夏のインターバルを終えた2023年9月9日(土)〜10日(日)、全日本モトクロス選手権第6戦近畿大会が、奈良県にある名阪スポーツランドで開催される。コースは前大会に引き続きサンドコース。レースを重ねるごとにわだちやギャップの形状が変化しやすい路面のため、ライダーには臨機応変に対応する力と荒れた路面を乗りこなすライディングスキルが求められる。一方、アグレッシブな走りが見られるのもサンドコースの魅力の一つ。特にルーストを巻き上げる豪快なコーナリングは迫力満点のため、ぜひ会場に足を運んで目の当たりにしてほしい。また、コースは山の傾斜を利用したアップダウンの激しいレイアウトで、細かなコーナーが多いのも特徴。コース幅が狭い分パッシングポイントが限られてくるため、ライダーたちの接近戦が見どころとなるだろう。

これまで3ヒート制や変則2ヒート制など、新たなレース形式が導入されてきたIAクラスだが、第6戦ではIA1とIA2ともに30分+1周×2ヒートという、いわゆる従来通りのレース形式で行われる。9月とはいえ残暑が続く中での30分+1周は、ライダーの身体に応えるタフなレースとなるだろう。なお、IAクラスは前回の北海道大会から約1ヶ月ほど、LMXとIBクラスは第4戦から2ヶ月以上のインターバルが空いたレースとなる。このインターバルでライダーたちはどれほどの成長を重ねてきたのか、その実力がどう発揮されるのか、各々の活躍に期待がかかる。

なお、第6戦ではIA1/IA2/IB-OPEN/LMXに加えて、承認クラスとしてJX/K65/CX/2st125クラスが開催される。将来を担うキッズライダー達の熱きバトルと、2ストロークならではのピーキーなエンジン音を鳴らしながらベテランと若手が混戦を極める2st125クラスの走りにも注目してほしい。

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IA1

ジェイ・ウィルソンの独壇場を崩せるか

IAクラスが30分+1周の2ヒート制で行われるのは今季2度目だが、レース時間の長さ関係なくトップを走り続けてきたのが#27ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM / ヤマハ YZ450FM)だ。彼は、第5戦終了後から第6戦が始まるまでのインターバル期間で、アメリカで開催されているAMAプロモトクロス第9戦〜第11戦(最終戦)までの3戦に出場。第9戦が総合12位、第10戦は総合16位、最終戦は足首の負傷によりリタイヤと、怪我はあったものの着実に結果を残している。サマーブレイクとはいえ、ウィルソンにとってはずっとレースが続いていたことにもなるため、ブランク明けという意味でもまったく心配はなさそうだ。

また、ポイントランキングを見ると、第5戦を終えた時点でウィルソンが325ptでトップ、続いて#1富田俊樹(YAMAHA FACTORY RACING / ヤマハ YZ450FM)が202pt、#8内田篤基(Yogibo マウンテンライダーズ / カワサキ KX450)が183pt、#6大倉由揮(Honda Dream Racing Bells / ホンダ CRF450R)が180ptという順位で、2番手争いが拮抗してきている。第6戦に向けて富田は「ジェイさんに勝つための対策を色々しています。特に差を感じる”ベースのスピード”を上げていけるように練習を重ねています。名阪は得意なコースなので、次こそはジェイさんに勝ちたいです」と前向きなコメント。第6戦でのトップ争いに期待がかかる。

また、富田、内田、大倉にとって名阪スポーツランドは走り慣れているコースとのこと。内田と大倉もそれぞれ「得意なコースだ」と話しており、決勝では熾烈なバトルが見られるだろう。さらに、第5戦で怪我から復帰した#2能塚智寛(Team Kawasaki R&D / カワサキ KX450-SR)は、前戦で一時ウィルソンを抑えてトップに立つなど、互角に勝負できる力を見せつけている。第6戦でウィルソンの独壇場を崩すライダーが現れるか、大きな注目が集まる。

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IA2

まだまだ加熱するトップ争い、次なる勝者は誰か

IA2クラスでは、ランキングトップを走る#58ビクトル・アロンソ(Auto Brothers / ヤマハ YZ250F)の速さが目立つ。第5戦では両ヒートともスタートで出遅れ、追い上げのレース展開を強いられたビクトルだが、ヒート1ではレース序盤でトップに浮上。さらにヒート2では惜しくもトップに届かなかったものの、2位まで追い上げてフィニッシュしている。先行、追い上げ、どちらも強いその実力には一線を画するものがある。

