7/30(日)、D.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ 2023 第5戦が北海道新千歳モーターランドで10年ぶりに開催

D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2023 第5戦が、2013年以来10年ぶりとなる北海道で開催された。会場となった新千歳モーターランドは火山灰を含んだ土質のサンドコース。レースごとに路面が荒れていき、ライダーたちはコースの攻略に苦戦を強いられた。また、天気は曇り時々雨。日差しの強さはなかったものの、湿度が高く、蒸し暑さがライダーの体力を奪っていった。
なお、今大会は全道モトクロス選手権第4戦と併催して行われ、IAクラス2つの他に、IO、NA、 NB、 JX、OP85、 K65、 CXクラスも開催された。
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D.I.D JMX 2023 R5 北海道大会 観戦情報

IA1

ジェイ・ウィルソンを抑えられるか。近づき離れるトップ争い

今大会の決勝は変則2ヒート制。ヒート1は後半までの体力を要する25分+1周、ヒート2はスタートからの瞬発力が鍵となる15分+1周と、異なるレースフォーマットへの対応力が総合優勝への鍵となった。また、今大会より第2戦で負傷した#2能塚智寛(Team Kawasaki R&D / カワサキ KX450-SR)と#5小方誠(TEAM HAMMER / ホンダ CRF450R)が復帰。表彰台に上る面々が固まってきたトップ争いに変化をもたらした。なお、トップランカー#3渡辺祐介(YAMAHA FACTORY RACING / ヤマハ YZ450FM)と#16町田旺郷(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM / ヤマハ YZ450FM)は怪我により欠場している。

予選では能塚が#27ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM / ヤマハ YZ450FM)に0.5秒ほど差をつけてトップをマーク。ついにウィルソンの連勝を止められるかと期待がかかった。ヒート1、ウィルソンがホールショットを獲得すると、2番手につけた能塚が相手のラインを抑える走りでトップに浮上。ウィルソンもすかさずトップを奪い返し、1周目から激しい攻防戦が繰り広げられた。2周目、リードを保っていたウィルソンが転倒し再び能塚がトップへ。ウィルソンは5番手にまで順位を落とし、追い上げを強いられた。能塚がレースをリードする中、2番手を走る#12道脇右京(TEAM KOHSAKA バイカーズステーション金沢 with CARVEK)に#1富田俊樹(YAMAHA FACTORY RACING / ヤマハ YZ450FM)、#8内田篤基(Yogibo マウンテンライダーズ / カワサキ KX450)、そして2周目の転倒から復帰したウィルソンが迫る。4人の2番手争いが拮抗する中、最初にウィルソンが抜け出すと、富田、内田が順に道脇をパス。さらに4周目にはウィルソンが能塚をかわしトップに浮上。その後は単独走行へと持ち込んでいった。レース中盤では富田も能塚をパスし2番手へ。能塚は迫りくる内田を抑えようというところで転倒し、リタイア。これにより内田が3番手に順位を上げた。内田は富田に迫るも距離を詰めきれず、結果は1位ウィルソン、2位富田、3位内田でチェッカー。

15分+1周の超スプリントレースとなるヒート2、ウィルソンがホールショットを獲得すると、続いて小方、#6大倉由揮(Honda Dream Racing Bells / ホンダ CRF450R)、能塚という順で1周目を通過。懸命に食らいついていく小方だが、ウィルソンは徐々にリードを拡大していく。レース中盤、2番手を走る小方を大倉がパス。さらに、5番手の富田が能塚をかわしてポジションを上げ、3番手の小方に迫っていく。徐々に差を詰めた富田はレース終盤で小方をパス。結果はウィルソン、大倉、富田でフィニッシュとなった。なお、今大会でウィルソンは13連勝目を記録した。

#27ジェイ・ウィルソン
「コースはかなり難しい路面でチャレンジングだったけど、日本に来た時からずっと走ってみたいと思っていたからレースができて嬉しかった。ただ、今回のレースはなぜか精神的に気分が上がらなくて、レース前になんとかやる気を高めて挑んだんだ。ヒート1では転倒もあったけど、結果的に2ヒートとも優勝できてよかったよ」

#1富田俊樹
「ジェイを攻略するために色々練習を重ねてきたんですけど、まだそこまでスキルアップできてなかったなと感じました。ヒート2ではスタートでかなり遅れてしまったんですけど、3位まで追い上げることができてよかったです。コースは思っていた以上に荒れていて、走りながらラインを見極めて、試行錯誤しながら乗っていましたね。次戦の名阪スポーツランドもサンドコースですが、地元なので次こそは勝ちます!」

#8内田篤基
「北海道はなかなか乗る機会がないコースだったので、2週間くらい乗り込んでレースに挑みました。ヒート1は1周目から前に出ることができて、2番手の富田選手にも追いついて最後に仕掛けるチャンスがあったんですけど、自分がミスをしてしまって離れてしまいました。ヒート2はスタートで出遅れて、荒れたコースをうまく攻略できずに終わってしまって悔しいです。次戦は普段乗り込んでいるコースで、去年IA1クラスに入ってから初めて表彰台に登れた場所でもあるので、しっかり準備していきます」

