【レース概要】

D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズは、第5戦近畿大会が新型コロナウイルスの影響で中止となったため、サマーインターバルが予定よりもさらに伸び、約4ヵ月ぶりに開催されることになりました。第2戦中国大会が11月下旬に延期されたことでシーズン4戦目となった第6戦HSR九州大会は、10月9日(土)~10日(日)に熊本県のHSR九州で開催されました。

最高気温が連日30度に達し、晴天に恵まれすぎて雨量がなく、しかも風が強めに吹いたことから、コースは散水作業が追いつかないほど乾いた状態。阿蘇の火山灰に由来する黒土は粒子が細かく、とくに土曜日はこれが乾いたパウダー状になってコース上に堆積し、ホコリが多く舞うパフパフのコンディションとなりました。日曜日の天候は晴れで、この日も気温は30度まで上昇。散水作業の改善により、前日よりもホコリの発生は抑えられました。

なお今大会のIA2には、このクラスでは初めてとなる15分+1周の3ヒート制が導入されました。

【IA1 決勝ヒート1】

山本鯨が巧みにレースを支配して今季3勝目!

ホールショットの小方誠(#4)を、同じくホンダのマシンを駆る山本鯨(#1)が1周目にパス。レース序盤は、山本を小方が1~2秒差でマークし、少し離れてカワサキファクトリーチームの能塚智寛(#5)やヤマハファクトリーチームの富田俊樹(#2)と渡辺祐介(#3)が追いました。5周目、小方がコーナーでミスして少し遅れ、山本のリードは約3秒に拡大しました。

7周目以降、小方はややペースダウン。一方でトップの山本は、この周にペースを上げ、さらにアドバンテージを拡大しました。10周目、小方に代わり富田が2番手に浮上。しかしこの段階で山本は約10秒も先行していて、そのまま逃げ切った山本が今季3勝目を挙げました。富田は2位、序盤に4番手を走りながら能塚の攻略に手間取った渡辺が3位。4位以下はトップ3から大きく遅れ、能塚が4位で小方が5位でした。

【IA1 決勝ヒート2】

山本鯨が連勝。トップ37点差圏内に!

ホールショットは山本鯨(#1)。これに渡辺祐介(#3)、富田俊樹(#2)、能塚智寛(#5)、小方誠(#4)が続きましたが、富田はスリップダウンを喫して後退しました。1周目、渡辺は山本に肉迫。しかしこれを山本が耐えると、2周目には1~2秒のアドバンテージを得ました。その後、山本と渡辺のトップ争いは膠着状態。能塚と小方は、それぞれ前を走るライダーから3秒ほど間隔を開けて周回を重ねました。

レースが動いたのは5周目。ここで山本が一気に4秒ほどペースアップすると、10周目までハイペースをキープして約9秒先行しました。そして16周のレースは、山本が独走で優勝。渡辺はラスト2周で転倒して後退し、能塚が2位、追い上げた富田が3位、渡辺が4位、小方が5位でした。今大会の結果、ポイントランキングでは渡辺が181点でトップ、山本が179点で2番手、富田が174点で3番手となっています。

【IA2 決勝ヒート1】

内田篤基が負傷リタイア。スポット参戦組がワン・ツー!

ホールショットを奪った小川孝平(#11)が、1周目のコース前半で転倒してリタイア。さらにコース後半では、ランキング2番手の大城魁之輔(#2)と48点差のポイントリーダーとして今大会を迎えた内田篤基(#4)が転倒し、同じくケガによりリタイアとなりました。この内田を避けようとした大城に、後続のライダーが激突。多重クラッシュとなって大城も1周目26番手と出遅れました。

2周目、スポット参戦した古賀太基(#56)がトップに浮上。翌周には、同じくスポット参戦ライダーの平田優(#51)が2番手に順位を上げました。この段階で、古賀と平田の間隔は3~4秒。レースが後半に入ってもその差にはほぼ変化なく、古賀が勝利を収めて平田が2位となりました。最終ラップに接触しながら岸桐我(#8)を抜いた大倉由揮(#6)が3位、転倒した岸が4位。大城は9位でゴールしました。

【IA2 決勝ヒート2】

古賀太基が大城魁之輔を抑えて勝利

ホールショットの岸桐我(#8)を、大城魁之輔(#2)がすぐにパス。やや出遅れた古賀太基(#56)が混戦の中で順位を上げ、3番手で1周目をクリアしました。2周目、古賀が岸をパスして2番手浮上。この段階でトップの大城は3秒ほど先行していましたが、3~4周目にかけて古賀がその差を詰め、レースが折り返し地点を迎えた5周目に、古賀が大城のパッシングに成功しました。

古賀に抜かれてから大城のペースが上がり、レース後半はトップの古賀を1秒ほど後方で大城が追う展開。しかし両者のラップタイムはほぼ互角でギャップはほぼ変わらず、そのまま逃げ切った古賀が優勝、大城が2位でした。最終ラップでは、再び岸桐我(#8)と大倉由揮(#6)がし烈な表彰台争い。ジャンプで転倒した岸に大倉が追突して両者リタイアとなり、中島漱也(#10)が3位となりました。

【IA2 決勝ヒート3】

ラストレース予定の古賀太基がトリプルクラウン達成

ホールショットの鴨田翔(#17)を抜いて、古賀太基(#56)が1周目にトップ浮上。大城は1周目6番手からのレースとなりました。2周目以降、鴨田と西條悠人(#5)が僅差の2番手争い。一度は西條が先行するも鴨田が抜き返し、4周目にはこのふたりを大倉由揮(#6)がパスしました。ところが大倉は、5周目に転倒。これで西條が2番手となりましたが、背後には大城が迫りました。

そして6周目、大城が2番手に浮上。この段階でトップの古賀は約6秒リードしていたものの、ラップタイムでは大城のほうが2秒ほど速く、8周目にはトップの古賀から3番手の西條までが2秒圏内となりました。しかし順位に変動はなく、古賀が3レースすべてで勝利を収め、大城が2位、西條が今季初表彰台となる3位。内田はヒート2とヒート3に出走できず、内田と大城のポイント差は1点に詰まりました。

【レディースクラス 決勝】

今年からホンダに乗る久保まなが今季初優勝!

ホールショットは久保まな(#3)。昨年開幕戦から全日本8連勝中の川井麻央(#1)が追うと、1周目前半でトップに立ちました。ところがその直後、川井はタイトターンの立ち上がりでコースアウトして転倒。これで久保がトップに返り咲き、小野彩葉(#4)が2番手、本田七海(#2)が3番手で1周目をクリアしました。2周目、本田が小野をパス。この段階で、トップの久保は3秒ほどリードしていました。

3~4周目にかけ、久保と本田と小野のトップ3は間隔を開け、それぞれ5秒ほど離れた状態に。4番手の楠本菜月(#5)は、さらに後方での走行となりました。レース後半、本田のペースがやや落ちて久保は独走状態。小野はペースアップを果たし、ラスト2周となった7周目に本田を抜きました。そしてレースは、久保が今季初優勝。小野が2位、本田が3位、6周目に楠本を抜いた川井が1周目20番手から挽回して4位でした。

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