D.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ第6戦 HSR九州大会 詳細レースリポート 

D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズの第6戦HSR九州大会は、10月9日(土)~10日(日)に熊本県のHSR九州で開催された。9月に予定されていた第5戦近畿大会が、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で中止されたことから、約4ヵ月という非常に長い夏休みを挟んで実施されることになった今大会。第2戦中国大会が延期されているため、これがシーズン4戦目で、後半戦最初の戦いとなる。 阿蘇の火山灰に由来する黒土を特徴とするコースは、全日本屈指のハイスピードレイアウトを特徴としてきたが、今大会に向けてコース後半を中心にレイアウトが変更され、低速化や難易度が高いジャンプの削減も施された。パッシングポイントはやや減ったが、安全性は増したコースレイアウトという印象だ。 また、今大会の前に地面を掘り起こす整備が施されたが、こちらは降水量の少なさと10月としては異例の高温、そして強めの風という悪条件が重なったことで、掘り返された土がどんどん乾いてパウダーのように堆積し、土曜日は大量のホコリを発生させる要因となってしまった。それでも日曜日は、パウダー状の土を除去する整備に加えて懸命な散水作業が施されたことで、ハード路面のセクションはより増えたがホコリの発生はかなり抑えられた。日曜日の最高気温は30度。感染対策が施された会場には、2日間で2,107名のファンが訪れた。 【IA1】両ヒート制覇の山本鯨が、ランキングトップに2点差まで詰める IA1 #1 山本 鯨 Honda Dream Racing Bells 全日本最高峰クラスとなるIA1は、今大会以降はすべて30分+1周の2ヒート制となる。決勝ヒート1は、ホンダのマシンを駆る小方誠(#4)がホールショットを奪い、同じくホンダがサポートするディフェンディングチャンピオンの山本鯨(#1)が1周目に小方をパス。山本、小方、カワサキファクトリーチームの能塚智寛(#5)、ヤマハファクトリーチームの渡辺祐介(#3)と富田俊樹(#2)が続いた。レース序盤、小方は1~2秒差を保ってトップの山本をマーク。能塚は小方より少しペースが悪く、その差が開いていった。4周目、能塚と渡辺と富田による3番手争いで、富田がまずは渡辺をパス。翌周には能塚の攻略にも成功して、富田が集団の先頭に立った。 5周目、小方がコーナーで軽微なミスをした影響で、山本のリードが約3秒に拡大。翌周に小方のペースは戻ったが、7周目から再びラップタイムが落ちた。一方、山本はこのタイミングでペースアップを果たし、着実にリードを拡大。10周目に富田が小方を抜いて2番手にポジションアップした段階で、山本のアドバンテージは約10秒になっていた。そして山本は、16周でチェッカーとなったレースを最後まで危なげなく走破。最後はペースを緩めながらも独走で今季3勝目をマークした。レース後半、10周目に能塚をパスした渡辺が富田に肉迫したが、富田が最後までポジションを守って2位。渡辺が3位、レース後半にトップ3から遅れた能塚が4位、小方が5位となった。 決勝ヒート2では、山本がホールショット。これに渡辺、富田、能塚、小方が続いた。ところが1周目後半、富田がスリップダウンを喫して11番手まで後退。山本と渡辺、2秒ほど離れて能塚と小方が接近戦を展開しながら、オープニングラップをクリアした。2周目、山本は1~2秒のリードを確保。しかし3~4周目は、山本と渡辺のバトルは膠着状態となった。すると5周目、山本が前の周よりも一気に4秒ほどラップタイムを上げてスパート。これで後続との差を約3秒に拡大すると、山本は翌周以降も5周にわたりハイペースを維持し、10周目の段階で約9秒のアドバンテージを築くことに成功した。 IA1 #2 富田俊樹 YAMAHA FACTORY RACING TEAM IA1 #5 能塚智寛 Team Kawasaki R&D レース中盤、2番手以下は渡辺、能塚、転倒から追い上げてきた富田、小方のオーダーとなったが、それぞれが5秒ほど離れた単独走行に近い状態。しかしレース終盤、渡辺のペースがやや落ち、3番手の能塚が2秒ほど後方まで接近した。するとラスト2周となった15周目、それまで2番手を守っていた渡辺が転倒。これで4番手に順位を下げた。そしてレースは、山本が再び独走で勝利。能塚が2位、富田が3位で表彰台に登壇し、渡辺が4位、小方が5位となった。今大会の結果、ポイントランキングトップは依然として渡辺が守っているが、山本が2点差、富田が7点差に迫り、ランキングトップ3が接近して残り2大会を迎える。 【IA2】ラストレースとして臨んだ古賀太基がトリプルクラウン達成 IA2 #56…

JMX史上初!? D.I.D JMX Rd.6に家族全員でエントリー!

