2023年の全日本モトクロス選手権が4月8〜9日に開幕する。
昨年IA1/2両クラスでタイトルを欲しいがままにしたヤマハ勢を追撃するのは一体誰だろうか

D.I.D JMX 2023 R1 HSR九州大会 観戦情報

IA1

チャンピオン同士のぶつかり合い、富田VSウィルソン

例年通り満開の桜に祝われるかのように、熊本のHSR九州で全日本モトクロス選手権がスタートを切る。本田技研の熊本工場に併設する形で運営されている同コースでは、開幕のサプライズとしてレイアウトの改修が行われることで知られているが、2週間前の現時点では「変更する予定はあるものの、そのプランはまだはっきりしていません」との現地からの回答を得た。昨年はコースを若干短縮し、スピード感あふれるコースへと生まれ変わっていたのだが、果たして今年はどうなるのか。そして変更されるとしたら、レースにどう影響するのか。4月7日、金曜日のコースオープンを待ちたい。

ラインとコンディションについて話し合う富田俊樹とジェイウィルソン

2023シーズンに向けてストーブリーグの目玉は、ヤマハのチーム内編成変更がもっともホットなトピックだ。この2023年、ヤマハではファクトリーを2つのチームに分割。1つ目は2015年から参戦を再開した「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」で、昨年と同じく富田俊樹・渡辺祐介が起用されている。そしてもうひとつは、開発チームとしてレースに臨む「YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM」。昨年のIA2チャンピオンであるジェイ・ウィルソンが監督とライダーを兼任しつつ、大抜擢された町田旺郷とともに全日本を賑やかにする。ウィルソンは昨年最終戦にて全勝を阻まれたものの、それまで1ヒートたりとも落とさず優勝し、抜きん出た実力を見せつけている。昨年ここ熊本で2ヒート共に優勝し、チャンピオンへの助走をしっかり決めた富田とのチーム内対決が楽しみだ。また、ヤマハのIA1クラスはこの2023年から新型のYZ450FMを投入し戦闘力アップしているところも見逃せない。

この万全の体制を誇るヤマハへ挑むのはホンダ勢か、カワサキ勢か。昨年のランキング2位につけたのはカワサキの能塚智寛、今季もエントリーリストにはTeam Kawasaki R&Dとして名前を連ねている。こちらは昨年プロトタイプのKX450-SRを投入済みだが、いよいよこの2023年には熟成が進んだマシンに進化しているはずだ。地元九州において、昨年は富田にパーフェクトウィンをゆずってしまったが、今年のスタートダッシュに期待したい。

ホンダも昨年同様の体制でHonda Dream Racing Bellsから、大城魁之輔・大倉由揮が続投。大城は怪我による欠場でランキング4位に落ち着いたものの、富田・能塚に絡めるスピードでチャンピオン候補の一人だ。

IA2

戦乱時代のIA2

今季はメーカー直営のファクトリーチームが不在となるIA2クラス。昨年のランキングを見るに、2位浅井亮太(bLUcRU フライングドルフィンサイセイ)、3位柳瀬大河(Bells Racing)、4位中島漱也(bLUcRU レーシングチーム鷹)とここでもヤマハ勢が強く、ホンダの柳瀬が割って入る形。なお、ここHSR九州の開幕では小川孝平(bLucRU TEAM ITOMO)が3ヒートをすべて2位で飾っている。ジェイ・ウィルソンは突出していたものの、安定してポイントを残せるライダーが少なく、第2戦では鴨田翔(BLITZ)と鈴村英喜(TEAM HAMMERホンダ学園)が2位を分け合う形と拮抗し、全員が2戦にわたって2位に入っていないという戦乱時代を迎えている。

