2023年11月12日
大阪府大阪市中央公会堂前中之島通り
観客数:5,000人
国際A級スーパー
2023年全日本トライアルシリーズが最終戦を迎えた。例年と異なり、第7戦までのランキング10位の選手のみが参戦できるシティ・トライアル・ジャパン大会が最終戦、チャンピオン争いの最後の1戦に選ばれた。トライアルの発展、よりいっそうの盛り上がりを目指して、通常の全日本とはシステムやルールを変更して、新たなスタイルを確立した画期的最終戦となった。
最初のトライはセミ・ファイナル。ランキング10位の磯谷玲と9位の田中善弘がトップトライで大会は始まる。セクションは4つ。これを往復するので8セクション。ラインを変更して、セミ・ファイナルからファイナルに向けて、難易度も変更できるようになっている。
最終戦に向けては、ランキング8位武井誠也、田中、磯谷の3人が接戦、ランキング7位の久岡のポジションが変動する可能性は低いが、ランキング5位の柴田暁、6位小川毅士も接戦だ。そしてもちろん、ハイライトは小川友幸と氏川政哉のチャンピオン争い。ライダーは、いつもとまったく異なるスタイルの戦いで最後の決戦に挑んだ。
スタート7番手以降の中では、磯谷が前半に一つ、後半に一つ3点をたたき出して、これでランキングも9位に躍り出ることになった。
しかしセミ・ファイナルの後半、2組目のトライの最中に雨が降り始めた。用意されたセクションは、板も丸太もつるつるで、雨の中でのトライは非常に危険だ。試合を中断して、セクションに加工を施す一方、途中でセクション条件が大きく異なることになり、しかもすでにトライを終えた4人とこれから走る6人との公平性などが協議され、そこまでの減点数を考慮した結果、セミ・ファイナルは4人が8セクション、6人が4セクションを走った時点で終了となり、ファイナルは6人のライダーが二人ずつ、第1と第2、第7と第8(第1と第2の逆走)の4セクションを走ることになった。雨はひとしきりセクションを濡らしたあとに上がったが、つるつるに滑るようになった部材が急速に復活する感じではない。
ファイナルはセミ・ファイナルでの結果順に走るので、一番スタートはセミ・ファイナル6位の柴田暁。勝敗はセミ・ファイナルとファイナルの減点をトータルで競われる。柴田はファイナルの4セクションを減点14点で終えている。トータルでは28点になる。
柴田といっしょに走った小川毅士は、5点なしの7点。トータルでは18点だった。ファイナルが始まる時点で小川の暫定順位は5位で、この順位では柴田と小川のランキングは変わらない。
次を走るのは野﨑史高と黒山健一だった。野﨑はヤマハ4ストロークサウンドを響かせ、難セクションを走破していく。5点、3点、1点、そしてクリーンひとつで9点。トータル16点。しかし、セミ・ファイナルを6点で終えていて、まだ勝利の望みもあった黒山のファイナルは波乱となった。4セクション中3セクションで5点となり、15点を献上。トータル21点で、セミ・ファイナル2位から、一気に5位に転落した。これで小川毅士が4位に浮上し、ランキングも5位に上がることになった。
残るは小川友幸と氏川政哉の頂上対決。とはいえ、万が一彼らが4セクションすべてで5点をとると、勝利どころか4位、5位まで転落する可能性もあるという戦況だ。もちろんチャンピオン争いも重要で、氏川が勝利、小川が4位なら氏川が逆転チャンピオンとなる。勝負の行方、タイトルの行方、華々しい演出とは裏腹、緊張感あふれるファイナルの4セクションが始まった。
小川は、第1こそクリーンしたが、その後は5点を避けて確実に2位をキープする作戦。第2で3点、帰り道も1点と3点。このラップのトータル7点は小川毅士と並んでトップ、そしてトータルは12点だった。
氏川は第2の入口で5点、しかしこの5点では首位は変わらない。勝負は最終セクション、ここで小川が3点となったところで、氏川の最終戦勝利が決まった。勝利が決まった氏川は、最終セクションをダニエル走法を使って華麗にクリーンしようともくろんだが、グリップがむずかしい丸太は氏川に有終の美を許さなかった。残念5点。
しかし氏川は、2023年シーズン、開幕戦と最終戦で勝利、大きな成長の証を残してシーズンを終えた。