D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2025第5戦近畿大会が、9月20〜21日に奈良県にある名阪スポーツランドにて行われた。第4戦から約3ヶ月ほどのインターバル期間を経て迎えた今大会。土曜日は公認クラスの予選と、承認クラスとなるジュニアクロス・キッズ65クラス・チャイルドクロス・2st125、さらにYamaha YZ125 BLU CRU Cup(ブルークルーカップ)が行われ、日曜日には公認クラスと名阪40周年特別企画「WOOFレース」が開催された。
土曜日はくもり時々雨。時折大粒の雨が降ったことにより、サンド路面が締まり、コンディションはベストな状態に。一方、土曜日から日曜日の夜中に大雨が降った影響で、日曜日は一部マディコンディションとなった。午後にはドライコンディションへと回復したものの、レースを重ねるごとに路面が削れ、深い轍が掘れていく状況にライダーたちは苦戦を強いられた。
日時:2025年9月20〜21日
会場:名阪スポーツランド(奈良県)
天候:土曜 くもり時々雨/日曜 雨のちくもり
総動員数:6600名(観客4200名)
IA1
大倉、大城が奮闘。ウィルソンが追い上げ3連勝を飾る
IA1クラスは15分+1周の3ヒート制で行われた。ポイントランキング2位の#2 横山遥希(Honda Dream Racing LG/ホンダ CRF450R)が第5戦開催直前に負傷し欠場。さらに#5能塚智寛(Team Kawasaki R&D/カワサキ KX450-SR)も予選での転倒で怪我をし決勝を欠場。ヒート2以降は#9小方誠(TEAM HAMMER/ホンダ CRF450R)も負傷によりレースへの参加を取りやめるなど、上位陣に欠場が多い中、レースはスタート。

ヒート1は#8大城魁之輔(YAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松/ヤマハ YZ450F)がホールショットを獲得すると、#4 大倉由揮(Honda Dream Racing Bells/ホンダ CRF450R)、小方が続く。しかし1周目を終えた時点で赤旗が振られ、レースは仕切り直しとなった。再スタート後、再び前に出た大城がレースをリード。大倉と#1 ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY RACING TEAM/ヤマハ YZ450FM)が追いかける中、ウィルソンが大城をパスすると、そのまま大倉も抜いてトップに浮上する。15分+1周という短いレース時間の中、大倉は粘り強く食らいつくが、その差は徐々に開いていく。ウィルソン、大倉、大城のトップ3台の差はそれぞれ3〜4秒までに開き、そのままの順位でチェッカー。ウィルソンが第3戦ぶりの優勝を獲得した。

ヒート2は#38浅井亮太(BLU CRUフライングドルフィンサイセイ/ヤマハ YZ450F)が好スタートを決めて前に出ると、続く大倉が浅井をかわしてトップに浮上。3番手に内田、その後方に大城とウィルソンが続く。1周目でウィルソンが3番手に上がると、前を走る浅井もパス。さらに大倉に接近しトップをかけた攻防戦を展開する。大倉がウィルソンを抑える走りをみせていたが、レース時間残り9分を切った頃にウィルソンが隙をついてトップに躍り出る。その後大倉も追いかけるが、ウィルソンがトップでフィニッシュ。2位に大倉、3位には着実に追い上げ、浅井とのバトルを制した大城が入賞した。

ヒート3は大倉がスタートで前に出る。同じくスタートで良い反応を見せた#25 道脇白龍(TEAM KOHSAKA wifh トータルカーサービスK/ホンダ CRF450R)、大城、内田が後を追い、ウィルソンは10番手あたりにつける展開となった。大城と内田が道脇をかわして順位を上げると、大倉、大城、内田、#6 大塚豪太(T.E.SPORT/ホンダ CRF450R)、ウィルソンという順で1周目を通過する。大城が大倉を猛追する中、大倉がエンストにより一瞬止まってしまうアクシデントが発生。すぐにリカバリーするも、大城との距離がさらに縮まる。一方、ウィルソンの追い上げる勢いは止まらず、2周目に内田をかわすと、前を走る2人を捉える。大城は攻める走りの中でジャンプを飛びすぎコーナーの進入でミス。この隙にウィルソンが2番手に浮上、さらにレース時間残り5分を切ったところで大倉を抑えてトップへと上がった。大倉は粘り強くついていきプレッシャーを与えるも、ウィルソンがトップのままフィニッシュ。大倉が最終ラップで転倒したことにより、2位大城、3位大倉という順位でレースを終えた。

