調整を進めていた第4戦の開催中止が決定

2025年5月31日〜6月1日に開催を予定していたD.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2025 第4戦の開催を中止することが決定しました。本大会については主催者とMFJモトクロス委員会によって調整が行われていましたが、検討の末、開催中止の決定が下されました。楽しみにしてくださっていた観客の皆様並びに関係者の皆様には、多大なるご迷惑をお掛けすることとなり、心よりお詫び申し上げます。 なお、D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2025は全8戦を予定していましたが、代替開催は行わないため、全7戦となります。 変更後年間スケジュール

「正直辞めようかとも……」。それでも最後まで諦めなかった勝利への思い

2024年、ライバルとのバトルを戦い抜き、チャンピオンに輝いたライダーたちは、今シーズンをどう振り返るのか。チャンピオンインタビュー第3弾では、レディースクラスチャンピオンの#1川井麻央(T.E.SPORT/ホンダ CRF150RⅡ)に話を聞いた レディースクラスのチャンピオン争いは、毎年最終戦にまでもつれ込み、今年も例に漏れず苛烈を極めた。新進気鋭の若手ライダーたちが頭角を表し、表彰台に登る中、確固たる強さと存在感を示したのが、クラスの中でチャンピオン経験のある#1川井麻央と#2本田七海だった。 本田は2019年にチャンピオンを獲得。一方川井は2020・2021・2023年とこれまでに3度チャンピオンに輝き、両者共に2024年もチャンピオンの座を狙っていた。しかし、川井は開幕戦でノーポイントからのスタートとなった。「これまでのモトクロス人生で一番大変だった」と語る2024シーズンをどう乗り越え、そしてチャンピオンの座に輝いたのだろうか。 2024年は予期せぬノーポイントから始まった JMXPromotion編集部(以下:編):チャンピオン獲得おめでとうございます。 開幕戦から今シーズンを振り返っていきたいと思います。 まず、2024年はどんな気持ちで挑んできたのでしょうか? 川井麻央(以下:川井):2024年は開幕戦が地元で、応援に来てくれる人も結構いたので、シーズンの中でも少し特別で、しっかり結果を出さないと、という気持ちがありました。また、開幕戦で勝つことができれば良い流れを作れるので、しっかり結果を残せるようにシーズンオフに乗りこんで、調子を上げて挑みました。 編:実際、開幕戦のレースは快勝でしたね。 川井:開幕戦はシーズンオフに周りがどれくらいレベルを上げてきたのかというのがわからないままレースを迎えるので、緊張感もありました。ただ、シーズンオフで怪我をすることもなく迎えられて、レース本番も調子良かったです。スタートから2コーナーまでは競っていましたが、その後は単独走行で終えることができました。自分にとってはすごく余裕のあるレースでしたね。 編:ただ、レース終了後に国内競技規則 付則15 32-1-4に該当するとして失格、ノーポイントとなり、波乱の幕開けでした。 川井:マシンについてはメカニックに全て任せていて、私は用意してもらったマシンで勝つ、というスタイルで戦ってきました。なので、開幕戦の結果は正直かなり動揺しました。ただ、あの結果があったからこそ、今まで以上にチャンピオンを獲りたいという気持ちが芽生えました。規則違反となってからの周りの目や声はちゃんと感じていて、だからこそチャンピオンを獲らなかったら何を言われるかわからない、と思って1年間頑張れた気がします。 編:なるほど。それでもかなりメンタルにダメージを受けているようでしたが、第2戦・第3戦に向けてはどのような気持ちだったのでしょうか? 川井:悔しさと悲しさと、いろんな感情があって、開幕戦が終わってからは、もう正直ここでバイク辞めてもいいかな、と思っていました。ただ、年間のスケジュールを見た時に、開幕戦が終わって次の週にHSR九州大会の事前練習に行く予定が組まれてたんです。開幕戦でのことがあって気持ちは結構落ちていたので、正直そこにも行くか悩んだのですが、すでに飛行機とか宿とかを手配していたので、チームとも話し合って、とりあえず九州には行くと決めました。 編:とりあえず、というのは? 川井:自分の気持ちとしては、乗りたくなければ無理に乗らず、3日間遊ぶ予定に変更しても良いなと考えていました。自分は土日の事前練習の前に金曜日に遊ぶ日を作っていたし、乗りに行くと考えると気持ちが落ちてしまう自分もいたので、とりあえず遊びに行こう! という感覚でした。 編:無理をしない、という心の切り替えはすごく大事だと思います。事前練習までに気持ちは回復したのですか?  川井:全然回復してなくて、金曜日に熊本に着いて、チームのパドックの設営があったのですが、知ってる人に会いたくなくて嫌だなあと思いながらコースに向かっていました。ただ、みんな特に何か言ってくるわけでもなくて、それで心が軽くなったというのもあります。 編:なるほど。結局は事前練習に参加したのですか? 川井:はい。自分のクラスは4台ぐらいしか走る人がいなくて、その少なさもあって気楽に乗ることができました。乗ってみると調子も良くて、その感覚があったから次も頑張ろうって思えました。 編:第2戦に向けては前向きな気持ちで挑めたのでしょうか。 川井:第2戦で勝たないと何言われるかわからないと思って挑みました。自分が勝てなかったせいで色々言われるのが本当に嫌で、どうすればいいのか考えた時に、やっぱり結果で見せるしかない。そう思って挑みました。 編:第2戦・第3戦と優勝を獲得。気持ちを切り替えて2連勝、なかなかできることではないと思います。 川井:第2・3戦で勝てたのは本当によかったと思います。しかもドライとマディ、両日それぞれ違うコンディションで優勝できて、すごく嬉しかったですね。 第2・3戦はイレギュラーな日程で、土日に1戦ずつの開催は初めての経験でした。土日2日間どうやって身体を作っていいかというデータもなかったし、これをやったらいけるという自信になるものもなかったので、不安ではありました。ただ、それでも勝てたから、自分の自信になったし、強さを改めて示すことができたと思います。あの2連勝が一番嬉しかったですね。 「勝てばいい」。マシン不調で追い込まれるも、周りの声に支えられた後半戦 編:第2戦から連勝を重ね、後半戦へ。近畿大会では4位となりました。この第6戦が一番悔しい大会と話していましたが、なぜでしょうか? 川井:その時は特に公言していなかったのですが、マシンの調子が悪くて、今まで自分のバイクに起こったことがない症状だったので、何が原因なのかわからなくて、結局予選も決勝も調子が悪いまま走り切りました。 編:それでも結果は4位で終えていましたね。 川井:自分の身体の調子が悪いわけじゃないし、でもタイムが出ないし……。もうその大会はどうすることもできなくて、ただただ悔しかったです。でもマシンが止まらなかっただけマシだと思いますし、あの状況でも4位に入れたのはよかったです。 編:後半戦最初の大会だったために、そこで結果を出せなかったのは悔しいですね。 川井:夏のインターバル期間には会場である名阪スポーツランドへたくさん乗り込みに行っていたし、チャンピオン獲るには一戦も落とせないという気持ちで挑んでいたので、後半戦で出鼻を挫かれた感じで少し落ち込みました。でも、チームや周りの人が「あと2戦勝てばチャンピオン獲れるから!」と前向きに声をかけてくれて、そのおかげでブルーな気持ちを切り替えることができました。 編:たしかに、近畿大会の次はオフロードヴィレッジ、地元大会でしたね。 川井:そうなんですよ。第6戦を終えた時点で残りのラウンドが、地元のオフロードヴィレッジとスポーツランドSUGOという、自分の好きなコースでした。後半戦になって一戦の重みがさらに増して、色々考えてしまっていたのですが、周りからかけてもらった言葉のおかげで「勝てばいいんだよな」と心が軽くなりました。 編:たしかに、それは真理ですね。…

