11月からのシーズンオフが明け、3月30〜31日にD.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2024が、埼玉県にあるオフロードヴィレッジで開幕した。今大会は公認クラスのIA・IB OPEN・レディースクラス(LMX)に加えて、チャイルドクロス(CX)・キッズ65(K65)・ジュニアクロス(JX)、そしてファンバイククラス、エンジョイクラスが併せて開催された。これまでの観る全日本に加えて、参加できる全日本へ。参加型クラスが開催された土曜日と、公認クラスが開催された日曜日ともに大いに盛り上がることに。

大会当日は両日ともに晴天に恵まれたが、大会前日に降った雨の影響により土曜日はマディコンディションとなった。段々と路面は乾き、日曜日には砂埃が舞うほどのドライコンディションに。しかし、ところどころ乾かずに泥濘んだ路面には深いわだちが何本も作られ、ライダーたちはその荒れた路面の攻略に苦戦を強いられた。さらに、当日は最高気温は25度前後と3月らしからぬ暑さで、体力面でもタフなレースとなった。

D.I.D JMX 2024 R1 腕時計のベルモンドCUP 観戦情報

IA1

不動の王者ウィルソンを揺るがす横山

IA1クラスは2023年のシリーズチャンピオン#1ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM/ヤマハ YZ450FM)の存在が大きいが、オーストラリアで経験を積んできた#41横⼭遥希(HONDA DREAM RACING LG/ホンダ CRF450R)と2023年IA2チャンピオンの#33ビクトル・アロンソ(AutoBrothers GASGAS JAPAN/GASGAS MC450F)が参戦する。さらに、2023年のシリーズランキングでウィルソンに次ぐ2位を獲得した#2⼤倉由揮(Honda Dream Racing Bells/ホンダ CRF450R)はオフシーズンで1ヶ月間イタリアで練習を重ね、成長を遂げてきた。2023年こそウィルソンの圧勝でシーズンが終わってしまったが、今季はウィルソンに土をつけるライダーが現れるのではないかと、トップ争いに注目が集まった。

決勝は15分+1周の3ヒート制で行われた。短い時間の中でトップに立つためには、スタートから前に出ることが重要となる。誰が一番最初に飛び出すのか、緊張感が漂う中、ヒート1ではウィルソンが前に出てレースをリードしていく展開となった。後方には#15星野優位(レーシングチーム鷹 / STAR RACING 166/ヤマハ YZ450F)と#12渡辺祐介(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM/ヤマハ YZ450FM)がつけていたが、星野と渡辺は序盤で転倒し後退。2番手に#7能塚智寛(Team Kawasaki R&D/カワサキ KX450-SR)、3番手に大倉、4番手に横山という順番でレースが進行していく。ウィルソンは序盤からすでに後方と6秒ほどの差をつけて単独走行へ。安定した走りでトップを守り切った。一方、レース中盤には2番手から4番手の差が縮まり攻防戦が繰り広げられる。一時横山が大倉をかわし3番手に浮上するも、大倉が抜き返し3番手を死守。大倉と横山がそれぞれ能塚をかわし表彰台圏内へとポジションを上げていった。その後再び横山と大倉の2番手争いが展開されるも、大倉が2位を守り切りフィニッシュ。1位ウィルソン、2位大倉、3位横山という結果となった。

ヒート2でもウィルソンが好スタートを決めトップを快走。オープニングラップから後方と差を広げ独走していく。2番手以降は能塚を先頭に、大倉とビクトルが続いてレースは進行。しかしレース中盤で能塚が転倒によりポジションダウン。ビクトルが2番手、大倉が3番手に順位を上げた。ビクトルと大倉の差は2秒ほど開いていたが、レース後半でビクトルが転倒し大倉が2番手へ浮上。ビクトルはすぐに復帰し、3番手から大倉を追いかけることとなった。結果、ウィルソン、大倉、ビクトルという順位でフィニッシュ。

ヒート3では、横山が好スタートを決めるとウィルソンを抑えてトップを走行。序盤からウィルソンが仕掛け続けるも、横山が抑えてレースをリードしていく。1対1の攻防戦が横並びで繰り広げられる中、レース後半、横山がミスをした隙をついたウィルソンがトップに浮上。バックマーカーが現れたタイミングで再び横山がトップを奪取するも、ウィルソンは冷静なライン取りでかわし、トップチェッカーを受けた。1位ウィルソン、2位横山、3位には能塚・大倉との3番手争いを制したビクトルが入賞した。

