第3戦から約1ヶ月ほどのインターバルが開いた6月14〜15日、D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2025第4戦中国大会が、広島県にある世羅グリーンパーク弘楽園にて行われる。

同会場で全日本モトクロス選手権が開催されるのは2023年以来2年ぶりとなる。開催クラスは4つの公認クラス、IA1・IA2・レディース・IB OPENに加え、承認クラスとなるチャイルドクロス(CX)と2st125クラスが併催される。土曜日にチャイルドクロス以外の予選とIB OPENの決勝ヒート1、2st125の決勝レースが行われ、日曜日に公認クラスとチャイルドクラスの決勝が開催されるスケジュールのため、両日とも訪れる価値のある日程となっている。

世羅グリーンパーク弘楽園は、中国山地の世羅高原に位置しているコースで、地形を活かしたアップダウンの激しいレイアウトをはじめ、ハードパックな路面や、リズムセクションの多さが特徴だ。滑りやすい路面でのマシンコントロールや、スピードを落とさずに各セクションを攻略できるかといったライダーの技量が試される。また、「ラムソンジャンプ」と呼ばれる20m超えのジャンプセクションは同コースの名物であり、観戦ポイントの一つ。観客席の目の前にあるため、ライダーたちの迫力あるジャンプをぜひ間近で見てほしい。

IA1

迫る横山、抑えるジェイ・ウィルソン。トップ争いの行方に注目

第3戦のIA1クラスを振り返ると、3ヒートあるうちヒート1とヒート3で#1ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY RACING TEAM/ヤマハ YZ450FM)が優勝を獲得。後方を寄せ付けない速さで圧勝した。だが、ヒート2ではスタートで出遅れ、追い上げるも5位でフィニッシュ。開幕戦から続いた連勝記録はここでストップした。しかし、レース後のインタビューでウィルソンは「表彰台に登ることはできなかったけど、他のライダーよりも速いラップタイムで走ることができて、自分にとってはポジティブな結果として捉えている」とコメントし、メンタル面が安定していることがうかがえる。ポイントランキングもトップを維持しており、第4戦でもポイントリーダーとしてレースをリードしていけるのか注目したい。

一方、第3戦ヒート2で今季初優勝を獲得したのが#2横⼭遥希(Honda Dream Racing LG/ホンダ CRF450R)だ。スタートで前に飛び出す反応の良さや、後方から迫るライバルたちを抑えるスピードは、他の日本人ライダーと比べて頭一つ抜きん出ている。これまでウィルソンとトップ争いをしてきた横山だが、第3戦について「ブロックしきれず抜かれてしまい、そこからまた攻めたのですが、上手くいかず転倒してしまって、とても悔しいです。自分の殻を破るまであと少しですね」とヒート3で繰り広げたウィルソンとのバトルに悔しさを滲ませた。第3戦から第4戦までのインターバル期間では拠点のオーストラリアに戻り、オーストラリアモトクロス選手権に出場。さらにレース経験を積んだ横山がトップ争いをどう展開していくのか、今回も見逃せない。

また、第3戦ヒート2でトップを走る横山に迫った#4大倉由揮(Honda Dream Racing Bells/ホンダ CRF450R)や、好スタートを決めて上位争いを繰り広げた#5能塚智寛(Team Kawasaki R&D/カワサキ KX450-SR)などの活躍も著しく、彼らによる表彰台争いも目が離せない。

IA2

ブライアン・シュー参戦、中島・田中らのトップ争い

IA2クラスは第3戦で#4田中淳也(YAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松/ヤマハ YZ250F)が自身初優勝を飾っている。シーズンオフ期間にニュージーランドでトレーニングを積み、第2戦では2回連続2位入賞と、着実に成長している中での優勝ということで、第4戦ではさらに勢いに乗った走りが見られるだろう。一方、その他のヒートでは#1中島漱也(YAMAHA BLU CRU RACING TEAM TAKA/ヤマハ YZ250F)が勝利を収め、スタートで出遅れてもトップまで上り詰める速さを示した。勢いに乗る田中と、チャンピオンとしての強さを見せる中島、両者のトップ争いは注目だ。