一度はモトクロスを辞めて自衛隊へ。「それでもやっぱり乗りたかった」

2024年、ライバルとのバトルを戦い抜き、チャンピオンに輝いたライダーたちは、今シーズンをどう振り返るのか。チャンピオンインタビュー第1弾として、IB OPENクラスでチャンピオンを獲得した#5松岡力翔(SP忠男広島/ヤマハ YZ250F)に話を聞いた 全日本モトクロス選手権で開催されるIB OPENクラスでは、年間ランキング10位までのライダーがIAクラスへ昇格できる。その昇格枠を目指して、地方選手権を勝ち抜いてきたライダーたちによるトップ争いは毎年混戦を極めている。 2024年は特にライダーたちの実力が拮抗しており、レースごとに優勝するライダーが異なる大会も多かった。そんな中、着実に結果を残し、今年チャンピオンに輝いたのが#5松岡力翔(SP忠男広島/ヤマハ YZ250F)だ。彼の強さは、追い上げる力。スタートで出遅れても、20分というレース時間の中でしっかりと追い上げ、上位争いを展開してきた。チャンピオンを獲得した今、シーズンをどう振り返るのか。IBチャンピオンになるまでの経緯も含めて話を聞いた。 チャンピオンになった実感は…… JMX Promotion編集部(以下:編):IB OPENクラスチャンピオン獲得おめでとうございます! チャンピオン決定直後にコメントを聞いた時は「実感がない」と話していましたが、最終戦から数週間経った今、その実感は湧いてきましたか? 松岡力翔(以下:松岡):その時よりは実感してきてますね。チームや友達、地元の人におめでとうとお祝いしてもらって、チャンピオンになれたんだと、実感が湧いてきました。ただ、最終戦のヒート2で怪我をしてしまって、シーズンオフに入ってからは練習せず、治療に専念しています。 編:そうですよね……。私は転倒した場面を見ていなくて、レース後に腕を吊っているのを見て驚きました。どこを怪我したのですか? 松岡:単独で転倒して、肩を脱臼してしまいました。思わぬところで路面に引っかかって、身体を打ち付けて、そのままリタイアしました。最終戦は守くん(※1)が強かったのですが、ヒート2のスタート直後に転倒していたのを見て、ここでいくしかないと思って攻めてました。勝てる、自分にチャンスがきたと思っていたのですが、ものにできなかったですね。 ※1:#61守大夢選手。東北出身のライダーで、宮城県のスポーツランドSUGOで行われた第4戦・最終戦ともに全ヒート優勝し地元での強さを見せた 編:チャンピオンを獲得したとはいえ、怪我でシーズンを終えたというのは悔しいですね。 松岡:そうですね、治るまでにも時間がかかりそうで、早く回復してバイクに乗りたいです。 「やっぱりモトクロスがしたい」。復帰に至るまでの2年間 編:今はおいくつですか? 松岡:今年22歳です。所属チームでもあるSP忠男広島で働きながらレース活動を行っています。 編:何歳からモトクロスを始めましたか? 松岡:5歳から始めました。きっかけは家族で行ったドライブですね。 編:ドライブですか……? 松岡:はい。家族でドライブに行こうってなって、行った先が世羅グリーンパーク弘楽園でした。そこで初めてモトクロスを見て、僕もやりたい! って親に言って、それをきっかけに始めました。僕は5人兄弟の3人目で、僕と弟2人がモトクロスをしていました。最初は遊び感覚で乗っていたのですが、親が真剣になって、僕にも火がついた感じです。 編:そこから本格的にレースにも出始めるようになったのですね。最初にレースに出たのがいつか覚えていますか? 松岡:覚えていないですね……。地方選手権に出ていたのですが、ジュニアクラスに参戦し始めた時は予選通過ギリギリのラインにいるレベルでしたね。 編:なるほど。IBになったのはいつごろですか? 松岡:2018年ですね。ただ、3年間IBクラスを走った後、実はモトクロスでのレース活動を辞めて2年間陸上自衛隊にいました。その後、2023年にもう一度IBクラスに戻ってきたという感じです。 編:陸上自衛隊ですか! どうしてその道に進んだのですか? 松岡:IBクラスで3年間走ってみましたが、予選通過がギリギリという状況で、結果がずっと出なくて。自分モトクロス向いてないなあって感じてしまったんです。それまで小さい頃からずっとモトクロスを続けてきていたこともあって、練習もなあなあにしていたので、1回「味変」しようと思ってモトクロスを辞めて自衛隊に行きました。 編:なぜそこで選んだのが自衛隊だったんですか? 松岡:高校の仲の良い友達が自衛隊に行くっていう話を聞いて、その選択肢に魅力を感じて選びました。入ってからは毎日訓練を続けていたので、そこでメンタルが鍛えられたと思います。 編:モトクロスを辞めて、という話ですが、自衛隊に入った後は未練などはなかったですか? 松岡:自衛隊に入った後もずっとモトクロスのことを考えていました(笑)。その時は弟がモトクロスを続けていたので、練習相手になったり、一緒にバイクに乗ってはいました。その中でやっぱりモトクロスを続けたい、レースに出たいと思って、もう一度モトクロスするにはどうしたらいいのかなって考えて、自衛隊を辞める決断をしました。 編:なるほど。その後今所属しているチームに戻ったという感じでしょうか。 松岡:そうです。ジュニアから所属している「SP忠男広島」でずっとお世話になっています。自衛隊を辞めてもう1回モトクロスを始める時も相談して、チームに戻りました。 コーチの教えを生かして。開幕戦での3位がチャンピオン獲得へのきっかけに 編:レース活動を再開した2023年はランキング16位。そこからトップ争いを繰り広げ、チャンピオンを獲得するまでになるというのは簡単ではないと思います。何か変化があったのでしょうか? 松岡:去年からコーチとしてついてもらっている人がいます。昨シーズンは全戦会場についてきてもらって、アドバイスをいただいてました。その教えが僕自身を成長させてくれたと思います。1年間教えてもらって、今年は自分で考えて動きな、と言われて、わからないことなどがあれば電話で対応してもらっていました。ずっとつきっきりで教えてもらっていたら自分で考えようとしなくなるので、教えをどう生かすか、自分で考えながら走るようになったことが結果にもつながったと思います。…

