11月1〜2日、D.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ2025はついに最終戦を迎えた。全クラスのチャンピオン決定がかかった今大会。誰がタイトルを手にするのか、各ヒートレースの行方に注目が集まった。また、IAクラスには2025年FIMモトクロス世界選手権MXGPクラスチャンピオンのロマン・フェーブルをはじめ、海外ライダー4名がスポット参戦。世界で活躍するライダーたちの走りを一目見ようと多くの観客が集まり、熱気に包まれた。
会場は宮城県にあるスポーツランドSUGO。前日の夜から朝にかけて降った雨の影響により、土曜日はヨーロピアンセクションや大坂をカットしたショートカットコースが設定され、各クラスの予選とIB OPENクラス・ジュニアクロスの決勝レースが行われた。日曜日には路面状況は回復し、ベストコンディションとなった。
日時:2025年11月1〜2日
会場:スポーツランドSUGO(宮城県)
天候:雨のち晴れ/晴れ
IA1
世界王者ロマン・フェーブルが完全勝利。大倉由揮が逆転で初のIA1チャンピオンに輝く
IA1クラスには、MXGP世界チャンピオンの#3ロマン・フェーブル(Team Kawasaki R&D/カワサキ KX450SR)、#118バレリオ・ラタ(HONDA HRC/ホンダ CRF450R)、#47ジラッジ・ワナラック(Honda Racing Thailand Team/ホンダ CRF450R)がスポット参戦。また、ランキング首位の#1ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY RACING TEAM/ヤマハ YZ450FM)は、このヒートでタイトル決定の可能性があり、レースの行方に多くの注目が集まった。


ヒート1、フェーブルがホールショットを決めレースをリード。序盤で後方との差を開き、独走状態を築く。2番手にはラタが続き、3番手に#8 大城魁之輔(YAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松/ヤマハ YZ450F)、4番手に#4大倉由揮(Honda Dream Racing Bells/ホンダ CRF450R)。ウィルソンは6番手あたりから追い上げる展開となったが、すぐに3番手にまで順位を上げ、トップ2人を追いかける。レース時間が9分を過ぎる頃、ウィルソンがヨーロピアンセクションで転倒。これにより負傷したウィルソンは、ピットへ入ると、そのままリタイアを余儀なくされた。結果、トップのフェーブルは2分01秒台を刻むペースで走行し、後方と20秒近い差をつけてトップチェッカー。2位にラタ、3位には順位を上げた大城が入賞した。
なお、ウィルソンがヒート1をノーポイントで終えたことにより、8位でゴールした大倉がウィルソンとのポイント差を一気に10ptにまで縮める結果となった。その後、ウィルソンは負傷によりヒート2の欠場を決めたため、大倉は23位以内に入れば逆転でチャンピオンを獲得、また大倉の順位によってはランキング3位の大城にもチャンスが巡ってくるという状況でレースを迎えた。


ヒート2でもフェーブルがホールショットから圧倒的な速さでトップを快走。2番手にラタ、3番手に大城、4番手に大倉が続く。レース中盤には追い上げてきた#37 西條悠人(Kawasaki PURETECH Racing/カワサキ KX450)が大倉をかわして4番手へ浮上。大倉は5番手に下がるが、冷静にペースを維持する。トップ3台の間隔が開く中、レース終盤には#10内田篤基(Yogibo PIRELLI MOUNTAIN RIDERS/カワサキ KX450)が大倉と5番手争いを展開。一時内田が前に出るが、大倉はすぐにポジションを取り戻し5位を死守。結果、トップのフェーブルは2ヒート連続で優勝を獲得。ラタが2位、大城が3位となり、大倉は5位でフィニッシュ。この結果、大倉が初のIA1チャンピオンに輝いた。

#3ロマン・フェーブル(Team Kawasaki R&D/カワサキ KX450SR)
「日本に来るのは3回目で、SUGOを走るのは2回目だね。レース前にはカワサキの方々に会ってMXGPチャンピオン獲得をお祝いしてもらう機会があったり、日本に来られて嬉しく思うよ。コースコンディションは簡単ではなくてチャレンジングだった。朝はまだ雨の影響が残っていてマディの部分もあったけど、午後にはベストな状態だったね。ヨーロッパのコースと比べると一部コーナーがタイトだったりして違いはあった。今回はマシンのパーツテストも兼ねていて、レースを通して良い情報を手に入れることができた。またヒート1で感じたことをフィードバックしてヒート2に生かし、さらに調子よく走ることができた。予選では大倉選手が前を走っていたり、決勝では大城選手が3番手にいることは見えていた。難しいコースコンディションの中でこれだけ走れる日本のレベルを実感したよ」

