D.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ 2022第1戦 HSR九州大会 詳細レースリポート

2022年D.I.D.全日本モトクロス選手権シリーズが開幕しました。開幕戦の舞台となったのは熊本県のHSR九州。レースが行われた4月9日(土)~10日(日)は初夏のような陽気に恵まれ、コースコンディションも良好。両日とも多くのファンがコースに詰め掛けて、各クラスで繰り広げられた熱戦に熱い声援を送っていました。



IA1

Heat1 : 好スタートを切った富田が落ち着いたレース運びで勝利

IA1 Heat1 スタート

#2富田俊樹(ヤマハ・YAMAHA FACTORY RACINGTEAM)がホールショットを決め、序盤からレースをリードします。後続の2位集団から抜け出した#3能塚智寛(カワサキ・Team Kawasaki R&D)が2位に浮上すると、ハイペースで富田に接近。2台は完全に横並び状態となり、2周目の13番ポストでついに能塚がトップを奪います。しかし能塚は次の周の15番ポストで単独転倒して首位を富田に明け渡し、6位にまで順位を下げてしまいました。この間2位に浮上したのは富田のチームメイト#4渡辺祐介で、3位には2021年度IA-2チャンピオンの#22大城 魁之輔(ホンダ・Honda Dream Racing Bells)が続きます。大城のチームメイトの#23大倉由揮が4位を走りますが、後方から猛然と追い上げてきた能塚と接触し、これにより能塚が再び転倒してしまいました。その翌周には大倉も転倒して順位を大きく下げてしまう結果に。トップの富田はレース終盤まで安定したタイムを刻むと、ラストラップでは2位渡辺との差をさらに広げて開幕戦勝利を飾りました。「能塚選手のペースが良くて少し焦って、若干乱れかけたりもしましたが、いい結果を残せました。 シーズンオフに取り組んでいたスタート練習の成果が出ましたね」(富田選手)

Heat2 : 堂々たる走りでライバルを下した富田

喜びの富田選手

ホールショットを奪ったのは、#25内田篤基(カワサキ・マウンテンライダーズ)。2番手には#8星野優位(ヤマハ・bLU cRU Racing Team TAKA/STAR racing 166)と、プライベーター勢が序盤から気を吐きます。しかし富田がすかさず2位に上がると、負けじと能塚も3位に上がり、富田をかわして内田に肉薄します。能塚は3周目の9番ポストでトップに浮上し、富田もペースをアップすると、13番ポストで内田をかわして2位に浮上します。3位の位置で前方をうかがう内田でしたが、4周目に残念ながら転倒でリタイヤとなりました。富田は2位の位置で虎視眈々とトップを狙い、8周目に首位を奪ってからは能塚との差を一気に開きます。上位2名の後方では3位争いが激化しており、レース終盤、3位を走っていた#5小方誠(ホンダ・TEAM HAMMER)の背後に#23大倉が接近します。小方も負けじと引き離しにかかりますが、11周目に大倉が転倒してバトルは終止符を打ちました。レースが終盤になると全体的なラップタイムが落ちてきましたが、そんな中富田はハイペースを維持して2位の能塚との差をさらに開き、見事開幕戦をダブルウィンで決めました。「ラインを見極めて冷静な走りが出来ました。完璧な勝利でしたね」と富田はレースを振り返っています。

IA2

Heat1 : 昨年のSUGOで鮮烈な走りを見せたジェイ・ウィルソンが圧巻の走りを披露

ジェイ・ウィルソン

主に4ストローク250ccのマシンで競われるIA2クラス。今回15分+1周の3ヒート制となります。ヒート1では#17小川孝平(ヤマハ・Team ITOMO)がホールショットを決めますが、4番ポストで早くも優勝大本命のジェイ・ウィルソン(ヤマハ・YAMAHA FACTORY RACING TEAM)がトップに浮上します。#18福村鎌(スズキ・Team SBE)が序盤の混戦を抜け出して2位に浮上しますが2周目に転倒してしまい、小川が再び2位へと浮上。3位には#22鈴村英喜(ホンダ・TEAM HAMMER)、4位は今期よりIAに昇格した#05田中淳也(ヤマハ・bLU cRU YSP浜松BOSS RACING)が続きます。その後方、5位の#5中島漱也(ヤマハ・bLU cRU レーシングチーム鷹)は4周目に田中をパスして、鈴村をプッシュ。6周目には鈴村をパスして3位にポジションを上げました。ジェイ・ウィルソンは下馬評通りの速さで2位以下を順調に引き離すと、2位の小川に5秒差をつけて快勝。2位は小川、3位に中島が入り、ヤマハ勢が表彰台を独占しまし