全日本モトクロス選手権(JMX)は、国内モトクロスレースの最高峰に位置するレース。中でもIA1クラスともなるとそこに参戦している選手たちは、日々練習に励み地方選手権で成績を残し勝ち上がってきた猛者ばかり。そんな強者どもが鎬を削るJMXに家族みんなでエントリーするファミリーがいるんです! お父さん、お母さん、お子さんと、JMX史上初となる家族3人でエントリーするのは福岡県在住の高原ファミリー。お父さんの高原佳紀(たかはら よしき)さんはIA1に、お母さんの央(かな)さんはレディスクラスに、お子さんの琉生(るい)くんはチャイルドクロスにそれぞれエントリーしています。どんなご家族なのか気になるところ。さらには琉生(るい)くんが所属するチームでメカニックを担当している元カワサキ レーシング チーム(K.R.T.)のライダー溝口哲也選手にもインタビューを遂行! モトクロスを始めたきっかけや、モトクロスだからこそ味わえる面白さ、これからモトクロスを始めてみたい人へのアドバイスなどを伺いました。 父親でありIA1ライダーの高原佳紀さん 「MXから離れた期間が自分を成長させました」 IA1 #39  高原 佳紀(たかはら よしき) 34歳 所属:福岡県 チーム:with T-factor 車両:SUZUKI RM-Z450 まずは、IA1に出場する高原佳紀さん。なんと弟さんの秋斗さんもIA1ライダーなんです。さぞかしバイク好きなファミリーで育ったのかと思ったら、モトクロスとは意外な出会いだったんです。 「私が子どもの時、家族でバイクに乗っている人はいなかったんです。たまたま近所のバイク屋さんに小さいモトクロスマシンがあって、私の父が『乗ってみる?』と聞かれたのが始まりだったんです。当時6歳だった私はほとんど覚えていないですけどね(笑)」。 お父様はクルマ好きだったことからバイクにも興味はあったようです。とはいえ、全くバイクのことについて分からないから、最初はいろいろ大変だったとか。 「最初は走り方もよくわからず周りで走っている人の見様見真似でした。父もバイクのことが分からないので近くのバイク屋にアドバイスを求めにいって、私にアドバイスをくれる、というように手探りでやっている感じ(笑)。レースを始めてからはモトクロスレースをやっている周りの人が練習に誘ってくれるようになって、地元の九州選手権にも出るようになりました。  そうして高校1年生の時にモトクロスが楽しくなくなり、『辞めたい』と両親に伝え、モトクロスから完全に離れたんです。練習しても結果が出ず伸び悩んでいたんですよね。でも、同年代の仲間がレースに出ているのは気になるわけでして(笑)。『あいつがそんな成績出せるなら、俺もいい成績出せるぞ!』といてもたってもいられなくなり、高校2年生でまたレースに復帰したんです。あとは、お世話になっていたバイク屋さんの『もう一回やってみないか?』と声をかけてくれたのも、そのタミングにちょうど合致したんですよね」。 再びレース活動を再開し、現在までモトクロスレースを続けている高原佳紀さん。モトクロスの魅力とは何なのでしょうか? 「練習の成果がしっかりと結果に結びつくと、楽しくなりますよね」。 レースから離れたことで、自分に足りないもの、すべきこと、将来象など、自分と向き合う機会ができたことが大きかったようです。 現在34歳の佳紀さん。様々なスポーツの中でも極めて体への負荷が高いモトクロスレースに30代で挑むというのは、肉体的にきついこともあるはず。走る上で気をつけていることとは? 「ころんでも怪我をしない体作りですね。仕事をしながらなので、バイクに乗るのは週に1〜2回程度。なので筋トレは欠かせません。それとしっかりと自分の思い通りに走るバイクの整備も当然重要です」。 モータースポーツの中でも特に動きの激しいモトクロスレース。その一番の見どころはどこでしょう? 「横一列のスタートですね。観客のみなさんを含め会場全体が静まり返り、エンジン音だけがそこにこだまする中、一斉に選手たちがスタートするのは興奮すると思います。それとバイクが高く舞うジャンプですね」。 レースを見たら自分も走ってみたくなるものです。これからモトクロスを始めたい人はどうしたらいいでしょう? 「モトクロスはバイクやウエアなど揃えるものが色々と必要です。ですので、まずはHSR九州のように全てレンタルできるところでデビューするのがいいと思います。そういうところで数回試してみて、もっと乗りたいとなったら自分のバイクを購入するのがいいんじゃないでしょうか」。 母親でありLMXライダーでもある高原 央さん 「自分も乗っているから子どもの練習の止め時がわかるんです」 LMX #22  高原 央(たかはら かな) 所属:福岡県 チーム:グリーンシャドウ 車両:KAWASAKI KX85Ⅱ…