#1ジェイ・ウィルソン
「オフロードヴィレッジはタイトで難しいから、開幕戦ということに加えてさらに緊張したよ(笑)。マシンのセッティングも練習も十分にできて自信はあったけど、緊張感のある開幕だったね。雨が降ってさらにテクニカルなコースになったけど、こういうレベルの高いコースでレースすることで実力も上がるから、とてもよかったと思う。ヒート3は(横山)遥希を追いかける展開になったけど、焦らないように気をつけていた。去年ここ(オフロードヴィレッジ)で行われた第8戦で、トレイ・カナードとトップ争いをしている時に焦って転倒してしまって、焦りは禁物だと反省したんだ。焦って攻めるのではなく、自分の走りをしつつ、相手にミスを誘うようなライン取りや攻め方をしようと思って走ったよ。結果的に相手がミスをした隙にトップに上がれて、その後また抜かれたり抜き返したりあったけど、あのバトルはとても楽しかったね。観客の人にとっても面白いレースだった思うし、こういうレースができてとても嬉しいよ」

#41横⼭遥希
「今回結果的には3位・4位・2位で総合3位で、450ccマシンでのデビュー戦としては良い滑り出しだなと思いますが、一回は勝ちたかったです。僕はオフロードヴィレッジが地元なので、地元の皆さんに勝って喜んでもらいたかったなという思いがあります。ジェイさんとはこれまで一緒に走ったことがなかったのですが、今回一緒に走ってみて、予想していた通りの実力だなと思いました。オーストラリアにいる時も全日本モトクロスをチェックしていて、僕なら行けるんじゃないかなと思っていました。今回のコンディションは1本ラインが多くて抜きどころがなかったので、それもあってバトルができたのかもしれないですが、戦えなくはないのかな、と感じました。抜かれた後も冷静に抜きどころを探れるくらいの余裕はありました。次戦のHSR九州はハイスピードコースですが、僕自身ハイスピードコースも走れるので、トップを狙っていけると思います」

#2⼤倉由揮
「シーズンオフに、ホンダさんの協力のもとイタリアに練習に行かせていただきました。そして今回開幕戦1ヒート目から表彰台に立つことができて、イタリアでの練習の成果を結果に残すことができたと思います。ヒート2も2位で終えることができて、去年の開幕戦と比べると成長を感じています。ただ、ジェイさんやビクトル、横山選手との実力の差を感じた部分もあったので、レベルアップしていけるように頑張ります」

#33ビクトル・アロンソ
「ヒート2は転倒してしまって大変なレースでしたが、ヒート2とヒート3で表彰台に登れて安心しています。さらにトレーニングを重ねて、次も活躍できるように頑張ります。応援ありがとうございました」

IA2

柳瀬が自身初優勝獲得、今季もトップ争いは混戦に

IA2クラスも15分+1周の3ヒート制で行われた。昨年のチャンピオンであるビクトルがIA1クラスにステップアップしたことによって王者不在でシーズンを迎える。トップライダーの実力が拮抗する中、誰がこの開幕戦を制すのかに注目が集まった。

ヒート1は、予選をトップタイムで通過した#6柳瀬⼤河(TKM motor sport いわて/ホンダ CRF250R)がオープニングラップをトップで通過。続いて#2横澤拓夢(TKM motor sports いわて/ホンダ CRF250R)、#10⽥中淳也(bLU cRU YSP浜松BOSS RACING/ヤマハ YZ250F)と続いていく。柳瀬と横澤によるチームメイト同士のトップ争いとなった。横澤は柳瀬との距離を徐々に詰めると、レース序盤で柳瀬をかわしトップへ浮上。そのまま単独走行へ持ち込んだ。柳瀬はマシントラブルによりペースダウン。粘り強く2番手を守るが、レース終盤で追い上げてきた#3中島漱也(bLU cRU レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ250F)と田中が柳瀬をパス。1位横澤、2位中島、3位田中でフィニッシュを果たした。

