2023年7月16日
北海道上川郡和寒町わっさむサーキット
観客数:700人

全日本トライアル選手権第5戦北海道・和寒大会は、今年も旭川市の北方、和寒町のわっさむサーキットでの開催。今回は国際A級スーパー、国際A級、レディース、国際B級、オープントロフィーNAクラス、4クラス合わせて102台のエントリーがあってにぎわった。地元への事前告知の効果もあったようで、いつにも増してお客さんが多いように見受けられた。

セクションは、全クラス10セクション2ラップ。さらに国際A級スーパーの上位10名のみ、SSの2セクションでの最終決戦をおこなう。

前夜にはそこそこの量の雨が降ったが、競技当日は曇り。最後には太陽も顔を出して、暑すぎず、雨も降らずのトライアル観戦日よりとなった。ただし走る側は、雨の影響で濡れた土が大きく影響し、難度が高く、厳しい戦いとなったようだ。

国際A級スーパー

1ラップ目に好調な滑り出しを見せたのは柴田暁(TRRS)だった。第1セクションから難セクションが続き、5点を出すライダーも多い中、柴田のみが各セクションを走破し続けて1ラップ目減点28点でトップに立った。これを追うのはランキングトップを守る氏川政哉(ホンダ)で減点31点。さらに3点差で小川友幸(ホンダ)が3位で2ラップ目の追い上げを狙う。

1ラップのトップは柴田暁、キレのいい走りを見せつけた

2ラップ目、がぜん調子を上げたのが小川。1ラップ目に5点になった第1を始め、第6セクションまでクリーンを続けて一躍トップに立った。1ラップ目トップの柴田は2ラップ目には減点を増やしてしまい、トップは守れず。氏川は手堅く減点をまとめている。

2ラップ目終了時点では2位だった、小川友幸

2ラップ目後半、小川が連続5点を喫したことでトップの座が入れ替わった。2ラップを終えると、トップは氏川で51点、小川は1点差で2位につけて、SSの勝負に望みをつなげる。

20歳のIASポイントリーダー、氏川政哉

3位には、今回から新型の電動マシンTY-E 2.2を投入した黒山健一(ヤマハ)が61点。柴田は62点で、67点の野崎史高(ヤマハ)とともに3位争いにも注目が集まることになった。

黒山健一は、新型の電動「TY-E 2.2」をデビューさせ3位に

第1セクションを手直ししたSS第1と、最終セクションを手直ししたSS第2。どちらもIAS専用に作り直して難度をさらに上げている。今回は、磯谷郁(ベータ)と濵邉伶(ヤマハ)の二人が初めてSS進出を果たしている。

滑る土が岩の表面に乗ってとてのよく滑る状態だ。高く積み上げられた大岩の頂点まで上るSS第1は、ほぼ全員があえなく5点となる中、小川が見事な走破力を見せて減点1。直後にトライした氏川は、頂点まで登りきったところでリヤタイヤを滑らせ、ゲートマーカー破損で5点となってしまった。

これで小川は再び逆転。氏川に3点差でトップに立った。残るSS第2を3点以内で抜ければ、小川の勝利が決まる。

そして、このSS第2を小川は減点2で走破。氏川がSS第2をトライする前に、シーズン2勝目を決定することになった。最後の最後までしぶとく粘った小川の勝利だった。

13回目のシリーズチャンピオンを目指す小川としては、ここで勝利しないと自力チャンピオンの目を失うだけに、どうしてもほしい勝利だった。対して氏川は、16ポイントのリードを11点に縮められて、残り3戦に挑むことになった。

黒山健一が持ち込んだ電動マシンTY-E 2.2は、フレーム、モーターなど随所が新設計のものだった。結果は3位と最上位更新はならなかったが、滑るコンディションでの実戦成果を得たデビュー戦となった。

IAS表彰式。左から2位氏川政哉、優勝小川友幸、3位黒山健一、4位柴田暁、5位野崎史高
国際A級

ランキングトップの黒山陣(スコルパ)が和歌山・湯浅大会に続いて2連勝、シーズン3勝目をあげてランキングのポイントリードを41点まで広げた。どうやら次の第6戦 広島・三次灰塚大会でタイトルが決まりそうだ。

14歳の黒山陣、IA優勝

黒山と優勝争いをしたのは前回に続いてフランス製電動マシンEMを走らせた成田匠。1ラップ目は1点差、2ラップ目は2点差で大接戦だったが、トータル3点差で勝利には届かずだった。

フランス製の電動マシンで参戦した成田匠、2位

黒山としては、前回大会で本多元治に勝利し、今回成田匠という往年の名選手に勝利。これがなによりの喜びだったという。

3位には、山形の15歳、浦山瑞希が入った。実力を積み上げてる浦山だが、表彰台獲得は初めてだ。

IA表彰式。左から、2位成田匠、優勝黒山陣、3位浦山瑞希、4位小野貴史(代理)5位砂田真彦、6位宮澤陽斗
レディース

米澤ジェシカの怪我による戦線離脱で今回は3名の戦い。ランキングトップの山森あゆ菜(モンテッサ)、小玉絵里加(ガスガス)、そして前年チャンピオンの楠玲美(ホンダ)による争いだ。

1ラップ目、小玉と山森は28点の同点、これに対して楠は21点と7点差で試合を折り返した。

チャンピオン楠玲美が、今シーズンの初勝利

2ラップ目の楠は若干減点を増やしたものの、1ラップ目のリードを守りきって4点差で勝利。楠は今シーズン初勝利、この勝利で楠はランキング3位に浮上。1戦欠場している楠とランキングトップの山森のポイント差は21点となっている。

レディース表彰式。左より、2位小玉絵里加、優勝楠玲美、3位山森あゆ菜
国際B級

快調にランキング争いをリードする村田隼(ヴェルティゴ)だが、今回の勝利は本田隆史(ガスガス)。20年参戦して初めての勝利ということだった。本田はマディコンディションが得意ということで、マディが苦手という村田に7点差で勝利した。

IB初優勝、本田隆史

3位には第3戦で勝利した小原諄也(TRRS)。国際A級昇格ラインであるランキング5位争いも、なかなか熾烈になってきた。ランキング5位の田上拓(モンテッサ・今回6位)は35ポイント、大櫃千明(モンテッサ・今回7位)が33ポイント、永久保圭(ベータ・今回13位)が30ポイントと、大接戦の様相を呈している。

IB表彰式。左より、2位村田隼、優勝本田隆史、3位小原諄也、4位古市光、5位石塚敦志

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