Heat2 : ウィルソンが連勝を決めるが、2位小川の走りも光る

スタートで飛び出した#17小川と#10柳瀬大河(ホンダ・Bells Racing)が横並びで1コーナーを立ち上がりますが、その2台の背後につけた#16ジェイ・ウィルソンは、ホンダビッグジャンプから4番ポストにかけて圧倒的な速度で一気にトップを奪取します。4位には#9鈴村英喜(ホンダ・TEAM HAMMER)、#5中島が5位で1周目を終えました。ヒート1同様、このままウィルソンが独走状態を築くかと思われましたが、小川もウィルソンとそん色ない2分13秒台のタイムで必至に追撃します。その後方では3周目にコースアウトしてしまった鈴村を中島がパスし、3位の柳瀬との距離をジワジワと詰め始めました。先行するウィルソンに必至で食らいつく小川でしたが、その差はついに縮まることはなく、ウィルソンの2連勝でレースは終了し、2位は小川、3位はラストラップの5コーナーで柳瀬をパスした中島が入り、ヒート1と同じくヤマハがトップ3を独占する結果となりました。

Heat3 : 3ヒートとも顔ぶれ、順位が同じとなった

3回目の同順位表彰台

#18福村鎌(スズキ・Team SBE)がホールショットを決め、2位にはやはりスズキの#23眞野凌輔(スズキ・オートスポーツ清水)が続きます。しかし5コーナーで#16ウィルソンが一気に2台をパスすると、ヒート1、2同様圧倒的なスピードで後続を引き離しにかかります。#5中島も福村、眞野をかわして2位に上がり、#17小川も2周目に3位へとポジションを上げ、トップ3はヒート1、2と同じ顔ぶれとなりました。レースが中盤に差し掛かると小川は2位の中島との差をさらに詰め、5周目の9番ポストで2位を奪います。中島もすぐさま小川の前に出ますが、14番ポストで再び小川が2位に浮上。その間にもウィルソンはペースを緩めず、開幕トリプルクラウンという圧倒的な速さを見せつけました。後方では小川が中島の追撃をかわして2位でチェッカー。3ヒートとも同じ顔ぶれが同じ順位で並ぶという、ヤマハとしてはこれ以上ない好結果のレースとなりました。「第2ヒートは小川のプレッシャーを感じましたが、第1、第3ヒートはレースをコントロールすることが出来ました。ヤマハにとっても自分にとってもいいスタートが切れましたね」(ジェイ・ウィルソン)

IBOPEN

Heat1 : 有山が念願の優勝をもぎ取った

次世代のスターを目指すライダーらによって競われるIBオープンクラスは、20分+1周2ヒート制で、第1ヒートは土曜日に行われました。スタート直後の1周目から積極的に前に出たのは#1有山大輝(ヤマハ・レーシングチーム鷹)で、その直後に#23千葉蓮希(ホンダ・T.E.SPORT)、3位に#2平塚豪(カワサキ・城北ライダースwith634MX)が続きます。2周目には3位の平塚が千葉をとらえて2位に浮上し、1位から3位の差はほぼ等間隔といったところでレースは推移します。首位を走る有山は終始落ち着いた走りで後続との差をキープし、念願の優勝を飾りました。後方では2位争いが激化し、レース中盤にはペースの上がらない平塚を、一時は3位に下がっていた千葉が猛然とプッシュ。8周目には千葉が再び2位に浮上してチェッカーを受けました。4位には#50西村明倫(カワサキ・With T-factor)、5位は#13西岡蒼志(ヤマハ・讃岐白馬会with NEUTRAL)が続きました。「スタートも気まり、1位に上がってからも冷静に走ることができました。大きなミスが無かったのも勝てた要因だと思います」と有山選手は振り返りました。