順位#氏名NAMETEAM1-11-21-32-12-23-13-24-14-25-15-26-16-26-37-17-2合計P
116JAY WILSONJay WILSONYAMAHA FACTORY RACING TEAM25252525252525252525252525252823401
221浅井 亮太Ryota ASAIbLUcRUフライングドルフィンサイセイ6971697820201316167111616197
310柳瀬 大河Taiga YANASEBells Racing1311921116161013102061616145188
45中島 漱也Souya NAKAJIMAbLUcRU レーシングチーム鷹161616513131111102011919170
536横澤 拓夢Takumu YOKOSAWATKM motor sports いわて10106161699134201119143
64鳥谷部 晃太Kota TORIYABEbLUcRU TEAM エムFACTORY by NCXX994112011102013111310141
79鈴村 英喜Eiki SUZUMURATEAM HAMMERホンダ学園111313620695882036128
87西條 悠人Yuto SAIJOピュアテックレーシング101111162011611814118
911鴨田 翔Kakeru KAMODABLITZ886204794675681010118
1017小川 孝平Kohei OGAWATeam ITOMO20202036993172100
1126阿久根 芳仁Yoshito AKUNEマウンテンライダーズ23421678437131373
1245渡辺 陵Ryo WATANABETeam PITIN54572455415121271
1318福村 鎌Ren FUKUMURATeam SBE36108469131170
1422佐々木 麗Urara SASAKIY’sRACING with 東北トラス381358212947870
1566Brodie ConnollyBrodie ConnollyYSP浜松/BOSS RACING232851
1620神田橋 瞭Ryo KANDABASHITeam輪生館210378310447
1705田中 淳也Junya TANAKAbLU cRU YSP浜松/BOSSRACING105132939
186池田 凌Ryo IKEDAマウンテンライダーズ71381038
1933小笠原 大貴Daiki OGASAWARAAuto Brothers117108633
2029佐野 雄太Yuta SANOジュニアライダース11535631631
2128米田 海斗Kaito YONEDAYSP浜松/BOSS RACING7223225528
2223真野 凌輔Ryosuke MANOオートスポーツ清水4481127
2362Kitsada ChumroonjaritKitsada ChumroonjaritHonda Racing Thailand9716
2431近藤 雄紀Yuki KONDOTeam SBE538
2527土屋 元希Genki TSUCHIYA京都ボブキャット77
2625勝谷 武史Takeshi KATSUYAジュニアライダース246
2747阿部 晴基Haruki ABEチームピットイン44
2806大塚 貴斗Takato OTSUKAT.E.SPORT33
2963大木 汰一Taichi OKIライムグリーンRT11
3032斉藤 嵩Takashi SAITO(株)TKS従業員募集中11
3140上岡 聖志朗Kiyoshiro UEOKA姫路カワサキwithANNEXCLUB11
3246室井 政伸Masanobu MUROI竹沢OFC11

また、ここに絡んでくる可能性に期待がかかるのが、IBクラスからステップアップしてくるルーキーライダーたちである。開幕戦には昨年のシリーズランキング2位から10位のルーキーが揃い、中でも昨年のシリーズランキング2位の有山大輝(レーシングチーム鷹)は、2022年の開幕戦ヒート1で優勝を果たしている期待株。毎戦トップライダーが変わるほどの混戦状態であったIBクラスを勝ち抜いてきたライダーたちは、IA2クラスに新たな風を吹かせてくれるはずだ。

さらに、スペインから19歳のライダーVICTOR ALONSO(Auto Brothers)がゼッケン58番で参戦。2022年にはMXGPのEMX250クラスに参戦し、最高順位14位という成績を収めている。同クラスには、IA1クラスに参戦する能塚智寛が2019年に参戦しており、当時の最高順位は20位。コースや環境は違うものの、能塚を上回るほどのポテンシャルを持ったライダーと言えるかもしれない。開幕戦で彼がどんな走りを見せてくれるのかにも注目が集まる。

LMX

女王の座奪還戦が始まる、レディースクラス

今までレディースクラストップ6の一角を占めていた、2022年チャンピオンの久保まな、2022年ランキング3位の小野彩葉、そして2018年チャンピオン畑尾樹璃が現役生活を引退。これが、今季のトップ争いに大きな影響を与えることは間違いないだろう。

開幕戦のエントリーリストを見ると、チャンピオン経験を持つ川井麻央(T.E.SPORT)と本田七海(bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド)の2人が、特に際立った存在感を放っている。両者は昨年の最終戦で久保まなとともにチャンピオン獲得への接戦を繰り広げ、惜しくもその座を逃している。悔しさを糧に迎える今季への気合は十分だろう。また、表彰台経験があり、昨年ランキングを5位で終えた楠本菜月(Team YAMAMOTO)は、マシンをホンダCRF150Rに乗り換えて参戦。オフシーズンで練習を重ね、調子を上げてきている様子も見られていることから、開幕戦からトップ争いに絡んでくることが期待される。

これまでのレディースクラスは、トップ6のライダーにより表彰台がほぼ固定化されてきたが、ここへ来て成長著しい新勢力がタイトル争いに関わってくることは間違いない。例えば、昨年ランキング8位につける瀬尾柚姫(TEAM HAMMER)は、昨年のHSR九州大会で好スタートを決めると1周目を2番手で走行、トップライダーに迫る勢いを示している。さらに、2022年ランキング9位の箕浦未夢(TEAM ITOMO)は、2022年の最終戦で川井を1周目中盤まで抑える走りを見せた。今季は誰がトップ6に入ってきてもおかしくない。波乱のシーズン開幕に注目したい。

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