ランキングからわかる、最終戦の見どころ

D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2024も残すは最終戦のみ。今シーズンの集大成となるMFJ-GPでは、IA1以外の全クラスでシリーズランキングが決定する。ここでは第7戦終了時点でのシリーズランキングを振り返りつつ、最終戦をさらに楽しむための見どころをお伝えする。 シリーズランキングは積み重ねてきた結果がポイントで数値化され、各ライダーの実力が可視化される。さらに今シーズンのランキングが来年のゼッケン番号に反映されることもあり、最終戦は1つでも上の順位でシーズンを終えたいというライダーたちの思いやドラマが詰まっていると言えるだろう。今季も各クラス、最終戦に向けて接戦が繰り広げられてきた。 IA1 チャンピオンはすでに決定。最終戦でどこまでポイントを獲得できるか IA1クラスは#1ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM/ヤマハ YZ450FM)が第7戦でチャンピオンを決定した。これまでのレースを振り返ると、ウィルソンは17ヒート中11勝を飾っており、優勝数は他のライダーと比べて圧倒的であった。最終戦でさらに優勝数を重ねることができるのか。今回はFIMモトクロス世界選手権MX2クラスに出場している#73フェルッチョ・ザンキ(Team HRC/ホンダ CRF450RWE)がスポット参戦することもあり、優勝争いは目が離せない。 一方、2位には280ポイントで#41横⼭遥希(HONDA DREAM RACING LG/ホンダ CRF450R)、3位には231ポイントで#33ビクトル・アロンソ(AutoBrothers GASGAS JAPAN/GASGAS MC450F)、4位には224ポイントで#2⼤倉由揮(Honda Dream Racing Bells/ホンダ CRF450R)、5位には170ポイントで#7能塚智寛(Team Kawasaki R&D/カワサキ KX450-SR)がつけている。特にビクトルと大倉の差は7ポイントと僅差で、ランキング争いは接戦だ。 IA2 僅差のチャンピオン争い、3位以降も接戦 IA2クラスは第7戦で#3中島漱也(bLU cRU レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ250F)が#2横澤拓夢(TKM motor sports いわて/ホンダ CRF250R)を逆転してランキングトップに浮上した。横澤との差は13ポイントと、最終戦の結果次第ではどちらがチャンピオンになってもおかしくない状況。決勝でどちらが勝利を掴むのか、チャンピオン争いに緊張感が走る。 また、ポイントランキング3位以降は、#6柳瀬⼤河(TKM motor sport…