ヒート2では、柳瀬がスタートから前に出てトップを走行していく。ヒート1ではマシントラブルで失格となり悔しさを滲ませていた柳瀬だが、ここで気持ちを新たに初優勝を目指していく。続いて#4鴨⽥翔(Kawasaki Plaza 東⼤阪/カワサキ KX250)、#21森優介(Team ITOMO with オフロードピット那須/ホンダ CRF250R)、田中が続く。周回を重ねるごとに鴨田が柳瀬との距離を詰めていくが、柳瀬も安定したライディングでトップを守り切りゴール。ヒート1での雪辱を果たした。一方、3番手争いは追い上げを見せた横澤と中島によって繰り広げられた。両者横並びの接戦となる中、横澤が最後まで前を譲らずゴール。柳瀬、鴨田、横澤という順位となった。なお、柳瀬にとって今回が自身初優勝となる。レース後は悲願の初優勝に喜びをあらわにした。

ヒート3も柳瀬がオープニングラップを飾る。その後ろには中島が迫り、トップを巡りバトルを繰り広げていく。序盤は柳瀬がリードしていくが、中島が徐々に距離を詰め、レース中盤に柳瀬のインをついてトップへ浮上。その後さらに差を広げていき、トップでゴールを果たした。2位柳瀬、3位にあh3番手を守り切った#9⻄條悠⼈(Kawasaki PURE TECH Racing/カワサキ KX250)が入りフィニッシュ。中島はオフロードヴィレッジがホームコースで、地元大会での優勝は初めてとなる。

#3中島漱也
「地元大会で、しかも開幕戦で、レースが始まるまでいつも以上に緊張していました。地元大会でこれまで勝ったことがなかったので、勝たないとというプレッシャーも感じていました。気持ちが優勝に向けて先走っていたのですが、うまく気持ちをコントロールしながら走れたのでよかったです。コンディションがかなり難しかったので、周りの走りよりも自分の走りに集中できたのがよかったのだと思います。シーズンオフは、昨年末から1月末までアメリカでトレーニングを積んできました。今回気温がすごく暑くて、コンディションも荒れていて相当タフだったのですがしっかり最後までいい走りができたのは、アメリカでのフィジカルトレーニングが生きているなと思いました。今年は体力面がかなり仕上がっていますね」

#6柳瀬⼤河
「去年はすごくひどいシーズンで、今季走るチームもないという状態でシーズンオフを迎えてしまいました。(横澤)拓夢くんになんとかお願いしてチームなどの環境を用意してもらって、開幕戦に立つことができました。チームが変わるにあたって、迷惑や苦労をかけた人がたくさんいたので、どうしてもこの開幕戦で勝ちたくて、シーズンオフに乗り込んできました。ヒート1はマシントラブルでうまくいかなかったのですが、ヒート2でこうして勝てて本当によかったです」

#2横澤拓夢
「去年チャンピオン獲得できなかったという悔しさがあったので、開幕戦から絶対に勝ちたいなと思っていたのですが、漱也も淳也くんも、大河も、速いライダーばかりなので、スタート前はナーバスになっていたし、いろんなトラブルを抱えて大変な思いもありました。とりあえず、優勝できてよかったです!」

#10⽥中淳也
「ヒート1はスタートうまくいって前に出れたんですけど、抜かされて順位を落としてしまいました。最後に前のライダーを抜かして3番手に上がることができましたが、立ちたかった場所とは違うので悔しいです。ただ、今年からキャリーさんのウエアを着用させてもらっていて、今日がそのデビュー戦だったので、表彰台に登れてよかったです」

#4鴨⽥翔
「ヒート1ではスタートをミスってしまって、なかなか思うような成績を残すことができなくて。ただ自分の悪いところはわかっていたので、ヒート2でスタートを改善したら前に出ることができました。本当は地元で一勝したかったんですけど、大河くんが速くて勝てなくて、悔しいです。でもチャンピオンシップは始まったばかりなので、これからの長いチャンピオンシップを考えたら良いスタートが切れたのかなと思います。3ヒート目もスタートから前に出ることができたのでカワサキのバイクのポテンシャルの高さを証明できたと思います」

#9⻄條悠⼈
「シーズンオフにたくさん乗り込んできたので、優勝できなくて悔しいですが、とりあえず久しぶりに表彰台に登れたことを素直に喜びたいなと思います。九州大会は絶対に勝つので、応援よろしくお願いします」

IB OPEN

スポット参戦の近藤祐介が開幕戦を掻き乱す

IBOPENは10名のIA昇格枠を獲得するために一年を通して戦うクラスだ。昨年から走っているライダーに加えて地方選手権などから昇格してくる若手ライダーも多く参戦するため、誰が上位を占めるのか、その実力は開幕戦で示される。