2021 D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ 第6戦HSR九州大会(10/9~10)の観戦情報&見どころ

10月9日(土)~10日(日)に熊本県のHSR九州で開催される2021年のD.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ第6戦。ここでは、今大会の注目ポイントやコースの特徴、各クラス注目の選手など、観戦に役立つ情報をまとめて紹介します! 【1】ついに再開、シーズンは後半戦へ! 当初は全7戦が予定されていた今季の2021 D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズは、9月に実施予定だった第5戦近畿大会が新型コロナウイルスの感染拡大による影響で開催中止。これにより、夏のインターバルは約4ヵ月へとさらに拡大し、前半3戦と後半3戦で異なるシリーズに感じるほど、開催の間隔が開きました。 とはいえ、10月9日(土)~10日(日)に熊本県のHSR九州で第6戦が開催されることで、ライダーにとってもファンにとっても待望の全日本モトクロスが戻ってきます。このHSR九州は、今季開幕戦でも使われたコース。まるで、再びシーズンの開幕を迎えるかのようですが、今大会では春とは異なるいくつもの新しい要素があり、開幕戦を現地で楽しんだファンも、再び新鮮な気持ちで観戦できること間違いありません! 【2】IA2に初めて3ヒート制が導入される! 今大会では、4スト250ccマシンまたは2スト125ccマシンで参戦できるIA2クラスに、初めて15分+1周の3ヒート制が導入されます。今季これまで、トップカテゴリーのIA1には開幕戦HSR九州大会と第4戦SUGO大会で採用されたフォーマットですが、IA2に導入されるのはこれが全日本史上初。いつもとは異なるレース進行に、若手が中心となるIA2のライダーがどのような対応力を見せるのかにも注目が集まります。 内田篤基選手(#4) 今季前半戦を終え、このクラスはカワサキのマシンを駆る内田篤基選手(#4)が圧倒的な強さを見せています。開幕戦ヒート1こそ2位でしたが、それ以外の全ヒートで内田選手は優勝し、ここまで全日本5連勝中。前戦ヒート1ではオープニングラップに転倒するミスもありましたが、内田選手は基本的にスタートや1周目のポジション取りも巧みで、超スプリントとなる15分+1周のレースでは、スタートで飛び出してそのまま逃げ切るという必勝スタイルがより活かせそうです。 そんな内田選手にここまで唯一となる土をつけたのが、ホンダのバイクに乗る大城魁之輔選手。現在、内田選手と48点差のランキング2番手です。スピードでは内田選手に対抗できる実力を持つ大城選手ですが、スタートで出遅れることも多く、短時間レースではこの克服がいつも以上の課題となります。逆にスタートで有利なポジションに立てば、開幕でも優勝しているHSR九州のコースで一気に3連勝……なんてこともあり得ます。 そのほか、ランキング3~6番手に並ぶ岸桐我選手(#8)、鳥谷部晃太選手(#35)、大倉由揮選手(#6)、小川孝平選手(#11)のヤマハ勢なども、このクラス注目のライダー。今大会ではそれに加えて、36歳の平田優選手(#51)や42歳の溝口哲也選手(#54)、23歳の古賀太基選手(#56)といった、かつての全日本トップライダーがスポット参戦します。その中でも要注目は古賀選手。2018年にこのクラスのチャンピオンとなった古賀選手は、2019~2020年にアメリカを中心にレース活動。日本のIA1にもスポット参戦し、2019年には優勝も獲得しています。今年、現役引退を表明していましたが地元九州の大会に復活参戦。そのスピードに注目が集まります。 【3】IA1の前半戦もおさらい 排気量450ccの4ストマシンが参戦する最高峰クラスのIA1は、ここまで比較的安定した成績を残しているヤマハファクトリーチームの渡辺祐介選手(#3)が、今季2度目の3ヒート制が導入された前戦(第4戦SUGO大会)で今季初優勝と2勝目、そして3位を獲得して現在ランキングトップの152点。この渡辺選手を、ここまで8ヒートで優勝こそ1回ながら成績が安定しているヤマハファクトリーの富田俊樹選手(#2)が、14点差の138点で追っています。ホンダサポートライダーで昨年度王者の山本鯨選手(#1)は、第3戦関東大会で両ヒート制覇を決めてランキングトップに立ったものの、第4戦は3-4-4位とやや苦しんで129点のランキング3番手。ホンダサポートの小方誠選手(#4)が、優勝こそないものの122点でランキング4番手。カワサキファクトリーチームの能塚智寛選手(#5)が、優勝3回を挙げながら、残りのレースは5位が4回とマシントラブルによる失格という結果で119点のランキング5番手となっています。 