2025年9月7日
広島県三次市灰塚ダムトライアルパーク
動員数:808人

昨年は台風直撃で中止を余儀なくされたこの広島・三次灰塚大会、今年は台風の来週を想定して、万が一台風で開催ができなくなった際は、翌週に開催とあらかじめ予定を組んでの開催となった。備えあれば憂いなし、今回は台風による開催の可否の心配はなかった、といいたいところだったが、太平洋沿岸に被害を与えた台風15号ペイパーの日本接近が5日金曜日。この時期は、台風とはなにかと縁があるようだ。

国際A級スーパー

トップクラスについては限りなくオールクリーンに近い少数減点で試合をまとめるのではないかと目されていた今回のセクション群。しかしそれをそのまま実行できるライダーは、ほんの一握りだった。

そして、見事最後まで崩れないままに試合を運んだのが、野﨑史高(ヤマハ)だった。野﨑の勝利は2023年もてぎ大会以来で、2年ぶりということになる。ただし野﨑は、2024年シーズンは第4戦で負傷して以後の大会を治療に専念するために欠場している。

1ラップから好調な走りを見せた野﨑史高

じっくりとけがをなおして万全の体制で参加したい思いと、早く実戦に復帰して感覚を取り戻したい思い。全日本に復帰した今シーズンも、開幕戦、第2戦と表彰台には乗れずに苦しい戦いを強いられていた。第3戦で3位表彰台を獲得、早くも表彰台までは復活してきたが、今回はばっちり勝利して、完全なる復活をアピールした。

それもただの勝ちではない。ライバルが少なからずの5点を取る中、1ラップ目の野﨑にはひとつの5点もなかった。2ラップ目もそのまま絶好調で試合を進めていたが、第9セクションでわずかにミス。それが5点につながってひやりとさせたが、残る2セクションでは再び気合いの入った走りを取り戻して、SSに入る前には勝利を決めているというぶっちぎりの勝利だった。

ちなみに野﨑は、中国地方での勝利は3回目。灰塚ダムでは2022年の勝利に続いて2度目めの勝利になる。

氏川政哉は黒山をおさえて2位

タイトル争いをリードしていた黒山健一(ヤマハ)は、序盤は絶好調をキープしていたが、第8セクションで5点を取るとラップ後半に失点がかさみ、さらにSSで逆転されて、3位表彰台に落ち着いた。2位表彰台を奪っていったのは、タイトル争いのライバルの氏川政哉(ヤマハ)。残り3戦、タイトル争いも、緊張感を高めつつある。

野﨑の勝利、氏川の追い上げで、ヤマハ陣営は2度目のワンツースリーフィニッシュを達成。前回は2024年もてぎ大会で、氏川、黒山、野﨑の並びだった。今回は順序を入れ替えてのワンツースリーとなった。

3位になった黒山健一、ポイントリーダーに変わりはない

2ラップ目に追い上げた小川毅士(ベータ)は、SSでの失敗もあって4位。5位には、ホンダのファクトリーマシンに乗る武田呼人(ホンダ)が入った。ホンダでの最上位だ。柴田暁(TRRS)は1ラップ目の2位から6位に。SSでの転倒は腕に深い傷を負ってしまうという手痛い幕切れとなった。

4位の小川毅士。2週間後にはイタリアで開催されるデ・ナシオンに参戦する
武田呼人は、4位の小川毅士と同点クリーン差で5位
6位柴田暁

7位に久岡孝二(ホンダ)、8位田中善弘(ホンダ)、9位武井誠也(ベータ)。SS進出の最後の1席は、何年ぶりだかわからないという岡本将敏(シェルコ)がつかんだ。

去年限りでフル参戦から退いた濵邊伶(スコルパ)が参戦、13位に入っている。

IAS表彰式。左より2位氏川政哉、優勝野崎史高、3位黒山健一、4位小川毅士、5位武田呼人、6位柴田暁(代理)
国際A級

中国地方の全日本といえば、この男の存在があなどれない。山本直樹(シェルコ)、国際B級クラスを全勝優勝して昇格、その後は地元大会に参戦するスタイルで活動を続けてきたが、今回は2ラップ目をオールクリーンして問答無用の勝者となった。

優勝した山本直樹。鳥取からの参戦

チャンピオン争いの2人、高橋寛冴(シェルコ)と平田貴裕(スコルパ)も踏ん張るが、今回は高橋が2位、平田が3位となった。前回5ポイント縮まったポイント差は、今回4ポイント広がって、現在は高橋が平田を4ポイントリードして残り2戦の戦いにつなげる。

4位は本多元治(ホンダ)、5位に砂田真彦(ホンダ)、6位に小野貴史とホンダに乗るベテランライダーが並び、7位に中里侑(TRRS)、8位と9位に岡山の小椋陽(シェルコ)、尾藤正則(シェルコ)が並んだ。ルーキーの永久保圭(ベータ)は今回は10位となった。

IA表彰式。左から2位高橋寛冴、優勝山本直樹、3位平田貴裕、4位本多元治、5位砂田真彦、6位小野貴史
レディース

今シーズン、3度目の参加者5人の大会となった。愛知県から3人、奈良県からふたりと、地元と人口が多いと思われる関東からの参戦は皆無だった。

ここまで全勝の中川瑠菜

結果的には、中川瑠菜(ベータ)が今シーズン土つかずの5勝目をマークした。しかし1ラップ目はわずか1点差ながら兼田歩佳(TRRS)にトップをとられるという苦境の戦いとなった。2ラップ目の中川は、セクション外にフロントタイヤを出してしまうミスを犯しながらも最小限点をマークして5点差にて逃げ切ったが、兼田の成長ぶりに中川も油断がならない戦況となってきた。

もうひとり、まだ背が小さくて足をついてマシンを引き上げるなどの場面では大ハンディを負いつつ、着実にテクニックを増しつつある寺澤心結(ベータ)の存在も輝きを増してきた。今回は2ラップ目に小玉絵里加(TRRS)がミスを連発したこともあって2度目の3位表彰台を獲得した。

レディース表彰式。左から2位兼田歩佳、優勝中川瑠菜、3位寺澤心結、4位小玉絵里加、5位寺田智恵子
国際B級

寺澤迪志(ベータ・レディース心結選手のお兄さん)が第3戦に続くシーズン2勝目を挙げた。前戦ではオールクリーン勝負に1点をついて敗した寺澤だったが、今回はそのリベンジで、20セクションをすべてクリーン。オールクリーンでの勝利となった。ランキングのリードも31ポイントに広がって、タイトルに向けても地盤が固まってきている。

寺澤迪志がオールクリーン優勝

2位は岡直樹(ベータ)。寺澤と同世代で開幕戦で勝利したが、その後負傷があって1戦を欠場、しかしその後4位、2位と手堅い戦いっぷりで戦列に復帰している。

3位表彰台は林大作(TRRS)。九州に続いて今シーズン2度目の3位表彰台獲得だ。

IB表彰式。左から2位岡直樹、優勝寺澤迪志、3位林大作、4位大櫃千明、5位甲斐秀人、6位上福浦明男

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