2023年4月23日
熊本県山鹿市矢谷渓谷キャンプ場特設トライアル場
観客数:800人

愛知・岡崎大会に続く2023年全日本選手権第2戦は、九州の熊本・山鹿大会。昨年に続き、矢谷渓谷キャンプ場の特設トライアル場での開催となった。これまで使われていなかったエリアもセクションとして登場し、昨年とはちがう、新鮮な印象の会場配置となっていた。

天候は土曜日から気持ちのいい好天気。朝夕は肌寒かったが、日中は暑からず寒からず、絶好のトライアル観戦日よりとなった。こんなに気持ちのいいトライアルデイも、久しぶりだ。

セクションはいくつか難度の高いものがあるということだったが、雨の中での前例が多かったため、路面が乾けば意外な神経戦になるのではないかという予測もあった。いずれにしろトライアルは、始まってみなければわからない。

国際A級スーパー

序盤好調だったのは前回勝利の氏川政哉(ホンダ)と、電動マシンの成長にすべてのパワーを注ぐ黒山健一(ヤマハ)。ふたりは第3セクションまでをクリーン、第4セクションの(昨年のSSだったもの)で初めて5点となった。その第4を、唯一クリーンしたのが柴田暁(TRRS)だった。このクリーンで柴田が逆転トップ。第5で唯一黒山がクリーンして再び黒山がトップ。しかし残るセクションを5点なし、最小減点で走り抜けたのはV13のかかる小川友幸だった。

1ラップ目でトップに立った小川友幸

1ラップ目のトップは小川で14点。2位に2点差で黒山、さらに2点差で柴田。氏川は柴田に遅れること5点差で4位で試合を折り返した。

電動トライアルバイク、TY-Eで参戦する黒山健一

2ラップ目、今度は小川が好調を取り戻した。難関のヒルクライムもクリーンの快進撃だ。小川に続いて調子を上げてきたのが、1ラップ目5位の野﨑史高(ヤマハ)だった。しかし小川は、野﨑以下を寄せ付けず、2ラップ目を5点二つで切り抜けて暫定トップでSSを迎えることになった。

2ラップ目の2位は野﨑だったが、1ラップ目とトータルすると、SS前の2位は柴田だった。柴田の減点は33点。小川とは7点差。数字的には逆転の可能性はある。暫定3位は氏川。氏川は柴田に5点差で、ここにも逆転の可能性があった。しかし4位に野﨑史高が追い上げていて、氏川と野﨑は1点差。さらに野﨑に2点差で黒山が続いていた。2位から4位まで、SS次第で順位はどう変わっていくか、わからない。

キレのあるライディングを見せ続けた柴田暁

SSは、新しい試み。SS第1とSS第2が同じセクションで、第1と第2でゲート設定を変更する。セクションの見どころもそれぞれだが、ギャラリーはSS第1と第2を移動しないで観戦できるメリットがあった。

SS第1を最初に走破したのは久岡孝二(ホンダ)。9位でSS進出を果たしたが、これで逆転の目が出てきた。その後また5点が続き、次にここを走破したのが黒山だった。川の流れの音がさわやかな渓谷のキャンプ場に、電動のヒューンという動作音が響く。

黒山の後のトライは氏川。2連勝の夢はすでに断たれているが、このまま2位で終わるのか、氏川の走りは力強いものだった。クリーン! これはあとに続く柴田にも大きなプレッシャーを与えることになった。

氏川政哉は2位

そして柴田。なんとゲートを飛ばして5点。これで氏川と柴田が38点の同点となった。クリーン数は氏川の方が多く、氏川が有利な展開となった。

最後のトライの小川は勝利が決まっていてプレッシャーのない状態だったが、なんと5点となって、SS第1は終了した。

SS第2、今度は大岩が目玉となったが、SS第1より走破するライダーが増えた。磯谷玲が3点、久岡が1点、そして今日はついに本領を発揮できずに終わろうとしていた小川毅士が、見事なクリーンをたたき出した。

黒山が、再びモーター音を響かせて1点、黒山は野﨑を逆転して、4位浮上を果たした。5位が決まってしまった野﨑は5点となった。

大接戦の2位争い。最初にトライするのは、SS前に暫定3位だった氏川。ここでも氏川は気合いの入ったトライでクリーン。これで柴田のトライを待つことなく、自力で2位獲得を決めた。柴田は3点。それでも、開幕2連続表彰台獲得だ。

小川友幸は、最後に華麗なトライを見せて有終の美を飾るのが決まり手。今日も美しいトライを見せてくれるかと期待されたが、1回足が出てトータル減点32。2位氏川に6点差での勝利となった。

IAS優勝の小川友幸。左は2位の氏川政哉
国際A級

開幕戦を3位で終えて、次は必ず勝つと宣言していた黒山陣(スコルパ)。第5セクションで5点となったが、他は最小減点で1ラップ目からトップ。2ラップ目は5点の一つもなく、唯一両ラップを一桁減点で走りきって勝利を決めた。2位にはちょうどダブルスコアの差をつけていた。13歳の黒山の勝利は、国際A級最年少勝利記録となった。黒山は、もちろんランキングトップにも躍り出ている。

IAクラスは13歳の黒山陣が初優勝

2位は田中裕人(ホンダ)。久々に参戦の開幕戦から、今回は勝ちに行くということだったが、黒山に差をつけられての2位となった。3位は砂田真彦(ホンダ)。

九州の徳丸新伍(ホンダ)が4位、開幕戦を欠場した小谷徹が5位で、山形から遠征、15歳の浦山瑞希が6位入賞した。

今回は勝利に自信を持っていた黒山陣
レディース

3人のみの参加でちょっとさびしい戦いとなったが、山森あゆ菜(モンテッサ)が切れ味のいい走りで勝利。5点ひとつもなしの絶好調だった。

レディースクラスは山森あゆ菜が第2戦を勝利

いつも笑顔の米澤ジェシカ(TRRS)は山森に31点差となった。

開幕戦で勝利した小玉絵里加(ガスガス)のエンジンがかからないというトラブルが発生。パドックに戻して修理を試みるが断念。可能な限りマシンを押して申告5点でセクションを回ろうとするが、この際に他人の力を借りたという規則違反で失格となった。

ランキングトップは山森だが、山森に8点差のランキング2位が米澤、小玉が米澤に5点差、小玉に5点差で中川瑠菜と続いていて、なかなかの接戦だ。

優勝は山森あゆ菜(右)2位の米澤ジェシカ(左)
国際B級

開幕戦勝利の村田隼が2連勝。厳しい戦いだったというが、同じ中部の山田敬典に3点差で勝利した。3位は地元熊本の辰己貴俊が入り、4位に鹿児島の後藤研一、5位に11歳の永久保圭、6位に古市光と、6位までは4人の中部勢、二人の九州勢に占められた。

Vertigoを走らせるIB村田隼
IBクラス連勝、村田隼

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