小川友幸シーズン3勝目でタイトル争いは接戦に。R6広島・三次灰塚

2023年8月27日 広島県三次市吉舎町安田灰塚ダムトライアルパーク 観客数:730人 2023年全日本トライアルシリーズも終盤戦。第6戦は広島県三次市の灰塚ダムトライアルパークでの開催となる。去年は9月の開催で今年は8月開催。周囲を山に囲まれていて盆地地形の会場なので、この季節に暑くなるのはやむなしだが、薄日がさす時間が多かったこともあって、去年よりは少し暑さは和らいだか。それでも暑い厳しい戦いだったのはまちがいない。選手はもちろん、会場に集うすべての人が体調管理を気遣いながらの大会となった。 今回は全クラス合わせて135名の参加申し込みがあった。スタートしたのは129名だった。このところ、渋滞対策を念頭に、国際B級をグループ分けしてセクションを分散させる取り組みをする大会が多かったが、今回は第1セクションから一斉スタートした。最終スタートのIASとIBやレディースの2ラップ目が重なった第2から第4あたりで渋滞はあったものの、渋滞は少なめだった。今回は全体に減点数の少ないセクション設定だったが、特にIBとレディースは減点数が少なかった。スムーズにセクションをアウトできれば渋滞は起きにくい、ということかもしれない。セクションは11用意されたが、全クラス10セクション2ラップ。これに国際A級スーパーの上位10名のみ、SSの2セクションでの最終決戦をおこなういつものスタイルは変わらない。 国際A級スーパー オールクリーンが勝利を確実にする条件。そしてそれが可能な設定での戦いが始まった。オールクリーンができるとはいえ、簡単ということではない。濡れれば当然滑るし、砂のような土にグリップを奪われることもある。足をつく要素はいっぱいあるし、それが5点につながってしまうリスクは当然存在する。 第2までをクリーンしたのは9名。まずまず予想通りの展開だ。最初の鬼門は第3セクションだった。武井誠也(ホンダ)は2点で抜けたが、久岡孝二(ホンダ)、小川毅士(ベータ)、野﨑史高(ヤマハ)が5点、さらに氏川政哉(ホンダ)も5点となって厳しい戦いを強いられることになる。このセクション、小川友幸は1点、黒山健一(ヤマハ)が2点で抜けたが、柴田暁(TRRS)が唯一クリーンを叩き出している。 電動TY-Eで、好調にクリーン決める黒山健一 その後はまたクリーン合戦となるが、第5でふたつめの5点をとった野﨑が厳しい戦いとなり、柴田、黒山もクリーン連発とはいかない。こんな中、第6でアクシデント。氏川が岩からの下りで前転、首と背中を強打した。あわやリタイヤかというアクシデントだったが、氏川は試合続行を決断。痛みに顔を歪め、叫びながらのトライが続くことになった。 1ラップ目のアクシデントはあったが、試合を続行した氏川政哉 1ラップ目が終わって、トップは第3での1点のみの小川友幸、これを3点の黒山と柴田が追う。氏川は5点二つのみの10点で4位。小川毅士が同点で並ぶ。野﨑は16点、久岡は23点で7位につけている。 2ラップ目、小川友幸が第3をクリーン。黒山、氏川も1点で抜けたが、ラップオールクリーンを目指せるのは小川だけということになった。その小川が、今度は第6で5点。戦況に大きな影響があるかとも思われたが、黒山は第5で、柴田は第6で5点となっていて、その差は変わらなかった。 2ラップ目、トップスコアの1点をマークしたのは氏川だった。負傷を押して、第3での1点以外すべてのセクションをクリーンするというパフォーマンスを発揮した。10セクション2ラップを終えてみると、トップは小川の6点、続いて黒山が9点、氏川は11点で3位まで浮上してきた。柴田は氏川に遅れること2点の4位でSSを迎えることになった。 小川友幸が持つ本来のパフォーマンスを見ることができた SSは難セクション、最後の逆転劇も予見されたが、基本的に去年と同様の設定(もちろん難度は上がっている)は、トップライダーには攻略する糸口があったようだ。トップ4人はSSの二つを見事にクリーンして、順位は変わらず。小川が2連勝でシーズン3勝目をあげ、黒山が2度めの2位、氏川は今シーズン初めて、3位に甘んじることになった。 氏川が圧倒的に優位だったチャンピオン争いは、小川が一気に2ポイント差に詰め寄ってきた。残り2戦、メーカー、チームが同じ二人の大接戦が続きそうだ。 IAS表彰式。左より、2位黒山健一、優勝小川友幸、3位氏川政哉、4位柴田暁、5位野﨑史高、6位小川毅士 2023_R6_IAS_resultsダウンロード 国際A級 ランキングトップでこの大会を迎えることになった黒山陣(スコルパ)だが、ランキング2位の本多元治がこの大会にエントリーをしないことが判明した時点で、早々とチャンピオンが決定。チャンピオンとして、この大会を含む残り2戦を戦うことになった。 2023国際A級チャンピオン、黒山陣。14歳 その黒山にトラブルが発生したのは第8セクション。こちらもあわやリタイヤかというマシントラブルだったが、ギヤを1速のみとすれば走れることがわかり、それで試合を続行する。これで黒山は、第8を含んで3つの5点を献上して、かなり厳しい戦いとなった。 そんな中、今シーズン3度めの出場となった小野貴史(ホンダ)が好調。第1で5点となって幸先は悪かったが、第6での5点とあわせて5点二つの10点で1ラップを終え、トップに立った。2ラップ目は減点を若干増やしたものの、黒山を含む誰にも追いつかれることなく勝利した。 国際A級は小野貴史が、黒山陣と同点クリーン数の差で勝利 トラブルに泣いた黒山はといえば、なんとその小野と同点。クリーン数の差で勝利はならず、2位表彰台獲得ということになった。結果的に、6戦を終えて3勝、2位3回という、終わってみればまずまずの結果となった。 3位には、前回大会に続き、山形の15歳、浦山瑞希が入った。ランキングも4位に浮上していて、黒山といっしょに10代のIASライダーとなる可能性も出てきた。 2023_R6_IA_resultsダウンロード レディース 7名が参加のレディースは、なかなかの神経線だった。結果的に、トップ3には5点はひとつもなしという争いになった。 