#118バレリオ・ラタ(HONDA HRC/ホンダ CRF450R)
「日本に来るのは初めてですがとても気に入ったし、ヨーロッパとは異なる環境で良い経験になった。コースはわだちやギャップが多くて、世界選手権にも似ている部分を感じたよ。土曜日の予選はスターティンググリッドを選ぶ順番が後ろの方で、アウト側になったこともあってスタートで少し出遅れてしまった。450ccでのレースはイタリア選手権以来2回目で、普段は250ccに乗っているからマシンの違いはあったけど、走ったフィーリングはよかったから、そのままの調子で決勝に挑むことができたよ。目標は優勝することだったけど、世界チャンピオンのフェーブルにはまだ追いつけなかった。彼についていこうと頑張ったけど、4〜5周で離されてしまったね。これも良い経験になったし、2位で終えられてよかったと思う」

#8 大城魁之輔(YAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松/ヤマハ YZ450F)
「ここ最近マシンも走りも調子が良くて、今回は両ヒート3位。今シーズン通して取り組んできた課題を良いかたちでまとめて終えることができたのかなと思います。今回達成できた課題としては、まず2ヒートの結果を表彰台でまとめること、スタートで安定して前に出ること、転倒などで順位を落とさないことですかね。特にスタートは、マシンも自分のスタートスキルにも自信があって、メンタル面で強く挑めたのが良いスタートに繋がったと思います。今回は世界選手権から2人のライダーも来ていたので、本当はもう少し絡んでいきたかったですし、序盤でもっとトップに絡んでいくというのは今後の課題です。ただ途中食らいついていける場面もあったので、そこは自信に繋げて、シーズンオフの練習に取り組んでいきたいです。シーズン通して成長できた感覚があるので、成長を止めずに、来シーズンはさらに高い次元でチャンピオンシップ争いをしたいです。このシーズンオフで二皮くらい剥けてきます!」

#4大倉由揮(Honda Dream Racing Bells/ホンダ CRF450R)
「ヒート1でジェイさんの転倒を見てからチャンピオン獲得がかかっていることを本格的に意識し始めて、身体が言うことを聞かなくなるくらい固くなってしまいました。人生で一番乗れていなかったですね。予選でトップに立った時に頑張りすぎてしまって、強烈な腕上がりに襲われました。僕自身レース前半はペースが遅いタイプなのですが、予選で序盤からスパートかけたダメージはかなり大きくて、決勝当日にも残ってしまって、それだけ普段のトレーニングが足りていないんだなというのも実感しました。ヒート2が始まる前にすでにチャンピオン獲得のチャンスが近づいていることは知っていたので、確実にチャンピオンを獲りにいきたいという思いで挑みました。25分がとてつもなく長く感じましたね。スタートで出られたので、その後はミスのないように守りに入ってしまいましたが、1年間戦ってきて勝ち取れたチャンピオンというのは、いろんな感情が込み上げてきましたね。最終周のルンバルンバあたりから感極まってきて、フィニッシュ前のサインボードエリアでメカニックたちが喜んでいる姿を見て、半分泣いた状態でゴールしました(笑)。来年はIA1クラスで初めてのゼッケン1番になるので、自分がどこまでいけるのか、また気持ちを新たに頑張りたいと思います」
IA2
中島がシリーズチャンピオン2連覇を果たす