#1ジェイ・ウィルソン
「第4戦の前に怪我をして、インターバルの最初の7週間位は休養に充てて、その後ヨーロッパのサンドコースで練習を重ねる中でかなり調子のよさを取り戻したよ。海外のコースに慣れた状態で迎えたから、名阪のコースに乗り慣れることに少し苦戦したけど、レースを重ねるごとに調子も上がっていった。大倉と大城はスタートで前に出て、簡単にはトップに立たせてくれなかった。アタックして、彼らがブロックして、どこで抜くべきかと考えながらのバトルになったよ。ヒート1はトップに立てたけど、身体がかなり硬くなってしまって、限界の中走っていて余裕のないレースだったし、ヒート3はスタートで出遅れて、トップの2人に追いつけるか不安にもなった。彼らが大きなミスをしたことでトップに立てたけど、2人は確実に第4戦での優勝で自信がついたと思うし、インターバル期間を経てステップアップしてきたと感じた。次戦も楽しみだよ」

#4大倉由揮
「インターバル期間に海外トレーニングを頑張ってきたので、その成果が少しは出たかなと思いますが、それでもジェイに勝てなかったというのがすごく悔しいです。リードしていた時もありましたが、振り返るとフィジカルもテクニックも、自分の実力が本当に足りてなかったなと思います。残り2戦、自分がやれるだけのことをやって彼を上回るしかないなと感じたので、もっともっと練習していきたいです。ただ、その中でもスタートは自分でも上手くなってきてるなと実感したので、今後に向けて自信がつきました。後はレース展開をもっと上手くコントロールできたら勝利が近づくんじゃないかなと思います。第6戦の前にモトクロス・オブ・ネイションズがあるので、そこで刺激を受けていろんなことを学んで、その勢いのまま勝ちたいです」

#8大城魁之輔
「結果だけで言うと3-3-2。これを悪いと言えるほどのリザルトを今季は残せていませんが、ライディング面もマシンも含めてすごく調子が良かったので、悔しさが大きいです。今回たまたま調子が良かったわけでなくて、インターバル期間に何度か成長を実感したタイミングがあって、自分の調子の良さを実感していましたし、現在進行形で調子が上がっているのでもっと形にしたかったなという思いが正直なところです。良い走りを見せられた部分もありましたが、自分としてはこんなもんじゃないと思っています。スタートは練習を重ねてきたので、それを発揮できました。3ヒート全てを表彰台でまとめられたというのはたぶん初めてなので、そこはポジティブに捉えて次に生かしていきたいと思います」
IA2
中島と田中を抑え、吉田が悲願の初優勝

IA2クラスは30分+1周の2ヒート制で行われた。ヒート1は、#1中島漱也(YAMAHA BLU CRU RACING TEAM TAKA/ヤマハ YZ250F)がスタートで前に出ると、同じく好スタートを決めた#2横澤拓夢(TKM motor sports いわて/ホンダ CRF250R)、#53ブライアン・シュー(AutoBrothers/GASGAS MC250F)、#6鴨田翔(Kawasaki PLAZA 東大阪/カワサキ KX250)、#14吉田琉雲(Bells Racing/ホンダ CRF250R)らが続く。シューは横澤をかわして2番手に上がると中島を追いかける。一方、吉田が横澤に迫る勢いを見せたが、マシントラブルによりリタイア。戦線離脱を余儀なくされた。レース時間6分がすぎた頃にはシューが中島に接近し猛アタック。しかし中島も簡単には前を譲らず、攻防戦を繰り広げる。レース時間16分を経過する頃、シューが自らサインボードエリアに向かってコースアウト。メカニックに対しマシントラブルを訴え、そのままリタイアとなった。アクシデントにより上位陣の順位は大きく変動。中島、柳瀬、横澤がトップ3台となり、結果そのままの順位でゴールを果たした。