1ラップ目、わずか1点のリードながらトップに立ったのは中川瑠菜(ベータ)。続いてここまで2勝しているポイントリーダーの山森あゆ菜(モンテッサ)が3点、昨年のチャンピオンであるゼッケン1番の楠玲美(ホンダ)が山森と同じく3点、クリーン数差で3位。さらに小玉絵里加(ガスガス)が4点で続く。大接戦だ。 今シーズン2勝目。中川瑠菜が勝利 2ラップ目、流れは変わらなかった。暑い中、小玉が調子を崩して減点を増やし、楠がわずかに減点を増やす間に高校生デュオは1ラップ目の調子を維持した。 中川が1ラップ目も2ラップ目も2点、計4点で勝利。今シーズン3戦目の出場で2勝をあげることになった。 山森は3点と3点で6点で2位。この2戦、ポイントリードを減らしてしまっていた山森だが、これでほぼ元通りに。リードは21ポイントとなって、最終戦で4ポイント(12位)を獲得すれば、ライバルの順位に関係なく初のタイトル決定ということになる。 レディース表彰式。左より2位山森あゆ菜、優勝中川瑠菜、3位楠玲美、4位小玉絵里加、5位寺田智恵子、6位山下実結 2023_R6_LTR_resultsダウンロード 国際B級 ポイントリーダー村田隼(ヴェルティゴ)は、ここまでランキング2位に34ポイントの大差をつけて、この1戦でチャンピオンを決定するであろうと思われていた。しかし、エントリーしていたランキング2位の小原諄也(TRRS)が欠場。この時点で村田のタイトルは決まった。 チャンピオンとしての戦いもバッチリ。1ラップ目は2点のみ、2ラップ目はオールクリーンの快挙で、総減点わずか2点での勝利だった。 シリーズチャンピオンを決めた村田隼 2位に入ったのは神長叡摩(シェルコ)。トータル4点は見事だった。3位には留学中で夏休みのみ全日本参加の辻本雄河(TRRS)が入った。6位までが、トータル一桁減点をマークした。 国際A級昇格争いは、村田と小原がランキング5位以内確定で決定。ランキング3位古市光(ホンダ・今回8位)58ポイント、4位本田隆史(ガスガス・今回25位)50ポイント、5位神長叡摩40ポイント、6位永久保圭(ベータ・今回6位)40ポイント、7位田上拓(モンテッサ・今回24位)35ポイント、8位大櫃千明(モンテッサ・今回23位)33ポイントと、最終戦でもう一波乱ありそうな展開となっている。 国際B級表彰式。左より2位神長叡摩、優勝村田隼、3位辻本雄河、4位中野禎彦、5位林大作、6位永久保圭 2023_R6_IB_resultsダウンロード

R5北海道・和寒 小川友幸シーズン2勝目は大逆転劇に

2023年7月16日 北海道上川郡和寒町わっさむサーキット 観客数:700人 全日本トライアル選手権第5戦北海道・和寒大会は、今年も旭川市の北方、和寒町のわっさむサーキットでの開催。今回は国際A級スーパー、国際A級、レディース、国際B級、オープントロフィーNAクラス、4クラス合わせて102台のエントリーがあってにぎわった。地元への事前告知の効果もあったようで、いつにも増してお客さんが多いように見受けられた。 セクションは、全クラス10セクション2ラップ。さらに国際A級スーパーの上位10名のみ、SSの2セクションでの最終決戦をおこなう。 前夜にはそこそこの量の雨が降ったが、競技当日は曇り。最後には太陽も顔を出して、暑すぎず、雨も降らずのトライアル観戦日よりとなった。ただし走る側は、雨の影響で濡れた土が大きく影響し、難度が高く、厳しい戦いとなったようだ。 国際A級スーパー 1ラップ目に好調な滑り出しを見せたのは柴田暁(TRRS)だった。第1セクションから難セクションが続き、5点を出すライダーも多い中、柴田のみが各セクションを走破し続けて1ラップ目減点28点でトップに立った。これを追うのはランキングトップを守る氏川政哉(ホンダ)で減点31点。さらに3点差で小川友幸(ホンダ)が3位で2ラップ目の追い上げを狙う。 1ラップのトップは柴田暁、キレのいい走りを見せつけた 2ラップ目、がぜん調子を上げたのが小川。1ラップ目に5点になった第1を始め、第6セクションまでクリーンを続けて一躍トップに立った。1ラップ目トップの柴田は2ラップ目には減点を増やしてしまい、トップは守れず。氏川は手堅く減点をまとめている。 2ラップ目終了時点では2位だった、小川友幸 2ラップ目後半、小川が連続5点を喫したことでトップの座が入れ替わった。2ラップを終えると、トップは氏川で51点、小川は1点差で2位につけて、SSの勝負に望みをつなげる。 20歳のIASポイントリーダー、氏川政哉 3位には、今回から新型の電動マシンTY-E 2.2を投入した黒山健一(ヤマハ)が61点。柴田は62点で、67点の野崎史高(ヤマハ)とともに3位争いにも注目が集まることになった。 黒山健一は、新型の電動「TY-E 2.2」をデビューさせ3位に 第1セクションを手直ししたSS第1と、最終セクションを手直ししたSS第2。どちらもIAS専用に作り直して難度をさらに上げている。今回は、磯谷郁(ベータ)と濵邉伶(ヤマハ)の二人が初めてSS進出を果たしている。 滑る土が岩の表面に乗ってとてのよく滑る状態だ。高く積み上げられた大岩の頂点まで上るSS第1は、ほぼ全員があえなく5点となる中、小川が見事な走破力を見せて減点1。直後にトライした氏川は、頂点まで登りきったところでリヤタイヤを滑らせ、ゲートマーカー破損で5点となってしまった。 これで小川は再び逆転。氏川に3点差でトップに立った。残るSS第2を3点以内で抜ければ、小川の勝利が決まる。 そして、このSS第2を小川は減点2で走破。氏川がSS第2をトライする前に、シーズン2勝目を決定することになった。最後の最後までしぶとく粘った小川の勝利だった。 13回目のシリーズチャンピオンを目指す小川としては、ここで勝利しないと自力チャンピオンの目を失うだけに、どうしてもほしい勝利だった。対して氏川は、16ポイントのリードを11点に縮められて、残り3戦に挑むことになった。 黒山健一が持ち込んだ電動マシンTY-E 2.2は、フレーム、モーターなど随所が新設計のものだった。