Heat2 : 完璧なレース運びを見せた西村明倫が勝利

1コーナーに先頭で飛び込んで行ったのは#9溝口寿希也(カワサキ・With T-factor)でしたが、やはり絶妙なスタートを決めた#50西村がすぐさまトップを奪いとり、その後方では#6阿部仁(ヤマハ・Y’s Racing)が溝口をとらえて2位に浮上します。3位には#23千葉が続きました。トップと2位は等間隔で周回を重ねますが、その後方で展開される3位集団のバトルから、やがて#13西岡が抜け出して2位の阿部の背後へと急接近します。その間トップの西村は安定したペースで順調にラップを重ねると、2位に7秒以上の大きな差をつけてトップでゴール。その後方で展開される2位争いは、最終ラップの西セクションで阿部をパスした西岡に軍配が上がりました。

LMX

王者川井をチームメイトの小野が下した

ホールショットから快走の小野彩葉

ホールショットを決めたのは#4小野彩葉(ホンダ・T.E.SPORT)。2位に#19瀬尾柚姫(スズキ・Team SBE)がつけ、3位に昨年のチャンピオン、川井麻央(ホンダ・T.E.SPORT)が続きます。川井は8番ポストで瀬尾を抜き去ると、小野の背後に一気に迫り、ここからチームメイト同士の激しいバトルが始まりました。3周目の8番ポストでは、川井は先行する小野をアウトラインから速い速度でパスしにかかりますが、なんと川井は足元をすくわれてしまいスリップダウン。この転倒で小野は単独トップとなり、2位に#3久保まな(ホンダ・TEAM HAMMER)、3位には#5楠本菜月(ハスクバーナ・actionracing with alpinestars)が浮上しました。小野は独走状態となってもペースを落とさず、5周目にはベストタイムを記録するなど、圧倒的な速さを見せて優勝を飾りました。「(川井選手に)前に出られても動揺せず、終始レースをコントロールできました。シーズンオフは今まで以上にトレーニングを重ね。身体づくりもしっかりできたので、同時にメンタル面でも強くなれたと思います」(小野)。なお転倒によって大きく順位を落とした川井は一時は11位にまで下がりましたが、、コース復帰後は猛然と追い上げ、4位でチェッカーを受けています。

JX

独走状態を築いた高木碧が優勝を飾る

#55高木碧

絶妙なスタートでホールショットを決めたのは、予選ヒート4位の#58名島玖龍(ホンダ・Kazu Racing Project)。その直後につけた#10吉田琉雲(GASGAS・MX-build)がすぐさま名島をパスしてトップへと浮上し、#15箕浦来輝(ホンダ)も名島をかわして吉田を追いますが、2周目に転倒して順位を大きく落としてしまいました。かわって2位に上がったのが#55高木碧(ヤマハ・レーシングチーム鷹)で、#311大石義人(ヤマハ・grip&D.I.D 松下ウィンドウ)が3位に浮上します。#10吉田は序盤から後続を引き離しますが、レース中盤にエンジントラブルが発生し、スピードが極端に落ちてしまいました。1位と2位との距離が急激に縮まると、高木、大石に立て続けにパスされ、順位を大きく落とすことになりました。トップに浮上した高木は独走状態と築き上げ、2位の大石に11秒以上の差をつけてトップでチェッカーを受けました。名島とのバトルを制した3位の#191瀬尾柚姫(スズキ・Team SBE)は、今大会はLMXとのダブルエントリーです。

CX

電動バイクを駆る矢木杏奈が圧倒的スピードを発揮

小学校3年生以下のライダーたちによるチャイルドクロスは、今回は18台がエントリーしています。マシンは各メーカーの50㏄が中心ですが、昨年より電動バイクの参戦も認められ、今回もハスクバーナEE5がエントリーしています。絶妙なスタートを決めたのは#94阿部哲昇(スズキ・マウンテンライダーズクラブ)で、電動バイクのEE5に乗る#82矢木杏奈(ハスクバーナ・FMT’sヒラタ自動車@ハスクバーナ)、#39和田優馬(スズキ・TKSレーシング)も阿部に喰らいつき、この3台がレースをリードしていきます。トップ阿部、2番手和田、3番手は矢木という順で1周目を終え、2周目には矢木が和田、阿部をとらえてトップへと浮上します。スタートでやや出遅れた#72森近那津(スズキ・あまくちレーシング)も和田をかわしました。トップの矢木はハイペースを維持して後続との差を築きますが、その後方では森近が阿部をとらえて2番手に浮上し、トップ矢木の追撃を開始します。このまま首位バトルに突入かと思われた矢先、後方で発生したクラッシュでレースは赤旗中断となり、1位矢木、2位森近、3位阿部という順でレースは終了しました。

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