9月10日(土)、11日(日)の2日間にわたって奈良県の名阪スポーツランドで開催されたD.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2022 第4戦近畿大会。2カ月弱のサマーブレイクを経て、いよいよシリーズも後半戦に突入し、ポイントランキング争いも激しさを増していく。また今大会にはアメリカのAMAプロモトクロスで今期5勝をマークした下田丈選手がIA-1クラスに参戦。下田のアメリカ仕込みの走りをひと目見ようと、会場には多くのファンが詰めかけた。
D.I.D JMX 2022 R4 KINKI観戦情報IA-1
Heat 1 : 圧巻のスピードで後続に大差をつけた#30下田丈。終盤に転倒するものの、差を詰められることなく、堂々の優勝を飾る。
予選で圧巻の速さを見せた#30下田丈(Team Kawasaki R&D/カワサキ KX450SR)が1コーナーですぐさまトップを奪う。1周目を終えた順位は、1番手下田、2番手#25内田篤基(マウンテンライダーズ/カワサキ KX450)、3番手に#23大倉由揮(Honda Dream Racing Bells/ホンダ CRF450R)が続く。ハイペースで飛ばす下田は2番手以降に圧倒的な差を築き上げると、レース中盤には後続との差を40秒近くつける。その後方では2番手内田と3番手大倉との差が接近し、5周目に大倉が2番手に浮上する。さらに序盤出遅れた#2富田俊樹(YAMAHA FACTORY RACING TEAM/ヤマハ YZ450FM)が徐々にポジションをアップすると、9周目に内田をかわし、11周目に大倉をもとらえて2番手にまで追い上げる。完全なひとり旅を続ける下田だったが、16周目のヤマハストレートで単独で転倒を喫してしまった。だがマシンや体にダメージはなく、すぐさまリスタート。ポジションをキープしたまま、チェッカーまで走り切った。2位には富田が続くが、その差は41秒以上も離れていた。3番手を走っていた#23大倉はラストラップでミスをしてポジションを落とし、内田が表彰台に登壇した。「スタートも決まって、ハイペースで走れましたが、レース終盤にクラッシュしてしまい、その後はとにかくゴールまで走り切ることを意識しました」(下田選手)
Heat 2 : 最後尾から全車抜き!#30下田丈のパッシングショーに場内がどよめいた
ヒート1で圧勝した下田だったが、ヒート2のオープニングラップ、4コーナーでコースアウトして最後尾にまでポジションを落としてしまう。だがここから下田は恐るべき速さでポジションを回復。2周目に19番手、3周目には8番手にまで上がると、5周目の3コーナーでは同じカワサキの#3能塚智寛(Team Kawasaki R&D/カワサキ KX450-SR)をパスして3番手に浮上する。6周目の3コーナーでは#5小方誠(TEAM HAMMER/ホンダ CRF450R)も抜き去り、トップの富田に急接近。そして11コーナーで富田をも抜き去った。圧倒的速度差のパッシングショーに、会場を埋め尽くす多くの観客からは大歓声が湧き上がった。下田はハイペースを維持しつつ、まるでリスクを感じさせない安定した走りで2番手の富田との差を広げていき、ヒート1同様大量リードを築いてチェッカーを受けた。「名阪はタイトでトリッキーで、ワダチもあって難しいコースですが、自分自身は好きなコースです。ヒート2はオープニングラップでコースアウトしてしまいましたが、なんとか勝てて良かったです。450ccでのレースはいい経験になりました」(下田選手)
ランキングトップの富田は両ヒートを2位でまとめ、40ポイントを積み増して、ランキング2番手の能塚との差は39ポイントまで開いた。
IA-2
Heat 1 : スタートを決めた#16ジェイ・ウィルソンが今季8勝目。#21浅井亮太も大健闘の2位
中央ややイン側のグリッドにマシンを並べた#16ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY RACING TEAM/ヤマハ YZ250F)がホールショットを奪う。2番手には#21浅井亮太(bLU cRUフライングドルフィンサイセイ/ヤマハ YZ250F)、3番手に#36横澤拓夢(TKM motor sportsいわて/ホンダ CRF250R)が続く。序盤からハイペースで独走状態を築きにかかるウィルソンだったが、2番手の浅井も好タイムを記録してウィルソンを追撃。しかしウィルソンのペースは速さのみならず安定性もあり、両者の間隔は周回を重ねるごとに開いていった。2番手と3番手の横澤との間隔も広がり、レース中盤以降、上位3台はそれぞれ単独走行となった。30分のレースを安定したハイペースで走り切ったウィルソンが今期8勝目をマーク。2位は浅井、3位に横澤という結果となった。4位は後方からじりじり追い上げた#5中島漱也(bLU cRU レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ250F)で、2022モトクロス・オブ・ネイションズ日本代表の#4鳥谷部晃太(bLU cRU TEAM エム FACTORY by NCXX/ヤマハ YZ250F)は5位でチェッカーを受けている。