結果は3位と最上位更新はならなかったが、滑るコンディションでの実戦成果を得たデビュー戦となった。 IAS表彰式。左から2位氏川政哉、優勝小川友幸、3位黒山健一、4位柴田暁、5位野崎史高 2023_R5_IAS_resultsダウンロード 国際A級 ランキングトップの黒山陣(スコルパ)が和歌山・湯浅大会に続いて2連勝、シーズン3勝目をあげてランキングのポイントリードを41点まで広げた。どうやら次の第6戦 広島・三次灰塚大会でタイトルが決まりそうだ。 14歳の黒山陣、IA優勝 黒山と優勝争いをしたのは前回に続いてフランス製電動マシンEMを走らせた成田匠。1ラップ目は1点差、2ラップ目は2点差で大接戦だったが、トータル3点差で勝利には届かずだった。 フランス製の電動マシンで参戦した成田匠、2位 黒山としては、前回大会で本多元治に勝利し、今回成田匠という往年の名選手に勝利。これがなによりの喜びだったという。 3位には、山形の15歳、浦山瑞希が入った。実力を積み上げてる浦山だが、表彰台獲得は初めてだ。 IA表彰式。左から、2位成田匠、優勝黒山陣、3位浦山瑞希、4位小野貴史(代理)5位砂田真彦、6位宮澤陽斗 2023_R5_IA_resultsダウンロード レディース 米澤ジェシカの怪我による戦線離脱で今回は3名の戦い。ランキングトップの山森あゆ菜(モンテッサ)、小玉絵里加(ガスガス)、そして前年チャンピオンの楠玲美(ホンダ)による争いだ。 …

小川友幸が2023年初勝利でランキング争いは振り出しに

2023年4月23日 熊本県山鹿市矢谷渓谷キャンプ場特設トライアル場 観客数:800人 愛知・岡崎大会に続く2023年全日本選手権第2戦は、九州の熊本・山鹿大会。昨年に続き、矢谷渓谷キャンプ場の特設トライアル場での開催となった。これまで使われていなかったエリアもセクションとして登場し、昨年とはちがう、新鮮な印象の会場配置となっていた。 天候は土曜日から気持ちのいい好天気。朝夕は肌寒かったが、日中は暑からず寒からず、絶好のトライアル観戦日よりとなった。こんなに気持ちのいいトライアルデイも、久しぶりだ。 セクションはいくつか難度の高いものがあるということだったが、雨の中での前例が多かったため、路面が乾けば意外な神経戦になるのではないかという予測もあった。いずれにしろトライアルは、始まってみなければわからない。 国際A級スーパー 序盤好調だったのは前回勝利の氏川政哉(ホンダ)と、電動マシンの成長にすべてのパワーを注ぐ黒山健一(ヤマハ)。ふたりは第3セクションまでをクリーン、第4セクションの(昨年のSSだったもの)で初めて5点となった。その第4を、唯一クリーンしたのが柴田暁(TRRS)だった。このクリーンで柴田が逆転トップ。第5で唯一黒山がクリーンして再び黒山がトップ。しかし残るセクションを5点なし、最小減点で走り抜けたのはV13のかかる小川友幸だった。 1ラップ目でトップに立った小川友幸 1ラップ目のトップは小川で14点。2位に2点差で黒山、さらに2点差で柴田。氏川は柴田に遅れること5点差で4位で試合を折り返した。 電動トライアルバイク、TY-Eで参戦する黒山健一 2ラップ目、今度は小川が好調を取り戻した。難関のヒルクライムもクリーンの快進撃だ。小川に続いて調子を上げてきたのが、1ラップ目5位の野﨑史高(ヤマハ)だった。しかし小川は、野﨑以下を寄せ付けず、2ラップ目を5点二つで切り抜けて暫定トップでSSを迎えることになった。 2ラップ目の2位は野﨑だったが、1ラップ目とトータルすると、SS前の2位は柴田だった。柴田の減点は33点。小川とは7点差。数字的には逆転の可能性はある。暫定3位は氏川。氏川は柴田に5点差で、ここにも逆転の可能性があった。しかし4位に野﨑史高が追い上げていて、氏川と野﨑は1点差。さらに野﨑に2点差で黒山が続いていた。2位から4位まで、SS次第で順位はどう変わっていくか、わからない。 キレのあるライディングを見せ続けた柴田暁 SSは、新しい試み。SS第1とSS第2が同じセクションで、第1と第2でゲート設定を変更する。セクションの見どころもそれぞれだが、ギャラリーはSS第1と第2を移動しないで観戦できるメリットがあった。 SS第1を最初に走破したのは久岡孝二(ホンダ)。9位でSS進出を果たしたが、これで逆転の目が出てきた。その後また5点が続き、次にここを走破したのが黒山だった。川の流れの音がさわやかな渓谷のキャンプ場に、電動のヒューンという動作音が響く。 黒山の後のトライは氏川。2連勝の夢はすでに断たれているが、このまま2位で終わるのか、氏川の走りは力強いものだった。クリーン! これはあとに続く柴田にも大きなプレッシャーを与えることになった。 氏川政哉は2位 そして柴田。なんとゲートを飛ばして5点。これで氏川と柴田が38点の同点となった。クリーン数は氏川の方が多く、氏川が有利な展開となった。 最後のトライの小川は勝利が決まっていてプレッシャーのない状態だったが、なんと5点となって、SS第1は終了した。 SS第2、今度は大岩が目玉となったが、SS第1より走破するライダーが増えた。磯谷玲が3点、久岡が1点、そして今日はついに本領を発揮できずに終わろうとしていた小川毅士が、見事なクリーンをたたき出した。 黒山が、再びモーター音を響かせて1点、黒山は野﨑を逆転して、4位浮上を果たした。5位が決まってしまった野﨑は5点となった。 大接戦の2位争い。最初にトライするのは、SS前に暫定3位だった氏川。ここでも氏川は気合いの入ったトライでクリーン。これで柴田のトライを待つことなく、自力で2位獲得を決めた。柴田は3点。それでも、開幕2連続表彰台獲得だ。 小川友幸は、最後に華麗なトライを見せて有終の美を飾るのが決まり手。今日も美しいトライを見せてくれるかと期待されたが、1回足が出てトータル減点32。2位氏川に6点差での勝利となった。 IAS優勝の小川友幸。左は2位の氏川政哉 2023_R2_IAS_resultsダウンロード 国際A級 開幕戦を3位で終えて、次は必ず勝つと宣言していた黒山陣(スコルパ)。