ヒート2では好スタートを決めた中島がレースをリード。序盤で#4田中淳也(YAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松/ヤマハ YZ250F)、#5柳瀬大河(TKM motor sports いわて/ホンダ CRF250R)、シュー、吉田という上位グループが確立され、2番手以降は混戦に。シューが柳瀬を追いかけるが、途中で転倒。すぐに復帰することはできず、そのままリタイアとなった。一方、2番手を走る田中に柳瀬と吉田が迫る。吉田が柳瀬をかわして3番手に浮上すると、田中に肉迫。さらに田中もトップの中島との距離を着実に縮め、レース時間残り14分を切るというところで中島をかわしてトップに躍り出る。しかし吉田も勢いに乗って中島をパスすると、すぐに田中を捉えてトップを奪取。一気に順位が入れ替わり、吉田、田中、中島という順でレースが進行する。レース終盤、中島が田中と激しい2番手争いを展開。中島が2位に浮上すると、その後スパートをかけてトップにも接近するが、吉田が逃げ切り見事1位でゴール。2位中島、3位田中という結果となり、吉田が自身初となるIA2クラスでの優勝を獲得した。

#14吉田琉雲
「ヒート1は3周目入った時にエンジンブローしてしまって、相当悔しくて。ここまでこんなに練習してきてトップも狙える状況だったのに、と気持ちがかなり落ち込み、ヒート2走りたくないなと思うほどでした。ただ、チームの方々が協力してマシンを用意してくれて、ヒート2も出場することができました。ヒート2は自分の練習車で、去年モデルのマシンだったのですが、その中でも今回の結果を出せて嬉しかったです。トップ争いをしている時は何も考えられず、がむしゃらに走っていました。トップに立った時も、お父さんも必死だったのかサインボードにポジションを書いてくれなくて、自分がどの順位を走っているのかわかっていませんでした(笑)。とにかく初優勝できて嬉しいです」

#1中島漱也
「ヒート1はスタートから前に出ることができて、インターバル期間で自分が練習してきたことが出せたと思います。後ろからブライアンがかなり迫ってきていたのですが、彼のエンジン音を聞いて差が縮まるポイントも把握していて、そこを上手くコントロールしながら走ることができました。ヒート2は序盤からリズムが掴めなくて、ラインを変えながら走っていたのですがどれも定まらず。上手くいかない状態で、後ろから迫ってきているのも感じていました。抜かれた後も離されてしまったのですが、上手く乗れない中でもずっと攻め続けてはいて、終盤にかけてトップとの距離が縮まっているのがわかったので、ラストスパートをかけました。今回の負けで、もう守る走りはしないと、気持ちが吹っ切れました。自分に足りないところがあって今回の結果になったし、学ぶ部分も多くあるレースでした。良い負けではないですが、もう負けたくないという気持ちを再認識できて、自分の成長につながったと思います。残り2戦は勝ち続けます」

#4田中淳也
「今回インターバルで怪我をしてしまって、練習もなかなかできず、ベストな状態ではない中レースに挑みました。IAになってからこういう状況を経験していなかったので、メンタル面もいつもとは違いました。練習をやれてこなかったことなど不安も大きくて辛かったし、タイムアタック予選の走りがひどくて落ち込んだのですが、レースを重ねるごとに段々と身体が動くようになりました。ヒート1は走りが固くて攻めきれずに終わってしまいました。ただ、そこで自分の課題を見つけることができて、ヒート2で攻めることができました。漱也くんを抜いてからは自分の弱い部分が出てしまって、順位を落としてしまったのですが、あれだけ走れたので、レース前に不安に思っていたことはそこまで考えすぎなくても良いのかなと、気持ちが前向きになりました。次戦は初優勝したコースですし、今シーズンは本当にチャンピオンを取りたいので、一戦一戦を大事に走っていきたいです」

#5柳瀬大河
「家から一番近いコースなので、結構練習に来て乗り込んだのと、元々サンドコースが得意というのが、今回の結果につながったと思います。予選のタイムも良くて、これはいけるかもと思っていたのですが、レースになるとそう上手くはいきませんでした。ヒート1は棚ぼたのような結果だし、ヒート2は後半にかけてよろしくないレース展開でした。レース中に汗か水がゴーグルに入ってきて、視界が滲んでしまったアクシデントもあり、そこからペースが落ちてしまいました。表彰台に登れたことは素直に嬉しいですが、それよりも悔しいです。次のオフロードヴィレッジは初優勝した場所ですし、そこでしか勝てていないので、もう一度あの地で優勝したいと思います!」

