2025年最終戦から約4ヶ月ほどのオフシーズン期間を経て、3月15日、D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2026が幕を開ける。2025年は4月に開幕戦が行われていたため、今年は昨年よりも1ヶ月早い開幕となる。
初開催のいなべモータースポーツランド
会場は三重県にあるいなべモータースポーツランド。中部地方で全日本モトクロス選手権が行われるのはなんと30年ぶりで、いなべモータースポーツランドでの開催は初めてである。同会場のモトクロスコースは、中日本モトクロス選手権(旧 中部/近畿モトクロス選手権)で使用されているため、中部地方のライダーにとっては馴染みが深い。一方、中部地方以外のライダーは走る機会が少なく、オフシーズンには開幕戦に向けて乗り込んでいるライダーの姿が多く見られた。
路面はハードパックで滑りやすく、アップダウンのあるレイアウトが特徴。「SoCal MXTFリズム」や「ダートフリークウェーブ」などと名前がついた多彩なリズムセクションがあり、ライダーがどう攻略するかは一つの見どころだ。また、スタートから1コーナーまでの距離が短くタイトなため、スタートで前に出ることがその後のレース展開に大きく響くだろう。
3クラス、1DAY開催
https://mspro.jp/timeschedule/jmx2026r1.html
全日本モトクロス選手権は通常土曜日と日曜日の2日間に渡って行われるが、開幕戦は予選と決勝を1日で行う1DAY開催となる。公認クラスであるIA1・IA2・レディースクラスのみの開催とし、IA1クラスは15分+1周の3ヒート制、IA2クラスは30分+1周の2ヒート制、レディースクラスは15分+1周の1ヒート制とそれぞれレース形式が異なる。15分+1周は時間が短い分スタートからフィニッシュまで速いペースでのバトルが見どころとなる一方、30分+1周はレース前半と後半、どこで仕掛けるかというライダーの駆け引きや戦略がレース展開に表れやすい。レース形式ごとの展開の違いにも注目すると、観戦がさらに楽しくなるだろう。
IA1
新体制のライダーが多い2026年、開幕戦で見える勢力図
全日本モトクロス選手権の中でも最高峰のクラスである「IA1」。2026年はライダーのメーカースイッチや体制変更が多く見られ、初戦はその勢力図が示される重要な一戦となる。

各メーカーのチーム体制を見ると、2025年にチャンピオンを獲得した#1大倉由揮(Honda Dream Racing Bells/ホンダ CRF450R)は昨年と同様「Honda Dream Racing Bells」から参戦する。オフシーズン期間にはヨーロッパでトレーニングを重ねており、タイトル防衛に向けて準備を整えてきている。また、ホンダのライダーとして#4大塚豪太(T.E.SPORT/ホンダ CRF450R)も着実に実力を伸ばしてきているライダーだ。2025年は自身最高位となるランキング4位でシーズンを終えており、今季も上位争いに絡んでくると予想される。さらに、#110 渡辺祐介(TEAM YUSUKE with CARRY/ホンダ CRF450R)がヤマハからホンダにマシンを乗り換え、「TEAM YUSUKE with CARRY」から出場する。新たなマシンとチーム体制で挑む今季はどのような活躍を見せるのか、その走りに注目が集まる。

なお、昨年第6戦と最終戦にスポット参戦したタイ出身の#23JIRAJ WANNALAK(Honda HRC Asia/ホンダ CRF450R)(通称:ニモ)も開幕戦に出場する。第6戦ではレースをリードし、トップ争いを展開する場面もあっただけに今季のチャンピオン候補の一人となるだろう。