#6大倉由揮
「今回も調子は良かったんですけど、ヒート1は2回転倒しちゃって追い上げが苦しいレースでした。ヒート2はスタートで前に出れて、2番手に上がってからジェイさんが思ったより近くにいたので、焦らず自分の走りをしていたら差が縮まっていきました。ただ、そこでプッシュしようと頑張ってミスをして、差が離れてしまったので悔しいです。次戦は地元名阪なので、地元で勝てるように頑張ります」

IA2

横澤拓夢が有言実行、キャリア2度目の優勝獲得

IA2クラスではスペインから参戦している#58ビクトル・アロンソ(Auto Brothers / ヤマハ YZ250F)が第4戦までで6度の優勝を重ね、一段上の実力の高さを示している。しかし、前大会では#18池田凌(Yogibo マウンテンライダーズ / カワサキ KX250)が初優勝を飾るなど、これまで初優勝や初表彰台を獲得したライダーが多く、トップ争いは混戦を極めている。また、今大会にはベテランの#26勝谷武史(カワサキ KX250)がスポット参戦。若手とベテランの対決にも注目が集まった。

25分+1周で行われたヒート1、スタートで前に出た#3柳瀬大河(Bells Racing / ホンダ CRF250R)、#18池田凌(Yogibo マウンテンライダーズ / カワサキ KX250)、#13福村鎌(Team SBE / スズキ RM-Z250)、#9鴨田翔(Kawasaki PLAZA 東大阪 / カワサキ KX250)、ビクトルがトップ争いを繰り広げていく。1周目を終えた時点でビクトルがトップへ浮上。今大会に向けて地元スペインやフランスのサンドコースで練習をしてきたとのことで、その練習の成果を見事に発揮し単独走行へ持ち込んだ。一方、混戦となった2番手争いは柳瀬が抜け出し、3番手をかけて池田、鴨田、福村、そして後方から追い上げてきた勝谷の4人がバトルを展開した。ここでベテランの強さを見せたのが勝谷だ。鴨田と福村、池田をかわしていき3番手に浮上すると、その勢いのまま2番手を走る柳瀬を追撃。一時2秒差まで距離が詰まったが、勝谷のプレッシャーに耐えた柳瀬が徐々にリードを広げていった。レース終盤には1周目の転倒から追い上げてきた横澤が4番手に浮上し、勝谷との距離を詰めていく。ペースを上げた横澤が勝谷をかわし3番手に浮上。そのまま柳瀬との距離を詰めていくがタイムアップとなり、結果はビクトル、柳瀬、横澤という順でフィニッシュとなった。

ヒート2はスタートで前に出た鴨田を横澤が抜かし、1周目からトップを走行。15分+1周の超スプリントレースということで、序盤からペースを上げて後方との差を一気に広げていく。一方、ビクトルはスタートで出遅れ、追い上げの展開。4番手から3番手に上がるとレース中盤には2番手を走る鴨田をパス。この時点で横澤との差は約10秒であったが、周を重ねるごとに横澤との距離を詰めていく。結果、レースは横澤が逃げ切り勝利。2位にビクトル、3位には鴨田が入り、鴨田は2022年第2戦ぶりの表彰台を獲得した。なお、横澤は今季初優勝、自身のキャリアとしては2勝目となる。ヒート1の表彰台で「ヒート2は表彰台の一番高いところで黒ラベル飲みます!」と宣言した通り、見事有言実行の優勝を果たした。

#58ビクトル・アロンソ
「コースが荒れてかなりタフだったね。特にヒート2はスタートで出遅れてしまって、追い上げるのにかなり苦労したよ。なんとか2位まで追い上げることができてよかった。優勝した横澤選手は予選から僕よりタイムが速くて、その速さはわかっていたんだ。今回は負けてしまったけど、次のレースでは勝てるように練習を重ねていくよ」

#5横澤拓夢
「ずっとスタートから逃げ切るレース展開をしたかったんですけど、これまでスタートが上手くいかず苦戦していました。ビクトルの速さはわかっていたので、ヒート2でトップに立ってからはもう何も考えず、全開で走りました。僕は岩手県出身で、北海道と同じようにオフシーズンは雪が降ります。他の地方と比べて乗り込める機会が少なくて大変だと思いますが、そんなの関係なくて。頑張っていればこうやって優勝できるので、北海道のキッズライダーたちも練習を頑張ってくれたら嬉しいです」

#3柳瀬大河
「ヒート1は1周目でビクトル選手に抜かれて、後半は横澤選手も後ろから迫ってきてて、2人と比べるとペースがそこまでよくなかったですね。それでも、ちゃんと2位を守り切れてよかったなと思います。前回までのレースがひどかったので、今回2位になれてひとまずホッとしてますね。ただ、ヒート2はスタート出遅れて追い上げ切れず、両ヒート上位でまとめることができなかったので、次戦の名阪ではしっかりまとめていきたいです」

#9鴨田翔
「去年の第2戦で初めて表彰台を獲得してからなかなか歯車が合わなくて、表彰台にも乗れなくて、すごい悔しい時間を過ごしました。今回3位になれたことをきっかけに、2位、そして優勝と順位を上げていけるように、後半戦も頑張ります」

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次戦は9/9(土)-10(日)、奈良県にある名阪スポーツランドで開催される。今シーズンも折り返し、後半戦がスタート。年間チャンピオン獲得に向けて、ライダーの気がさらに引き締まる大事な1戦となるだろう。熾烈を極めるトップ争いの行方をぜひ会場で目にしてほしい。



D.I.D JMX 2023 R6 近畿大会 観戦情報

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