IA2クラスは、#1中島漱也(YAMAHA BLU CRU RACING TEAM TAKA/ヤマハ YZ250F)がヒート1を5位以上でフィニッシュすれば、その時点でシリーズチャンピオンが決定するという状況。緊張が走る中で迎えたヒート1、スタートで前に出た#53ブライアン・シュー(AutoBrothers/GASGAS MC250F)が先頭に立ちレースをリードし、2番手に中島、3番手に#4田中淳也(YAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松/ヤマハ YZ250F)がつき追いかける展開。シューはすぐに差を広げ単独走行に持ち込む。一方、レース時間が6分を経過する頃、#14吉田琉雲(Bells Racing/ホンダ CRF250R)が田中をパスすると、そのまま2番手を走る中島もかわして順位を上げる。さらに#2横澤拓夢(TKM motor sports いわて/ホンダ CRF250R)が田中と中島を攻略し、3番手へ浮上。#5柳瀬大河(TKM motor sports いわて/ホンダ CRF250R)も追い上げを見せ、横澤、中島、柳瀬による三つ巴のバトルが繰り広げられる。レース時間残り5分というところで3位に立ったのは柳瀬。横澤が追いかけるが、ミスによりペースダウンした隙に中島が再び前に出る。3番手争いは柳瀬がリードし、最後まで中島との攻防戦が展開されるが、結果1位シュー、2位吉田、3位柳瀬という順位でフィニッシュ。中島は4位でレースを終え、IA2クラス2年連続チャンピオンを獲得した。

ヒート2、すでに2連覇を決めた中島がスタート直後の大坂でトップに立ち、横澤、吉田、田中が後に続く。一方、ヒート1の勝者であるシューはスタートで出遅れ追い上げを強いられる。中島が快調な走りで後方を引き離す中、シューは徐々にポジションを上げていき、レース時間6分がすぎる頃には田中をパス。さらに横澤と吉田との距離を縮め、3台による2番手争いが繰り広げられる。ラインをクロスしながらの攻防戦が白熱するが、ヨーロピアンセクションでのミスにより横澤が4位に後退。シューが一気に2番手に上がり、吉田がその後ろを追いかける構図となった。レース終盤、シューがコースアウトするミスにより吉田が2位に浮上。しかしその後吉田も転倒し、シューが再び2番手を奪取。結果、中島が余裕のある走りで優勝を獲得。2位シュー、3位吉田という順位でゴールした。

#1中島漱也
「2連覇、最高です。正直決勝の朝からチャンピオンを意識していて、ヒート1はかなり緊張していました。スタートは出たのでいつも通りいこうと思っていたのですが、一回転倒しそうになって。そこから一気に身体が固くなって思ったように動かなくて、ミスを連発して、攻めることができませんでした。ヨーロピアンセクションがかなり荒れていて、何度かミスをしたことでリズムが崩れましたね。ラスト5分くらいで良いラインを見つけて徐々にリズムを取り戻したのですが、結果は4位。レースを終えた直後はチャンピオンが決定してほっとした気持ちと、勝って決めたかった悔しさが半分ずつある複雑な感情でしたが、2連覇を達成できてよかったです。ヒート2はただバイクを楽しむという気持ちでレースができました。前に誰もいない状態でずっとトップを走れることはそうないので、楽しかったし気持ちよかったです。今シーズンはディフェンディングチャンピオンとしてIA2クラスを走るという難しい状況でした。特に前半戦ではブライアン選手との差を大きく感じましたが、シーズン後半にかけて段々と食らいついていけるようになって勝つこともできて、一戦ごとに成長を感じることができた1年でした」

#53ブライアン・シュー
「コースは荒れていたけど、僕にとっては好きなコンディションだった。特に奥のヨーロピアンセクションはわだちが多くて、ラインなどかなり考えて走った。難しい路面ではあったけど、ミスなくスピードを乗せて走ることができたよ。ヒート2は自分のミスも多くてトップにまでは届かなかったけど、2位で終えることができてよかったと思う」

#14吉田琉雲
「今回の路面はわだちが多くて、自分にとって得意なコンディションでした。コース自体元々得意な印象だったので自信もありました。実際に走ってみて体力的にも最後までタレることなく、体力も残っていました。ヒート1はエキパイが割れるトラブルがあって、後半はマシンの様子を見てペースを落としながら走って、後ろのライダーとの差も気にしていたのですが、思ったよりも縮まらなくて3位に入れました。ヒート2はスタートから前に出れましたが後ろからブライアン選手が迫ってきたりとかなり接戦で、正直ヒヤヒヤしながら走っていました。結果3位ですが、両ヒート表彰台でまとめることができたのは初めてなので嬉しいです。ランキングが池田選手と接戦で、ヒート1を終えた時点で4ポイント差で追うかたちだったのですが、ヒート2の結果ランキング5位に上がることができてよかったです。今シーズン、表彰台や優勝の経験を通して成長を感じましたし、自信をつけて終えることができました」

