2022シーズンの締めくくりのレースとなるD.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ2022 第7戦 第60回MFJ-GPモトクロス大会が11月12日(土)、13日(日)の2日間にわたり、宮城県のスポーツランドSUGOにて開催された。
IA1、IA2、IB-OPENクラスではチャンピオンは確定しているが、ランキング2番手以降の選手は、ひとつでも上のランキングを目指してこの最終戦にかける。そしてLMXクラスは今回のレースがまさにチャンピオン決定戦となった。
各クラスの緊迫のレースの模様をレポートする。

D.I.D JMX 2022 R6 関東大会 埼玉トヨペットCUP 観戦情報

IA1

Heat 1:序盤からレースをリードした#4渡辺祐介が今季2勝目

地元のレースで勝利した#4渡辺祐介

第6戦Heat 2で今季初勝利を挙げた#4渡辺祐介(YAMAHA FACTORY RACING TEAM / ヤマハ YZ450FM)が抜群のスタートを決める。2番手に#22大城魁之輔(Honda Dream Racing Bells / ホンダ CRF450R)が続き、3番手に今季チャンピオンの#2富田俊樹(YAMAHA FACTORY RACING TEAM / ヤマハYZ450FM)がつける。2周目に富田が大城をパスするが、3周目には後方からハイペースで追い上げてきた#3能塚智寛(Team Kawasaki R&D / カワサキ KX450-SR)が大城、富田を立て続けにパス。能塚はトップを快走する渡辺を追うが、渡辺は能塚以上のペースで周回してアドバンテージを広げ、公言通り2連勝を飾った。能塚が2位になったことで両者のポイント差はわずか3となり、シリーズランキング2位はHeat 2の結果次第となった。「前回優勝したことで流れも良く、地元レースということもあって調子よく走れました。スタートもうまく決まり、思い通りのレースができました」(渡辺選手)

Heat 2:2022年王者が貫禄を見せて勝利

前戦でチャンピオンを決めた#2富田俊樹が有終の美を飾る

ホールショットを奪ったのは#14道脇右京(TEAM KOHSAKA with CARVEC / ホンダ CRF450R)だが#8星野優位(bLU cRU Racing Team TAKA / STAR racing 166 / ヤマハ YZ450F)がすぐさまトップを奪取。ヨーロピアンセクションでは#23大倉由揮(Honda Dream Racing Bells / ホンダ CRF450R)が星野をかわしてトップに立つ。Heat 1で勝利した渡辺はスタートで出遅れ、追い上げの最中に他車と接触、転倒。これによりポジションを大きく落としてしまった。2周目には能塚がトップに立つが、スタートでやや遅れた富田がハイペースで追い上げ、6周目のターン6で能塚をインから刺してトップを奪う。レース中盤、スタートで出遅れた大城が3番手の大倉をパスして3番手にポジションアップ。トップを走る富田はハイペースながらも危なげない走りを見せ、シーズン締めくくりのレースで独走優勝を飾った。
能塚はこのヒートで2位に入り、シリーズランキング2位が確定。能塚とランキングを争った渡辺は8位まで追い上げた。「Heat 1はちょっと固くなってしまいましたが、Heat 2では冷静に走れたと思います。最後のレースでは勝ちたかったので、今はほっとしています」(富田選手)

IA2

Heat 1:#16ジェイ・ウィルソンが圧巻の15連勝

ファンサービスも積極的な#16ジェイ・ウィルソン

#16ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY RACING TEAM / ヤマハ YZ250F)が1周目からトップに立つが、スポット参戦のニュージーランド人ライダー、#66ブロディ・コノリー(YSP浜松 BOSS RACING / ヤマハ YZ250F)がウィルソンの後方から猛プッシュ。2周目にはジェイをかわしてトップに立った。だがウィルソンもコノリーの先行を許さず、3周目のヨーロピアンセクションで再びトップを奪う。その直後、コノリーはマシンを大きくスライドさせてコースオフ。これで両者の差が開き、ウィルソンが独走状態を築いた。25分+1周のレースで、ウィルソンは2位コノリーに5.366秒の差をつけて15連勝を決める。3位は#5中島漱也(bLU cRU レーシングチーム鷹 / ヤマハ YZ250F)で、4位に#21浅井亮太(bLU cRU フライングドルフィンサイセイ / ヤマハ YZ250F)が続いた。浅井とランキングを争う#10柳瀬大河(Bells Racing / ホンダ CRF250R)は5位となり、浅井が再びランキング2番手に浮上した。