レースは20分+1周で行われた。ヒート1、スポット参戦の#4近藤祐介(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ450F)がスタートから前に出て後続ライダーを引き離していくと、序盤から単独走行へ持ち込んでいく。このまま逃げ切りかと思われたレース後半、2番手まで追い上げてきた#61守大夢(Kawasaki PURE TECH Racing/カワサキ KX250)が近藤に迫る。しかし転倒しポジションダウン。結果、近藤が優勝を獲得し、中盤で追い上げを見せた#6鎌倉大樹(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ450F)が2位、#1飯塚翼(三恵技研工業 アシタプランニングMS/ホンダ CRF250R)が3位入賞を果たした。

続くヒート2も近藤がスタートから前に出て序盤からトップを独走。#5松岡力翔(SP忠男広島/ヤマハ YZ250F)、#8篠塚一颯(アイアンテイルMRS/カワサキ KX250)が近藤を追っていく。レース中盤には6番手から着実に追い上げた守が2番手に浮上。近藤、守、松岡という順位でチェッカーを受けた。

#4近藤祐介
「ヒート1もヒート2もスタートで前に出ることができて、楽なレース展開にすることができました。ヒート1は1周目からペースを調整しながら走っていたのですが、実は2周目から腕上がりしていました。そんな中でも優勝できて嬉しかったです。後ろから2番手が迫ってきてるのも分かっていたのですが、腕上がりしてそれどころじゃなくて、とにかく自分の走りに集中していたら途中から1人になっていたので安心しました。ヒート2は前半で差をつけることができたのでなんとか持ち堪えました。今大会でレース参戦は終わりにしようと思っています。応援ありがとうございました!」

#6鎌倉大樹(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ450F)
「今回レースに出るにあたって、新しいバイクを購入したりいろんなトレーニングをしたり。どれだけ成績を出せるかとチャレンジに向けて万全の状態で挑みました。この挑戦をサポートしてくれた方々に感謝を伝えるために、絶対に3位以内に入って表彰台に登りたいと思っていたので、実現できて嬉しいです。同じチームの近藤祐介くんとワンツーフィニッシュすることもできてよかったです」

LMX

川井失格で川上が優勝、初戦から波乱の幕開け

レディースクラスは、2023年に3度目のチャンピオンを獲得した#1川井麻央(T.E.SPORT/ホンダ CRF150RⅡ)と、マシンを4st150ccに乗り換えた#2本田七海(LUTZ with 中西建設(株)NH/ホンダ CRF150R)、そして実力を伸ばしている若手ライダーの活躍に注目が集まった。

レースは15分+1周の1ヒートで行われた。スタートで前に出たのは川井。続いて#6濵村いぶき(T.E.SPORT/ホンダ CRF150RⅡ)、#11穗苅愛香(TOMOレーシング&美蔵/ヤマハ YZ85LW)という順番でオープニングラップを通過した。川井は序盤から安定した走りでトップを快走。一方序盤2番手から4番手を占めていた穂苅、濱村、#10楠本菜月(ホンダ CRF150R)は、それぞれ転倒により戦線を離脱。後方から追い上げ2番手に上がった本田に、#4川上真花(bLU cRU YSP大阪箕面/ヤマハ YZ85LW)と#5瀬尾柚姫(TEAM HAMMER/ホンダ CRF150RⅡ)が接近し、2番手争いを繰り広げていく。本田は2人からのプレッシャーに耐えるが、レース終盤で川上と瀬尾が続けて本田をかわしていく。結果、川井、川上、瀬尾という順位でチェカーを受けた。なお、レース終了後、川井が国内競技規則 付則15 32-1-4に該当するとして失格となった。これによりリザルトが変更され、1位川上、2位瀬尾、3位本田という順位となった。

#4川上真花
「土曜日にジュニアクロスに出場したのですが、日曜日よりもコースが荒れていて、そこで事前に路面に慣れることができました。タイムアタック予選では、トラブルでラップタイムが見れなくて順位がわからないまま終えたので不安だったのですが、自分なりに走った結果トップタイムを出すことができて安心しました。予選でトップに立ったのが初めてだったので決勝前は少し緊張しましたね。でも、知り合いの人から『自分の練習通りに走ったら勝てるよ』という言葉をもらって、レース中もこの言葉が頼りになっていました。おかげで後半まで持つようにペースを調整したりと、冷静に走れました。ちょっとずつ自分のペースを掴んで走っていたら前を走る本田選手が近づいてきて、いけると思って、自分のラインを探して抜きました。後ろからのプレッシャーもすごく感じていたので、表彰台登れてよかったです」