#5柳瀬大河
「3位で表彰台に立てて嬉しい気持ちもありますが、悔しさも残ります。ヒート1は前にいるライダーが見えていて、自分のペースも良いと感じていたので、調子よく3位にまで追い上げることができたのはよかったです。ただ2位の琉雲(#14吉田)は年下ですし、同じホンダに乗っているライダーなので負けたくないという思いがあってアタックしたのですが、追いつくことができませんでした。ヒート2は7位で、両ヒートまとめることができずに最終戦を終えるかたちとなりました。悔しいですが、来シーズンも自分ができることを精一杯やるだけだと思うので、全力を尽くしていきたいと思います」
IB OPENクラス
笹谷が接戦を制しチャンピオン獲得、IA昇格ラインは最後まで混戦に
シリーズチャンピオン、そしてIA昇格枠(ランキング上位5位以内)が接戦となっているIB OPENクラス。土曜日の夕方にヒート1、日曜日の午前中にヒート2が行われ、ヒート1は雨の影響によってヨーロピアンセクションをカットしたレイアウトが設定された。

15分+1周で行われたヒート1、好スタートを決めた#15酢崎友哉 (成田MXパーク アシタプランニング/カワサキ KX450)が1周目をトップで通過し、#9藤本琉希亜 (ウィリー松浦 with AXIS/ヤマハ YZ250)と#91永澤匠真(YSP浜松 with BABANASHOX/ヤマハ YZ125)が追いかける展開となった。序盤で永澤が藤本をかわすと、そのままペースを上げ、レース時間8分が経過するころに酢崎をパスしトップに浮上する。一方、#57髙木碧(BLUCRUレーシングチーム鷹/ヤマハ YZ125)と#2島袋樹巳 (Yogibo PIRELLI MOUNTAIN RIDERS/カワサキ KX250F)の追い上げも凄まじく、序盤で髙木が4番手を走る#10鎌倉大樹(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ450F)をパスすると、島袋もそれに続いて順位を上げる。さらに3番手を走る藤本に髙木が迫ると、後方から追いかける島袋も加わり3台による表彰台争いを展開。攻防戦を抜け出した髙木は、さらにペースを上げて2位の酢崎との差を詰めていくと、勢いに乗って2番手に浮上。後方から追い上げた島袋も酢崎をパスし、永澤、髙木、島袋というトップ3台でレース終盤を迎える。このままの順位でゴールするかと思われたが、島袋が転倒し後退。3番手に藤本がつくが、最終ラップで追い上げてきた#14笹谷野亜(TKM motor sports いわて/ホンダ CRF250R)が藤本をかわしポジションを奪う。結果1位永澤、2位髙木、3位笹谷という順位でフィニッシュ。ランキングトップの笹谷が島袋よりも12ポイント差を広げることとなった。

ヒート2はフルコース使用してのレースが行われた。スタートで前に出たのは笹谷、酢崎、髙木。酢崎が先頭に立つが、すぐに髙木がトップを奪う。さらに笹谷も酢崎をかわし、髙木、笹谷、酢崎の順で1周目を通過。混戦のヒート1から一転、トップ3台は徐々に差が開き、単独走行となっていく。ここで怒涛の追い上げを見せたのが永澤だ。スタートで出遅れ10番手あたりにつけるが、周回を重ねるごとに着実にポジションを上げ、最終ラップには酢崎の背後に迫る。表彰台をかけて両者粘り強い攻防戦を繰り広げる中、永澤が酢崎の隙をついてパス。結果、髙木がトップを譲ることなく優勝を獲得。2位に笹谷、3位に永澤が入賞した。

ヒート2で笹谷が島袋よりも上位でゴールしたことにより、シリーズチャンピオンは笹谷が獲得。毎戦上位を走る速さと安定感が結果に繋がった。また、IAクラス昇格枠となるランキング5位までを見ると、2位が島袋、3位は#58名島玖龍(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ250F)、4位には最終戦総合1位という成績により順位を上げた髙木、そして5位は#54外間大詩(T.E.SPORT/ホンダ CRF250R)という結果になった。