Heat 2:スポット参戦の#66ブロディ・コノリーが#16ジェイ・ウィルソンを下す

スタートで一気に前に出た#66ブロディ・コノリーが独走優勝

コノリーがホールショットを奪い、#36横澤拓夢(TKM motor sports いわて / ホンダ CRF250R)が2番手で続く。ウィルソンはスタートで大きく出遅れてしまう。ランキングを争う柳瀬と中島はスタート直後に接触、転倒。柳瀬は再スタートするものの、中島はリタイヤとなった。ウィルソンが後方からの追い上げを強いられる間、コノリーは圧倒的なタイムで完全な独走状態を築く。ウィルソンは4周目に2番手にまで追い上げるが、コノリーとの差はすでに8秒近くにまで開いていた。独走状態となったコノリーはその後もプッシュし続けてウィルソンとの差をさらに開き、ウィルソンのシリーズ全勝を阻止した。コノリーに敗れたウィルソンは「16勝できなかったことは残念だけどこれがモータースポーツ。我々はこれからも挑戦し続けます」とコメント。コノリーは「日本のファンの前でいいレースができました。自分の国ではない場所でレースができたということも、自分にとっていい経験になりました。Heat 1は2位だったので、総合優勝をするにはHeat 2で勝つしかありませんでした。勝つことができて本当に良かったです」と喜びを見せた。3位は横澤、浅井はこのレースで4位となり年間ランキング2位が確定。レース序盤に転倒した柳瀬は14位まで追い上げ、年間ランキング3位でシーズンを終えた。

IB-OPEN

Heat 1:#2平塚豪が今期初優勝

表彰台で喜びの表情を見せる#2平塚豪

前戦でチャンピオンを決めた#13西岡蒼志(讃岐白馬会 with NEUTRAL ヤマハ / YZ250F)が参加を取りやめたため、ランキング2番手の#1有山大輝(レーシングチーム鷹 / ヤマハ YZ250F)をはじめとする、西岡のライバルらによる熱いレースが期待された今回のIB-OPENクラス。ホールショットを奪ったのは#50西村明倫(With T factor / カワサキ KX250)。有山が2番手で続くが、2周目のルンバルンバで激しくクラッシュし、ここでレースを終えてしまう。スタートで出遅れた#2平塚豪(城北ライダース with 634 MX / カワサキ KX250)が3周目に西村をとらえてトップに立つと、その後もハイペースで2番手以降を引き離し、今季初優勝を飾る。2番手以降は混戦模様となり、レース終盤に#6阿部仁(Y’s Racing / ヤマハ YZ250F)が西村をかわして2位、西村が3位という結果となった。
「レースの前半で後続を離せるだけ離すつもりで走りましたが、その作戦通りに勝てました。最後まで自信を持って走ることができました」(平塚選手)

Heat 2:3年ぶりに参戦した#94佐々木麗希がHeat 2を制した

他を圧倒する速さで勝利した#94佐々木麗希

#79鎌倉大樹(レーシングチーム鷹 / ヤマハ YZ450F)がオープニングラップをトップで通過。2番手にHeat 1を制した西村、3番手に#23千葉蓮希(T.E.SPORT / ホンダ CRF250R)が続く。だがその後方につけた#94佐々木麗希(Y’s RACING with 東北トラス / ヤマハ YZ250F)が激しく追い上げ、2周目にトップに躍り出る。2番手に千葉が続いた。佐々木は2分1秒台のベストラップを刻んで順調に後続を引き離して優勝。2位は千葉、3位には終盤に鎌倉をかわした平塚が入った。なおHeat 1でクラッシュした有山はこのレース出走をキャンセルしている。
「3年ぶりのレースでしたが、スタートから前に出ることができて、いいタイムも刻めました。コースもいい感じに荒れていて、まさに全日本戦という雰囲気でした」(佐々木選手)

LMX

チャンピオンをかけた4人の闘いがついに決着!

