6月22日(土)〜23日(日)、D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2024第5戦北海道大会が新千歳モーターランドで開催された。全日本選手権シリーズとしてはIAクラスのみ行われ、昨年と同様全道モトクロス選手権が併催された。また、スケジュールとしては土曜日にスポーツ走行、日曜日にタイムアタック予選と決勝レースが行われた。当日の天気は曇りで、コースはドライコンディション。砂埃が立たないようレース間で散水をしながらレースが進んでいった

D.I.D全日本モトクロス選手権第5戦北海道大会
日時:2024年6月22日(土)〜23日(日)
会場:新千歳モーターランド(北海道)
天気:曇り
総入場者数:2208名

IA1

混戦の上位争い、ビクトル・アロンソが初優勝を獲得

IA1クラスは30分+1周の2ヒート制で行われた。タイムアタック予選では#7能塚智寛(Team Kawasaki R&D/カワサキ KX450-SR)がクラス内唯一の1分39秒台を記録しトップで通過。2番手に#33ビクトル・アロンソ(AutoBrothers GASGAS JAPAN/GASGAS MC450F)、3番手に#1ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM/ヤマハ YZ450FM)と続き、決勝では混戦が予想された。

ヒート1、スタートで前に飛び出したのはウィルソン。それに#4内⽥篤基(Yogibo MOUNTAIN RIDERS/カワサキ KX450)、#5⼤城魁之輔(YSP浜松 with BABANASHOX/ヤマハ YZ450F)、能塚が続いていく。一方、第2コーナーでは数台が絡んだクラッシュが発生し、ビクトルや#41横⼭遥希(HONDA Dream Racing LG/ホンダ CRF450R)らが最後方近くからの追い上げを強いられた。トップを走るウィルソンは序盤から差を広げていき、独走状態へ持ち込んでいく。その後ろでは内田、大城、能塚による2番手争いが拮抗し、6周目に能塚が大城をパスして3番手に浮上。そのままの勢いで内田を抜き去り、ポジションを2番手に上げる。一方大城も徐々に内田との差を詰めていき、レース中盤で3番手に浮上。内田も追い上げを試みるが、直後に転倒し順位を落とすこととなった。大城はその後も追い上げていきレース後半に能塚を捉えていく。熾烈な2番手争いが繰り広げられる中、能塚が転倒。リスタートに時間がかかり戦線離脱となった。結果は、安定した走りで独走状態を維持したウィルソンがトップでフィニッシュを果たした。2位には大城が入り、チーム移籍後初の表彰台を獲得。3位には着実に追い上げ続けた#6⼤塚豪太(T.E.SPORT/ホンダ CRF450R)が入賞した。

ヒート2では一度スタートしたものの、反応しなかったスターティングマシンがあったということで赤旗が振られ、レースは再スタートとなる。仕切り直しとなったスタートでホールショットを獲ったのは横山。しかし同じく好スタートを決めたビクトルが第3コーナーで先頭に躍り出る。なお、ウィルソンはスタートで出遅れ4番手からトップを追いかけていく展開となった。レースが3周を過ぎるころ、ビクトル、能塚、横山、ウィルソンの順でトップグループが形成されていく。ビクトルがリードを広げる中、能塚に横山が迫り激しい2番手争いを繰り広げる。一方4番手を走行していたウィルソンは転倒し、上位3名との差が15秒近く開くこととなった。レース後半、ビクトルは2番手との差をさらに広げて単独走行へと持ち込んでいく。一方、2番手争いはさらに接戦となっていく。横山が能塚にアタックを繰り返し一時2番手の座を奪うも、直後に転倒しコースアウト。即座に復帰するがその差は10秒近くに開いていた。結果、最後までミスなく逃げ切ったビクトルが自身初優勝を飾り、2位は能塚、3位には横山、4位にウィルソンという結果となった。

#1ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM/ヤマハ YZ450FM)

「ヒート1はスタートから前に出れて、スピードや気持ちのコントロールなど全てがスムーズにいったと思う。全体的に落ち着いてレースができてとても嬉しかった。ヒート2については、赤旗が出る前はホールショットから良いペースで走れていた時に再スタートになった。そこで改めて集中力を高めることに苦戦してしまい、スタートで出遅れてしまった。4番手から追い上げていく中でも前のライダーを抜かそうと意識が早まっていたと思う。ジャンプの飛び出しでリヤタイヤが跳ね上がってクラッシュしてしまって、その後はもう体力が残っていない状況で、4番手を維持することに精一杯だった。悔しい結果となったけど、次戦までのインターバルで気持ちをリセットして、後半戦に挑んでいくよ」

#33ビクトル・アロンソ(AutoBrothers GASGAS JAPAN/GASGAS MC450F)

「ヒート1はスタート直後に転倒して、正直フラストレーションを感じながら走っていたよ。それでも自分のペースを掴んで最後尾から5位にまで追い上げることができてよかった。ヒート2でもスタート直後に転倒してしまったけど、赤旗が振られて仕切り直しになってラッキーだったと思う。2回目のスタートでは最初から前に出れて、最後までうまくレースを運ぶことができた。優勝することができて嬉しい。いつもサポートしてくれている父親やチーム、ファンのみんなに感謝を伝えたい」

#5⼤城魁之輔(YSP浜松 with BABANASHOX/ヤマハ YZ450F)