Heat 2 : 国内勢が序盤レースをリードするが、#16ジェイ・ウィルソンの勝利を阻止できなかった
オープニングラップを取ったのは#4鳥谷部晃太。#16ジェイ・ウィルソンはやや遅れて6番手で2周目に突入する。体調が万全ではないというウィルソンだったが、3周目には3番手にまでポジションを上げ、4周目に2番手にまで浮上する。5周目にはトップを走る鳥谷部が4コーナーで転倒し、その間にウィルソンがトップに立った。後方からはヒート1で2位となった浅井が追い上げ、5周目に2位にまでポジションをアップ。やはりヒート1で3位となった横澤も後方から追い上げて3番手に浮上。レース中盤以降は上位3台の間隔が開き、それぞれ単独走行状態に。そんな中ウィルソンはハイペースでラップを刻み続け、圧巻の9連勝を飾った。2位浅井、3位は横澤で、表彰台にはヒート1と同じ顔ぶれが並ぶ結果となった。「今回のレースはとても暑かった。なおかつ金曜日の食あたりの影響で体力レベルも低かったです。脱水症状も出て困難な状況でした。次のレースには安全に臨み、いい結果を残したいです」(ウィルソン選手)
LMX
Heat 1 :#3久保まながうれしい今期1勝目。#1川井真央も今期表彰台に初登壇
予選ヒートでトップとなった#1川井麻央(T.E.SPORT/ホンダ CRF150)が決勝でも抜群のスタートを決めてオープニングラップをトップで通過する。2番手に久保まな(TEAM HAMMER/ホンダ CRF150R)、3番手に#5楠本菜月(actionracingng with alphathree/ハスクバーナ TC85)が続く。ポイントリーダーの#4小野彩葉(T.E.SPORT/ホンダ CRF150R)はスタートで出遅れ、後方集団に飲まれてしまう。川井は積極的に飛ばし、2番手で続く久保との差を2周目終了時点で約3.5秒も開く。だが3周目の1コーナーで川井がスリップダウンし、久保、楠本に先行を許してしまった。川合の転倒でトップに立った久保だが、2番手の楠本との差はわずかで、その距離はラップを重ねるごとに縮まっていく。しかしレース終盤、激しく追い上げる楠本も川井と同じく1コーナーで転倒。これにより久保は完全な独走状態を築き、今季初優勝を飾った。楠本は順位を守り切って2位でチェッカーを受けた。3位は川井で、小野は7位という結果となった。「ワダチやギャップが大きく、難しいコンディションでした。名阪は地元ということで、今日はたくさんの方に応援していただけました。ヒート2も頑張ります」(久保選手)
Heat 2 : #2本田七海が、トップを一度も明け渡さない圧巻の走りを見せた
#2本田七海(bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド/ヤマハ YZ85LW)がホールショットを決めると、オープニングラップから積極的に飛ばして2番手以降との差を開く。2番手は#27畑尾樹璃(TEAM HAMMER/ホンダ CRF150)、3番手にヒート1で今季初表彰台に登壇した川井が続く。3周目の1コーナーで川井が畑尾をかわして2番手に浮上。後方から追い上げる#5楠本も畑尾をかわして川井に肉薄し、12コーナーでミスをした川井をパスして2番手に上がる。ヒート1を勝利した久保は5周目に4番手を走行していた小野をパスし、レース終盤、1コーナーの手前で川井をも先行して3番手に上がった。終盤までハイペースをキープし続けた本田は2位に12秒以上もの差をつける圧巻の走りで今季2勝目を飾った。その後方、2番手を走っていた楠本は最終ラップで転倒して大幅にポジションを落としてしまう。この結果2位に久保、3位川井という順位となった。「今日は完璧なレースでした。今回は地元でのレースだったので 勝ちを意識していましたが、ヒート1では情けないレース展開となってしまいました。とはいえヒート2で挽回できて、本当に良かったです。今期は第2戦までは調子が悪かったんですが、その後チームとも相談して、今まで以上に走り込みを重ね、第3戦で結果を出せました。第3戦以降もさらに走り込みを続けましたが、その成果が今日のレースにつながったと思います」(本田選手)
IB-OPEN
Heat 1 :ポイントリーダーの#13西岡蒼志が2位となり、シリーズポイントをさらに伸ばす
ホールショットを奪ったのは#50西村明倫(With T-factor/カワサキ KX250)。 しかしその直後に続いた#33松木悠(マウンテンライダース/カワサキ KX250)がすぐさま西村をパスしてトップに浮上する。だがレース中盤、スタートで出遅れたポイントリーダーの#13西岡蒼志(讃岐白馬会 with NEUTRAL/ヤマハ YZ250F)が猛然と追い上げ、3周目には2番手にまで浮上する。必死に逃げる松木だったが、西岡はその差を徐々に詰めていくと、レース終盤に西岡がトップに立ち、追いすがる松木を引き離してチェッカーを受けた。2番手に松木が続き、#23千葉蓮希(T.E.SPORT/ホンダ CRF250R)が3番手となった。なおレース後、黄旗区間での違反があったということで順位が変更となり、西岡の順位も2位に降格。1位は松木という結果となった。
Heat 2 : #13西岡蒼志が落ち着いたレース展開で今季2勝目をマーク