渡辺祐介選手(#3) この第6戦でも、表彰台争いはこの5名が中心となることが予想されます。同じコースで開催された開幕戦では、能塚選手が2勝で富田選手が1勝。ただしこのときは15分のレースでした。今季このクラスで30分のレースが実施されたのはまだ第3戦のみですが、このときは山本選手が両ヒート優勝。ただしコースは、ダイナミックでハイスピードなHSR九州とはまったく方向性が異なるレイアウトだったので、あまり参考にはなりそうにありません。開幕戦でも、他車との接触転倒やそれによる負傷がなければ、山本選手が優勝していた可能性もありますが、逆にこの山本選手にスピードで対抗できていたのは富田選手。そして、渡辺選手はその開幕戦で結果的に2-2-3位とすべて表彰台に立っています。小方選手も、ヒート1こそ6位でしたが、残り2レースは3位と2位でした。開幕戦と同じコースで、今度は30分のレース。覇者が誰になるのか、予想が難しい状況ですね。 【4】レディースは川井選手が連勝中! レディースクラスは、ホンダの4スト150ccマシンを駆る川井麻央選手(#1)が、4戦4ヒートのみが開催された昨年の開幕戦から今季の第4戦まで、第3戦で初めて導入された2ヒート制も含めてなんと全日本8連勝中。もはや手が付けられない速さですが、この川井選手に誰が土をつけるのかにも注目が集まります。 川井麻央選手(#1) その筆頭は、ヤマハの2スト85ccマシンを駆る本田七海選手(#2)。2019年のチャンピオンは、今度の第6戦と同じコースで実施された開幕戦では、オープニングラップに川井選手とラインが交錯して転倒。これにより出遅れて3位に終わりましたが、第3戦以降はすべて2位を獲得しています。また、川井選手のチームメイトとなる小野彩葉選手(#4)は、本田選手と同じく今季これまで全レースで表彰台に登壇しており、初優勝にも期待が高まります。今年からマシンをホンダ4スト150ccに乗り替えた久保まな選手(#3)も、マシンに慣れたシーズン後半は、これまで以上の強さを発揮するはず。ハスクバーナの2スト85ccマシンで豪快なライディングを披露する、ランキング4番手の楠本菜月(#5)選手にも注目です! 【5】開幕の地、HSR九州はアクセスしやすい! 開幕戦の舞台となるHSR九州があるのは熊本県菊池郡大津町。ホンダの熊本製作所に隣接されています。この場所は熊本空港から約11km、阿蘇くまもと空港駅(JR肥後大津駅)からは約4kmと、公共交通機関を利用したアクセスが可能な場所にあります。前述の空港と駅は無料のシャトルバスで接続。駅からはタクシーでも会場入りできます。 ただし、HSR九州はオンロードのサーキットやジムカーナコースなどもある、広大な複合モータースポーツ&研修施設。タクシー運転手に行き先を伝える場合は、必ずモトクロスコースを指定し、場所がわからないようならグーグルマップなどで位置を知らせてあげるとスムーズにたどり着けます。 【6】会場での観戦にはアプリの活用を! 全日本モトクロス選手権シリーズでは今季、全戦で動画配信アプリ「Grooview(グルービュー)」を展開しています。これは、来場者がスマホやタブレットでレースや関連イベントなどの動画やタイミングモニター、タイムスケジュール、選手リスト、場内案内などの情報を閲覧できる、場内限定の無料サービス。これを活用すれば、会場内のどこで観戦していても、レースの順位や今後のタイムスケジュールなどをチェックできます。なお、1ch:レース中継と2ch:リアルタイムで順位がわかるタイミングモニターは会場内のみの限定配信はですが、それ以外の3ch:スポンサー動画、4ch:会場内イベントの生中継チャンネルは全国どこからでも見ることができます。詳しい内容は過去のコチラの記事を参照ください。 なお、現地で観戦できないファンのために、今季もYoutubeライブ動画配信チャンネルの「MFJ Live Channel」を展開。こちらには新たに、全日本モトクロス最高峰クラスで3度チャンピオンに輝き、2016年限りで現役を引退した熱田孝高氏(愛称:yossy)がレース解説者として登場します。また、大会前には彼が実際にコースを走行しプレビュー動画も公開しています。どのようなコースで選手たちが戦うのか、こちらも見てくださいね。 【7】eチケットでスマートに会場へ入場! 全日本モトクロス選手権シリーズでは2021 年から、シリーズ全戦でeチケット(電子チケット)を販売。お手持ちのスマホだけで、スマートに入場できます。ただしチケットは、大会ごとにコンビニや地域のバイクショップでも直接販売しています。 詳しくはhttps://mspro.jp/ticketをチェックしてください!