「今季からマシンを乗り換えて、チームもYSP浜松 with BABANASHOXに変わって、ライディングとマシンセッティングについては開幕前からチームやスポンサーの方々にたくさんサポートしてもらってきました。第4戦まで結果がうまく残せず本当に申し訳ないと思っていたので、今回表彰台に立つことができて、チーム環境の良さなどを形として示すことができたのかなと思います。嬉しいですし、ホッとしました。前半戦の締めくくりとしてはよかったです。ただ、ヒート2も表彰台に登りたかったのですが、結果登ることができなかったので、シーズン後半に向けて引き続きチームと改善点を話し合って、マシンもライダーももっとレベルアップしていきたいと思います」

IA2

最後の一瞬まで目が離せない、2ヒートに渡る横澤と中島の逆転劇

IA2クラスは30分+1周の2ヒート制で行われた。ヒート1、#3中島漱也(bLU cRU レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ250F)がホールショットを獲得すると、続いて#22阿部晴基(Team Pitin With M:F/ヤマハ YZ250F)、#2横澤拓夢(TKM motor sports いわて/ホンダ CRF250R)、#05石平凌大(bLU cRU YSP浜松 with BABANASHOX/ヤマハ YZ250F)が続く。オープニングラップの接近戦の中、第6コーナーで横澤が2番手へ浮上。石平は転倒しポジションを落とすこととなった。レース前半、トップ争いは中島と横澤の接戦となり、その後方に#6柳瀬⼤河(TKM motor sport いわて/ホンダ CRF250R)、さらに後方では#01住友睦⺒(bLUcRUフライングドルフィンサイセイ/ヤマハ YZ250F)と#9⻄條悠⼈(Kawasaki PURE TECH Racing/カワサキ KX250)が4番手争いを繰り広げていく。レース中盤、横澤が中島との2秒差をじわじわと詰めていき、アタックを仕掛けていく。14コーナーで中島を抜きにかかるが、自身のミスによりコースアウトしてしまう。順位は落とさなかったものの大きなタイムロスとなり、中島の先行を許すこととなった。一方、4番手争いも激しく、西條が住友をロックオンすると14周目に順位が入れ替わる。レース終盤に近づき残り時間が僅かとなる中、トップ争いが再び激化。最終ラップには第4コーナー直後のジャンプセクションで横澤が中島をパスしトップへと躍り出る。中島は最後まで食らいつき、アタックを仕掛けていくが横澤が逃げ切りフィニッシュ。自身5連勝目を飾った。2位には中島、3位には柳瀬が入賞を果たした。

レースを重ねるごとにコースが荒れ、ギャップが多くなるヒート2。中島がヒート1と同様ホールショットを奪うも、横澤と#10⽥中淳也(bLU cRU YSP浜松BOSS RACING/ヤマハ YZ250F)が前へと飛び出し、横澤、田中、中島という順位でオープニングラップを通過する。序盤から横澤と田中が激しいトップ争いを繰り広げ、その背後では中島が様子を見るかのように2人を追いかける展開となった。この時点で4番手との差は10秒近く開いており、トップ3台が大きくリードしていく。レース中盤、田中が横澤にアタックを繰り返し、激しい攻防戦が繰り広げられる中、そのバトルの隙を突いた中島が田中をかわして2番手に浮上。田中は食らいついていくも16周目にミスをしトップ争いから脱落してしまう。これによりトップ争いは横澤と中島の一騎打ちになっていく。中島が仕掛け、横澤が守る。最後まで接戦が続く中、ラストラップの第10コーナーで中島が横澤をパス。そのままトップを守り切りゴールし、ヒート1での雪辱を果たした。2位は横澤、3位には田中という順位でフィニッシュ。

#3中島漱也(bLU cRU レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ250F) 

「ヒート1はスタートからレースをリードしていたんですけど、ラスト2周くらいのところで抜かれてしまいました。僕の後ろに拓夢君がついた時にライン見られるなというのは感じていて、パスされてからも逃げ切られてしまい、彼が望む展開になってしまったなと思います。本当に悔しかったです。第4戦でも同じようにヒート1で悔しい思いをして、ヒート2で勝ち急いでしまったためにリタイヤという結果になったので、今回はその反省を生かして気持ちを落ち着けて挑みました。ヒート2では序盤3番手で後方からトップの走りを見れる立場になったので、前半はあまり無理することなく走りました。残り5分というところでスイッチが入って、ラストスパートをかけてトップに立つことができました。ヒート1から気持ちを切り替えて走れたことと、追い上げる中でパッシングポイントを見つけられたことが優勝に繋がったかなと思います。拓夢君は越えないといけない壁だと思っているので、次戦も優勝狙います」

#2横澤拓夢(TKM motor sports いわて/ホンダ CRF250R)

「ヒート1は冷静に、体力面や抜けるポイントはどこかを考えながら走っていました。漱也のミスも見えましたが、僕自身もミスしてしまって、でも絶対に勝つという強い気持ちで走り切りました。その結果ラスト2周でトップに立つことができてよかったです。ヒート2は逆の立場で、後ろ2人のプレッシャーを感じて、体力面も精神的にもきつかったです。でもここで勝てば強い! と自分に言い聞かせて走っていたのですが、最後に抜かれて2位に終わってしまいました。今はヒート1の嬉しい気持ちとヒート2の悔しい気持ちが混ざっています。もちろん悔しいですけど、できることはやったし、気が引き締まりました。負けてよかったとは思いませんが、自分が強くなるためには必要な経験だったと思います。次戦は気持ちを切り替えて、また面白いレースができるように頑張っていきます」

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近畿大会

次戦は9月14日(土)〜15日(日)、奈良県にある名阪スポーツランドで開催される。約3ヶ月ほどのインターバルで各ライダーはさらに実力を高めてくるはず。シーズン後半戦、さらに加速するバトルをぜひ現地で体感してほしい。

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