2025年10月26日
和歌山県有田郡湯浅町・湯浅トライアルパーク
動員数:800人

天候:曇りのち雨
気温:23℃

10人を除く、ほとんどの全日本選手権参加選手にとって、今大会が最終戦。レディースについては前戦宮城・SUGO大会でタイトルが決しているが、その他のクラスはまだ決戦の真っ最中。国際A級は1ポイント差、国際B級も6ポイント差で今大会に入った。そしてどちらも逆転チャンピオン誕生の結末となった。

雨確実の予報ではあったが、朝は曇り、ときどきぱらぱらと降られつつも、ほとんどのライダーは雨の中を走ることなくゴールした。試合終盤にちょっと雨量が増えて、表彰式前まで降った雨は、表彰式が終わると上がるという一日となった。セクションは大岩の配置や人工物に大きく手を入れられていた。

今回、会場の一角には、先日病魔に勝てずにお亡くなりになった4回の全日本チャンピオン、近藤博志さんを偲ぶコーナーが設けられた。思い出の写真や近藤さんの手作りマシン「エイリアン」が展示されていて、そこに集った近藤ファンが、故人の思い出を語りあっていた。

国際A級スーパー

難度が高いと目されていた今大会の10セクション。第1セクションを唯一クリーンしたの武田呼人(ホンダ)だった。ここはIASとIAしかトライしない激しい岩盤登りセクション。今大会は滑り出しから激しい。

武田呼人、第1セクションをただ一人クリーン。
2位の氏川政哉

クリーンの多かった第2セクションの後、恒例の奥の沢に入る。湯浅の勝負どころはこの沢と、後半のヒルクライム系となるのが常だ。

第3から第6までの沢セクションは5点が多かった。8人が4セクションを全部5点、7人が3つで5点。ふたつ抜け出たのが柴田暁(TRRS)、そしてただ一人、4セクション中3つを出てきたのが黒山健一(ヤマハ)だった。ここだけで黒山は、ライバルに4点以上のアドバンテージを築いた。

柴田暁らしいスピーディーな走りで各セクションを抜けていった
ポイントリーダー黒山健一。次週最終戦、City Trial Japanの結果に注目だ。

第7セクションはいつも最終セクション(とSS)に使われている岩場で、これも難セクション。第8、第9はヒルクライム系で、第10は掘り起こした大岩と後半の人工物が肝になった。

第9セクションはふかふかの斜面の難関ぶりと時間のなさで、多くのライダーが申告5点の作戦をとり、結局全員が5点。そんな中、第8を唯一1点で抜けて、第10を唯一クリーンした小川毅士(ベータ)が、1ラップ目のトップに出た。2位は氏川政哉(ヤマハ)で、その差は3点。黒山は氏川にさらに2点差で3位につけた。黒山と同点で、黒山陣(シェルコ)が4位につけて試合を折り返す。

小川毅士の勝利。終始安定した走り。

2ラップ目、小川の好調は変わらない。2ラップ目では第1セクションを唯一クリーンし、さらに難関第7セクションを唯一クリーン。この好調ぶりを、本人は知らないまま、試合を進めていた。1ラップ目にクリーンした第10セクションを1点で抜けて2ラップを終えると、小川の減点は56点。2位の氏川は54点で、勝利は決まってはいないが、かなりの大差であるのは確かだ。

そしてSS。第1は第10セクションの逆送。第2は第7を全面的に組み換えてのもの。どちらも難度は高いが、どちらかというと第1は抜けられるが失点を誘う、第2は行けるか行けないか、な感じの設定となっていた。

SS第1をクリーンしたのは柴田と武田の二人のみ。小川は人工物の上での方向転換で1点をついてアウト。ここで小川の勝利は決まった。

SS第2は5点が多かった。久岡孝二(ホンダ)、野﨑史高(ヤマハ)、黒山陣、柴田と次々に5点。武田が1点で抜けたあと、黒山がまた5点。最後の二人、氏川と小川がようやく美しいクリーンを見せて、大会は終了した。