#14笹谷野亜
「第6戦を終えた時点でIA昇格は決まっていたので、あとはやるだけだと思って挑みました。周りから2ポイント差だねと声をかけてもらうことが多くて、それでかなり意識していて、プレッシャーとの戦いでした。前の週から心臓がバクバクでした。事前練習でマディとドライ、どちらのコンディションも走ることができて、自信もあったのですが、予選は全然上手く乗れなくて難しかったです。ヒート1のはじめは緊張で特に身体が固くなってしまったのですが、島袋くんに抜かされて、このままだとやばいと自分にも火がついて、追い上げることができました。チャンピオンになれた実感はまだないですね。本当は勝って終わりたかったですが、とりあえずチームの地元で両ヒート表彰台に登れたので一安心しています。来年01番ゼッケンをつけて走るのはまた違うプレッシャーがあると思いますが、シーズンオフでさらに練習を重ねて、開幕戦で良い結果が残せるようにしたいです」

#57髙木碧
「結構タフなレースでした。練習から調子はよかったので自信はありましたが、ヒート1は追い上げで2位。ヒート2がある日曜は、朝の公式練習で吹っ飛んでしまって身体も痛かったのですが、久しぶりにスタートから前に出ることができて、序盤からトップを走れて、納得のいくレース展開でした。ポイントランキングも4位に順位を上げることができてよかったです」
LMX(レディースクラス)
粘りの追い上げで川上が劇的な逆転勝利。川井が自身5度目となるチャンピオンを獲得
これまで6戦中6勝を飾り、シリーズ全勝に王手をかけていた#1川井麻央(T.E.SPORT/ホンダ CRF150RⅡ)は、このレースで完走し30位以内に入ればチャンピオンが決定するという状況でレースを迎えた。川井自身の目標でもある「全戦全勝」を達成するのか、ライバルたちがそれを阻止するのかに注目が集まった。

決勝レース、好スタートを決めて前に出たのは#23鈴村永愛(バイカーズステーション金沢レーシングwith MOTUL/ホンダ 150RⅡ)と#4楠本菜月(TEAM HAMMER/ホンダ CRF150R)。その後方に川井と#8穗苅愛香(BLU CRU TOMOレーシング/ヤマハ YZ85LW)、#3川上真花(BLU CRU YSP大阪箕面/ヤマハ YZ85LW)、そして予選をトップ通過した#6箕浦未夢(TEAM ITOMO/ホンダ CRF150RⅡ)が続く。

1周目からトップ争いが混戦となる中、ヨーロピアンセクションで穂苅がトップに浮上。さらに川井が2番手に上がり、穂苅、川井、川上、箕浦という順位でレースが進む。2周目に入った直後に川井が穂苅をかわしてトップに浮上。さらに箕浦と川上も穂苅に迫り接近戦を繰り広げる。2番手争いが白熱する中、フィニッシュジャンプで川上と接触した箕浦が転倒。順位を落とし、戦線離脱する展開となった。川井、川上、穂苅という上位3名が固まりつつあったが、トップを走る川井を川上が猛追する。終盤にはその差を1秒切るほどにまで縮めると、ファイナルラップで攻防戦を展開。川井がトップを守る走りを見せるが、ルンバルンバ手前の進入で川上がインに入り川井をパス。そのまま逃げ切りトップでチェッカーを受けた。結果は川上、川井、穂苅という順位でフィニッシュ。川井は全勝こそ逃したが、全7戦中6勝という結果で自身5度目となるシリーズチャンピオンを獲得した。

#1川井麻央
「第6戦の怪我の影響もあって、予選日の昨日までバイクに乗らずに挑むかたちになりました。全勝を狙っていたのでレースは負けて悔しいです。後ろから川上選手が迫ってきていることはわかっていたし、抑えたいという気持ちもありましたが、自分自身良い走りができていなかったです。何か一つでも欠けてしまうと勝てないということがわかったので、さらに強くなれると思います。最後まで走り切ることができて、チャンピオンを獲得できて嬉しいです。5回目のチャンピオンですが、毎回チャンピオンを獲るのは難しいし、今年は東福寺さんの件もあったりと特に色んな思いを持って挑んだので、結果良い報告ができたと思います」

