2022年10月23日
宮城県柴田郡スポーツランドSUGO
観客数:1,200人

久しぶりに、中止、延期、日程変更のないシーズンとなった2022年が、宮城県スポーツランドSUGOで幕を下ろすことになった。IASはこれが8戦目、その他のクラスは7戦目の全日本選手権となる。

今回も、天気予報は日曜日の昼から雨という予報を伝えていた。雨は土曜日のうちに激しく降り、さらに日曜日の朝いちでぱらっと降り、その後は晴れ間が見えてあたたかくもなって、なかなかの観戦日より。しかし2ラップ目終盤からSSにかけて短時間ながらそこそこの雨降り。今年はなかなか1日中晴れることのないシーズンだった。

10セクション2ラップとSSという、いつものとおりの試合形態。レディース、IB、OT125は8セクション2ラップでの戦いとなった。スタートするや、第1セクションで渋滞発生。列は長く、30分〜40分はここで時間が消費されていく。

例年、SUGOのセクションは難易度が低めだが、その分、確実に走らなければ成績を出すのはむずかしい。難度が高かったのは第4セクションと最終セクション。その他の8セクションはクリーンすることがトップ争いの条件となった。

国際A級スーパー

1ラップ目のトップは、鬼門の二つのセクションの他、二つのセクションで減点1をとった小川友幸(ホンダ)。小川に4点差で黒山健一(ヤマハ)。黒山は5点3つのほか、7つのセクションでクリーンをたたき出した。

安定したライディングを続け、優勝した小川友幸
黒山健一
2位になった黒山健一、ランキング2位をキープ

前回初優勝した氏川政哉(ホンダ)は、1ラップ目に4つの5点を喫して、黒山に5点差で1ラップを終えた。氏川に2点差で野﨑史高(ヤマハ)、さらに野﨑に3点差で柴田暁(TRRS)、柴田に1点差で小川毅士(ベータ)、小川に1点差で久岡孝二(ヤマハ)、久岡に2点差で武井誠也(ホンダ)と6人が8点の中にひしめく1ラップ目となった。あわや全員が5点かと思われた最終セクションで、柴田が叩き出したクリーンは見事だったが、柴田はクリーンすべきセクションでの5点が痛かった。

3位になった氏川政哉

2ラップ目、各ライダー、それぞれ1ラップ目の経験をもとに、より精度の高い走りをかたちにしてきた。中でも、5点なし、3点一つと1点一つで10セクションを走り抜けた小川友幸はすごかった。それでも小川は、第4セクションをクリーンできなかったことが悔しい様子。2ラップを終えて、2位の黒山にはちょうど10点差。ふたつのSSのどちらかを3点で抜ければ、小川の勝利が決まる計算だ。

黒山は、難関の第4と最終を抜け出ることができず。しかしそれ以外はすべてクリーンした。ふたつの鬼門セクションを両方抜け出たのは、小川の他には氏川がいた。氏川もまた、2ラップ目は5点なし。小川の4点に次ぐ7点をマークして黒山を追いつめる。黒山とは2点差。

SSは、複雑な岩の上を渡っていくもので、SS第1とSS第2は同じセクションを逆走する設定だった。

SS第1はトップライダーの多くがクリーン。これで小川の最終戦勝利を始め、逆転の可能性の多くが消えた。残る勝負は、黒山と氏川の2位争い、野﨑と柴田の4位争い。2位争いは2点差、4位争いは1点差の戦いだった。

野﨑は雨に濡れたコンクリートブロックを斜めから飛びつき2点でここを抜け出した。これが柴田にはプレッシャーとなり、柴田はこのポイントで5点。最後の最後で野﨑に4位の座を明け渡すことになった。

野崎史高
波のあるシーズンだった。最終戦の野﨑史高は4位

2位争いは、氏川が大岩までジャンプしてクリアする作戦をとって盛り上げるが、これは飛距離が足りずに失敗。黒山のトライを待つことなく、黒山2位、氏川3位が決まった。

最後を走る小川は、野﨑と同じように斜めからコンクリートブロックに飛びついたが、野﨑の2点に対し小川は1点で通過。王者の風格を見せつけて、2022年シーズンの幕を下ろした。

優勝小川友幸(中央)2位黒山健一(左)3位氏川政哉(右)
国際A級

田中善弘(ホンダ)と永久保恭平(ベータ)によるチャンピオン争いは、前戦まででその差が15ポイントに広がり、永久保が優勝しても田中が5位以上なら田中のタイトル獲得が決まる計算だ。ここまで4勝して4位より落ちたことがない田中にすれば、タイトル獲得は確実と思われた。

圧勝した田中善弘

田中は、10セクション2ラップを5点はおろか、2点もなし。2ラップ目にはオールクリーンも狙ったという好調ぶりで圧勝。永久保もきっちり表彰台に上ったのだが、田中3点に対して永久保19点ではさすがに勝負があった。

3位には、2020年IBチャンピオンの中山光太(ベータ)が入った。4位はこれも若手の福留大登(ガスガス)。福留は今回の4位でランキング5位となり、国際A級スーパーを走る道が開けた。

6位に、国際B級でチャンピオンを決め、再昇格の申請をした宮崎航が入っている。

国際A級シリーズチャンピオン、田中善弘
優勝田中善弘(中央)2位永久保恭平(左)3位中山光太(右)
レディース

小玉絵里加(ホンダ)と山中玲美(ホンダ)の1ポイント差でのチャンピオン争いが注目されたレディースクラスの最終戦。ほぼ、この大会で上位につけたほうが新チャンピオンになる構図だ。

優勝は、今シーズン2度目の出場の元国際A級の片桐真理子(ベータ)。1ラップ目3点、2ラップ目1点と、ほぼ完璧な勝利だった。

ベテランライダー片桐真理子の完璧な勝利

2位にはソアレス米澤・ジェシカ(TRRS)。2ラップ目の3点は素晴らしいスコアだった。とはいえ、2位から6位までは7点差という大接戦だった。

山中はソアレス米澤に4点差、3位の山森あゆ菜(ベータ)に2点差で4位となった。しかし小玉が6位となったことで、山中は2点差で新チャンピオンの栄冠をつかんだ。山中と小玉は3点差。5位には、山中に1点差で前戦優勝の中川瑠菜が入っている。

シリーズチャンピオン獲得、山中玲美
国際B級

宮崎航(ベータ)が国際A級に再昇格し、最後の戦いはチャンピオン不在となった。

優勝は、開幕2戦を欠場した岡山の小椋陽(モンテッサ)。宮崎に勝てぬままシーズンが終わったのがくやしいというが、来年は舞台を国際A級に移して戦いが続く。

岡山県の小椋陽が優勝

2位に藤堂慎也(モンテッサ)、3位に川添蒼太(ホンダ)と、久々に若手が表彰台を独占した。

シリーズチャンピオン宮崎航。今回は国際A級クラスを走り6位に
優勝小椋陽(中央)2位藤堂慎也(左)3位川添蒼太(右)
オープントロフィー125

栃木の国内A級、神長叡摩が出場。まだ12歳で、将来が楽しみだ。神長のスコアは、国際B級の31位相等だった。

コメントを残す