2024年3月30日(土)〜31日(日)の全日本モトクロス選手権シリーズ2024開幕に向けて、全日本モトクロス最高峰となるIA1クラスの注目ライダーをピックアップ

2024年3月30日(土)〜31日(日)、全日本モトクロス選手権シリーズ2024が開幕します。新シーズンでは、ライダーが移籍したりクラスをステップアップしたりと、各クラスの顔ぶれが変わります。なかでもIA1クラスは外国人ライダーや海外帰りのライダーが参戦するなど、今季特にトップ層の変化が大きいクラスです。

他を寄せ付けない絶対的王者、ジェイ・ウィルソン

ジェイ・ウィルソンはオーストラリア出身のライダー。オーストラリア選手権のモトクロスシリーズで1回、スーパークロスシリーズで2回チャンピオンを獲得し、2020年にはAMAスーパークロス ウエストでランキング19位を獲得した経歴を持ちます。

また、ウィルソンは全日本モトクロス選手権でチャンピオン獲得を目指すとともに、若手育成や技術開発など自身のレース以外の面でもヤマハに貢献しています。日本人ライダーが背中を追いかける存在であり、日本のモトクロスのレベルを高める存在となっています。

2023年第4戦の写真

ウィルソンが初めて全日本モトクロス選手権に参戦したのは2021年。当時は第7戦にスポット参戦というかたちでIA2クラスを走り、見事両ヒートともに優勝を飾りました。その翌年、2022年から全日本モトクロス選手権IA2クラスに、ヤマハのファクトリーライダーとしてフル参戦。開幕戦から無敗の17連勝を果たしチャンピオンを獲得し、その実力の高さを示しました。2023年にIA1クラスにステップアップしてもなお強さは変わらず、全23ヒート中22勝でチャンピオンを獲得しました。安定したスタートで序盤から周りを引き離すことが多いのですが、転倒した場合でも着実に追い上げてトップに立つ、まさに絶対的王者と呼べるライダーです。一度会場でその走りを見ると、その速さや強さを実感するでしょう。

ウィルソンは2023シーズンを振り返り、「去年はスムーズに連勝を重ねることができたけど、450ccマシンに乗り換えて1年目ということで、マシンに合わせたライディングスタイルや体づくりなど、調整することが多くマシンとうまく噛み合わないこともあった。AMAへの参戦もあってなかなかチャレンジングな1年だった」と語り、圧倒的な勝利の裏側の苦悩を滲ませました。しかし、今シーズンは450ccマシンに乗り換えてから2年目。「マシンに乗り慣れて調子は良いし、去年よりも自分の強みに集中して練習を行えている。開幕戦に向けてしっかりと準備できているから、より落ち着いてレースに挑むことができると思うし、去年より強くなったという自信があるよ」と自信に満ち溢れている様子が印象的でした。日本に来て3年目、今季はIA1クラスで2連覇を目指します。

なお、彼はファンサービスも細かく、毎戦各会場のご当地のものを描いた缶バッチを配るなど、バイクから降りた後の対応も優しいと評判のライダー。その人柄にも注目です。

日本人トップの実力を誇る、大倉由揮

2023年のシリーズランキングで、ジェイ・ウィルソンに続いて2位を獲得したのが大倉由揮です。大倉の経歴を振り返ると、2016年にIB OPENクラスで18ヒート中14ヒートで優勝を果たし、チャンピオンを獲得しており、当時から存在感のあるライダーでした。翌年にはアメリカで修行をし、シーズン中盤からIA2クラスに参戦。2019・2021年で自身最高位となるシリーズランキング2位を獲得し、2022年よりIA1クラスにステップアップしています。2023シーズンは第2戦まで全ヒート4位と表彰台に届かず、本人も悔しさを滲ませていました。しかし粘り強く、シーズンを通して表彰台圏内や上位に入り続けることで、IA1クラスに上がって2年目でシリーズランキング2位を獲得しました。

2023年第3戦の写真

2023シーズンの最終戦後から2024シーズン開幕にかけてのオフシーズン中には、ヨーロッパへ1ヶ月間遠征に行っていました。海外での練習について大倉は「ホンダの方に協力いただいて、ティム・ガイザー選手やルーベン・フェルナンデス選手たちとのテストに合流させてもらいました。また、イタリア選手権に自分でエントリーして2回出場して、今までで一番濃いシーズンオフを過ごせましたし、誰よりも乗り込んできたと思います」と自信満々。

さらに、「イタリア選手権に出ると、世界のライダー達と自分では1周6〜7秒の差があって、改めてレベルの違いを感じました。その差をどうやって縮めていくかということを常に考えながら生活していたことは自分にとってかなりプラスになっています。あとは、改めて体作りに力を入れるようになりました。というのも、現地のトレーナーさんに腹をつままれて怒られて、もっと調整しようと意識しました(笑)。僕は甘いものが好きなので、食生活を意識するようになりました。日本に帰ってきてから他のライダーに『何を教えてもらったのか』と聞かれるのですが、それは言わんよと、秘密にしています(笑)。IA1クラスではジェイさんが速いですし、同い年の横山くんも帰ってきますが、海外での経験を得た今、強気に勝負に挑みたいなと思っています」と大倉。IA1クラスでの初優勝にも期待がかかります。