第5セクションで5点となったが、他は最小減点で1ラップ目からトップ。2ラップ目は5点の一つもなく、唯一両ラップを一桁減点で走りきって勝利を決めた。2位にはちょうどダブルスコアの差をつけていた。13歳の黒山の勝利は、国際A級最年少勝利記録となった。黒山は、もちろんランキングトップにも躍り出ている。 IAクラスは13歳の黒山陣が初優勝 2位は田中裕人(ホンダ)。久々に参戦の開幕戦から、今回は勝ちに行くということだったが、黒山に差をつけられての2位となった。3位は砂田真彦(ホンダ)。 九州の徳丸新伍(ホンダ)が4位、開幕戦を欠場した小谷徹が5位で、山形から遠征、15歳の浦山瑞希が6位入賞した。 今回は勝利に自信を持っていた黒山陣 2023_R2_IA_resultsダウンロード レディース 3人のみの参加でちょっとさびしい戦いとなったが、山森あゆ菜(モンテッサ)が切れ味のいい走りで勝利。5点ひとつもなしの絶好調だった。 レディースクラスは山森あゆ菜が第2戦を勝利 いつも笑顔の米澤ジェシカ(TRRS)は山森に31点差となった。 開幕戦で勝利した小玉絵里加(ガスガス)のエンジンがかからないというトラブルが発生。パドックに戻して修理を試みるが断念。可能な限りマシンを押して申告5点でセクションを回ろうとするが、この際に他人の力を借りたという規則違反で失格となった。 ランキングトップは山森だが、山森に8点差のランキング2位が米澤、小玉が米澤に5点差、小玉に5点差で中川瑠菜と続いていて、なかなかの接戦だ。 優勝は山森あゆ菜(右)2位の米澤ジェシカ(左) 2023_R2_LADIES_resultsダウンロード 国際B級 開幕戦勝利の村田隼が2連勝。厳しい戦いだったというが、同じ中部の山田敬典に3点差で勝利した。3位は地元熊本の辰己貴俊が入り、4位に鹿児島の後藤研一、5位に11歳の永久保圭、6位に古市光と、6位までは4人の中部勢、二人の九州勢に占められた。 Vertigoを走らせるIB村田隼 IBクラス連勝、村田隼 2023_R2_IB_resultsダウンロード

小川友幸圧勝そしてシリーズチャンピオン獲得

2022年10月23日 宮城県柴田郡スポーツランドSUGO 観客数:1,200人 久しぶりに、中止、延期、日程変更のないシーズンとなった2022年が、宮城県スポーツランドSUGOで幕を下ろすことになった。IASはこれが8戦目、その他のクラスは7戦目の全日本選手権となる。 今回も、天気予報は日曜日の昼から雨という予報を伝えていた。雨は土曜日のうちに激しく降り、さらに日曜日の朝いちでぱらっと降り、その後は晴れ間が見えてあたたかくもなって、なかなかの観戦日より。しかし2ラップ目終盤からSSにかけて短時間ながらそこそこの雨降り。今年はなかなか1日中晴れることのないシーズンだった。 10セクション2ラップとSSという、いつものとおりの試合形態。レディース、IB、OT125は8セクション2ラップでの戦いとなった。スタートするや、第1セクションで渋滞発生。列は長く、30分〜40分はここで時間が消費されていく。 例年、SUGOのセクションは難易度が低めだが、その分、確実に走らなければ成績を出すのはむずかしい。難度が高かったのは第4セクションと最終セクション。その他の8セクションはクリーンすることがトップ争いの条件となった。 国際A級スーパー 1ラップ目のトップは、鬼門の二つのセクションの他、二つのセクションで減点1をとった小川友幸(ホンダ)。小川に4点差で黒山健一(ヤマハ)。黒山は5点3つのほか、7つのセクションでクリーンをたたき出した。 安定したライディングを続け、優勝した小川友幸 2位になった黒山健一、ランキング2位をキープ 前回初優勝した氏川政哉(ホンダ)は、1ラップ目に4つの5点を喫して、黒山に5点差で1ラップを終えた。氏川に2点差で野﨑史高(ヤマハ)、さらに野﨑に3点差で柴田暁(TRRS)、柴田に1点差で小川毅士(ベータ)、小川に1点差で久岡孝二(ヤマハ)、久岡に2点差で武井誠也(ホンダ)と6人が8点の中にひしめく1ラップ目となった。あわや全員が5点かと思われた最終セクションで、柴田が叩き出したクリーンは見事だったが、柴田はクリーンすべきセクションでの5点が痛かった。 3位になった氏川政哉 2ラップ目、各ライダー、それぞれ1ラップ目の経験をもとに、より精度の高い走りをかたちにしてきた。中でも、5点なし、3点一つと1点一つで10セクションを走り抜けた小川友幸はすごかった。それでも小川は、第4セクションをクリーンできなかったことが悔しい様子。2ラップを終えて、2位の黒山にはちょうど10点差。ふたつのSSのどちらかを3点で抜ければ、小川の勝利が決まる計算だ。 黒山は、難関の第4と最終を抜け出ることができず。しかしそれ以外はすべてクリーンした。ふたつの鬼門セクションを両方抜け出たのは、小川の他には氏川がいた。氏川もまた、2ラップ目は5点なし。小川の4点に次ぐ7点をマークして黒山を追いつめる。黒山とは2点差。 SSは、複雑な岩の上を渡っていくもので、SS第1とSS第2は同じセクションを逆走する設定だった。 SS第1はトップライダーの多くがクリーン。これで小川の最終戦勝利を始め、逆転の可能性の多くが消えた。残る勝負は、黒山と氏川の2位争い、野﨑と柴田の4位争い。2位争いは2点差、4位争いは1点差の戦いだった。 野﨑は雨に濡れたコンクリートブロックを斜めから飛びつき2点でここを抜け出した。これが柴田にはプレッシャーとなり、柴田はこのポイントで5点。最後の最後で野﨑に4位の座を明け渡すことになった。 波のあるシーズンだった。最終戦の野﨑史高は4位 2位争いは、氏川が大岩までジャンプしてクリアする作戦をとって盛り上げるが、これは飛距離が足りずに失敗。黒山のトライを待つことなく、黒山2位、氏川3位が決まった。 最後を走る小川は、野﨑と同じように斜めからコンクリートブロックに飛びついたが、野﨑の2点に対し小川は1点で通過。王者の風格を見せつけて、2022年シーズンの幕を下ろした。 