2025年10月5日
宮城県柴田郡村田町スポーツランドSUGO
動員数:1,200人
いつも、10月末に開催されていたこの宮城・SUGO大会、今年は10月初めの開催となって、例年とは別世界のあたたかい気候での全日本選手権となった。セクションは、いつもの配置で10セクション。レディースと国際B級はこのうち8セクションを2ラップした。セクション配置はいつもと同じでも、大岩や大きなブロック資材の配置には変化が見られて、いつものSUGOとは雰囲気がちがうとのライダー評が多かった。
国際A級スーパー
ほとんど全セクションがクリーンが可能だが、5点になるのも簡単なので、はたしてどんな試合になるのか、明けてみなければわからない試合が始まった。この大会、ランキング2位につける氏川政哉(ヤマハ)は、なにがなんでも勝ちにこだわらなければいけなかった。ここで勝つことで、氏川には自力チャンピオンの可能性が残る。黒山健一(ヤマハ)が勝てば、氏川の自力タイトル獲得の目はなくなり、黒山がタイトル獲得をぐっと引き寄せることになる。

そのとおり、序盤の戦いは氏川と黒山のクリーン合戦だった。第5セクションで黒山が1点、氏川はクリーンで、ここで初めて氏川が単独トップに出るも、湿った深い森の勝負どころ、第6セクションでは黒山が唯一3点で抜けて氏川は5点。ここで黒山が1点リードと戦況が入れ替わった。

小川毅士(ベータ)らがクリーンした第9セクションで氏川、黒山ともに5点となる波乱があったが、このラップ、氏川には2点のタイムオーバー減点もあって、黒山の9点に対して氏川は12点。3点差で試合が折り返された。

実は1ラップ目の2位は、黒山に3点差の氏川ではなく、5点ふたつのみで抑えて黒山に1点差とした小川だったのだが、しかし小川は2ラップ目に5点をふたつ、さらに1点と2点の減点を加えて、優勝争いから後退していくことになる。
2ラップ目、3点差を追い上げたい氏川だったが、鬼門の第6セクションで再び5点。黒山はここを2点で抜け、ついにこのラップ、黒山はただ一人5点なしで10セクションを走りきることになった。
結果、10セクション2ラップを終了の時点で黒山のリードは11点となり、この時点で黒山の勝利が決まった。小川が2ラップ目に大きく減点したため、氏川と小川の点差も10点となって、氏川の2位も決定。しかしその先はSSに勝負がもつれこんだ。

3位小川41点と4位野﨑史高(ヤマハ)は3点差、さらに世界選手権とトライアル・デ・ナシオンから帰国した黒山陣(シェルコ)が野﨑に1点差で5位につけている。黒山陣は北海道に一時帰国した際は世界選手権で戦っている125ccで参戦したが、今回は300ccでの参戦となって、戦闘力も増していた。小川、野﨑、黒山の3人が3位争い、ということになる。

6位久岡孝二(ホンダ)と7位柴田暁(TRRS)は同点クリーン数差と、ここもSSでの逆転の可能性あり。8位武田呼人(ホンダ)、9位磯谷玲(ベータ)、10位に今シーズン2度目のSS進出となるルーキーの宮澤陽斗(ベータ)が入っている。

SSは建築資材を並べたひとつのセクションを往路復路でSS1、SS2とするものだった。ホイールベースに満たない直立したヒューム管が難関で、誰もここを攻略できずにSSは進んでいく。SS1は黒山健一が唯一3点で抜けて勝者の貫録を見せて、そして復路。今度は甥の黒山陣が最初にこのSSを3点で抜けて見せた。直後、野﨑が着地でテープ外に降りてしまう失敗で5点となって、これで逆転、野﨑の5位が決定し、黒山が3点をとったことで小川の3位も決まった。
黒山はこれが初めての4位獲得。IASにデビューして2年、8戦目にしての4位入賞だった。小川は今シーズン初めての3位表彰台獲得となった。

国際A級
ランキングトップ高橋寛冴(シェルコ)と平田貴裕(スコルパ)のチャンピオン争いが接戦になっている。今回は平田に軍配が上がった。1ラップ目のトップは高橋だったが、3点差で2位につけた平田は、2ラップ目に絶好調。最後にちょっと崩れて連続5点となってしまったが、高橋に5点差で今シーズン2勝目を挙げた。

高橋は1ラップ目トップから、2ラップ目に3つの5点で減点を増やしてしまった。タイトル争いは、これで高橋のリードがわずか1ポイント差となった。最終戦ではどちらか上位に入った方がチャンピオンを獲得する構図となりそうだ。
3位は黒山陣(シェルコ)13歳。国際A級3年目にして、大接戦の表彰台争いを制して初めての3位表彰台獲得となった。同世代の国際A級ルーキーの永久保圭(ベータ)は今回9位で、ランキングで黒山が3ポイント差で上位に出た。二人の切磋琢磨も興味深い。

レディース
5人がスタートラインに並んだレディースクラス。ランキングトップの中川瑠菜(ベータ)は、今回完走すればチャンピオンが決まる計算だが、中川はタイトル争いより、ここまで築いてきた全勝を守ることに精力を傾けた。

しかし1ラップ目、最終セクションでミスをした中川は、このラップなんと3位に。トップとの点差はわずか1点ながら、神経戦ぶりにプレッシャーも大きい。1点差でトップスコアをマークしたのは、小玉絵里加(TRRS)だった。
2ラップ目、小玉がわずかに減点を増やし、中川が最少減点を守りきって、試合は3点差で中川のものとなった。
1ラップ目の2位は兼田歩佳だったが、2ラップ目に減点を減らせずに後退。3位表彰台には小学生の寺澤心結(ベータ)が乗ることになった。寺澤の3位は今シーズン2度目になる。2ラップ目はトップスコアをマークしているから、まだまだ今後に期待できる。

国際B級
ランキングトップの寺澤迪志(ベータ)が練習中に負傷して今回は欠場。ランキング争いのライバル、木村倭(シェルコ)は世界選手権参戦で今シーズン2戦の欠場があって、タイトル争い的には厳しかったが、この状況で戦況が変わってきた。

セクションはやさしめ。今回も木村はオールクリーン勝負を想定して早回り。1ラップを終える頃には50人ほどを抜いてIBクラスのトップグループになっていた。それでいて1ラップ目は8セクションすべてをクリーンしてきていた。
しかし2ラップ目の第1セクションで痛恨の5点。それで崩れることはなく、減点はこの5点のみで8セクション2ラップを走りきってゴールした。
2位には、開幕戦で木村を破って勝利した岡直樹(ベータ)。1ラップ目に5点が一つ、2ラップ目にオールクリーンと木村とは逆のスコアになったが、木村ほどには早回りをしておらず、同点ながら木村の勝利となった。
木村は残る最終戦で寺澤との6ポイント差を負うことになる。今回の結果で、寺澤、木村、岡の3人は、国際A級への昇格圏であるランキング5位以内をきめている。