「人生を変える一戦」中島漱也vs.横澤拓夢。親友が雌雄を決するとき

IA2クラスのシリーズチャンピオンが決定する最終戦直前、チャンピオン候補である#3中島漱也(bLU cRU レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ250F)と#2横澤拓夢(TKM motor sports いわて/ホンダ CRF250R)にインタビューをお願いした。仲の良い2人の関係性、そしてチャンピオンにかける想いとは 第7戦終了時点で13ポイント差。今年のIA2クラスのチャンピオン争いは劇的で、熾烈を極めている。今季を振り返ると、中島と横澤は開幕戦でそれぞれ1勝を挙げ、第2戦では中島が全勝、第3戦・第4戦では横澤が負けじと全勝を果たしている。さらに第5戦ではヒート1のラストラップで横澤が中島を抜かして優勝、ヒート2では中島が横澤を逆転し優勝を獲得、と一進一退の攻防を毎戦繰り広げ、チャンピオン争いは最終戦へもつれ込んだ。そんな大事な一戦を前に2人は何を思うのだろうか。 土台を作ってくれた先輩、理解しあえる存在。2人の関係性 最終戦への想いを聞く前に、2人の関係性を紐解いていく。レースでは毎戦トップを競い合う2人だが、レースを終えた後や表彰式では仲の良い姿が印象的だ。聞くと、2人は付き合いが長く、プライベートではお互い仲が良いという。 中島と横澤が出会ったのは7〜8年ほど前。横澤はIAクラスに参戦しており、中島はまだ85ccに乗っていた中学生だった。 「僕が中学生の頃は拓夢くんはもうすでにIAクラスを走っていました。拓夢くんがオフロードヴィレッジ*1に練習に来た時は、練習終わりに僕の家に遊びに来てくれたり、年末もうちに来て一緒に年越ししたこともあって、昔からプライベートでも仲が良いですね。僕がまだ免許持ってない時は練習に連れて行ってくれたり、色々お世話になってました」(中島) 「出会った時は漱也はまだジュニアで、85ccに乗っていました。今は同じIA2クラスで、去年の漱也の走りを見ていても今年はチャンピオン争いするだろうなと思っていましたし、実際に今シーズンを通してライバルとして存在感を感じるようになりました。いやあ、だいぶ成長しちゃいましたね」(横澤) *1:埼玉県川越市にある全日本コース。中島のホームコースでもある 中島は2020年にIA2クラスデビュー。今年で4年目となる。一方横澤はIA1クラスを経て2022年からIA2に参戦。2人が同じクラスで戦うのは2年目だ。お互いについて聞くと、2人とも信頼し合う仲の良い関係を築いていることが伝わってくる。 「僕がIA2クラスに昇格した1年目と2年目は、拓夢くんはIA1クラスに出場していたので被っていませんでした。ただ、プライベートでの繋がりは続いていて、僕がIA2クラス2年目の時には、拓夢くんの家から5分かからないくらいの場所にアパートを借りて半年くらい1人暮らしをして、トレーニングや練習を一緒にしたりと面倒見てもらってました。自分は他のIAの選手と練習することがあまりなかったので、プライベートの過ごし方もそうですし、トレーニングの仕方とか、練習方法とか、プロライダーとしての過ごし方を拓夢くんから教わって、土台を作ってもらったと思っています。僕はずっと拓夢君を追いかけてきました。年も離れていて4つ先輩なんですけど、ずっと面倒を見てもらって感謝しかないですね」(中島) 「漱也から関東には練習できるコースが少ないと聞いていて、自分としても練習相手が欲しかったので、うちの近く(東北)に来なよと誘いました。そしたらすぐに来てくれました。一緒のハイエースで練習に行ったりとか、多くの時間を一緒に過ごしていましたね。モトクロス以外の話でも価値観や考え方が似ていて、モトクロスで出会っていなかったとしても仲良くなっていただろうなと思います。あんまり後輩という感じはしなくて、お互い理解しあえる関係です」(横澤) チャンピオンへかける思い ポイントランキングを見ると、第6戦までは横澤が1位でリードし続けてきたが、第7戦で中島が3ヒート全てのレースで優勝したことにより立場が逆転。中島がトップに立ち、横澤が2位、そのポイント差は13ptと、僅差で最終戦を迎えることとなった。横澤を「ずっと追いかけてきた」と語る中島が、今は追われる立場になっている。迎える最終戦へどんな気持ちでいるのだろうか。 中島漱也「ここで結果を出すライダーが強い」 「拓夢くんと同じレースに出場して、バトルをして、今はチャンピオン争いもしている。特に今年は毎戦気が抜けない、勝つか負けるかというレースをしているのですが、関係性としてはそこまで変化はないですね。レースになったら、先輩後輩など全部ないのと同じで考えてますし、たぶん拓夢くんもそう思ってくれてると思います。お互いにレースになったら、走りに集中するし、ちょっとでも隙があれば攻めていく。拓夢くんが同じ気持ちでいてくれてるからこそ、これまでのようにバトルができていると思います。 レースが終わった後は、切り替えて、普段通りに戻りますね。いつも声をかけにきてくれます。ただ、レースなので勝負はつきますし、僕と拓夢くん、どちらかは必ず悔しい思いをしています。接戦で優勝を分け合った北海道大会では、ヒート1は最後に拓夢くんに抜かれてすごく悔しくて、僕があんまり喋れなかったのですが、それでも声をかけに来てくれるので、良い関係が築けているんだと思います」 最終戦に向けて中島は語る。 「僕は第4戦のヒート2でDNFになったことで、拓夢くんとはかなりポイントが離れてしまいました。なので、これまでは1ヒートも落とせないっていう崖っぷちのレースがずっと続いてきました。今回ランキングトップになって、追われる立場に変わったわけですが、これまでのレースでメンタルも鍛えられているので、チャンピオンがかかった重要な一戦だったとしても、あんまりそこにプレッシャーとかは何も感じてないですね。今までと変わらず、ただ勝つだけです。 もちろん、IA2クラスで走ってるからにはチャンピオン獲得を目標に挑んでいます。ただチャンピオンを獲るためだけにモトクロスをやってるわけではなくて、将来世界で活躍したいっていう自分の夢があって。そこに向けてはやっぱりここでチャンピオンを獲るか獲らないかというのではこの先が変わると思っています。この最終戦は自分の夢を叶えるための、人生を変える一戦になると思います。 プレッシャーは感じていませんが、メンタル面は普通ではないです。いつもよりもコントロールが難しいのですが、この緊張感を経験できるというのは、チャンピオン争いをしてる間にしか味わえないと前向きに捉えています。こういう大事な一戦で、この緊張感の中で結果を出すライダーがやっぱり強いと思いますし、これからもこういう場面に直面すると思います。今のこの緊張感をしっかり味わいたいです」 横澤拓夢「追いかける立場になった今、去年の感覚が蘇る」 「去年ビクトル(※ビクトル・アロンソ:2023年IA2クラスチャンピオン。横澤とチャンピオン争いを繰り広げた)を追っていた時の気持ちを思い出しましたね。今年はランキングトップをキープしてきて、追われる立場だったので、勝ち続けなきゃというプレッシャーを感じていました。一方で、去年は常に追いかける立場で、毎戦速さを見せつけにいこうという気持ちで挑んでいたので、今回追いかける立場になってその気持ちを思い出しました。 今はノープレッシャーですね。もう後はやるだけ。やることをやって、後はなるようになる。それだけだと思います。チャンピオンを獲るということは、今後モトクロスを続けていくにあたってプラスになる要素が増えると思います。自分は、ゆくゆくはIA1クラスに戻って参戦すると思うのですが、IA1にはIA2クラスでチャンピオンを獲ったライダーが多くいるので、自分のこの先を考えた時に、今回のチャンピオンは絶対に必要だと思っています」 最終戦を目前に迎える心境を聞くと、横澤は率直に答えてくれた。 「最終戦、正直早く終わりたいです(笑)。自分の仲の良い人とシーズンを通してこういう物語を作ってこれたというのは、スポーツを見せる側としても素晴らしいことだと思いますし、ストーリー的にも僕が逆転して勝った方が盛り上がりますよね。最後まで、相手が誰だろうが関係なく、自分のベストを尽くして優勝を目指します。そして、終わったら漱也とゆっくりご飯行きたいですね」 来る最終戦は10月19〜20日。それぞれがチャンピオン獲得にかける思い、そのバトルをぜひ現地でご覧いただきたい。 第8戦(10/19-20) ◾️D.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ2024 第8戦 第62回 MFJ-GP…