毅士の勝利は2014年中部大会以来の11年ぶり。ランキングも、野﨑を逆転して3位に浮上している。

国際A級スーパークラス表彰式。左から2位氏川政哉、優勝小川毅士、3位黒山健一、5位柴田暁、6位黒山陣

国際A級スーパークラス/暫定リザルト
順位 選手(メーカー)減点 クリーン数
1位 小川 毅士(Beta)57 7
2位 氏川 政哉(Yamaha)65 5
3位 黒山 健一(Yamaha)70 5
4位 武田 呼人(Honda)71 6
5位 柴田 暁 (TRRS)80 4
6位 黒山 陣(Sherco)81 3
7位 野﨑 史高(Yamaha) 82 4
8位 久岡 孝二(Honda)82 2
9位 武井 誠也(Beta)90 2
10位 田中 善弘(Honda)96 2
11位 磯谷 玲(Beta)88 2
12位 濵邉 伶(Scorpa)93 1
13位 岡村 将敏(Sherco)95 1
14位 宮澤 陽斗(Beta)95 1
15位 浦山 瑞希(Honda)95 1
16位 磯谷 郁(Beta)96 0
17位 平田 雅裕(Scorpa)100 0

国際A級

ランキングトップ高橋寛冴(シェルコ)と平田貴裕(スコルパ)のチャンピオン争いはわずか1ポイント差。優勝するかどうかはさておき、最終戦でライバルを上回った方がチャンピオンになる公算大ということで注目されていた。

優勝はシーズン4回目の出場にしてシーズン初となった本多元治(ホンダ)。2位に2点差の勝利だった。

ベテラン本多元治の勝利。

その2位は黒山太陽(シェルコ)。前戦宮城・SUGO大会でようやく表彰台に上がった黒山が、さらにポジションを一歩進めた。黒山は、2ラップ目後半6連続クリーンの大活躍だった。

そして3位に平田貴裕(スコルパ)。これで平田の逆転チャンピオンが決まった。高橋は第1セクションでクラッシュしてペースを乱し、平田に17点差の7位でゴールした。

国際A級表彰式。左から、2位黒山太陽、優勝本多元治、3位平田貴裕、4位永久保圭、5位砂田真彦、6位小野貴史
レディース

新チャンピオンの中川瑠菜(ベータ)は、最後の一戦は納得のいく走りができたようだ。チャンピオンよりも喜びは大きいというシリーズ全勝優勝を決めた。2位とは13点差の大差だった。

シリーズ全勝全勝を達成した中川瑠菜

2位は小玉絵里加(TRRS)。兼田歩佳とのランキング2位争いの渦中にいたが、最終戦で兼田をつきはなして、ランキング2位に返り咲きだ。

小玉と2位を争ったのは、寺澤心結(ベータ)。クリーンは小玉より3つも多いのだが、減点で小玉にわずか1点及ばず、出場4戦連続の3位表彰台となった。寺澤のアシスタントには、2023〜2024、2年連続チャンピオンの山森あゆ菜がついていた。

兼田はその寺澤とさらに1点差の4位となっている。

レディース表彰式。左から、2位小玉絵里加、優勝中川瑠菜、3位寺澤心結、4位金田歩佳、6位寺田智恵子
国際B級

ランキングトップは寺澤迪志(ベータ)だが、前戦宮城・SUGO大会前に骨折をして、今大会も出場が危ぶまれながらの参加。木村倭(シェルコ)が優勝しても、寺澤が2位に入ればランキングトップは守れるという戦況だった。

国際B級の優勝は木村倭。シリーズチャンピオンも獲得した。

1ラップ目、木村は2位の林大作(TRRS)に8点差の減点3でトップ。寺澤は減点16で7位につけた。走れてはいるが、やはり本調子ではなさそうだ。

2ラップ目、木村に5点が出た。第3セクションと第10セクション。時間がなくての申告5点もあって、これで後続に点差を詰められることになった。

今年、IAの陳文懋のアシスタントをした辻本雄河が2ラップ目のベストスコアをマークして追い上げ、木村と同点のトータル19点となった。結果は、クリーン数ふたつの差で木村の勝利。2戦を欠場し世界選手権に参戦しながらも、2025年IBチャンピオンを決めた。

3位は林大作。寺澤は2ラップ目に木村の減点を上回ってラップ2位で追い上げるも4位。ランキングでは6ポイント差で2位となった。

IAに昇格できるランキングトップ5には、木村、寺澤の他、岡直樹(今回15位)、小倉功太郎(同8位)、大櫃千明(同19位)が入っている。

国際B級表彰式。左から2位辻本雄河、優勝木村倭、3位林大作、4位寺澤迪志、5位辻誠史、6位河野剛



シリーズチャンピオン表彰式。左からIAチャンピオン平田貴裕、レディースチャンピオン中川瑠菜、IBチャンピオン木村倭

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