2021年11月14日(日)開催
愛知県キョウセイドライバーランド
観客数:1500人
天気:晴れ
第3戦中部大会の翌日、第8戦中部大会は、2021年全日本選手権最終戦だ。2日間の開催だが、第6、第7、第9セクションは場所を移動してまったく新規のセクションとなり、その他のセクションも設定を変更するなどして、土曜日とはやや雰囲気を異にしている。
国際B級、レディースの半分が第5セクションからスタートする変則的試合形態はそのままだが、第3、第5をのぞいた8セクション2ラップで争われ、IASのSS(スペシャル・セクション)が設定されている。参加者は4クラス合わせて118名で、土曜日より9名ほど多いが、土曜日のみ参加する選手もいれば、日曜日のみ参加する選手もいた。
国際A級スーパークラス
この日の設定は、前日とはちがってセクションの難易度は高めとなっていた。土曜日には小川友幸(ホンダ)がオールクリーンを達成したが、2日続けてというのは無理そうだ。
それは、早くも第2セクションで明らかになった。オールクリーンどころか、3点で抜ける選手もごく少ない。18人の参加者中、ここを抜けられたのは3人、武井誠也(ホンダ)、久岡孝二(ヤマハ)、そして小川だった。
しかしその後、小川は第4、第6と連続5点を喫し、第2、第3と連続5点となった黒山健一(ヤマハ)に逆転を許して1ラップ目を終了した。トップは黒山の13点、小川は2位で15点。小川と同点クリーン数差で氏川政哉(ホンダ)が3位につけた。4位は野崎史高(ヤマハ)で18点。なかなかの接戦だ。
2ラップ目、氏川ががぜんスパートをかけた。第1から第3までただ一人クリーン。第9では5点になったものの、2ラップ目のスコアは9点。ラップを一桁で回ったのは氏川ただ一人だった。
氏川同様、2ラップ目にスコアをアップさせたのは柴田暁(ヴェルティゴ)だった。柴田は1ラップ目の20点から2ラップ目に12点まで減点を減らしてきた。しかし黒山、小川ともに1ラップ目と同様のスコアで2ラップ目をまとめてきた。はたして2ラップを終えた時点でのトップは氏川となった。2位黒山に3点差、チャンピオンを決めたばかりの小川には7点差だ。そして小川には1点差で柴田が迫っている。計算上は柴田までが優勝のチャンスがある。SSは、人工セクションの第1と、自然地形の斜面の岩場での第2が用意されていた。
SSも、今回は辛口設定だった。初めてSSを走る廣畑伸哉(ガスガス)が2点で走破したが、続くライダーはことごとく5点。柴田も小川も、氏川も5点となった。最後の真直角ブロックが難関だった。ここを黒山が2点で抜けきって、なんとこれで、氏川と黒山は減点数で並んだ。黒山は減点29クリーン8、氏川は減点29クリーン7。同点ならクリーン数が多い黒山が勝利する。
SS第2、これも超難関だった。中盤のラインの狭い岩登りが難関だったが、入口で5点となる選手も多かった。小川も、中盤の岩場で5点だった。その後に登場した柴田は、この難セクションを2点で通過。小川を逆転して3位表彰台を獲得となった。小川は全勝優勝ならず、最終戦は4位と、今シーズン初めて表彰台を逃す結果となった。
そして優勝争い。先にトライするのは黒山。クリーンすればその時点で黒山の優勝が決定だが、それはむずかしかった。しかし足つき1回で黒山はこのセクションを抜け出る。最後のトライは氏川。氏川が優勝するためには、ここをクリーンで抜けなければいけなかった。若い氏川には、かなりのプレッシャーだ。そして氏川は小川と同じポイントで5点。開幕戦九州大会に続いて、氏川の初優勝の夢は、再びベテランライダーによって持ち越しとされた。(※)
しかしこの日の結果で、氏川はランキング3位を手に入れて、2021年シーズンを終了した。
国際A級クラス
リードは圧倒的となったが、しかし村田慎示(ホンダ)と磯谷郁(ベータ)のチャンピオン争いはまだ決着していない。ポイント差は16ポイント。村田は6位以上でタイトル決定、一方磯谷がタイトルを獲得するには、自らが優勝した上で、村田が7位以下になる必要があった。
1ラップ目、トップをとったのは磯谷だった。減点13点。しかし村田もまた減点13点で同点(クリーン数の差で、暫定トップは磯谷となっている)。二人の争いは最後まで大接戦だ。しかし2ラップ目、二人は共に減点を増やしていく。2ラップ目にトップスコアをマークして追い上げたのは本多元治(ホンダ)だった。本多は土曜日の優勝者。1ラップ目に減点22点で、ちょっと苦しい追い上げとなった。
そんな中、磯谷が最後に踏ん張った。本多、そして第7戦の勝者の加賀国光(TRRS)には追い上げられたが、加賀に2点差で逃げ切り。開幕戦以来の勝利を得た。今シーズン、2勝をあげたのは磯谷だけだ。
村田は2ラップ目に30点と減点を増やしてしまったが4位を獲得。念願の初タイトルを獲得した。
レディースクラス
参加者は前日同様の10名。ただし寺田知恵子(スコルパ)がこの日は走らず、永野裕加(シェルコ)がこの日のみ参加となっている。
土曜日の時点でセクションはむずかしかったが、さらに難度が増している。こんな状況でも西村亜弥(ベータ)の強さは圧倒的。2ラップトータルの減点は19点、2位に34点差の圧勝だった。
この日の2位は、ブラジル出身のソアレス米澤ジェシカ(ガスガス)。初表彰台、そして初めての2位入賞の快挙を達成した。ジェシカに1点差で、連日2位を逃したのが山中玲美(ホンダ)、さらに1点差で、小玉絵里加(ホンダ)と続いた。なかなかの接戦だ。
こんな中、土曜日の第3戦が全日本デビューとなった中川瑠菜(ベータ)は、1ラップ目に19点の好スコアをマークした。西村の1ラップ目トップスコアが13点だから、西村にも迫る勢い。最終的には6位となったが、今後が楽しみな若手の登場だ。
国際B級クラス
チャンピオンを決めた浦山瑞希(TRRS)が、プレッシャーから解き放たれてどんな走りをするか、昇格争いはどの5人で決着するのか。最終戦の興味は大きい。
タイトル決定戦となった土曜日には、第1で5点となって波乱含みのスタートとなった浦山だったが、この日は安定した試合運びを見せる。1ラップ目はベストスコアの8点、2ラップ目は減点10点を喫したが、トータル18点は2位に7点差の勝利を導くことになった。これで浦山は後半戦を3連勝。シーズン中、一度も3位以下に落ちることがなかった。
今回の2位は中部大会だけに出場した小沼孝希(TRRS)。小沼はこの2位入賞で、国際A級への昇格キップを手にした。
ランキング2位を得たのは今回5位に入った喜屋武蔵人(TRRS)。今シーズン、5戦全戦でランキングポイントを獲得したのは浦山と喜屋武、二人のみだった。
※当初掲載のレポート上にて、黒山選手のSSセクションを減点2と表記しておりましたが、正しくは減点1でした。訂正してお詫び申し上げます。