D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2024 第8戦 第62回 MFJ-GP モトクロス大会(10/19-20開催)プレビュー

4月から始まった2024シーズンも残すところあと1戦。最終戦となるD.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2024 第8戦 第62回 MFJ-GP モトクロス大会は、10月19〜20日、宮城県にあるスポーツランドSUGOで行われる。今回はIA1/IA2/レディース/IB OPENクラス、承認クラスのジュニアクロスとチャイルドクラスが開催され、第7戦でチャンピオンが決まったIA1以外の公認3クラスにとっては、チャンピオン決定をかけた大事な一戦となる。 会場のスポーツランドSUGOは起伏の激しいコースレイアウトで、2コーナーから3コーナーにかけては大坂がそびえ立つ。SUGOを象徴するダイナミックなセクションであり、ライダーたちがアクセル全開で駆け上る、迫力ある走りが見どころだ。また、ヨーロピアンセクションには複数のコーナーが設けられており、各ライダーのラインどりやコーナリングのテクニックが光る箇所となっている。 レイアウトに関しては第4戦と同様で大きな変化はないが、セクションがいくつか変更されている。例えばヨーロピアンセクションに向かうステップアップジャンプの後、テーブルトップだったところに9連のリズムセクションを新設しているという。さらに、スタートエリアが改修され、メッシュスタートを導入。全日本モトクロス選手権としては2022年から導入しているものだが、スポーツランドSUGOで採用されたのは今回が初めてだ。担当者は「オフロードヴィレッジやHSR九州で採用している斜めメッシュとは異なり、グレーチングを敷いています。そのため他のコースとも感触が違うかもしれません」とのこと。金網を敷くことでスタート時のグリップ感や安定性を向上させる効果がある一方、マディコンディションになると滑りやすくなるため、ライダーたちは土スタートと異なるグリップ感に慣れる必要がある。 IA1 今年一年の集大成、最後に優勝を飾るのは IA1クラスは25分+1周の2ヒート制で行われる。第7戦では下田丈がスポット参戦し話題を集める中、#1ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM/ヤマハ YZ450FM)がヒート2を終えた時点でシリーズチャンピオンを獲得した。ウィルソンは「チャンピオンを取ることができてとても嬉しいよ。最終戦はチャンピオンシップこそかかっていないけど、僕はレーサーだから、どんな状況でも毎レース勝ちたいと思う。目標はこれまでと変わらず優勝すること。最終戦も楽しんでいくよ」と勝利に向けて意気込みを示した。 一方、第7戦ではランキング2位につける#41横山遥希(Honda Dream Racing LG/ホンダ CRF450R)の勢いある走りに目を引かれた人も多いだろう。横山は第6戦でウィルソンを抑えて優勝を獲得。第7戦でも下田やウィルソンに対して果敢に攻め、トップ争いを展開した。10月4〜6日にはモトクロスの国別対抗戦「モトクロス・オブ・ネイションズ」のMX2クラスに出場し予選で14位、B決勝で6位という結果を残している。各国の強豪と戦い、経験を積んできた横山はさらに成長した姿で最終戦に臨むだろう。 また、横山と同じく「モトクロス・オブ・ネイションズ」に参戦した#2⼤倉由揮(Honda Dream Racing Bells/ホンダ CRF450R)と#12渡辺祐介(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM/ヤマハ YZ450FM)は、大会を通して悔しさと自身の成長、そして伸びしろを改めて発見したと話している。この経験が最終戦にどう生かされるのか期待していたい。 Team HRCのフェルッチョ・ザンキが最終戦IA1クラスに参戦決定 なお、今大会にはFIMモトクロス世界選手権MX2クラスに参戦している#73フェルッチョ・ザンキ(Team HRC/ホンダ CRF450RWE)がTeam HRCよりスポット参戦する。普段は250ccを駆るザンキが450ccに乗り、日本の地でどんな走りを見せるのか、注目が集まる。 IA2 中島が逆転、チャンピオン争いの行方はいかに IA2クラスも25分+1周の2ヒート制で行われる。第7戦を振り返ると、第6戦終了時点でランキングトップであった#2横澤拓夢(TKM motor…

予選通過まであと一歩。Monster Energy FIM Motocross of Nations(モトクロス・オブ・ネイションズ)