#2横澤拓夢
「マシンセッティングやライディングを自分のストライクゾーンにまで上手く仕上げきれず、今回を迎えました。その中で頑張って、ヒート1は表彰台に立つことができました。自分としてはもっと良い走りができるのにと思いながら走っていていましたが、ヒート2では久しぶりにホールショットを獲ることができてよかったです。今回同じチームの大河と自分はピレリのタイヤを履いていて、それの調子がすごくよくて、路面に食いついて前に進むことができていました。次こそは仕上げて勝ちたいです」
IB OPEN
島袋が完全勝利、初優勝から3連勝目を飾る

IA昇格枠をかけて競うIB OPENクラス。今季最多となる58台がエントリーする中、決勝ヒート1では#2島袋樹巳 (Yogibo PIRELLI MOUNTAIN RIDERS/カワサキ KX250F)がホールショットを獲得しレースをリードする。2番手には#15酢崎友哉(成田MXパーク アシタプランニング/カワサキ KX450)、3番手には#9藤本琉希亜 (ウィリー松浦 with AXIS/ヤマハ YZ250)がつき追いかける。後方との差を徐々に広げる島袋だが、序盤で転倒。すぐにリスタートするが、転倒した隙に酢崎がトップに立ち、島袋が追いかける展開となる。レース時間11分がすぎる頃には島袋が酢崎との距離を縮め、2台によるバトルが繰り広げられた。トップを守る酢崎だったが、途中で転倒してしまい島袋に前を譲ることに。結果、島袋が優勝を獲得。2位には6番手あたりから安定した走りで追い上げ続けた#58名島玖龍(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ250F)、3位に酢崎が入賞した。

続くヒート2も好スタートを決めた島袋がトップを走行。2番手に酢崎がつき追いかけるも、転倒やミスが目立ち島袋との差は開いていく。トップが独走状態となる中、レース時間10分をすぎた頃、酢崎に#17稲迫凛(BIKE SHOP JUN/ホンダ CRF450R)と#14笹谷野亜(TKM motor sports いわて/ホンダ CRF250R)が迫る。笹谷は稲迫をパスし3番手に浮上。さらに稲迫の後方から#54外間大詩(T.E.SPORT/ホンダ CRF250R)がクラス内トップのベストラップタイムを記録する速さで追い上げ、3〜4番手争いが混戦となる。稲迫はミスにより後退。酢崎、笹谷、外間と少し間隔が開いた状態でレースが進むが、終盤に酢崎が転倒。結果、島袋が1位でゴール。第4戦ヒート2の初優勝から3連勝目を獲得した。2位は笹谷、3位は外間という順位でフィニッシュ。

#2島袋樹巳
「夏のインターバルでほぼ毎週コースに練習しにくるほどかなり乗り込んできたので、自信はありました。練習の時とは路面状況が全然違って苦戦しましたが、いつも通り走って、優勝できてよかったです。スタートは、1コーナーのイン側から抜けることができたら速いと思って、大会直前に名阪で行われた近畿モトクロス選手権に出場した時に色々試しました。それが今回生かされて、両ヒートで決まりました。ヒート1は転倒もあったのですが、ヒート2はミスなく走れて、初めて両ヒート勝てたことは嬉しいです。残り2戦のコースは、自分はどちらも1回は表彰台に立てているので、この勢いに乗って連勝を続けていきたいです」

#14笹谷野亜
「ヒート1はスタート決まって良いペースで走れていたのですが、自分のミスでハイサイドをくらって転倒してしまって、そこから追い上げることもできず4位で終わりました。ヒート2はそれをどうにか挽回しようと思って挑みました。樹巳くんが連勝重ねていたので、ヒート2は阻止したいと思っていたのですが、また自分のミスで足をひねってしまい、ベストなペースで走ることはできませんでした。それでも2位で終えられたのはよかったし、良い形ではないですが、ちゃんと挽回できたかなと思います。チャンピオンがかかっているので、次戦以降も油断せず頑張ります」

#15酢崎友哉
「1年ぶりに名阪スポーツランドを走って、調子は悪くないと思っていたのですが、ミスとか転倒がなかったらもっと良い順位でゴールできていたので、悔しさが残ります。いつも成田モトクロスパークで練習をしていて、そこで基礎的な乗り方を鍛えてきたからこそどこのコースでも走れるという自信に繋がっているので、今回もこの結果を残せたと思います。次戦のオフロードヴィレッジはあまり得意ではないのですが、マディコンディションは大得意なので、雨が降ってくれたら嬉しいですね。さらに練習を積んで頑張りたいです」