ヤマハのファクトリーチーム「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」は、2023・2024年チャンピオンの#2ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY RACING TEAM/ヤマハ YZ450FM)に加えて、新たに#3⼤城魁之輔(YAMAHA FACTORY RACING TEAM/ヤマハ YZ450FM)を迎え入れ、2台体制でIA1クラスに挑む。ウィルソンは2025年最終戦ヒート1で転倒、怪我によりリタイアを余儀なくされた。チャンピオン獲得目前でのリタイアに悔しさを滲ませていたが、この経験を糧にさらに力を入れて開幕戦に臨んでくるだろう。一方、大城は第4戦で優勝を獲得して以降毎戦表彰台に登り、2025年シリーズランキング3位を獲得。オフシーズン期間にはニュージーランドでトレーニングを積み、ニュージーランド選手権MX1クラスにスポット参戦、第3戦と第4戦に出場し、最高5位を獲得しており、さらに成長した姿に期待がかかる。
また、ヤマハのレースサポートプログラム「BRU CRU(ブルークルー)」のサポートライダーとして#7浅井亮太(BLUCRU YSP浜松BOSSRACING/ヤマハ YZ450F)が出場する。2025年はIA2クラスからIA1クラスにステップアップしたデビューイヤーであったが、最高3位を獲得。2年目は450ccマシンにも乗り慣れ、さらに飛躍するだろう。

カワサキのファクトリーチーム「Team Kawasaki R&D」も体制を変更。2025年シリーズランキング5位の#97内⽥篤基(Team Kawasaki R&D/カワサキ KX450SR)をファクトリーライダーとして新たに起用し、今シーズンを戦う。内田は2025年開幕戦で2・3位を獲得。後半戦は転倒や怪我に悩んだものの、トップ争いを展開する勢いのあるライダーだ。念願のファクトリー入りを果たした内田がどんな走りを見せるのか、開幕戦に注目が集まる。
さらに、#311西條悠人(Kawasaki PURE TECH Racing/カワサキ KX450)は、昨年IA2クラスからIA1クラスに上がり、1年目ながら最高2位を獲得する活躍を見せた。2年目はさらに勢いを増した走りを見せてくれるだろう。
スズキを見ると、#793池⾕優太(Team SSC/スズキ RM-Z450)がマシンをホンダからスズキに乗り換え、「Team SSC」から出場する。近年スズキのチーム体制に大きな動きが見られることはなかったため、今季のニュースの中でも注目を浴びた。池谷の昨年のシリーズランキングは12位。新たな環境、新たなマシンでの活躍は見逃せない。
さらにビッグニュースとして、2022年IA1チャンピオンの#317富田俊樹(Blue Lab./ヤマハ YZ450F)が第1戦にスポット参戦する。2022年を機に引退を表明していた富田だが、開幕戦の前哨戦となる中日本モトクロス選手権第1戦に出場すると、現役IAライダーを抑えて総合5位を獲得。開幕戦でもトップ争いに絡んでくる可能性は大いにある。
IA2
チャンピオン不在、誰が最初の勝者になるのか
IA2クラスでは、2024・2025年でチャンピオンに輝いた中島漱也が、今シーズンは日本を離れオーストラリア選手権にフル参戦することを発表した。これにより、IA2クラスはチャンピオン不在の中、シーズンを迎えることとなる。

#55田中淳也(YAMAHA BLUCRU RACING TEAM YSP浜松BOSSRACING/ヤマハ YZ250F)は昨シーズン中島とトップを争った存在であり、2025年第3戦では自身初優勝を獲得。シリーズランキング2位でシーズンを終え、クラス内でその存在感を示した。開幕前のオフシーズン期間はニュージーランドでトレーニングを積んでおり、今年もさらなる成長を見せてくれるだろう。