2024年10月4〜6日、イギリス・マターリーベイジンにてモトクロスの国別対抗戦「Monster Energy FIM Motocross of Nations(モトクロス・オブ・ネイションズ)」が行われた。日本代表チームは横⼭遥希(MX2クラス)、⼤倉由揮(MX Openクラス)、そして怪我で欠場となった⼤城魁之輔に代わって渡辺祐介(MXGPクラス)の3名で挑んだ いよいよ今週末。Monster Energy FIM Motocross of Nations(モトクロス・オブ・ネイションズ) グリッド選びのオーダーは2番。好条件で予選に挑む 4日金曜日にはオープニングセレモニーや各国のパレード、予選のスターティンググリッドを選ぶ順番を決めるくじ引きが行われた。1レースにつき約40台が出走するMXoNで予選を通過するには、スタートでいかに前に出ることができるかが勝負の分かれ目となる。くじ引きによって決定されたゲートピック、なんと日本は2番目。運が味方につき、予選に挑んだ。 予選日となる5日土曜日の天気は晴れ。コースコンディションはドライに見えたが、柔らかい土質で、周回するごとにコースは荒れ、深くて長いわだちができていく。日本代表メンバーに聞くと「難しい」「経験したことのないテクニカルな路面」とコメント。各予選、トップを走るライダーですら荒れた路面に苦戦している様子で、その難易度の高さが伝わってくる。 最初の予選はMXGPクラス。渡辺祐介はスタートで8番手あたりにつける反応の良さを見せ、1周目を12番手で戻ってくる。その後14番手を走るが、転倒しポジションを大きく落としてしまい、結果31位でフィニッシュを果たした。 予選2組目はMX2クラスだ。横⼭遥希はスタートこそ出遅れたが、1コーナーの処理が上手くいき、1周目で7番手につける。好調な滑り出しであったが、途中で転倒し、結果は14位となった。 最後の予選はMX Openクラス。日本チームのこれまでの結果を見ると、渡辺が31位/横山が14位で、日本は合計44ポイントであった。MXoNの予選はチームの3人のうち最低順位の1名を除いた順位を合計し、一番合計ポイントが少ないチームから1位、2位と順位が振られていく。予選を通過するには、大倉が渡辺を上回りジャンプアップする必要がある。 大倉は練習時にわだちや荒れた路面にかなり苦戦していた。何箇所か飛んでいないジャンプも見られたが、予選では路面を攻略し、ジャンプも全てクリア。練習時と比べて10秒以上ラップタイムを上げて予選を走行した。1周目で18番手につけ、その後も順位を落とすことなくレースを進め、序盤から1つ順位を上げ17位でチェッカーとなった。 予選を終え、日本は31ポイント(横山14位+大倉17位)を獲得。エストニアと同点で、どちらかが予選通過ラインとなる19位になるという状況であったが、ポイントに加算しなかった1レースの順位がエストニアよりも下位だったため、日本は20位。あと一歩というところでA決勝への進出は逃した。なお、日本チームはB決勝へと駒を進め、A決勝進出ができる1枠(B決勝優勝)をかけて競うこととなった。 波乱の幕開け。追い上げのB決勝は8位で終える 決勝日となる6日、日曜日、日本チームはウォームアップ(公式練習)を終えてB決勝に挑んだ。コースは一度整備され、全面にできていたわだちが平らになっていたが、練習の時点でわだちが再び掘られていた。 B決勝には、予選を通過できなかったチーム全員で出場しチーム内上位2名の合計順位で競う。排気量の差は関係なく、レースで良い結果を残したチームがA決勝へと進むことができる。日本は20位と、B決勝に進んだチームの中では予選でトップの成績を出している。しかし、全体の予選結果を見ると、日本と1ポイント差でニュージーランド、5ポイント差でスウェーデン、6ポイント差でラトビアがつけており、A決勝への1枠をかけたバトルは激戦となった。 日本チームの目標は「スタートから前に出て、A決勝に進む」こと。グリッドはチームで話し合った結果、一番予選の順位が良い横山がイン側、大倉が真ん中、そして渡辺がアウト側の位置につけてスタートした。 スタート直後、横山は少し出遅れるが、1コーナーで抜け出し1周目を10番手で走行する。渡辺も後に続き18番手につくが、1周目に他者との接触で転倒し順位を落としてしまう。 一方、大倉はスタート直後の1コーナーで前を走るライダーのリヤタイヤに引っかかり転倒を喫する。身体を強く打ちつけたことで再スタートはならず、そのままリタイヤとなる。これにより、決勝進出するには横山と渡辺がどこまで追い上げることができるかが鍵となった。 荒れた路面に転倒するライダーも多い中、横山は安定感のある走りでポジションをアップし6位。渡辺は転倒時の影響でハンドルが曲がり、上手く追い上げることができず27位でゴールを果たした。日本は合計33ポイントで8位。A決勝へ進出することは叶わなかったが、悔しさや他国との差、日本の今の現状を知ることができた大会となった。チームとライダーたちはすでに来年に目を向けている。これからさらに強くなっていく日本チームに、今後も注目していてほしい。 横⼭遥希 「B決勝、結果から言うと僕は6位で、大倉選手がスタートでクラッシュしてリタイア。渡辺選手は27位で、A決勝に進むことはできませんでした。個人としては、全ての力を出し切った、悔いの残らないレースでしたが、欲を言えばトップ5に入りたかったです。スタートは1番イン側を選んだのですが少し出遅れてしまって、1周目10番手くらいで戻ってきました。追い上げる中でパッシングポイントはあまり決めていなかったです。ただコーナーにあるわだちの中にフックのある、引っかかりやすいラインがあったので、そこをどう避けてスムーズに乗るかということに集中して走りました。自分の走りに点数をつけるとしたら……75点ですかね。力を出し切れましたが、予選では転倒してしまって順位を落として、自分のミスでA決勝に進めなかったなという気持ちもあるので、残りの25点は次にクリアしたい部分です。 応援してくださった皆さん、ありがとうございました。今回もA決勝に進むことはできませんでしたが、良い部分も悪い部分も受け止めてまた来年挑戦したいと思いますので、引き続き応援よろしくお願いします」 ⼤倉由揮 「スタートで前に出て決勝に進むんだ、と強い気持ちを持って挑みましたが、スタート直後に前にいるライダーのリヤタイヤに引っかかってクラッシュしてしまいました。その時に地面に叩きつけられたことで再スタートもできず、レースを終えて、率直に言うと悔しいです。もっと走りたかったですし、僕がスタート決めて頑張れば決勝に行ける可能性もあったと思うので、そのチャンスを台無しにしてしまったなと感じています。 今回ネイションズに向けてメッセージをくれたり、日本からイギリスに来て直接応援してくれた方々も多くて、その皆さんの応援があったからここまで頑張れました。しかし、それを決勝に繋げられなかったのは申し訳なく思います。今回の参戦を通して自分なりに得られたものはたくさんありますし、とにかく悔しいという気持ちが今は強いので、もっともっとレベルアップして、もう一度この舞台に立たせてもらえる時には、決勝で最高の走りをできるように頑張っていきます。これからも応援よろしくお願いします」 渡辺祐介 「急遽の参戦で、身体の調子も整い切れていない中での参戦でした。横山選手と大倉選手が良い結果を残す中、僕ももっと貢献できたらという思いが残っています。最終的にB決勝で終えることとなり、チームジャパンとしては総合27位。多くの方に応援していただいたのに、その期待に応えることができず申し訳ないです。ただ、今回出場させていただいたことで、世界の壁の厚さを思い知り、自分にとってもチームにとっても成長できる大会になりました。来年はしっかり予選通過できるように、世界で戦えるように、成長していきます。帰国後は全日本モトクロス選手権最終戦が控えています。会場でぜひ応援よろしくお願いします」 なお、A決勝は3ヒート行われ、レース1(MXGPとMX2)ではティム・ガイザーが独走状態に持ち込み優勝。レース2(MX2+MX OPEN)では、序盤でトップに立ったジェット・ローレンスが勝利を飾った。最後のヒートとなるレース3(MXGP+MX OPEN)では、序盤こそイーライ・トマックがトップを守っていくが、ガイザーが前に出ると、さらにレース終盤にはジェットがトップに浮上。しかし最終ラップ、チェッカーを受ける直前にガイザーがジェットを抜き去り優勝を獲得。最後まで油断のできない白熱したバトルが繰り広げられた。A決勝を見事制したのはMXoN初優勝となるチームオーストラリア。世界のトップライダーたちによる対抗戦は2日間の幕を閉じた。