#54外間大詩
「元々苦手なコースだったのですが、インターバル期間に乗り込み、いろんな人に教わりながら練習をしてきました。この恩は絶対に表彰台に乗って返したいと思っていました。なので、今回表彰台獲得できて安心しています。元々わだちが苦手で、今回のコースは雨の影響でわだちも多かったのですが、ビビることなく走ることができて、インターバルでの特訓が身についていると感じました。次戦は地元大会なので、スタートから前に出て、表彰台の一番上に立ちたいと思います」

#58名島玖龍
「ヒート1は自分的には淡々と走っていて、前を走るライダーの転倒で順位が上がったという展開でした。棚ぼたではありますが、安定して走れたことが結果に繋がったと思います。ただ2ヒート目の走りは全然ダメで、両ヒートうまくまとめることができなかったのは悔しいです。残り2戦ですが、次戦の会場となるオフロードヴィレッジは地元ですし、第3戦では表彰台に登った経験もあるので、優勝したいと思います」
LMX
川井が名阪スポーツランドで初の優勝を飾る

レディースクラスは15分+1周の1ヒートで行われた。ホールショットを獲得したのは、名阪スポーツランドが地元コースとなる#10松木紗子(Yogibo PIRELLI MOUNTAINRIDERS/カワサキ KX85)。その後ろに#6箕浦未夢(TEAM ITOMO/ホンダ CRF150RⅡ)、#3川上 真花(BLU CRU YSP大阪箕面/ヤマハ YZ85LW)が続き、ポイントリーダーの#1川井麻央(T.E.SPORT/ホンダ CRF150RⅡ)は4番手あたりから追い上げる展開となった。箕浦がすぐに松木をパスしてレースをリードし、1周目をトップで通過。一方川井は2周目にははやくも箕浦を捉えトップ争いを展開。箕浦が首位を死守しようと奮闘するが、クラス内で唯一「Coca-Colaジャンプ」と呼ばれるダブルジャンプを飛んでいた川井はそこを抜きどころとして1位に浮上し、後方を引き離す。さらに2番手の箕浦に川上が迫り、レース時間残り4分を切ったところでパス。箕浦は食らいつくが、川上の後輪に接触したことで転倒を喫し順位を落としてしまう。これにより3番手に松木が浮上。結果、川井、川上、松木という順位でフィニッシュを果たした。なお、川井はこれまで名阪スポーツランドでの優勝経験がなく、今回が同コースでの初勝利となった。

#1川井麻央
「名阪で初めて勝つことが出来て嬉しいです。スタート4番手あたりから出て、追い上げる展開でした。川上選手など地元のライダーが前を走っていて、抜くのに手こずるかなと思っていましたが、2連ジャンプを飛んでいたのが私だけで、そこがパッシングポイントになったというのもあって、予想していたよりもスムーズにトップに立つことができました。また、そのジャンプを飛べたから全体的にリズムよく走れていて、今年名阪を走った中で一番良い走りができました。次戦は地元大会で、応援に来てくれる方も多いので、勝ちたいと思います」

#3川上 真花
「1週間前に転倒して肩甲骨あたりを傷めてしまって、痛み止めなどを飲みながらの出場となってしまいました。ベストな状態ではなかったのですが、決勝は痛みはそこまで感じず、ただ久しぶりの全日本のレースという緊張感で身体が固くなってしまって、体力をいつもより消耗しました。最後までうまく乗れなくて、優勝できず悔しいですが、ここで緊張はとけたし、残り2戦は得意なコースなので、優勝したいと思います」

#10松木紗子
「自分とチームの地元コースということで、かなり乗り込んできたし自信もあったのですが、本番になると緊張してしまいました。ただホールショットを決めることができたのはよかったです。スタートで前に出て、トップを守ろうと思ったのですが、後ろのライダーに序盤で抜かれてしまって、一瞬気持ちが折れかけました。でもここで順位を落としていられないと気持ちを奮い立たせて、自分の強みでもある粘り強い走りができました。悔しさもありますが、表彰台に登ることができてほっとしています。次戦は一度表彰台に登ったコースなので、自信を持って挑めます。初優勝獲得を目標に頑張ります」
JX(ジュニアクロス)
伊良皆が圧勝、2・3番手争いは混戦に