#3川上真花
「序盤は箕浦選手が力強い走りで攻めてきて抜かされてしまって、これは圧で負けていると思って少し焦りました。ただ、最終コーナーで箕浦選手がアウト、穂苅選手が私と違うラインに入ったので、ここでいけると思ってインに入りました。その時、コーナー出口で滑ってアウトに少し寄ってしまって、箕浦選手と接触をしてしまったのですが、2番手に上がることができました。この時点でトップと差が開いていたのでまたぶっちぎられてしまう……と一瞬気持ちが落ちてしまったのですが、レース前にお兄ちゃんからもらった『最後まで諦めずに走れば勝てる』という言葉を思い出して自分を鼓舞させました。ラスト2周あたりでだいぶ距離が詰まってきて、ヨーロピアンセクションでアタックしようかと思いましたが、そこは川井選手の方が速かったので、自分も同じラインをついていって離されないようにして、自分が速いと思っていたルンバルンバ手前のコーナーで抜かそうと決めていました。ここで失敗したらもう勝てないと思いましたが、なんとかトップに立つことができました。優勝できて本当に嬉しいです。」

#8穗苅愛香
「練習走行で転倒したりと正直自信はあまりなかったのですが、第2戦のSUGO大会で表彰台に登った経験があったのでチャンスはあると思っていました。スタートで出遅れてしまったのですが、ヨーロピアンセクションでライン取りが上手くいって前に出ることができました。後ろから迫られることは予想していましたが、思っていたよりも速い段階で抜かされてしまい悔しいです。後ろが離れていることはわかっていたので、3位になってからはミスのないよう自分の走りに集中しました。トップとはベストラップタイムの差が10秒ほどあってかなり離されてしまいましたし、ルンバルンバで派手に転倒してしまったのですが、最終戦を表彰台で終えることができてほっとしています」
JX(ジュニアクロス)
伊良皆がトップを快走、2位争いは超接戦に
ジュニアクロスは10分+1周。前夜の雨の影響により、大坂とヨーロピアンセクションをカットしたショートカットコースでレースが行われた。

全19台が出場する中、#25伊良皆⿓翔(GASGAS MC85)が1コーナーでトップに立ちレースをリードする。#8外間匠(T.E.SPORT Jr./ホンダ CRF150RII)が2番手につけるが、スピードダウンしたことにより2番手に#33 Aranchai Prayongrat Aranchai PRAYONGRAT(通称:アランチャイ)(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ85LW)、3番手に#36太⽥結⾺(ガレージクローバーレーシングサービス/ヤマハ YZ85LW)という順位で1周目を通過する。トップの伊良皆は3周目には後方と10秒以上差をつける速さで単独走行に。一方2番手以降はアランチャイ、太田、外間、#55岩渕琉真(TEAM⻑野塾/ヤマハYZ85)の超接戦となる。アランチャイがミスにより後退し、上手く抜け出した外間と岩渕が 2番手争いを繰り広げる。周回を重ねるごとに徐々に外間がリードを拡大するが、レース終盤に外間のペースが落ちて後退。混戦の末、1位伊良皆、2位岩渕、3位には順位を上げた#15浅井⼤翔(フライングドルフィンサイセイレーシングメイト/ヤマハ YZ85LW)が入賞しレースを終えた。
CX(チャイルドクロス)
深いわだちを攻略した松本が圧倒的な強さを見せる

チャイルドクロスは排気量50cc以下の国産4ストロークエンジンバイクで競うAクラスと、外国メーカーの2ストロークエンジン車両に加えていくつかの許可された電動モトクロッサーで走るBクラスが設定されている。今大会はBクラスに該当するライダーの参戦はなく、Aクラスのみの開催となった。
ホールショットを獲得したのは#3⽯垣嵐⼠(スズキ DR-Z50)。続いて#27⽥中悠惺(Team Pitin/スズキ DR-Z50)や#23松本 有⽣(T.E.SPORT Jr./ホンダ CRF50F)らが追いかける。しかし、深いわだちが掘られたフィニッシュジャンプ直後のコーナーで石垣が転倒。ここで順位が大きく変動し、松本がトップ、2番手に田中が浮上する。3周目には田中も転倒を喫し後退。多くのライダーが同じコーナーで転倒する中、#200⼭本楓稀(モトワークスエムエックス with ふうちゃんチャンネル/スズキ DR-Z50)が抜け出し2番手、#61菊池朗以(Team NFS with BIVOUAC OSAKA/スズキ DR-Z50)が3番手に上がる。その後も松本がトップを守り切りゴール。ミスのない安定した走りが光るレースとなった。2位には山本、3位には菊池が入賞しフィニッシュ。