モトクロス・オブ・ネイションズ 2024日本代表チームメンバーを変更

2024年10月4〜6日にイギリスのMatterley Basinで開催されるMonster Energy FIM モトクロス・オブ・ネイションズ(MXoN)へ参戦予定の日本代表メンバーについて変更があります。 #12渡辺祐介選手(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM/ヤマハ YZ450FM) 変更があったのはMXGPクラスへの参戦ライダー。当初予定していた大城魁之輔選手(YSP浜松 with BABANASHOX)がレース中の負傷により欠場、急遽その代役として渡辺祐介選手(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM)が参戦することになります。変更後のチームメンバーは以下の通りです。 日本代表チーム MXGP(450cc)※ライダー変更 渡辺祐介(WATANABE YUSUKE)  28歳  YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM 所属 渡辺 祐介 MX2(250cc) 横山遥希(YOKOYAMA HARUKI)  25歳  Honda Dream Racing LG 所属 横⼭ 遥希 MXOPEN (450cc) 大倉由揮(OKURA YUKI) 25歳  Honda Dream…

D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2024 第7戦TOKIO INKARAMI Super Motocross(9/28-29開催)プレビュー

9月28日〜29日、D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2024 第7戦 TOKIO INKARAMI Super Motocrossが埼玉県にあるオフロードヴィレッジにて開催される。会場は川越インターから車で約25分、川越駅からバスで約35分と、首都圏からアクセスしやすい場所に位置している。 ランキング争いの行方も見逃せないが、今大会で注目すべきポイントのひとつがアメリカで活躍を続ける#030下田丈(Team Honda HRC/ホンダ CRF450R)の参戦だろう。彼はAMAスーパークロス/プロモトクロス/スーパーモトクロスシリーズの250クラスで上位を競っている唯一の日本人ライダーで、今回IA1クラスにスポット参戦する。世界でトップを競う彼の走りを間近で見れるチャンスは見逃せない。 また、コースレイアウトが大幅に変更されているのも見どころの一つだ。新レイアウトはこれまでのモトクロスコースとは異なり、スタジアムやアリーナといった屋内会場に作られるスーパークロスのコースを模している。直線距離が短くジャンプやタイトコーナーが多いのが特徴で、ライダーにはコーナリングや上に高く飛ぶダイナミックなジャンプをこなすテクニックが求められる。各ライダーがどのように攻略していくのか、その走りに期待がかかる。 さらに、今大会は公認クラスに加えてJX(ジュニアクロス)・K65(キッズ65)・CX(チャイルドクロス)、そして、ヤマハ発動機株式会社が若手ライダーの育成を目的に企画したYamaha YZ125 bLU cRU Cupや、Honda CRF125F ワンメイクミーティング、ファンバイククラスも併せて行われる。各クラスを通して、キッズライダーたちの熱いバトルやレースの楽しさを感じることができるだろう。 IA1 下田丈がスポット参戦、ジェイ・ウィルソンはチャンピオン獲得に王手 気になるシリーズランキングはポイントリーダーの#1ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM/ヤマハ YZ450FM)が第6戦を終えた時点で306ポイントを獲得し、2位の#41横⼭遥希(Honda Dream Racing LG/ホンダ CRF450R)に71ポイント差をつけている。そのため、今大会で横山とのポイント差を56ポイント以上にキープできた場合、最終戦を待たずしてシリーズチャンピオンが決定する。 第7戦に向けてウィルソンは「コースレイアウトがスーパークロストラックのように変わるということで、日本のライダーにも僕にとっても新たな経験になると思っている。僕自身これまでスーパークロスのレースに出場したりテストを重ねた経験が多くあるから、今回はそれが生かされると思うし、走るのが楽しみだよ。下田丈選手の参戦も楽しみだね。一緒に走ることはもちろん、前回スポット参戦をしていた2年前と比べてライダーたちのレベルが上がってきていると思うから、そこに対して彼がどう感じるかというのも楽しみだよ」とコメント。 さらに、第6戦では横山がウィルソンとのバトルを制して優勝を獲得している。#33ビクトル・アロンソ(AutoBrothers GASGAS JAPAN/GASGAS MC450F)もヒート2ではレース前半でトップを快走するなど優勝争いも激しく、最後まで見逃せない展開となるだろう。 ウィルソンのコメントにもあるようにIA1クラスには下田丈がスポット参戦する。下田は2022年第6戦近畿大会でもIA1クラスにスポット参戦をしており、ヒート2では最後尾からわずか5周ほどでトップに立つ凄まじい追い上げを見せた。今大会はどんなレースを繰り広げるのか、世界トップクラスの走りをぜひ目の当たりにしてほしい。 IA2 16ポイント差に縮まるチャンピオン争い IA2クラスはチャンピオン争いが接戦となっている。第6戦前は33ポイント差であった#3中島漱也(bLU cRU…

