2025年4月27日
大分県玖珠町玖珠トライアルヒルズ
動員数:800人
愛知県岡崎市で開幕を迎えた後、全日本選手権第2戦はその2週間後に九州での開催。昨年同様、大分県玖珠町での開催だ。開幕戦は狙い定めたような悪天候だったが、今回は土曜・日曜といいお天気で、翌日月曜日が雨になったという。
国際A級スーパー
下見をしての予想は神経戦。セクションのポイント、ひとつひとつはそれほど難度は高くないが、2025年ルール特有、ループができる、あるいはループをしなければ走れないセクション設営がしてあって、セクション走破は時間がかかるようなむずかしさがあった。他クラスのゲートマーカーに進入してはいけないというルールも、走行ラインをより限定して、最短距離を走らせてもらえない。
勝負どころは第4、第5、第8ということで、その他セクションはクリーンが必須か、少なくとも5点になってはいけないという緊迫感のもと、IASの10セクション2ラップは進んでいく。
しかしそれでも、ミスは出るものだ。1ラップ目、一つの5点もなく10セクションを走り終えたのは、黒山健一(ヤマハ)ただ一人だった。黒山の減点は第3セクションでのイージーな1点と、鬼門の第8セクションでの3点、合計4点だった。

黒山とトップを争うべき面々は、いくつかの5点を献上している。小川毅士(ベータ)の5点は一つだけだったが、氏川政哉(ヤマハ)、小川友幸(ホンダ)、野﨑史高(ヤマハ)はふたつずつ、武田呼人(ホンダ)と久岡孝二(ホンダ)は3つ、柴田暁(TRRS)に5つもの5点があった。
黒山がぶっちぎりの好成績らしい、との情報が流れてきた2ラップ目後半、黒山が第7と第9で、立て続けにゲート接触の5点をとられた。1個ならともかく2個となると、1ラップ目に7点のリードをとっている黒山にしても、戦い方が厳しくなってくる。
さらに、1ラップ目に3個の5点で6位につけていた久岡が、2ラップ目に驚異的な走りを見せた。10セクションのうち、減点したのはたったの2ヶ所だけ、久岡の2ラップ目の減点3は、この日のIASベストスコアとなった。

しかしさらにクリーンをたたき出しまくって追い上げを見せたのが氏川だった。氏川は2ラップ目、鬼門第8セクションで5点になった以外、9つのセクションでクリーンした。
2ラップを終えて集計を見ると、近来まれに見る接戦となっていた。優勝争いは氏川が逆転トップに出ていて、これを黒山が1点差で追う。
さらに3位争いがまた熾烈だった。3位には驚異の追い上げを見せた久岡が入っていて、久岡と同点で小川毅士、さらに1点差で野﨑、野﨑に1点差で小川友幸と続いた。久岡から小川友幸までの4人が2点差の中にひしめき合う。

SSは、どちらも建築資材を斜面に配置した人工セクション。SS第1は4つ並んだポイントを攻めて、同じところを戻ってきて隣のポイントに挑戦するという、新ルールならではの設定になっていた。トップバッターの武井誠也(ベータ)が5点、しかし次の柴田がクリーンをし、どうやらこのSSはクリーンが必須ということになった。自力で上位を逆転するのは難しいが、ミスをおかして順位を下げるのは簡単にできる。田中善弘が2点、武田呼人が1点。彼らの順位に変動はないが、僅差のトップ争い、3位争いの誰かが1点2点の減点をすれば、順位は変動する可能性がある。

失敗をしたのは、チャンピオンの小川友幸だった。この日の小川は負傷して動きの悪いひざをだましながら、さっぱり練習できていない状態での大会参加だったから、苦戦するのはやむを得ない。ただその状態で前回の開幕戦では優勝していたのも事実。チャンピオンの底力、というやつだ。

小川の失敗で小川の6位は確定的となったが、その後の面々も、SS第1はきれいにクリーンを決めていく。SS第1での順位変動はなかった。
SS第2は、アウトのブロックからブロックへの飛び移りが鬼門だった。しかしトップバッターの武井がクリーン、2番手の柴田は前転をしたものの、すでにセクションを出ているということでクリーン。田中が2点を失ったが、柴田に順位を奪われることなく8位決定。
7位武田呼人以降は、様々なプレッシャーと戦いながら、それぞれ美しいクリーンを見せて試合は終わった。優勝は氏川政哉、氏川の今シーズン初勝利、TY-E3.0にとっても初勝利だ。

またしても勝てなかった黒山は、しかしランキングでは氏川にわずか1点差の2位。小川友幸は今回の6位で黒山に5点差のランキング3位に後退している。
今シーズンのランキング争いも、厳しいものになりそうだ。
ルーキーの宮澤陽斗(ベータ)は13位で初ポイント獲得。今年はランキング10位までが翌年のIASに残留できるという厳しいルールが発表されているが、去年のルーキーの浦山瑞希(ホンダ)は現在ボーダーラインのランキング11位につけている。

国際A級
このクラスも神経戦とは目されていたが、どれもクリーンして当然というセクションでもない。そんな中、1ラップ目のトップ3は3人が1点の中で争った。トップはルーキーの永久保圭(ベータ)、13歳! 減点は12点だった。これにベテラン平田貴裕(スコルパ)と小野貴史(ホンダ)が12点で続く。なかなかの接戦だ。
2ラップ目、永久保は1ラップ目にクリーンしていた第7セクションで5点。対して小野と平田は2ラップ目を一ケタ減点にまとめて、ベテラン勢による優勝争いとなっていった。
勝利は小野貴史。約2年ぶりの勝利だった。前回勝利の高橋寛冴(シェルコ)は6位。ランキングトップは小野が6ポイント差でトップに立っている。

1ラップ目にトップだった永久保は、2ラップ目に原点を減らしきれず、それでも3位と、初めてのIA表彰台を獲得した。

レディース
5名が参戦。前回リタイヤして心配された米澤ジェシカ(TRRS)も、ちょっとひざを気にしつつ、元気な笑顔を見せてくれた。
中川瑠菜(ベータ)の強さは安定的かと思われていたが、今回光ったのは兼田歩佳(TRRS)だった。1ラップ目こそミスがあって4位に甘んじていたが、2ラップ目はただ一人一ケタ減点をマークして、このラップは中川に3点差のトップ。トータルでは中川に3点差で2位に甘んじることになったが、今後が楽しみになってきた。


国際B級
前回、2位で悔しかった木村倭(シェルコ)だが、今回は会心の勝利。1ラップ目から2位の1/4の2点で他を圧倒し、2ラップ目もベストスコアタイの6点でトップを守った。

木村はこの後もてぎ大会を欠場して、その後に開催される世界選手権T3クラスに挑んでくるという。こちらの活躍も楽しみだ。
2位に入ったのは寺澤迪志(ベータ)。IAの永久保と同じく13歳。寺澤も、いよいよ今後が楽しみなひとりに成長してきた。
