2022年9月4日
広島県三次市灰塚ダムトライアルパーク
観客数:1,500人
IASのみで開催された第5戦シティトライアルジャパン大会をはさみ、全日本選手権第6戦中国大会は灰塚ダムトライアルパークでの開催となった。中国大会は2020年、2021年と原瀧山トライアルパークでの開催予定だった大会が中止となっているので、3年ぶりの開催ということになる。灰塚ダムトライアルパークでの開催も、やはり3年ぶりだ。
事前の予報では当日はまちがいなく雨が降るということで、主催者はセクションの設営に悩み、ライダーは濡れた岩が強烈に滑ることに頭を抱えていたが、なんとまたしても天気予報はいいほうにはずれ、当日は曇りで始まり、途中は太陽がさんさんと輝いて暑さと戦わなければいけない好天候となった。
国際A級スーパー
シティトライアル大会で思わぬ苦戦となった小川友幸(ホンダ)は、中国大会で再び流れを変えるべく、必勝の構えだった。しかし第1セクションをクリーンしたあとの第2セクション、小川は入口の比較的難度が低いと思われるポイントで5点。またしても苦戦の戦いとなってしまった。
試合の滑り出しは氏川政哉(ホンダ)がよかったものの、第4セクションで5点になると、第5、第7、第9、第11と半分のセクションで5点となり、さらにタイムオーバーも5点という万事休する展開。ふたつの5点で1ラップを走りきった黒山健一が(ヤマハ)が、1ラップ目のトップに出た。黒山は、1週間前のフランスGPにTY-E 2.0で出場、帰国したばかりだ。小川は前半5セクションで3つの5点を喫したが、その後しっかり立て直して黒山と同点の2位。やはり5点3つの柴田暁が19点で1ラップ目3位につけている。
2ラップ目、暑さはいよいよ本格的。ときおり雲が出て風が吹けばしのぎやすくなるも、太陽が出て風が止むと、じりじりと暑くて体力を奪われていく。多くのライダーが手を攣り足を攣り、苦しげにトライを続けている。
1ラップ目、全員が5点となった第5セクションを、唯一1点で通過したのが黒山。これは見事なトライだった。しかし黒山は第3で5点となっていて2ラップ目を6点で終えた。2ラップ目にトップスコアをマークしたのは、第5セクション以外を全部クリーンしてきた野﨑史高(ヤマハ)だった。野﨑は1ラップ目に26点で4位と出遅れていたが、こつこつと追い上げてきた。それでも2ラップを終えてのトップは黒山の22点。野﨑は4点差の2位だ。
ところが野﨑と同点の22点は、ほかにもいた。小川と柴田暁(TRRS)だ。柴田はクリーン数差で劣っていたが、小川はクリーンも1点も2点も3点も野﨑といっしょ。順位は競技所要時間が短いほうが上位という規則で、野﨑が2位、小川3位、柴田4位となっている。このあとSSが控えているので、トップの黒山を含めて、逆転劇があるかもしれない。
この日のSSは、最近の傾向からすると難度は低め。となると、このままの順位で決定するかと思われたのだが、なんとSS第1の、しかもインで黒山が失敗。これは大波乱だった。結局、黒山以外の上位6名はSSのふたつをクリーンした。しかし順位が動かないのではないかと見られていたSSで優勝者が変わり、黒山は、これトップから4位まで転落してしまった。
ランキングでは、小川がリードを19点として、前回詰められたポイント差をやや回復した。2戦にわたって苦戦が続いた小川だったが、それでも連覇への道が、少しずつ具体性を帯びてきた。野﨑は今回の勝利で、ランキング2位の黒山に6点差と迫っている。
国際A級
田中善弘(ホンダ)と永久保恭平(ベータ)、元IAS二人によるチャンピオン争いが、だんだんと熾烈になってきた。前回、北海道大会では永久保が2勝目をあげ田中が4位となったが、今回はその反対の順位となった。二人のタイトル争いは、一歩も引かぬシーソーゲームが続いている。
2位はベテラン小野貴史(ホンダ)。トップの田中には倍以上の差をつけられてしまったから、いかに田中が減点を抑えてきたか、ということになる。それでも田中は2ラップ目にわずか減点を増やしたことで、勝利の確信を持てずに後続のゴールを待つことになった。
3位は香川の三野明飛夢(ガスガス)。5位に山本直樹(シェルコ・鳥取)、6位に尾藤正則(シェルコ・岡山)、10位に伏見裕貴(ホンダ)と、四国・中国のもよりの選手の活躍が光った。
レディース
このクラス創設に尽力した小玉絵里加(ホンダ)が、ついに全日本選手権初優勝を果たした。今回のレディースセクションは合計減点の少ない設定で、減点は1点でも痛い、5点は致命的という状況で、のしかかるプレッシャーによく耐えて、小玉は3点差を死守して初勝利を得た。
3位は中川瑠菜が、初表彰台を獲得している。ランキング争いを見ると、小玉はこれで7点のポイントリードを持って、ランキングトップに躍り出た。
国際B級
宮崎航(ベータ)がオールクリーン達成でシーズン4勝目をマークした。宮崎のトライアル人生で、初めてのオールクリーンだった。
2位には黒山太陽(スコルパ)が入った。3位は3年ぶりの全日本出場という小倉功太郎(ホンダ)、岡山の小椋陽(モンテッサ)が3戦目で初めて表彰台を逃して4位となった。
オープントロフィーOV50
50歳以上のIA、もしくは元IAが出場できるOV50は、国際B級と同じセクションを走って勝負を決める。
優勝は兵庫の喜岡修(モンテッサ)。倍以上の点差が開いてしまったが、広島の三浦直喜(TRRS)が2位となった。