#5瀬尾柚姫
「開幕ということで緊張して、さらにコースも自分の苦手とするコンディションだったので、スタートするまですごく不安でした。自分は中国地方に住んでいるのですが、中国地方には今回のコースにあるような縦に深いわだちがないので、経験したことがないコンディションでしたね。スタートしてからもギャップが多くて怖かったのですが、中盤くらいからいい感じに走れるラインを見つけて、調子が上がっていきました。前にいた川上選手を追い抜けなかったのが悔しいですが、不安があった中、表彰台に登れて嬉しいです」

JX

髙木が他を圧倒し開幕戦を制す

85ccと150ccマシンの混走で競い合うジュニアクロス決勝はA組とB組に分かれて開催され、予選の上位20名がA決勝、21位以下はB決勝に進んだ。

10分+1周で行われたA決勝は、#55髙⽊碧(bLUcRUレーシングチーム鷹/ヤマハ YZ85LW)が序盤からトップに立ちレースをリードしていく。同じく好スタートを決めた#31勝⼜聖太(GASGAS MC85)が髙木を追いかけるも途中で後退。高木が後方との差を開き単独走行へ持ち込んだ。一方、2番手には着実な追い上げを見せた#41⽊村優希(TeamPowerBand/カワサキ KX85)が浮上。3番手の#38杉本⼤駕(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ85)が木村の後ろに迫る場面もあったが、木村が逃げ切りゴールを果たした。結果、髙木、木村、杉本という順位でチェッカーを受けた。なお、髙木は2023年に第6戦を除く全ての大会で優勝を飾っており、クラスの中でも群を抜く存在。今季もその強さを発揮し連勝を重ねるのだろうか、注目が集まる。

B決勝は8分+1周で行われた。ホールショットを獲得したのは#8外間匠(T.E.SPORT Jr/ホンダ CRF150RⅡ)。続いて#89齋藤輪(CLUB Mr-BIKE/ヤマハ YZ85)が追いかける展開となった。外間がトップを走行するが、レース中盤で順位が入れ替わり齋藤がトップに浮上。荒れた路面に翻弄されるライダーが多い中、齋藤は冷静かつ安定したライディングでそのまま優勝を獲得。自身初優勝を飾った。

K65

深いわだちの攻略が優勝の鍵に

65ccマシンで戦うK65クラス。コースには深いわだちができており、その深さはタイヤが半分以上埋まってしまいそうなほど。ライダーには荒れた路面を攻略するテクニックが求められた。スタートで勢いよく前に飛び出したのは、#110岡野煌己(ヤマハ YZ65)。続いて#4齋藤極(CLUB Mr-BIKE/ヤマハ YZ65)、#717 ⽯橋叶翔(ハスクバーナ TC65)が追いかけていく展開となった。スタートで出遅れた石橋は、他のライダーと比べてベストラップが5秒以上速く、岡野と齋藤をかわしてトップへ浮上していく。ラインを見極める冷静な走りでそのまま後方との差を広げ、見事優勝を果たした。1位石橋、2位岡野、3位#86前原歩叶(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ65)という順位でフィニッシュ。

CX

マシン差を感じさせない、阿部と瀧本のバトルが白熱

排気量50cc以下のマシンで競われるチャイルドクロスは、国産車の4ストロークエンジンバイクで競うAクラスと、外国メーカー車両の2ストロークエンジン車両に加え、いくつかの許可された電動モトクロッサーで走るBクラスの2クラスが混合で行われる。

全14台が参戦する中、ホールショットを決めたのは#59広野康輝(KTM TOKAI RACING/KTM SX-E5) 。昨シーズンも勢いの良いスタートでレースをリードしてきたライダーで、今季も開幕戦からその強さを示した。コースはショートカットされたレイアウトで行われたが、フルサイズマシンで作られた深いわだちにライダーたちは苦戦を強いられる。そんな中、Bクラスの#91瀧本瑛介(KTM 50SX)とAクラスの#94阿部哲昇(MOUNTAIN RIDERS/スズキ DR-Z50)が各クラスのトップを快走していく。初めはそれぞれ単独で走行していたが、レース中盤では阿部が瀧本に迫りバトルを展開。両者のベストラップを見ると阿部が瀧本を3秒上回っており、マシンのパワー差を感じさせない走りで実力の高さを示した。