Team HRCのフェルッチョ・ザンキが最終戦IA1クラスに参戦決定

10月19〜20日に宮城県のスポーツランドSUGOにて開催されるD.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2024 第8戦 第62回MFJ-GP モトクロス大会に、フェルッチョ・ザンキがTeam HRCより参戦すると発表されました。 フェルッチョ・ザンキはイタリア出身のライダーで現在18歳。2024年からTeam HRCに加入した若手のライダーです。今季からFIMモトクロス世界選手権MX2クラスにシリーズを通して参戦し始め、第19戦中国GP終了時点でランキング10位につけています。 今回フェルッチョ・ザンキが参戦するのは450ccで競い合うIA1クラス。D.I.D全日本モトクロス選手権に参戦するのは初めてということで、どんなレースを繰り広げるのか注目が集まります。

D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2024 第6戦近畿大会(9/14-15開催)プレビュー

第5戦から約3ヶ月のインターバルを経て、9月14日〜15日にD.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2024 第6戦近畿大会が奈良県の名阪スポーツランドにて開催される。今季も残すところ3戦となり、今大会からチャンピオン争いがさらに激化していくだろう。 会場となる名阪スポーツランドはサンドコース。開けっぷりの良いアクセルワークや砂を巻き上げながらのコーナリングなど、アグレッシブな走りを見ることができる。また、山の地形を生かしたアップダウンの多いレイアウトで、タイトなコーナーも多いため、ライダー同士の接近戦も見ものだろう。 なお、今大会では公認クラスに加えて、JX(ジュニアクロス)・K65(キッズ65)・CX(チャイルドクロス)、そして2st125クラスが併催される。キッズライダー達が繰り広げるバトルと、2st125ccマシンのエンジン音を響かせながら若手からベテランライダーが競い合う走りにも注目してほしい。 IA1 後半戦、拍車のかかるランキング争い IA1クラスは30分+1周の2ヒート制で行われる。第5戦終了時点でのシリーズランキングを見ると、#1ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM/ヤマハ YZ450FM)が261ポイントでトップに立ち、2位には#41横⼭遥希(Honda Dream Racing LG/ホンダ CRF450R)が190ポイントでつけている。 また、#2⼤倉由揮(Honda Dream Racing Bells/ホンダ CRF450R)と#33ビクトル・アロンソ(AutoBrothers GASGAS JAPAN/GASGAS MC450F)が163ポイントで同率3位で並んでおり、残り3戦はランキングをかけた、熾烈を極めた戦いとなるだろう。 また、第5戦ではヒート1で#5⼤城魁之輔(YSP浜松 with BABANASHOX/ヤマハ YZ450F)が2位に入り今季初表彰台を獲得。さらに#6⼤塚豪太(T.E.SPORT/ホンダ CRF450R)が3位に入賞し、第4戦から引き続き表彰台に登っている。インターバル明け、さらに実力を伸ばしている両者の活躍も見逃せない。 IA2 その差は33ポイント、加速するチャンピオン争い IA2クラスも30分+1周の2ヒート制で行われる。第5戦では#3中島漱也(bLU cRU レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ250F)と#2横澤拓夢(TKM motor sports いわて/ホンダ CRF250R)が激しいトップ争いを展開し、ヒートごとに優勝を分け合った。第5戦終了時点で横澤が223ポイントでトップ、中島が33ポイント差の190ポイントで2位につけている。残り3戦でこの差がどう変動していくのか、チャンピオン争いは依然として油断できない状態が続いている。 また、第5戦では#6柳瀬⼤河(TKM…

日本代表選手がスポーツ庁へ表敬訪問

2024年9月9日、モトクロスの国別対抗戦「FIMモトクロス・オブ・ネイションズ」とトライアルの国別対抗戦「FIMトライアル・デ・ナシオン」に出場する日本代表メンバーが寺門成真スポーツ庁次長を表敬訪問しました。終始和やかな雰囲気で進み、1時間という時間の中で、各種目・大会の説明を行うとともに、大会に向けた意気込みを語りました。最後には各代表メンバーがパネルにサインを書き、寺門次長へ贈る場面も見られました。 訪問選手 FIMモトクロス・オブ・ネイションズ 日本代表ライダー 横山 遥希(よこやま はるき)選手 大倉 由揮(おおくら ゆうき)選手 大城 魁之輔(おおしろ かいのすけ)選手 横山 遥希選手コメント 「FIMモトクロス・オブ・ネイションズではMX2クラス/MXGPクラス/MXOPENクラスの3つがあり、僕はMX2クラスに参戦します。目標としては、予選からTOP10に入ることを目指します。また、チームとしてはここ数年決勝に駒を進められていない状況なので、決勝進出を狙っていきます。今年は全員24〜25歳という同世代のメンバーです。3人で過去最高位の6位を超えるという目標を達成したいと思います」 大倉 由揮選手コメント 「僕は250ccと450ccどちらのバイクでも出場できるMXOPENというクラスに参戦します。レベルが高いクラスではありますが、まずは予選通過を目標に、幼少期から競い合ってきた同世代メンバーと力を合わせて過去最高の走りをしたいです。僕らの世代の走りを通して、モトクロスを始めてみたい、将来このレースに挑戦したいという思いを持ってもらえるきっかけを作っていきたいと思います」 大城 魁之輔選手コメント 「僕自身ネイションズに出場するのが初めてなので、わからないことも多くありますが、自分が持っている力を全部出せるよう集中して挑みますそして日本代表ライダーとして良い走りをし、良い結果を持って帰ってきたいと思います」 FIMトライアル・デ・ナシオン 日本代表ライダー 小川 毅士(おがわ つよし)選手 黒山 陣(くろやま じん)選手 廣畑 伸哉(ひろはた しんや)選手 ※都合により欠席 小川 毅士選手コメント 「前に引き続き代表メンバーとして走らせていただきます。前回は僕を含めベテランを中心としたチーム構成でインターナショナルトロフィークラスに挑み優勝を獲得しました。一方今年は代表メンバーの中で僕が最年長で、デナシオンに初参戦する若い2人というメンバーになります。最年長として若手2人を引っ張って、金メダルを獲得できるよう頑張ります」 黒山 陣選手コメント 「トライアル・デ・ナシオン初参戦でとても緊張していますが、それを上回るほどのワクワク感があります。僕は今15歳で、大会の年齢制限によって排気量の小さい125ccの車両で参戦します。だからといって勝てないと言い訳はしたくないですし、日本代表として優勝目指して頑張ります」 寺門 成真 スポーツ庁次長…