優勝小川友幸(中央)2位黒山健一(左)3位氏川政哉(右) 2022_R8_IAS_resultダウンロード 国際A級 田中善弘(ホンダ)と永久保恭平(ベータ)によるチャンピオン争いは、前戦まででその差が15ポイントに広がり、永久保が優勝しても田中が5位以上なら田中のタイトル獲得が決まる計算だ。ここまで4勝して4位より落ちたことがない田中にすれば、タイトル獲得は確実と思われた。 圧勝した田中善弘 田中は、10セクション2ラップを5点はおろか、2点もなし。2ラップ目にはオールクリーンも狙ったという好調ぶりで圧勝。永久保もきっちり表彰台に上ったのだが、田中3点に対して永久保19点ではさすがに勝負があった。 3位には、2020年IBチャンピオンの中山光太(ベータ)が入った。4位はこれも若手の福留大登(ガスガス)。福留は今回の4位でランキング5位となり、国際A級スーパーを走る道が開けた。 6位に、国際B級でチャンピオンを決め、再昇格の申請をした宮崎航が入っている。 国際A級シリーズチャンピオン、田中善弘 優勝田中善弘(中央)2位永久保恭平(左)3位中山光太(右) 2022_R8_IA_resultダウンロード レディース 小玉絵里加(ホンダ)と山中玲美(ホンダ)の1ポイント差でのチャンピオン争いが注目されたレディースクラスの最終戦。ほぼ、この大会で上位につけたほうが新チャンピオンになる構図だ。 優勝は、今シーズン2度目の出場の元国際A級の片桐真理子(ベータ)。1ラップ目3点、2ラップ目1点と、ほぼ完璧な勝利だった。 ベテランライダー片桐真理子の完璧な勝利 2位にはソアレス米澤・ジェシカ(TRRS)。2ラップ目の3点は素晴らしいスコアだった。とはいえ、2位から6位までは7点差という大接戦だった。 山中はソアレス米澤に4点差、3位の山森あゆ菜(ベータ)に2点差で4位となった。しかし小玉が6位となったことで、山中は2点差で新チャンピオンの栄冠をつかんだ。山中と小玉は3点差。5位には、山中に1点差で前戦優勝の中川瑠菜が入っている。 シリーズチャンピオン獲得、山中玲美 2022_R8_L_resultダウンロード 国際B級 宮崎航(ベータ)が国際A級に再昇格し、最後の戦いはチャンピオン不在となった。 優勝は、開幕2戦を欠場した岡山の小椋陽(モンテッサ)。宮崎に勝てぬままシーズンが終わったのがくやしいというが、来年は舞台を国際A級に移して戦いが続く。 岡山県の小椋陽が優勝 2位に藤堂慎也(モンテッサ)、3位に川添蒼太(ホンダ)と、久々に若手が表彰台を独占した。 シリーズチャンピオン宮崎航。今回は国際A級クラスを走り6位に 優勝小椋陽(中央)2位藤堂慎也(左)3位川添蒼太(右) 2022_R8_IB_resultダウンロード オープントロフィー125 栃木の国内A級、神長叡摩が出場。まだ12歳で、将来が楽しみだ。神長のスコアは、国際B級の31位相等だった。 2022_R8_OT125_resultダウンロード

R4北海道 小川友幸連勝、大きくポイントリード

2022年7月17日 北海道わっさむサーキット 観客数:716人 7月の全日本選手権は北海道。コロナ禍で去年一昨年と2年続けて中止になっていたが、2022年第4戦は、3年ぶりに北の大地に返ってきた。 天気予報は、またしてもまたしても雨予報。しかし当日の朝、雨は降らず、午前中のうちは天気は持ちそう、ということになり、セクション設定も天候に翻弄されることになった。今回は7セクションが用意され、これを3ラップ、SSのあるIASをのぞくすべてのクラスが、21セクションで勝敗を競うことになった。 晴れ設定を雨設定に、当日になってできる範囲で晴れ設定に戻したというセクションが、天候の変化とともにどんな結果をもたらすのか、スタートする頃には、太陽も顔を出し、北海道の夏らしい陽気になっていった。 国際A級スーパー 第3戦で圧勝とも言える勝ちっぷりを見せた小川友幸(ホンダ)は、今回もすばらしい走りを見せた。減点は最小限、5点となる失敗は一つもなかった。1ラップ目2ラップ目はラップ3点、3ラップ目はオールクリーンと、7セクション3ラップを終えた時点ですでに文句なく勝利を決めた。 雨が降る前に早めにセクションをトライしていった小川友幸、3連勝 この日の小川は、雨が降ることを想定して、少しでも条件がいいうちにトライを進めるべく、いつもよりかなり早周りして試合を進めた。この小川の早周りに引っ張られるように、今回は全体的に試合のペースが早かった。結局、雨が降ったのはほとんどのライダーが3ラップを終えようという頃で、小川は完全にドライなうちに3ラップをゴールした。 難関だったのは、晴れていても水が湧き出して地面が湿っている第4セクション。小川はここを1点2点クリーンと最小減点で走破したが、他にここをクリーンしたライダーはなし、いかに5点にならずにここを抜けられるかが2位争い以下の勝負となった。 2位争いは、世界選手権T2に参戦中の小川毅士(ベータ)を中心に展開された。1ラップ目は黒山健一(ヤマハ)が2位、毅士が1点差の3位。2ラップ目になり、黒山が第4での5点に続いて第5でも3点となると、毅士に2位を奪われ、さらに2ラップ目をクリーン6(減点したのは第4での3点のみ)で追い上げてきた氏川政哉(ホンダ)に3位も奪われた。 優勝の小川に大差をつけられたが、氏川政哉は2位 3ラップ目、毅士がポジションを守れるかどうかの戦いとなったが、氏川は再び第4以外をクリーンして追い上げた。毅士は第4で5点、最終第7で1点を失い(この頃、ちょうど雨が降り始めていた)政哉と毅士は同点(クリーン数で政哉が上位)となった。 優勝は小川友幸で決まり。SSでの勝負は、2位争いの二人に、5点差の黒山がどうからむかが興味の的となった。この頃には雨は本格的に降っていて、特にSS第1は滑る岩から発進して岩に上がるポイントが難所になった。ここを抜けたのは、黒山健一と小川友幸のみ。どちらも1点の足つきで走破している。 氏川、毅士ともに5点となったため、2位争いは大接戦。氏川と毅士が24点、黒山が25点に迫った。入口の岩を回り込むポイント、中盤の大ブロックから飛び降り、最後に用意された直角2mへの飛びつきと、失敗はどこででもできた。