結果、Aクラスは1位阿部、2位#20飯島寧人(RHNY/スズキ DR-Z50)、3位#28亀山 蒼(Tortoise Racing/スズキ DR-Z50)という順位でフィニッシュ。Bクラスは瀧本が優勝し、瀧本以外は惜しくもDNFという結果でレースを終えた。

ファンバイククラス

初開催、マディコンディションがライダーを翻弄する

昨今注目度の高いファンバイク。マイルドな乗り心地のため初心者でも乗りやすく、モトクロス入門マシンとしても人気が高まっている。そして今回、ファンバイククラスが初開催。ライセンスを持っている人であれば誰でも参加可能で、オフロードバイクやレースを「楽しむ」という観点で開催された。エントリー数は計45名。決勝は予選の結果によってA決勝とB決勝の2組に分けて行われた。

A決勝には元全日本モトクロスIAライダーであり、2022年JNCCチャンピオンの#5馬場大貴(YSP浜松withBABANASHOX/ヤマハ TTR125)が参戦しクラスを盛り上げた。予選では#110島⽥優(PITシマユウ/ヤマハ TTR125)が馬場を抑えてトップ通過。決勝でもホールショットを決め、島田がレースをリードしていくと思われたが、マディコンディションに苦戦した多くのライダーが2コーナーでスタック。そこを抜け出てきたのが馬場であった。馬場は前に出るとそのまま後方を引き離し独走状態へ。他のライダーが2分15秒というベストラップを出す中、馬場は1人1分58秒を記録。マディへの対応力の高さを示した馬場が圧勝した。2位は島田、3位には#125増田健太(Ridge Cycle/ヤマハ TTR125LWE)が入りフィニッシュ。

一方、B決勝は#319奥田一貴(ダートバイクプラス札幌/カワサキ KLX110L)がスタートから前に出てトップを独走していく。A決勝と同様マディコンディションにより各所でスタックが見られたが、奥田はラインを見極め、マシンをスピードに乗せていく。周りを寄せ付けない速さで見事優勝。2位は#54田村昂陽(pitシマユウ/ホンダ XR100R)、3位は#86前原章二(S.A.Y racing/カワサキ KLX110L)が入りゴールを果たした。

エンジョイクラス

大内が群を抜けた速さを見せつける

昨年に引き続き2回目の開催となったエンジョイクラスは、計34名が参加した。A決勝では、予選で他のライダーに10秒以上差をつけてトップ通過を果たした#23⼤内健⼋(城北ライダース/ヤマハ YZ450F)がホールショットを獲得。そのままトップを単独で走行していく。大内は安定したライディングで周回を続け、2番手を38秒引き離してゴール。攻略の難しいマディコンディションの中、他を圧倒する速さを見せつけた。

B決勝は、スタート直後から#2今⻄良雄(⼤洋レーシング/ヤマハ YZ250F)と#51田中徳次(バンザイダート/ホンダ CRF250R)が両者横並びのトップ争いを展開した。しかし今西はポジションダウン。後方から追い上げた#117 大熊隼介(FROLIC’S/ヤマハ YZ125)が田中をかわしトップに浮上した。大熊はモトクロスを始めて1年目というライダーだが、安定感のある走りでトップを快走し、結果1位大熊、2位田中、3位には#4織田道武(和敬清寂/ヤマハ YZ250F)でチェッカーを受けた。

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HSR九州大会

次戦は熊本県HSR九州にて、第2戦と第3戦を2大会連続で開催。
日程は4月20日(土)と21日(日)で、20日に第2戦を、21日に第3戦を行います。
ライバルの実力が明らかになった開幕戦。ここからさらに勢いをつけてくるであろうライダーたちの熱きバトルを、ぜひ会場でご観戦ください。

D.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ2024 第2戦・第3戦HSR九州 大会情報

第2戦・第3戦(4/20〜4/21)
◾️D.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ2024 第2戦・第3戦HSR九州 大会情報
https://mspro.jp/jmx/2024r2-r3
◾️D.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ2024 第2戦・第3戦HSR九州 チケット発売中
https://mspro.jp/product-category/shop/ticket/jmx-ticket

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