ジュニアクロス決勝は、タイから参戦した#3PRAYONGRAT ARANCHAI(アランチャイ)(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ85LW)がホールショットを獲得。しかしすぐに#25伊良皆龍翔(GASGAS MC85)がトップに浮上しレースをリードする。一方2番手争いは混戦で、#18外間匠(T.E.SPORT Jr./ホンダ CRF150RII)が後方から2番手にまで追い上げるが、転倒を喫し、そこに3番手を走行していた#15浅井大翔(フライングドルフィンレーシングメイト/ヤマハ YZ85LW)も絡む形で順位を落としてしまう。ここで#83江藤彪之介(★MOTION RACING★/ヤマハ YZ85LW)が3番手に上がり、さらに#89齋藤輪(CLUBMr-BIKE ジュニアベルズ/ヤマハ YZ85LW)が追いかける展開となったが、レース中盤に江藤がミスにより後退。結果、伊良皆、アランチャイ、齋藤という順位でゴールを果たした。
K65(キッズ65)
唯一の1分56秒台、阿部が他を寄せ付けない速さでトップ独走

65ccマシンで競い合うキッズ65クラス。全30台がエントリーする中、抜群のスタートで前に出たのは#7市澄海(滋賀MC&motostep/areman/カワサキ KX65)。続いて#8大久保 英飛(YSP浜北大橋レーシング/ヤマハ YZ65)、#94阿部哲昇(Yogibo PIRELLI MOUNTAIN RIDERS/カワサキ KX65)が追いかける。阿部はスタート後に転倒しかけたことで出遅れるが、スピードに乗ってトップ2台との差を縮めると1周目でトップに浮上。さらに市がミスによりポジションを落とし、大久保が2番手に。市が3番手を走行するが、追い上げてきた#131鈴木颯真(ヤマハ YZ65)が市をかわしてポジションを上げると、トップ4台の差はレース後半にかけて開いていく。阿部はクラス内で唯一2分を切るラップタイムを記録する速さでトップを快走し、危なげなく優勝を獲得。2位には大久保、3位には鈴木が入賞を果たした。
CX(チャイルドクロス)
群を抜いた速さの広野、バトルを競り勝った菊地が各クラスで優勝
排気量50cc以下のマシンで競い合うチャイルドクロスは、国産車の4ストロークエンジンバイクで競うAクラスと、外国メーカーの2ストロークエンジン車両に加えていくつかの許可された電動モトクロッサーで走るBクラスの混走でレースが行われる。

スタートで飛び出したのは#59廣野康輝(KTM TOKAI RACING/KTM SX-E5)、続いて#15伊良皆真結香(GASGAS MC-E5)、#4平木李奈(TSK Racing/Husqvarna EE5)が後を追いかけBクラスに出場する3台が先頭を占めた。広野は1周目からスピードに乗って2番手との差を拡大。一方伊良皆と平木も序盤は良いペースで走っていたが、それぞれ転倒により、3台の差は大きく開くこことなる。結果、広野が一度も前を譲らずトップチェッカー。2位伊良皆、3位平木という順位になった。

一方、Aクラスは#81加家壁喜一(Team Inoue/スズキ DR-Z50)を先頭に、#61菊池 朗以(Team NFS with BIVOUAC OSAKA/スズキ DR-Z50)と#8髙橋優牙(スズキ DR-Z50)が前に出る。しかし菊地がすぐに加家壁をかわしてトップに浮上。さらに髙橋も続いて加家壁をパスして菊池を追いかける。トップ2台の距離は徐々に詰まり、髙橋が菊池を抜かしポジションアップ。しかし菊池も負けじと攻め続け再びトップを奪取。2人の接戦は続いたが、レース終盤で髙橋がミスによりタイムを落とし、菊池が逃げ切る形でフィニッシュ、2位加家壁、3位髙橋という結果でレースを終えた。
2st125
勝山が抜け出し他を圧倒、堀越の怒涛の追い上げも光る