ヒート1で3位となった千葉がホールショットを奪うが、すぐさま#1有山大輝(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ250F)がトップを奪う。だが2周目、#4佐藤力(TKM motor sports いわて with ALL ONE/ホンダ CRF250R)が有山をかわしてトップに立つ。3周目にはポイントリーダーの西岡が2番手となり佐藤を猛追するが、その差はなかなか詰まらない。レース中盤には佐藤と西岡の差はやや広がったかに見えたが、レース終盤、西岡は再びペースアップして佐藤との差を再び詰めると、9周目に佐藤をかわしてトップに立った。以降も西岡はペースを緩めずに佐藤との差を広げ、トップでチェッカーを受けた。2位は佐藤、3位は千葉という順位となった。「ヒート1で危険とみなされる行為をしてしまい順位が降格となってしまいました。メンタル的にも厳しかったですが、チームのみんなのおかげで優勝することができました」
JX
#10吉田琉雲が圧倒的なスピードで今季3勝目を飾った
#115箕浦来輝(TEAM ITOMO/ホンダ CRF150RⅡ)が絶妙なスタートでトップに上がるが、これまで2連勝中の#10吉田琉雲(MX-build/ガスガス MC85)がすぐさまトップを奪うと、序盤から圧倒的な速さで独走状態を築く。レース中盤、吉田と2番手の箕浦はともに単独での走行となったが、3番手以降は混戦模様。スタートでやや出遅れた#80水野零埜(Team ダートバイクプラス 瀬戸店/ヤマハ YZ85LW)は3番手に浮上すると、前を行く箕浦との距離をじりじりと詰めていった。そしてラストラップ、2番手を走る箕浦が2コーナーの先のワダチに足を取られて転倒し、水野がかわって2番手に浮上した。その間トップを走る吉田はハイスピードを維持して後続との差を広げ続け、終わってみれば2位となった水野に1分以上もの差をつけて3連勝を飾った。水野も第3戦に続いて2位となり、転倒した箕浦は3位という結果となった。「名阪は地元のコースなので勝たないといけないというプレッシャーもありました。3連勝できて良かったです」(吉田選手)
CX
アップダウンの大きい本格コースで28人のキッズが熱いレースを見せた
チャイルドクラスには今回28人がエントリー。ゲートスタートをうまく決めた#10小磯銀士(United Oil Japan &クラブベルズ/ハスクバーナ TC50)が抜群のスタートで一気にトップに浮上するが、直後に転倒して順位を落とす。かわって首位に立ったのが、電動バイクを駆る#82の矢木杏奈(FMT’s ヒラタ自動車@ハスクバーナ/ハスクバーナ EE5)だったが、その矢木も2周目に4番手にまでポジションを落とした。変わってトップに立ったのは#8大久保英飛(YSP浜北大橋レーシング & クラブベルズ/スズキ DR-Z50)。大久保は以降首位を保ち続けるが、その後方から徐々に近づいてきた#32松嵜貴祐(Neoザクスピード+槐/ホンダ CRF50F)が終盤に大久保をかわしてトップでゴール。松嵜はなんと今回が初レースとのこと。電動バイクのEクラスは矢木が優勝した。
2st125
A組:KTM125SXを駆る16歳の#888高橋生真がAクラスを制した
予選で唯一1分47秒台を記録した#888高橋生真(KTMうず潮レーシング福山/KTM 125SX)がホールショットを奪うと、すぐさま独走状態を築きにかかる。2番手には#16今岡俊太(bLUcRU CLUB KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド/ヤマハ YZ125)、3番手はカワサキKX112を駆る、大人気ユーチューバーのマイカルチャンプが続いた。その後高橋は今岡に先行されるものの、すぐにトップを奪い返して優勝を飾った。3番手を走るマイカルチャンプは表彰台にヘルメットを着用したまま登壇し、会場のファンから多くの声援を受けていた。「少し焦ってしまいましたが、最終的に勝つことが出来て良かったです。MFJモトクロス全国大会では優勝を目指します」(高橋選手)
B組:予選で低迷したヤマハYZ125の#215福島温人が本来の速さを発揮
予選のミスでB組での出走となった#215福島温人(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ125)がグリッド中央イン側付近から抜群のスタートを決めてトップに浮上すると、ハイペースで後続を一気に引き離す。2番手には#8大田雅裕(京都BOBCAT&WEST&speedHeart/ヤマハ YZ125)が続き、#86高橋尚史(KTM 125SX)が3番手で続く。福島はその後も好タイムを出し続けて優勝を飾り、2番手に大田、3番手には#196宮岡貴之(ハラツヨ★ワークス/ヤマハ YZ125)という結果となった。福島もA組優勝の高橋同様、表彰台で全国大会での勝利を目指すと語った。
Next JMX
次戦D.I.D JMX 2022 R5はHSR九州大会!
2022/10/08-09 HSR九州オフロードコース(熊本県)にて。
>第5戦 HSR九州大会の観戦情報はこちらから
>MFJ Webサイト内大会概要ページ
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