そしてSS第2にトライするライダーは、みなそれぞれのポイントで失敗して、なかなか最後まで走破ができない。 今年は世界選手権Trial2に参戦中の小川毅士。一時帰国して参戦、3位 最初にクリーンが出るかと思われたのが、黒山だった。直角2mまでは順調にマシンを進めた黒山、失敗してからここを登りきったライダーはここまでにもいたので、黒山が登るのは確実と思われたが、なんと失敗。続く毅士は、飛び降りで1回足つきがあったものの、初めてここを走破。黒山の逆転劇はなくなった。残るは毅士と氏川の2位争いだ。毅士が1点で抜けて、総減点は25点。クリーン数は氏川に分があるので、氏川が1点以内で走破すれば氏川が2位、2点以上なら毅士が2位だ。氏川は1ラップ目、最終第7セクションとして登場したこのセクションの中盤の大ブロックを失敗している。今度はどうか。そのプレッシャーに打ち勝ち、氏川は見事なクリーン。氏川2位、毅士3位が決まった。 選手権争いは、優勝の小川はランキング2位の黒山に26ポイントの大差でリード、黒山に10点差で、氏川が追い上げている。 2022TRJ_rd4result_IASダウンロード 国際A級 田中善弘(ホンダ)と永久保恭平(ベータ)の優勝争い、チャンピオン争いが激戦のIAクラス。今回は第2戦九州大会に続いて永久保が2勝目。田中が4位となったため、タイトル争いでも永久保が9点のリードでトップとなった。 国際A級は永久保恭平が優勝 1ラップ目2ラップ目と、永久保は好調。2点、1点とほぼパーフェクトな走りで2位以下を突き放す。 3ラップ目、永久保がふたつの5点で11点減点。大きな減点だったが、1ラップ目2ラップ目の貯金が効いて、5点差で逃げ切り勝利を果たした。田中は3ラップ目にトップスコアで追い上げるも間に合わずだった。 2位は今シーズン2回目の出場の小野貴史(ホンダ)、3位にはベテラン中のベテラン、小谷徹(モンテッサ)、5位に中里侑(TRRS)が初入賞、岡山のベテラン、尾藤正則が久々に6位入賞した。 国際A級表彰式。左から2位小野貴史、優勝永久保恭平、3位小谷徹、4位田中善弘、5位中里侑、6位尾藤正則 2022TRJ_rd4result_IAダウンロード レディース 西村亜弥(ベータ)が負傷療養のため欠場、女王不在で次の女王の座を争って6人がしのぎを削った。 1ラップ目のトップは静岡の高校生、山森あゆ菜(ベータ)。減点は4点だった。小玉絵里加(ホンダ)が6点、ソアレス米澤・ジェシカ(TRRS)と山中玲美(ホンダ)が同点の8点で続く。 2ラップ目、今度は1ラップ目5位の中川瑠菜(ベータ)がラップトップ。第2セクションの1点以外はすべてクリーンという素晴らしいスコアで、この日のベストスコアにもなった。 しかし3ラップ目は、山中玲美(ホンダ)が3点でラップをまとめた。地道にスコアをまとめていたのは小玉だったが、山中は小玉と同点、クリーン数の差で、全日本選手権レディースの初優勝をあげた。小玉が2位、山森が3位、山森から2点差で、ソアレス米澤と中川が並ぶという、大接戦のレディースクラスだった。 レディースクラス初優勝、山中玲美 レディースクラス。左から2位小玉絵里加、優勝山中玲美、3位山森あゆ菜、4位ソアレス米澤ジェシカ、5位中川瑠菜 2022TRJ_rd4result_Ladiesダウンロード 国際B級 宮崎航(ベータ)は、1ラップ目からオールクリーンで快調な滑り出し、2ラップ目1点、3ラップ目1点、タイムオーバーの1点を加えて、全部で3点でゴール。2位の小椋陽(モンテッサ)が14点だから、圧倒的大差だった。小椋は第3戦から出場して、2戦連続の2位表彰台獲得となった。 3位は岡山の清水寧郁(スコルパ)。今シーズン発表彰台獲得だ。 シリーズランキングではもちろん宮崎がトップ、2位に今回4位の辻本雄河(TRRS)、3位に本田隆史(ガスガス)、4位に吉本由輝(スコルパ)、5位に今回3位の清水と続く。本田から清水まで7ポイントと、ランキング争いも熾烈だ。 国際B級優勝はベテランの宮崎航 国際B級表彰式、左から2位小椋陽、優勝宮崎航、3位清水寧郁、4位辻本雄河、5位滝浪猛、6位本田隆史 2022TRJ_rd4result_IBダウンロード オープントロフィーNA 今回のオープントロフィーはNAライセンス所持者によるもので、北海道から2名、東北から1名、北陸から1名の4名で競われた。 優勝は石川県の沖野時彦(モンテッサ)、宮城県の矢吹睦夫(ホンダ)を2点差で抑えての勝利だった。 2022TRJ_rd4result_OTNAダウンロード

R3関東 小川友幸圧勝のもてぎ

2022年6月5日 栃木県:モビリティリゾートもてぎ 観客数:2,800人 全日本選手権第3戦は関東大会もてぎ。コロナ禍となって3年目、世界選手権のキャンセルが続いて3年目のもてぎ大会となった。今年からツインリンクもてぎがモビリティリゾートもてぎと名称変更となり、モビリティリゾートもてぎでのトライアルは、これが初めてとなった。 予報は今回も雨の心配があったが、土曜日は快晴、日曜日も朝のうちは小雨が残っていたが、スタートする頃には雨は止んで、途中暑いくらいの好天になりながら、ほぼ1日曇り空のコンディションとなった。 セクションはどこのクラスもむずかしめということで、激戦が期待された。 国際A級スーパー スーパークラス優勝の小川友幸(ホンダ)ランキングでは2位の黒山に14点差でトップ 開幕戦で敗北しながら第2戦で土壇場の逆転勝利を飾った小川友幸(ホンダ)は、今回は堂々たる走りを披露した。10セクション2ラップはどれもむずかしく、オール5点となってしまった選手も何人かいる中、小川は20セクションを走って5点が一つのみと、スコアも素晴らしかった。 これを追うのは黒山健一(ヤマハ)だったが、1ラップ目からダブルスコアに近い差をつけられ、2ラップ目には5点を二つ喫して、2ラップ目が終わった時点で16点差と、勝負の決着はついていた。この日の小川には、死角がまったく感じられなかった。 果敢にセクションを攻めていく黒山健一(ヤマハ)だが、小川の点数に届かなかった 3位には氏川政哉(ホンダ)。