また、第3戦より復帰した#5柳瀬大河(TKM motor sports いわて/ホンダ CRF250R)や、#2横澤拓夢(TKM motor sports いわて/ホンダ CRF250R)、#6鴨田翔(Kawasaki PLAZA 東大阪/カワサキ KX250)や#12福村鎌(TeamSBE/スズキ RM-Z-250)らによる上位争いも混戦を極めた。第4戦では誰が前に出るのか、こちらも目が離せない。

なお、今大会には第2・3戦を欠場していたドイツ出身の#53ブライアン・シュー(AutoBrothers/GASGAS MC250F)が出場する。シューは開幕戦で中島とトップ争いを繰り広げ、2ヒートともに優勝を果たしており、中島や田中、横澤などここ2戦で固まりつつある上位グループにどのように絡んでくるのか注目だ。さらにエントリーリストを見ると、ベテランの#55勝谷武史(YOU SHOP 黒松/カワサキ KX250)やタイ出身の#57ベン・ ハルグレン(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ250F)も参戦するということで、トップ争いは混戦が予想される。

IB OPENクラス

固まりつつある勢力図、油断できないトップ争い

IAクラスへの昇格をかけたIB OPENクラスでは、開幕戦から#57髙木碧(BLUCRUレーシングチーム鷹/ヤマハ YZ125)が3勝を挙げており、クラスの中でも一目置かれる存在となっている。一方、第3戦では#14笹谷野亜(TKM motor sports いわて/ホンダ CRF250R)が初優勝を飾り、その実力を示した。レースでは髙木が何度もアタックを仕掛けるが、笹谷はそれに動じることなくトップを守り切りフィニッシュ。プレッシャーに耐え、最後まで前を譲らない安定感のある走りは目を見張るものがある。なお、笹谷は第2戦から毎ヒート表彰台を獲得し、第3戦で髙木を抜いてポイントランキングトップに浮上。第4戦も安定した走りで1位に輝くのか、期待がかかる。

また、第3戦では#58名島玖龍(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ250F)と#2島袋樹巳(Yogibo PIRELLI MOUNTAINRIDERS/カワサキ KX250F)がそれぞれ表彰台を獲得した。両者ともに毎戦上位を争っており、粘り強さのあるライダーだ。勢力図が少しずつ固まりつつある中、第4戦で誰が優勝を手にするのか、レースの行方は見逃せない。

LMX

実力伯仲の上位争い、川井が連勝記録を伸ばすのか

レディースクラスは第3戦で#1川井⿇央(T.E.SPORT/ホンダ CRF150RⅡ)が優勝を獲得。連勝記録を「3」に伸ばし、目標である全戦優勝に一歩近づいた。世羅グリーンパーク弘楽園での開催は2年ぶりということで、事前にコースを走ったという川井に感触を聞くと「久しぶりに走りましたが、すごく調子が良くて自分でも驚きました。今から自信があります」とコメント。第4戦も自信に満ちた走りに期待がかかる。

また、第3戦を振り返ると、表彰台を連続で獲得してきた#8穗苅愛香(TOMOレーシング&美蔵withCONNECT/ヤマハ YZ85LW)と#6箕浦未夢(TEAM ITOMO/ホンダ CRF150RⅡ)が接触し転倒。これにより2位に#12大久保梨子(KTM TOKAI RACING with ゆめチャンネル&331/KTM 85SX)、3位に#10松木紗子(Yogibo PIRELLI MOUNTAINRIDERS/カワサキ KX85)が入賞した。大久保と松木はそれぞれ初表彰台ということで、この経験が2人を勢いづけ、第4戦での上位争いはより混戦となるだろう。

さらに注目なのは、広島県出身の#7赤松樹愛(FACTORY BEAR RACING TEAM Y’s/ヤマハ YZ85LW)だ。赤松にとって世羅グリーンパーク弘楽園は乗り慣れた地元コース。2年ぶりの開催ということで、久しぶりに同コースを走るというライダーも多い中での地元開催は他のライバルに比べて大きなアドバンテージとなるだろう。

第4戦(6/14〜15)
◾️D.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ2025 第4戦 中国大会情報

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