第3戦から2週間のインターバルを経た2023年6月24日(土)〜25日(日)、D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2023 第4戦 中国大会 TOHO Racing CUPが開催される。会場は広島県にある世羅グリーンパーク弘楽園で、開催は2年ぶりとなる。路面はハードパックで比較的滑りやすく、アップダウンの激しいコースレイアウトが特徴。滑りやすい路面でマシンをコントロールするテクニックやコースに対応する体力が求められ、ライダーにとってはタフなコースと言えるだろう。また、「ラムソンジャンプ」と呼ばれる、20m超えのビッグジャンプはこのコースの名物となっており、ライダーたちが勢いよく飛んでいくその迫力は観戦ポイントの一つでもある。

なお、今大会はIA1とIA2クラスのレースは30分+1周の2ヒート制で行われる。馴染みのあるフォーマットではあるが、IA1のライダーたちにとっては今季初となる。また、レディースクラスは15分+1周の2ヒート制で行われ、勝利を掴むチャンスが2回になる。前大会に続き、2st125クラスも併催されるということで、高く鳴り響く2ストロークのエンジン音も楽しみだ。

D.I.D JMX 2023 R4 中国大会 TOHO RACING Cup 観戦情報

IA1

ウィルソンの逃げ切りを阻止できるか

これまで15分+1周の3ヒート制で行われてきたIA1クラスだが、第4戦は30分+1周の2ヒート制でレースが行われる。IA1としては今季初のフォーマットであり、スピードとレース後半での体力が求められる。これまでの15分+1周はレース時間が短い分、スタートからいかに後続を引き離していくかが求められたが、30分+1周は体力やレースの組み立て方も勝負の鍵となってくる。各ライダーがどのような作戦でライバルを倒しにかかるのか、これまでとは違うレース展開が期待できるだろう。

#27ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM / ヤマハ YZ450FM)は、ここまで負けなしの9連勝中と、依然として圧倒的な存在感を示している。一方、第3戦でウィルソンに引けを取らない走りを見せていたのが、#1富田俊樹(YAMAHA FACTORY RACING / ヤマハ YZ450FM)。スタートで出遅れたウィルソンを抑え、順位が入れ替わった後も横並びになってトップを狙う走りを見せた。レースを振り返った富田は「ウィルソンと一緒に走ることで成長できているのですが、本当は勝ちたいです」と悔しさも滲ませており、第4戦でも両者のトップ争いに注目が集まる。

また、前戦で安定して表彰台に登っていたのが#4大城魁之輔(Honda Dream Racing Bells / CRF450R)、#6大倉由揮(Honda Dream Racing Bells / ホンダ CRF450R)、#8内田篤基(Yogibo マウンテンライダーズ / カワサキ KX450)の3人だ。内田は表彰台常連ともいえる安定感を見せつつ、第3戦では富田と激しい2番手争いを展開するなどレースを重ねるたびに勢いを増している。また、大倉は第3戦で内田と富田と2番手争いを展開する中、冷静にラインを見極めて待望の今季初表彰台を獲得。この冷静な判断力は第4戦でも発揮されるだろう。なお、大城は2021年の中国大会にIA2クラスで参戦しており、両ヒートとも1位という結果を残している。今季はマシンも環境も変わるが、着実に実力を高めている大城の走りも見逃せない。

IA2

拮抗する表彰台争いに目が離せない

第2戦、第3戦と続き、第4戦も30分+1周でレースが行われる。一際存在感のある#58ビクトル・アロンソ(Auto Brothers / ヤマハ YZ250F)は第2戦から連勝を重ねており、前大会ではスタートで出遅れても着実にトップに立つ速さを見せつけた。第4戦の舞台となる世羅グリーンパーク弘楽園は、アロンソのホームであるスペインのコースと似て硬い路面が特徴的。得意なコンディションでさらに周りを引き離していくのか、注目していきたい。

また、表彰台の顔ぶれはヒート毎に変わり、接戦が続いている。第3戦のヒート1では、#4中島漱也(bLU cRUレーシングチーム鷹 / ヤマハ YZ250F)が中盤までトップを守り存在感を示す。惜しくも優勝は逃したものの、次戦もトップ争いを展開してくれるはず。また、ヒート2では#8西條悠人(ピュアテックレーシング / カワサキ KX250)がスタートから上位を走り続けた。西条は前大会の予選から決勝、全てのヒートでホールショットを獲得しており、レース後には「開幕戦の時の感覚を取り戻せた」と話し、次戦に向けてさらに調子を整えてくるだろう。

他にも、アロンソと接戦を繰り広げた#5横澤拓夢(TKM motor sports いわて / ホンダ CRF250R)や、前戦で初表彰台を獲得した#20佐野雄太(ジュニアライダース・フリーダムナナ /  カワサキ KX250)が次戦でどう出てくるか、注目が集まる。

LMX

2ヒート制の行方は

第3戦では#2川井麻央(T.E.SPORT / ホンダ CRF150RⅡ)が#4本田七海(bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド / ヤマハ YZ85LW)からのプレッシャーを跳ねのけ見事優勝。第2戦で表彰台に登れなかった悔しさを晴らした。一方、本田は川井とのトップ争いを制することはできなかったものの2位を獲得。表彰台に戻ってきた2人がこれからどんな走りを見せるか期待が高まる。

また、毎戦若手ライダーが初表彰台を飾っているという点も注目すべきポイントだ。第3戦では#7川上真花(bLU cRU YSP大阪箕面 / ヤマハ YZ85LW)が自身初の3位を獲得。前を走るライダーを猛追する負けん気の強さは、次戦でも生かされてくるだろう。また、序盤に3番手を走った#8瀬尾柚姫(TEAM HAMMER / ホンダ CRF150RⅡ)や、転倒によって最後尾から6位まで追い上げた#9箕浦未夢(TEAM ITOMO / ホンダ CRF150RⅡ)の勢いは目を見張るものがあり、トップライダーとしての安定感も感じられる。さらに、第2戦で初優勝を獲得した#17 濱村いぶき(T.E.SPORT / ホンダ CRF150RⅡ)はマシントラブルで結果を残すことができなかったが、第4戦に向けて準備を整えてきていることは間違い無いだろう。

なお、これまで1ヒート制で勝負をしてきたレディースクラスだが、第4戦は15分+1周の2ヒート制で行われる。2021年の中国大会も2ヒート制で行われており、当時を遡ると本田がヒート1を2位、ヒート2を1位でまとめ、総合優勝を果たしている。今大会は誰が総合優勝を果たすのか、注目していきたい。

IB OPEN

勝利への執念を実らせるのは誰か

IAクラスに昇格するための登竜門となるIB OPENクラスは、地方選手権を勝ち進んできたライダーが集まりIAクラス昇格への枠を競い合う。これまで#53住友睦巳(bLUcRUフライングドルフィンサイセイ / ヤマハ YZ250F)が4勝をあげており、ポイントランキングを見ても頭一つ抜きん出る存在となっている。一方、第3戦のヒート1では#9鈴村絆(バイカーズステーション金沢レーシング with MOTUL / ホンダ CRF250R)が優勝を獲得。さらに、ヒート2では#34村岡仁(bLUcRU チームピットイン / ヤマハ YZ250F)が住友を抜き一時トップに躍り出るなど、まだまだトップ争いは拮抗している。また、現在ポイントランキング2位につける#63藤井武(TEAM HAMMER / ホンダ CRF250R)は、3位を獲得したものの悔しさを滲ませるレースとなった。次戦は誰が勝利を掴むのか、彼らの熱き戦いはまだまだ目が離せない。

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