2ストローク125ccのみで競い合う2st125クラス。決勝は土曜日に行われた。ファンライドとして楽しむ方や元IAライダー、現役ライダーなど幅広い層のライダーが参戦。そんな中、スタートで抜け出したのが#58勝山聖(K’s racing 愛知支部/ヤマハ YZ125)だ。序盤で2番手以降より3秒ほど速いラップタイムで周回すると、後方を引き離し単独走行に持ち込む。一方2番手以降は混戦となったが、そこを抜け出した#35大泉拓也(YSP浜北大橋レーシング/ヤマハ YZ125)が2位を走行。3番手には序盤で#611鈴木友也(サスペンションエッヂ 第三ヒート/ヤマハ YZ125)がついたがミスにより後退。スタートで出遅れた#13堀越秀鷹(Ridge Cycle/ヤマハ YZ125X)が7番手あたりから怒涛の追い上げを見せ3番手に浮上すると、そのまま2位の大泉もパス。結果スタートからトップを快走した勝山が優勝を獲得。2位堀越、3位大泉となった。
なお、勝山は元全日本モトクロスIAライダーであり、現在はエンデューロやクロスカントリーなど幅広いレースで活躍している。9月13〜14日に行われた全日本エンデューロ選手権で総合優勝を果たし、今回の優勝により2週連続で全日本の舞台で勝利を収めた。
Yamaha YZ125 BLU CRU Cup
2戦目は清宮がトップ争いを制す
日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)とヤマハ発動機株式会社が若手ライダーの育成を目的に企画した「Yamaha YZ125 BLU CRU Cup(ブルークルーカップ)」の第2戦目が、土曜日に行われた。

スタートで前に飛び出したのは#88杉本大駕(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ125)。続いて#22清宮伊織(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ125)が追いかける展開となり、第1戦目でトップ争いを繰り広げた2人がレースをリードする。序盤で杉本が引き離しにかかるが、清宮も負けじと食らいつき、その差を徐々に縮めていく。2周目には清宮が杉本を捉えてアタック。杉本のインをつく形でパスし、トップに浮上した。
一方、その後方では#39平岡正悟(チームモトスペース/ヤマハ YZ125)と#373寺田楓波鷹(WitchCraft/ヤマハ YZ125)の3番手争いが白熱。2人の攻防戦が最後まで続く中、レース時間残り2分というところで2番手を走っていた杉本が後退。これにより平岡と寺田は順位を一つ上げ、レース終盤まで2番手争いを繰り広げる。結果、最後までトップを守り切った清宮が優勝を獲得。2位にはポジションを死守した平岡が、3位に寺田が入賞した。
キッズライダーが電動バイクで競い合う。名阪40周年特別企画「WOOFレース」

昼休みには、名阪スポーツランド40周年記念イベントの一つとして、ダートフリークが手がける電動キッズバイク「WOOF(ウーフ)」で競い合う「WOOFレース」が行われた。このレースは、IA1ライダー小島庸平が主催するキッズレース「44KIDS★CROSS(キッズクロス)」で行われているMOTO-Eクラスが元になっている。小島氏の主導によりレースは進行。全日本モトクロス選手権での開催は初めての試みである。
特設ショートカットコースを使用したスプリントレースで、全8周する予定だったが、スケジュールの都合で5周に変更となった。レースには44キッズクロスに出場する実力の高いライダーから初めてWOOFに乗ってレースをするというライダーまで、全18名が参戦。5周という短い時間の中で誰が勝利を収めるのかに注目が集まった。

ホールショットを獲得したのは#10小磯銀士。しかしその後転倒したことで順位を落とし、好スタートを決めた#122広野康輝がトップに浮上。さらに#52小田楷葦、#12篠田昇冴らが続く展開となる。ショートカットコースとはいえ、フルサイズマシンが走った後の荒れた路面を攻略するのは難易度が高く、ミスや転倒するライダーも多く見られたが、そんな中トップの広野は群を抜いたスピードで周回を重ねるごとに後方との差を広げてゴール。2番手は接戦となるが篠田が抜け出し、3番手に小田が続いてチェッカーを受けた。なお、トップの3人は44キッズクロスのMOTO-Eクラスでトップ争いを展開しているライダーで、全日本の舞台でもその実力を見事に発揮した。
次戦は約1ヶ月後の10月18〜19日に開催される。今シーズンも残すところ2戦ということで、ランキング争いが熾烈となる。その熱いバトルをぜひ会場で目の当たりにしてほしい。