また、昨シーズンに17歳という若さで初優勝を獲得した#46吉田琉雲(Bells Racing/ホンダ CRF250R)にも注目したい。第6戦のヒート1をマシントラブルによりリタイア、ヒート2に怒涛の追い上げでトップチェッカーを受けたシーンは劇的であり、吉田の速さが明確に示された瞬間だった。
さらに、今季ホンダのサテライトチーム「Honda Dream Racing」に所属した#51柳瀬⼤河(Honda Dream Racing/ホンダ CRF250R)や、マシンをカワサキに乗り換えた#240横澤拓夢(Kawasaki PLAZA 盛岡 TKM motor sports/カワサキ KX250F)、2025シリーズランキング3位の#122鴨田翔(Kawasaki PLAZA 東大阪/カワサキ KX250)など、実力が拮抗した顔ぶれが揃っている。
なお、IB OPENから昇格したIAルーキーライダーにも注目が集まる。全日本の舞台ではシリーズランキング上位5名という狭き門を勝ち抜いた5人、#01笹⾕野亜(Kawasaki PLAZA 盛岡 TKM motor sports/カワサキ KX250)、#02島袋樹⺒(Yogibo PIRELLI MOUNTAIN RIDERS/カワサキ KX250F)、#03名島玖⿓(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ250F)、#04髙⽊碧(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ250F)、#05外間⼤詩(T.E.SPORT/ホンダ CRF250R)が全員IA2クラスに出場する。デビュー戦でどんな走りを見せるのか、こちらも目が離せない。
LMX
混戦が予想される開幕戦

レディースクラスは、2025年に自身5度目のチャンピオンに輝いた#1川井⿇央(T.E.SPORT/ホンダ CRF150RⅡ)がさらなる連覇を狙う。一方、2019年チャンピオンであり、2024年に川井と激しいチャンピオン争いを繰り広げた#33本⽥七海(TEAM KOH-Z/ヤマハ YZ85LW)がエントリーリストに名を連ねている。昨年はIB OPENクラスと海外への挑戦をメインに活動をしていたため、今回は1年ぶりのレディースクラス出場であり、チャンピオン候補の一人となるだろう。
さらに、2025年最終戦で川井を抑えて優勝を果たした#14川上真花(YSP浜松 BOSS RACING/ヤマハ YZ85LW)やシリーズランキング2位の#2箕浦未夢(Team ITOMO/ホンダ CRF150RⅡ)、昨年初表彰台を獲得した#3⼤久保梨⼦(チームゆめチャンネル&331/KTM 85SX)、#4穗苅愛⾹(BLU CRU TOMOレーシング/ヤマハ YZ85LW)、#6松⽊紗⼦(Yogibo PIRELLI MOUNTAINRIDERS/カワサキ KX85)など、各ライダー成長を続けており、今シーズンも混戦になるだろう。
大会を盛り上げるコンテンツが充実
30年ぶりの中部大会、いなべモータースポーツランドでは初めての開催ということで、レースだけでなく大会を盛り上げるためのコンテンツが多く用意されている。その一つがフリースタイルモトクロス(FMX)ショーの併催だ。
レースの合間にFMXデモンストレーションを実施予定。空中でトリックを披露するFMXは、モトクロスとはまた違った迫力と華やかさが魅力で、今回デモに出演するのは、DAICE、KOHTA、GONTA、WAKAという国内外のFMXシーンで活躍するライダーたちだ。さらにMCはFMXでおなじみのワダポリス、そしてDJはHAJIMEが担当。音楽とマイクパフォーマンスで演出されるFMXショーでは、レースとはひと味違うエンターテインメントを楽しむことができる。
さらに、大会アンバサダーに就任した梅本まどかさんと難波祐香さんが、スタート15秒前ボードの掲示や表彰式への登壇などで大会を盛り上げる。さらに15秒前ボードを掲げることができる「カウントダウンキッズ」の募集や、9人のバイク系YouTuberの来場、自衛隊偵察用オートバイKLX250の展示・記念撮影など、レース観戦だけでなくイベントとしても一日楽しめる内容となっている。
いよいよ今週末に迫る開幕戦。果たして誰が最初の勝者となるのか、2026年シーズン最初の戦いに注目だ。
◾️D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2026 第1戦中部大会 ダートフリークカップ 大会情報
