ。黒山は減点29クリーン8、氏川は減点29クリーン7。同点ならクリーン数が多い黒山が勝利する。
SS第2、これも超難関だった。中盤のラインの狭い岩登りが難関だったが、入口で5点となる選手も多かった。小川も、中盤の岩場で5点だった。その後に登場した柴田は、この難セクションを2点で通過。小川を逆転して3位表彰台を獲得となった。小川は全勝優勝ならず、最終戦は4位と、今シーズン初めて表彰台を逃す結果となった。
そして優勝争い。先にトライするのは黒山。クリーンすればその時点で黒山の優勝が決定だが、それはむずかしかった。しかし足つき1回で黒山はこのセクションを抜け出る。最後のトライは氏川。氏川が優勝するためには、ここをクリーンで抜けなければいけなかった。若い氏川には、かなりのプレッシャーだ。そして氏川は小川と同じポイントで5点。開幕戦九州大会に続いて、氏川の初優勝の夢は、再びベテランライダーによって持ち越しとされた。(※)
#3黒山健一
しかしこの日の結果で、氏川はランキング3位を手に入れて、2021年シーズンを終了した。
国際A級クラス
IA 優勝#10磯谷郁 2位#47加賀国光 3位#3本多元治 4位の#1村田慎示は年間チャンピオン決定
リードは圧倒的となったが、しかし村田慎示(ホンダ)と磯谷郁(ベータ)のチャンピオン争いはまだ決着していない。ポイント差は16ポイント。村田は6位以上でタイトル決定、一方磯谷がタイトルを獲得するには、自らが優勝した上で、村田が7位以下になる必要があった。
ラインを見極める #10 磯谷郁
1ラップ目、トップをとったのは磯谷だった。減点13点。しかし村田もまた減点13点で同点(クリーン数の差で、暫定トップは磯谷となっている)。二人の争いは最後まで大接戦だ。しかし2ラップ目、二人は共に減点を増やしていく。2ラップ目にトップスコアをマークして追い上げたのは本多元治(ホンダ)だった。本多は土曜日の優勝者。1ラップ目に減点22点で、ちょっと苦しい追い上げとなった。
そんな中、磯谷が最後に踏ん張った。本多、そして第7戦の勝者の加賀国光(TRRS)には追い上げられたが、加賀に2点差で逃げ切り。開幕戦以来の勝利を得た。今シーズン、2勝をあげたのは磯谷だけだ。
村田は2ラップ目に30点と減点を増やしてしまったが4位を獲得。念願の初タイトルを獲得した。
レディースクラス
LTR 優勝#1西村亜弥 2位#ソアレス米澤ジェシカ 3位#山中玲美
参加者は前日同様の10名。ただし寺田知恵子(スコルパ)がこの日は走らず、永野裕加(シェルコ)がこの日のみ参加となっている。
土曜日の時点でセクションはむずかしかったが、さらに難度が増している。こんな状況でも西村亜弥(ベータ)の強さは圧倒的。2ラップトータルの減点は19点、2位に34点差の圧勝だった。…