ビクトルの存在感が大きい一方、IA2クラスではこれまで、#8西條悠人(ピュアテックレーシング / カワサキ KX250)、#4中島漱也(bLU cRUレーシングチーム鷹 / ヤマハ YZ250F)、#18池田凌(Yogibo マウンテンライダーズ / カワサキ KX250)、#5横澤拓夢(TKM motor sports いわて / ホンダ CRF250R)ら4人の勝者が新たに誕生している。第5戦で自身のキャリア2勝目をあげた#5横澤拓夢(TKM motor sports いわて / ホンダ CRF250R)は、スタートから逃げ切る見事なレースを展開。レース後のインタビューで「もちろん年間チャンピオンを狙っている」と意気込んだ言葉の通り有言実行なるか、次戦での活躍も注目が集まる。

また、ポイントランキングを見るとトップにビクトル、2位に横澤が入り、3位には#2浅井亮太(bLU cRUフライングドルフィンサイセイ / ヤマハ YZ250F)がつけている。浅井は前戦で惜しくも表彰台を逃したものの、安定してポイントを稼いでおり、後半戦での巻き返しに期待がかかる。さらに、#3柳瀬大河(Bells Racing / ホンダ CRF250R)と#9鴨田翔(Kawasaki PLAZA 東大阪 / カワサキ KX250)は第5戦で今季初表彰台を獲得しており、ここからさらにトップ争いに食い込んでくるだろう。

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LMX

熾烈なトップ争い、後半戦を勢いづける1戦

第5戦はIAクラスのみの開催ということで、レディースクラスは第4戦が行われてから約2ヶ月ほどのインターバルを空けての開催となる。また、シーズンも後半戦に入ったということで、第6戦はチャンピオン争いを勢いづける1戦となるだろう。

ポイントランキングを見ると、#2川井麻央(T.E.SPORT / ホンダ CRF150R)と#4本田七海(bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド / ヤマハ YZ85LW)が僅差でチャンピオン争いを続けている。第4戦までのポイントは川井が96ptでトップ、本田が93ptで2位につけており、その差はわずか3ポイント。一瞬たりとも油断できない接戦で、今後の展開に目が離せない。なお、会場となる名阪スポーツランドは本田の地元コースとなる。2022年にレディースクラスが2ヒート制で行われた中、本田はヒート2で優勝。今年も表彰台のトップに立つことができるのか、はたまた川井が強さを見せるのか、勢いを増すチャンピオン争いは見逃せない。

また、川井と本田を揺るがす存在となるのが、開幕戦で初表彰台を獲得した#9 箕浦未夢(TEAM ITOMO / ホンダ CRF150R)、第2戦で優勝を果たした#17濱村いぶき(T.E.SPORT / ホンダ CRF150R)、そして安定して表彰台を獲得し続けている#8瀬尾柚姫(TEAM HAMMER / ホンダ CRF150R)といった若手ライダーである。彼女らはレースごとのリザルトにばらつきはあるものの、優勝や表彰台といったそれぞれの経験を通して著しく成長しており、その走りからはトップに立っても怯まない自信と安定感が感じられる。トップ争いに加わることはもはや必然と言って良いだろう。この2ヶ月間で積み重ねた練習の成果で今後トップ争いにどう食い込んでくるのか、若手の活躍にも注目してほしい。

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IB OPEN

一瞬たりとも油断できない、拮抗する上位争い

IB OPENクラスもレディースクラスと同様、第5戦での開催がなかったことから、ライダーたちは2ヶ月以上のインターバルを経て第6戦に挑む。IAクラスへの昇格枠をかけたこのクラスでは、これまで熾烈なトップ争いが繰り広げられてきたが、ポイントリーダーである#53住友睦巳(bLUcRUフライングドルフィンサイセイ / ヤマハ YZ250F)が開幕戦から8ヒート中6ヒート優勝を収め、その実力の高さを示している。一方、第4戦では#63藤井武(TEAM HAMMER / ホンダ CRF250R)と#9鈴村絆(バイカーズステーション金沢レーシング with MOTUL / ホンダ CRF250R)が各ヒートで2位を獲得。さらに、#8佐野壮太(ジュニアライダース・フリーダムナナ / カワサキKX250)は自身初の表彰台を飾り、ポイントランキングを一気に3位に上げている。1戦ごとにポイントランキングが入れ替わるほど実力が拮抗しているIB OPENクラス。次戦はどんなレース展開になるのか、最後まで見逃せない。

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