オーストラリアで経験を積んで帰ってきた、横山遥希

今季、新たに参戦するライダーとして注目度の高いライダーは横山遥希でしょう。横山は2019・2020年に全日本モトクロス選手権IA2クラスで2年連続チャンピオンを獲得したライダー。当時彼の走りを見ていた方には、他のライダーを圧倒する速さと決して諦めない強さが印象に残っている方も多いと思います。2020年以降はオーストラリアに拠点を移し、2022年からの2年間オーストラリアモトクロス選手権MX2クラスに参戦。同大会で3位表彰台を獲得するなど、海外でも存在感を示していました。そして今季はIA1クラスに参戦。オーストラリアで実力を高めた彼が再び全日本モトクロス選手権に戻ってくるということで、IA1クラスに新たな風を吹かす、そんな存在として注目を集めています。

2020年参戦時の写真

また、IA1クラス2023王者のジェイ・ウィルソンは、前述した通り、オーストラリアスーパークロス・モトクロス選手権でのチャンピオン経験を持ちます。両者は同じレースで競い合ったことはないのですが、ウィルソンは横山について「お互いの実力がわからない開幕戦は、特にスタートが勝負になってくると思う。僕の地元で活躍してきたと聞いているし、日本でレースに参戦している身としても、海外でレースをすることで得られる経験や苦労が理解できる。自信をつけて帰ってくるだろうなと思っているし、彼と一緒に競えることがとても楽しみだよ」とコメントしています。

さらに、横山の同年代ライバルとして、大倉と大城魁之輔がいます。大倉は「IA2クラス時代はヒートレースでもチャンピオン争いでも横山くんに負け続けていました。一番努力家なライダーですし、同い年として尊敬していますが、絶対に負けないぞと思っています」とコメント。一方大城も「2020年のIA2クラスで横山選手に届かずランキング2位で終えてすごく悔しかったので、同じことにならないようにしたいです」とのこと。同年代のライバルバトルにも注目です。

なお、横山は今季はこれまで乗ってきた250ccマシンから450ccマシンに乗り換えての参戦となります。新たな環境での挑戦となりますが、オーストラリアで培ってきた実力がどう生かされるのか、見逃せません。

2023年IA2クラスチャンピオン、ビクトル・アロンソ

トップ層を揺るがすであろう勢いを持つライダーがビクトル・アロンソです。ビクトルはスペイン出身のライダーで、2023年にIA2クラスへフル参戦を果たしました。全日本参戦前の2022年にはMXGPのEMX250クラスに参戦し、最高順位14位という成績を収めており、実力未知数の存在として注目を集めていました。ビクトルは開幕戦で1勝を挙げると、その後も優勝を重ねシーズンを通してクラスを牽引する存在に。ライバル達とのトップ争いも激しく、最終戦の接戦を制し見事IA2クラスチャンピオンに輝きました。

ビクトルはアグレッシブなライディングが特徴的なライダー。今季はマシンを450ccに乗り換えて挑みます。今季について「450ccは250ccマシンと比べてかなりパワーがあるからまだコントロールが難しいと感じる部分もある。でも乗っていて楽しいし、開幕に向けてマシンとの調整を続けているよ。IA1クラスのライダー達はみんな速いと思う。特にジェイ・ウィルソンは去年の走りを見ていて、その強さを感じていた。今はライバルを意識するというよりは自分の走りに集中して、結果に繋げていきたいと思っているよ」と話しており、開幕に向けて調子を整えています。

なお、ウィルソンにビクトルについて話を聞くと「450ccマシンへ乗り換えるということで、彼にとってチャレンジングなシーズンになると思う。その中でIA2クラスでの走りを見ていたけど、IA1クラスでどこまで走れるのかは始まってみないとわからないから、とても楽しみだよ」とコメント。ディフェンディングチャンピオン、ウィルソンに挑戦するビクトル。どのようなトップ争いが展開されるのか注目です。

今回はIA1クラスの注目ライダー4人を紹介しました。モトクロスを見に行きたいけど選手がわからないし……と悩んでいる方はライダーの特徴や関係性を知ることで応援がもっと楽しくなるはず。彼らの白熱した試合をぜひ現地で目の当たりにしてください!

開幕戦(3/30〜31)
◾️D.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ2024 開幕戦 腕時計のベルモンドCUP 大会情報
https://mspro.jp/jmx/2024r1
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第2戦・第3戦(4/20〜4/21)
◾️D.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ2024 第2戦・第3戦HSR九州 大会情報
https://mspro.jp/jmx/2024r2-r3
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