1ラップ目の4位から、2ラップ目に追い上げ、黒山と5点差でSSに挑んだ。黒山を逆転しての2位浮上はならなかったが、今シーズン結果が伴わなくて不本意続きだった氏川には、ようやく表彰台に乗ることができて一安心だった。 3位の氏川政哉(ホンダ)今シーズン初の表彰台へ その氏川にわずか1点差でSSに挑んだ野崎史高(ヤマハ)は、SS第1で大岩攻略を失敗し、これで4位を決定づけた。柴田暁(TRRS)は難セクションを走破する好調ぶりも見せつつ、全体としてはスコアをまとめられずに5位。10個もの5点で苦しんだ小川毅士(ベータ)が6位となった。 IASとなって2年目の若手、廣畑伸哉が自身最高位の7位を獲得して、ランキングも7位に浮上した。独自のスタンスを貫くオートレーサー野本佳章が9位となって廣畑に続くランキング8位。今年のIASは、SSへの進出争い(10位までがSSに進む)、そして15位までの選手権ポイント争いなど、トップ争い以外でも見どころが多い。 チャンピオン争いは、トップの小川友幸が2位黒山に14ポイント差をつけた。以前より上位に入った場合のポイントが獲得が大きくなっているから、まだまだ今後の波乱もありそうだ。 2022TRJ_rd3result_IASダウンロード 国際A級 ベテラン田中善弘の勝利 開幕戦、第2戦と永久保恭平(ベータ)の後塵を拝した田中善弘(ホンダ)が、3戦目の正直で今シーズンの初勝利を飾った。 田中は1ラップ目にふたつのセクションで減点して4点、2ラップ目は5点一つのみで、総減点9点、クリーン17の見事な勝利を飾った。 チャンピオン争いで田中と競りあう永久保恭平(ベータ)は5点5つで4位。ランキングでも3点差で、田中がトップに躍り出た。 2位は本多元治(ホンダ)、3位は山崎頌太(ベータ)、6位に砂田真彦(ホンダ)と、いずれもIAS経験のある実力者たちが並んだが、この中で、5位にIA昇格2年目の黒山陣(スコルパ)が5位に入って気を吐いた。 国際A級表彰式、優勝田中善弘(中央)2位本多元治(左)3位山崎頌太(右) 2022TRJ_rd3result_IA-1ダウンロード レディース 大接戦だったが、連勝記録は続く。レディース西村亜弥 チャンピオン西村亜弥(ベータ)の妹であり、日本レディース唯一人IAだった実績のある片桐真理子(ベータ)が参戦、姉妹対決が注目を集めた。 二人はペース配分をまちがえたということで、セクションのいくつかを申告5点でパスして試合を進めることになったが、2点差で現役チャンピオンが勝利。片桐はわずか1点差で小玉絵里加(ホンダ)をかわすという大接戦となった。 4位は、前回3位表彰台を獲得した山森あゆ菜(ベータ)、前回2位の山中玲美(ホンダ)は5位。山森と山中の点差もわずか2点だった。今回の参加は、8名だった。 レディース表彰式、1位西村亜弥、2位桐生真理子、3位小玉絵里加、4位山森あゆ菜、5位山中玲美、6位ソアレス米澤 2022TRJ_rd3result_Ladiesダウンロード 国際B級 IBクラス優勝、宮崎航 IASからライセンス失効でIBに出場、開幕戦で勝利した宮崎航(ベータ)が、再び登場。1ラップ目、宮崎は第2戦で勝利した辻本雄河(TRRS)に4点差の8点でトップ。しかし思わぬ失点もあって、トライアルのむずかしさをあらためて痛感していた。 2ラップ目は渋滞もあって試合展開は波乱含み。宮崎も5点4つを喫しながら、それでも2位に4点差で2勝目を挙げた。 2位となったのは、GC大会で勝利した小椋陽(モンテッサ)。もの不足でマシンの修理や調達ができずに開幕2戦を欠場したということだが、3戦目でデビュー、宮崎に迫る2位獲得はよい結果となった。 IA昇格の権利をかけたランキング争いは、昇格申請が可能な宮崎を含めてなかなか熾烈。シーズンが進むにつれて、昇格レースはさらに興味深いものになっていくにちがいない。 IBクラス、優勝宮崎航、2位小椋陽、3位辻本雄河、4位本田隆史、5位吉本由輝、6位新井昭多 2022TRJ_rd3result_IBダウンロード オープントロフィー125 全日本選手権に併催されて組まれたオープントロフィー125には、栃木県の14歳、神長叡摩が参加した。全日本の舞台、IBセクションへのトライと、このクラスへの参戦経験は将来に向けて貴重なものとなるはずだ。 オープントロフィー125に出場した神長叡摩 2022TRJ_rd3result_ot125ダウンロード

R2九州 小川友幸逆転勝利 2位小川毅士

2022年4月24日 熊本県矢谷渓谷キャンプ場 観客数:1,200人 2022年の全日本選手権シリーズ、その第2戦。昨年の宮崎県えびの高原から、今年は会場を熊本県矢谷渓谷キャンプ場に移して開催された。この会場での全日本大会は、2016年以来となる。 雨予報で、当日未明まではそこそこの雨が降り続いたが、朝のスタート時刻ころには雨は止んだ。その後、午前中に小雨に降られたものの、日が沈む頃には薄日がさすほどになり、雨具もいらなくなっていった。 砂と石まじりの土質で、水に濡れてもそれほど泥々にならず、グリップも一見悪くないのだが、岩はつるつるに滑り、グリップがあると思っていた路面も突発的に滑ったりと、なかなかにむずかしいトライアルとなった。 国際A級スーパー SSで逆転勝利。小川友幸 開幕戦で黒山健一(ヤマハ)の好走を止められなかったチャンピオンの小川友幸(ホンダ)だったが、九州ではチャンピオンの走りが戻ってきた。1ラップ目の10セクションをクリーン4、5点二つでまとめてきた。小川が残した二つの5点は第3と第10で、この二つは全員が5点(第3は1ラップ目のみ全員5点)となったところだった。 今回、小川を脅かすべきは野崎史高(ヤマハ)だった。野崎は大会直前に腰を痛め、さらにウォーミングアップ中に指を痛めていて、コンディション的には最悪だったのだが、トライ中にはそんなハンディを感じさせない走りを見せていた。その野崎も、小川には9点差をつけられている。小川の1ラップ目は15点だから、9点差はかなりの大差だ。 1ラップ目の3位は、今シーズンからマシンを乗り換えた柴田暁(TRRS)だった。