1川井麻央が、最終戦で女王のプライドを見せつけた

ランキング上位4名までにチャンピオンの可能性があるという、まれにみる混戦模様のLMXクラス。ホールショットは#10箕浦未夢(TEAM ITOMO / ホンダ CRF150RⅡ)が奪い、前戦で優勝した#1川井麻央(T.E.SPORT / ホンダ CRF150)が2番手の位置からトップを狙う。後方ではランキング2番手の#2本田七海(bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド / ヤマハ YZ85LW)が他車と接触して転倒し、後方からの追い上げを強いられる。ランキングトップの#3久保まな(TEAM HAMMER / ホンダ CRF150R)は3番手、4番手に#4小野彩葉(T.E.SPORT / ホンダ CRF150RⅡ)が続く。久保はレース中盤に2番手にまで追い上げるが、6周目にマシントラブルが発生して失速。レース終盤、小野が箕浦をかわして2番手にまで上がる。
トップの川井はただ一人2分11秒台を記録して後続をぐんぐん引き離して今期2連勝を飾った。マシントラブルを抱えた久保は5位でチェッカーを受け、これにより川井と久保のポイント数は同じとなったが、入賞回数の差により久保がチャンピオンに輝いた。
「スタートから前に出られました。トップに上がってからはミスなく走ることを心がけました。もちろんチャンピオンは意識していましたが、そのためには優勝するしかないと思っていました。遅くなってしまったけど(自分の走りのレベルが)ここまで戻ってきて、本当に良かったと思っています」(川井選手)

エンジントラブルに見舞われるも、最後まで走り切りチャンピオンに輝いた#3久保まな

2022年の全日本モトクロス選手権 レディースクラスチャンピオンを決めた#3久保まな

「レース中盤までいい感じで走れていましたが、ギアの不調がありポジションを落としてしまいました。チャンピオンを逃したと思い、ラストラップは泣きながら走っていました。だからチャンピオンになれたと聞いて、本当に信じられませんでした。チャンピオンを取れるまで本当に長かったので、今はほっとしていますし、とてもうれしいです。成績が出なかった頃からずっと応援してくださっている人たちがいたので、ここまで頑張れました」(久保選手)

JX

#10吉田琉雲が6連勝でシーズンをしめくくる

今期圧倒的な速さでライバルを寄せ付けなかった#10吉田琉雲

#55高木碧(レーシングチーム鷹 / ヤマハ YZ85)がホールショットを奪う。だがいちばんインからスタートした#15箕浦来輝(TEAM ITOMO / ホンダ CRF150RⅡ)がすぐさま高木をかわすと、オープニングラップをトップで戻る。今季圧倒的な速さをみせている#10吉田琉雲(MX-build / ガスガス MC85)は、スタートは決して良くなかったが、2周目には早くも高木、そして箕浦をかわしてトップに浮上し、後続を一気に突き放す。
吉田の後方では箕浦と高木が接近戦を展開。さらにその後方からは#18遠西礼都(Y’s Racing / ヤマハ YZ85)が箕浦、高木の2番手争いに接近する。
吉田はレース序盤から独走状態を築き上げ、2位に12秒以上もの差をつけて圧巻の6連勝を決めた。
2位は高木の追撃をしのぎ切った箕浦。高木は最終ラップで転倒し、遠西が3位でチェッカーを受けた。

CX

ベストコンディションのコースを20人のキッズが快走

SUGO名物の特製グラスを掲げるキッズたち

今回のCXには20台がエントリー。練習で好タイムを記録していた#57菊地慶祝郎(バイカーズステーション金沢 with GAMMy RACING / ハスクバーナ TC50)が2位以下全員をラップするという圧倒的な走りを見せつけた。
2位は菊地と同じく2ストロークのマシンを駆る#24門間大和(MX build / ハスクバーナ TC50)。
4ストローク勢のトップは#1の酒井力斗(FK RACING / スズキ DR-Z50)で、総合では3位となった。
参加者全員には特製のメダルと、3位までに記念グラスが贈呈された。

2 コメント

  • 投稿日 2022.11.19 1:55 PM 0Likes
    アニキ

    CXの表彰者3位までがピルスナーグラスで4位以下は、もらえません。参加者全員には、記念メダルが贈呈されました。

  • 投稿日 2022.11.20 7:18 AM 0Likes
    sprgokumura

    アニキさんありがとうございます
    いただいたコメントをもとに調整いたしました!

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