2023年10月22日
宮城県柴田郡村田町菅生スポーツランドSUGO
観客数:1,200人
2023年全日本トライアルシリーズ終盤。例年最終戦となることが多い宮城・SUGO大会だが、今年は国際A級スーパー(IAS)の最終戦がCityTrialJapan大会となるため、それ以外の3クラスについて最終戦としての開催となった。
スタートしたのは全クラス合わせて131台。SUGOでの開催では過去にない盛況で、渋滞対策としてセクションは若干短めとなっていた。その施策が功を奏したか、激しい渋滞はなく、競技はスムーズに進行した。
レディース(LTR)と国際B級(IB)は8セクション2ラップ、国際A級は10セクション2ラップ、IASはこれにSSの2セクションを加えた22セクションで競われた。
国際A級スーパー
今回は全クラスがオールクリーンを目指す設定だった。トップクラスのIASも、オールクリーンはともかく、大きな減点が勝利を遠ざける可能性が大きい設定だった。
最初の難関は第3。野﨑史高(ヤマハ)、久岡孝二(ホンダ)、柴田暁(TRRS)、小川毅士(ベータ)が1点の減点を喫する。しかしここで痛恨の5点を取ってしまったのが、大接戦のチャンピオン争い展開中の氏川政哉(ホンダ)だった。2点差でランキングトップを守ってきて、ここで一気に初タイトルに向けて加速したかった氏川だが、そのもくろみに暗雲がたちこめた。
好調だったのは黒山健一、そして小川友幸。黒山は1ラップ目をオールクリーンして、ヤマハのEVマシンの初勝利の可能性が高まってきた。逆転タイトル連覇を目指す小川は、第6セクションで1点を取ったものの、この時点でライバルにも減点が増えてきていて、優勝争いは黒山と小川の一騎打ちの様相を呈してきた。
1ラップ目の上位陣は、オールクリーンの黒山を始め、小川友幸1点、小川毅士6点、氏川と柴田が7点と、5人が一桁減点をマークした。
2ラップ目、小川友幸は勝利に向けて、黙々と仕事をこなしていく。逃げ切りたい黒山だが、なんと第6の岩場を抜ける際にチェーンがはずれてしまい5点となってしまった。2ラップ目は、1ラップ目に一桁減点をマークした5人に加えて久岡と野﨑も一桁減点の仲間入り。2ラップを終えて、トップは小川友幸で1点。黒山5点、小川毅士8点、氏川9点、柴田16点、久岡と野﨑が17点で、最後のSSを迎えることになった。
今回のSSはシンプルな人工セクション。第1はコンクリートブロック、第2はビッグ・タイヤが構成物となった。ひとつひとつの障害はともかく、連続技で攻めるのはむずかしい。
SS第1は、トップグループにとってはクリーン必須と思われたが、野﨑が1点、さらに黒山がなんとテープから飛び出して5点に。これで小川友幸の勝利が決まり、2位には小川毅士が、氏川が3位に浮上した。
最後の勝負のSS第2。大きなタイヤで野﨑が5点になったが、ここもまたトップグループにはクリーン必須だった。しかしここでまた波乱が起きた。氏川が1点をつき、黒山と同点に並ばれ、クリーン数差で再び4位に後退した。最後に小川友幸が1点をついたが、これは勝敗には影響なし。2位にはSSをふたつともクリーンした小川毅士が入った。
この1戦で、シリーズの流れも大きく動いた。小川友幸が今シーズン初めて単独トップに立ち、しかも10ポイントの大量リードを築いた。最終戦はスタジアム形式でここまでのシリーズとは異なるスタイルだが、小川友幸が連覇に向けて優位を築いたのはまちがいない。
国際A級
チャンピオンを決めたものの、前回マシントラブルで2位となった黒山陣(スコルパ)は、最終戦を勝利して有終の美を飾りたいとスタートした。
ところが第2セクションで5点となり、これで勝利は絶望的状況となってしまった。黒山はこのあと第9セクションでもエンストによる5点を喫して、5位を得るのが精いっぱいだった。
代わって本領を発揮したのがベテラン勢。今シーズン3回目の出場の田中裕人(ホンダ)は1ラップ目の減点が3点、2ラップ目にオールクリーンを達成して、2023年最終戦を制することになった。田中の勝利は13年ぶりで、4ストロークのRTLでの勝利はこれが初めてということだった。
2位は砂田真彦が入り、ランキングも2位を獲得。3位に山形の15歳、浦山瑞希が入り、ランキング3位も獲得した。
レディース
7名が参加のレディース大会。初出場、青森の木村亜紀(TRRS)にはちょっと厳しい戦いとなったが、無事に完走。そして上位5名はまさに1点を争う大接戦となった。
勝利は1ラップ目も2ラップメモトップスコアをマークした楠玲美(ホンダ)。1戦を欠場したことでタイトル争いには加われなかったが、2勝と最終戦勝利をものにして、ランキングも2位に浮上、チャンピオンとしてのシーズンを締めくくった。
2位は楠に2点差で山森あゆ菜(ベータ)。楠に20ポイント差で、初めてのタイトルを獲得した。IAクラスに続いて、10代チャンピオンの誕生だ。
国際B級
すでにタイトルを決めている村田隼(ヴェルティゴ)は、最終戦ではオールクリーンすると決めていた。そしてそのとおり、16セクションをすべてクリーンしてチャンピオンとしての最終戦を走りきった。
2位は、これもランキング2位を決定していた小原諄也(TRRS)が入った。
3位争いは大接戦。6位までが一桁減点で、そしてIAに昇格できるランキング5位争いもまた大接戦だった。こんな中、終盤になって一気に上位を獲得するようになった神長叡摩(シェルコ)が、今回3位でランキング5位を獲得。北海道・和寒大会で勝利した本田隆史(ガスガス)は9位で、ランキング4位でIA昇格を決めた。ここまでランキング3位だった古市光(ホンダ)は今回17位でポイント獲得ならずだったが、ランキング3位を守って昇格を決めた。ランキング争いは、3位から5位までが1点差ずつの接戦だった。