野崎とは1点差の25点。この後も、小川毅士(ベータ)26点、吉良祐哉(シェルコ)27点、黒山29点と接戦が続く。前回優勝の黒山が1ラップ目を終えて6位というのも、意外な展開だった。 2ラップ目、今度は小川友幸が調子を崩した。ゲート接触の5点が多く、2ラップ目には5点が5個にもなった。2ラップ目の減点は28点と、自身の1ラップ目と比べても、ダブルスコアに近い。 2ラップ目に調子を上げたのは二人。小川毅士と氏川政哉(ホンダ)だった。小川毅士は自身の1ラップ目より10点減点を減らし、1ラップ目の小川友幸のベストスコアに匹敵する16点で追い上げてきた。これで、2ラップが終わった時点では、トップは1点差で小川毅士のものとなっていた。 2ラップ終了時点でトップに立った小川毅士 氏川は1ラップ目から8点減点を減らして、7位から4位にポジションを上げて2ラップを終えた。 1ラップ目3位だった柴田は、2ラップ目に5点減点を増やし、7位までポジションを落として2ラップを終えた。点数の近いライバルがひしめいているから、小さな減点が順位を動かしていく。 残るSS。今回のSSは難度が高く、特にSS第2はだれも上れないのではないかと言われる大ヒルクライム。逆転劇は、5点以内の点差でポジションを争うライダーにのみ実現できそうだ。優勝争いは1点差だから、もちろん逆転劇が生まれる可能性は大だ。 優勝争いから6点差で、単独3位が野崎。野崎と4点差で氏川だが、ここに逆転の可能性はあるだろうか、むしろ氏川に1点差で迫る黒山、さらに3点差の柴田、吉良による四つどもえの4位争いとなりそうだ。 8位廣畑伸哉(ガスガス)は、7位までの間に18点が開いて、これ以上の結果は望めない。しかし廣畑を含め、久岡孝二(ヤマハ)と野本佳章(ベータ)が同点で並んでいて、ここにも逆転劇は生まれそうだ。 SS第1、最初にトライした野本が3点で抜け、久岡が5点。ここで野本が久岡を逆転した。廣畑も3点で抜けたが、廣畑の順位は変わらず。そしてここから、4人による4位争いとなる。 3位表彰台を確保した野崎史高 まず柴田が2点をマークしてライバルにプレッシャーをかける。吉良は5点、次の黒山は、柴田を上回る1点で、逆転を狙う柴田の頭を押さえた。ここで氏川が5点。この時点では、黒山が4位に進出し、氏川5位、柴田6位、吉良7位と並んだ。 続く、難攻不落と思われていたSS第2。焦点はどこまでもどこまでも登っていく特大ヒルクライムだが、それ以前に入口の空中丸太越えも難所だった。トップを切ってトライした野本はこの丸太で激しく滑って5点。それでもSSとあってヒルクライムにも挑戦……、と思いきやヒルクライム入口で華麗なバックフリップを決めてSSを見守るギャラリーを沸かせていた。野本のバックフリップを見るのも、そういえば久しぶりだ。 その後も丸太で5点、丸太を抜けてもヒルクライムの加速がむずかしく、頂点までは届かない。しかし全開を維持しながら、最大限にスピードを乗せた柴田が1点で抜けると、後続にとっては登りきらなければいけない使命が生まれた。しかし黒山、氏川と続けて失敗。野崎が3点で抜け、順位争いも混とんとしてきた。 優勝争いの二人は、まず小川友幸が3点で抜け、小川毅士は加速でマシンコントロールがわずかに乱れて失敗、勝負は3点差でチャンピオンの勝利となった。 リザルトは、SSで順位ががらりと変わった。柴田が7位から4位にポジションをアップさせ、氏川が4位から6位にドロップ、黒山は3位も狙える勢いを見せながら5位となった。 ランキングテーブルでは、開幕戦2位、第2戦2位の小川友幸がトップだが、2位の黒山に早くも9点のポイントリードを築くことになった。野崎が黒山に4点差のランキング3位、さらに2点差で小川毅士と続いている。 2022TR_R2_IASダウンロード 国際A級 国際A級優勝、永久保恭平 開幕戦で2位の永久保恭平(ベータ)がリベンジを果たした。前回3位の田中善弘(ホンダ)と同点クリーン数差の勝負を制しての優勝だった。 3位は宮崎県の徳丸新伍(ホンダ)。昨年九州大会以来、1年ぶりの全日本選手権参戦で、きっちり表彰台を獲得した。ベテランばかりの表彰台にあって、4位に福留大登(ガスガス・17歳)が入った。福留は、永久保、田中、本多に続き、ランキングでも4位となっている。 10代の若手では中山光太(ベータ・2019年IBチャンピオン16歳)が8位、黒山陣(スコルパ・2020年IBチャンピオン12歳)が10位、浦山瑞希(TRRS・2021年IBチャンピオン14歳)が13位と、それぞれより上位を目指して奮闘中だ。 国際A級表彰式。左から優勝永久保恭平、2位田中善弘、3位徳丸新伍 2022TR_R2_IAダウンロード レディース 2ラップ目でアクシデントはあったが、圧勝した西村亜弥 チャンピオン西村亜弥(ベータ)が苦戦した。結果は2位にほぼダブルスコアと圧勝だったものの、2ラップ目の第4セクションで手を負傷するアクシデント。以後、残りのセクションは痛みと戦いながらのトライとなった。 2位は前回5位からリベンジを果たした山中玲美(ホンダ)。3位はデビュー2戦目で表彰台獲得の高校生、山森あゆ菜(ベータ)が入った。 今回は6名の参加だった。 レディース表彰式。左から優勝西村亜弥、2位山中玲美、3位山森あゆ菜 2022TR_R2_LTRダウンロード 国際B級 全日本選手権初出場で初優勝、国際B級辻本雄河 昨年GC大会で昇格した辻本雄河(TRRS)が、初出場初優勝を決めた。開幕戦は病欠で、第2戦の今回がデビュー戦となっていた。 2位はこれも昨年GC大会で昇格した吉本由輝(スコルパ)。3位には、開幕戦2位の藤堂慎也(モンテッサ)が入った。ランキングトップは藤堂で、2位は9ポイント差で辻本となっている。 やはり昨年GC大会で昇格した10歳の黒山太陽(たお)は、今回13位で初ポイントを獲得した。 国際A級表彰式。左から優勝辻本雄河、2位吉本由輝、3位藤堂慎也 2022TR_R2_IBダウンロード
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