4月20日(土)、熊本県にあるHSR九州で、D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2024第2戦が開催された。大会は1day開催ということで、IA1・IA2・IB OPEN・LMXの4つのクラスのみ行われた。大会当日はお昼頃から雨が降ったり止んだりという不安定な天候で、ヒート1とヒート2で変化する路面状況に対して、ライダーたちの対応力が求められた。

D.I.D JMX 2024 R2 HSR九州大会 観戦情報

 

IA1

ジェイ・ウィルソンが追い上げ5連勝

IA1クラスは開幕戦で#1ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM/ヤマハ YZ450FM)が全ヒート優勝を獲得。HSR九州では他のライダーが彼に泥をつけることができるのか、注目が集まった。

ヒート1でホールショットを奪ったのは#41横⼭遥希(HONDA DREAM RACING LG/ホンダ CRF450R)。続いて#2⼤倉由揮(Honda Dream Racing Bells/ホンダ CRF450R)、3番手にウィルソンが続く。3周目にウィルソンは大倉を抜き2位に浮上。7周目途中まで横山がウィルソンを抑えトップを走るが、第7コーナーでインからウィルソンに抜かれ順位を落としてしまう。その後、横山は転倒してしまいウィルソンとの差は10秒ほどに拡大。横山の必死の追い上げも叶わず、1位ウィルソン、2位横山、3位大倉となった。

ヒート2、スタート直後第1コーナーを抜け出したのは#33ビクトル・アロンソ(AutoBrothers GASGAS JAPAN/GASGAS MC450F)。ウィルソン、横山、大倉と続く。2周目にウィルソンがアタックを仕掛け、トップへ踊り出る。その後、ベストラップを連続して更新するハイペースでレースが進む。そのままウィルソンが逃げ切り1位ウィルソン、2位ビクトル、3位横山。

#1 ジェイ・ウィルソン

「今回のコースコンディションはとても難しかったね。スタートもうまくいかなくて、ヒート1では反応が遅れて、ヒート2ではスタートで前に出るために攻めたのだけど決まらなかった。ただ、そこまで悪いわけでもないし、序盤から他のライダーと競いながらのレースは観客の方にとってもよかったのかなと思う。応援してくれるみなさんに感謝します」

#41 横⼭遥希

「ヒート1はスタートから7周くらいリードできていて、抜かれてからも彼の走りを見ながら後半勝負できるポイントを探していました。ただその後に転倒してしまって、追い上げることはできませんでした。自分がうまくいけてるコーナーで転けたので、欲張りすぎたのかなと思います。ヒート2もスタートは出られたのですが、1コーナーの処理が上手くいかなくて、大倉選手と競っていた間にトップと離されてしまったなと思います。スタートで出てトップを守り切る展開が一番ですが、抜かれたとしてもしぶとく追い続けることが勝つために大切だと思っているので、明日の第3戦はこれを実現できるようにしたいです」

#33 ビクトル・アロンソ

「ヒート1は調子良く走れていたのだけど、マシントラブルでジャンプもストレートも全くマシンが走らなくなって、最後まで走り切りたかったけどピットに戻ってリタイアしたよ。ヒート2は良いスタートができてジェイともバトルできてとても楽しかった。抜かされた後も追いついてもう一度抜きかえそうと頑張ったのだけど、届かなかった。でもとても楽しくて良いレースだったと思う。明日も楽しみだよ」

#2 ⼤倉由揮

「スタート出られてトップ2人と勝負したかったのですが、レース始まって5〜6周目で自分のミスで転倒してしまって、単独走行になってしまいました。前の2人に着いていけなかったことが悔しくて、もっと勝負したいと思っています。チームのみなさんがすごく協力してくださっているので、それにしっかりと応えられるように次戦も頑張っていきます」

IA2

中島が初の完全勝利を果たす

IA2クラスは開幕戦各ヒートで優勝者が異なるほどトップライダーたちの実力が拮抗している。そんな中、今大会では誰が優勝を果たすのか。

ヒート1、第1コーナーをトップで抜けたのは#4鴨⽥翔(Kawasaki Plaza 東⼤阪/カワサキ KX250)。それに#10⽥中淳也(bLU cRU YSP浜松BOSS RACING/ヤマハ YZ250F)、#3中島漱也(bLU cRU レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ250F)、#5池⽥凌(Yogibo MOUNTAIN RIDERS/カワサキ KX250)が続く。序盤が終わる頃には鴨田、中島、田中という順番になり少し展開が落ち着くかと思いきや、5周目8コーナーで中島が鴨田を抜きトップに浮上、その後中島はペースを上げていき、少しずつ差を広げ始める。中盤には、着実に順位を上げてきていた#6柳瀬⼤河(TKM motor sport いわて/ホンダ CRF250R)が田中に追いつき3番手へとポジションを上げる。トップを追う鴨田はベストラップを叩き出し追い上げるが届かず、最終順位は中島、鴨田、柳瀬となった。

ヒート2、ホールショットを取ったのは田中。だが第4コーナーで転倒し、大きく順位を下げてしまう。#9西條悠人(Kawasaki PURE TECH Racing/カワサキ KX250)、#13阿久根芳仁(Yogibo MOUNTAIN RIDERS/カワサキ KX250)中島の順でトップグループを形成してレースは進んでいく。3周目の7コーナーで中島が阿久根をかわし2番手に浮上。そのままの勢いで西條に迫る。5周目には熾烈なトップ争いを繰り広げ、中島が西條からトップの座を奪う。チェッカーフラッグを受けるまで勢いは衰えずそのまま1位でフィニッシュ。2位は西條、3位は阿久根となった。

#3 中島漱也

「去年開幕戦で初優勝できたのですが、全ヒート優勝でまとめることはこれまでできていませんでした。今年は開幕戦で1勝してから調子良く乗れていて、今大会にも上手く繋がったと思います。自分でも今大会ペースが良いのはわかっていたので、焦ることなく時間をしっかり使って走ることができました。30分+1周のヒートで優勝できたのが初めてだったので、それも自信に繋がりました。明日は今日よりもマディコンディションになりそうですが、去年HSR九州のマディで優勝してるので、どうなっても勝てると思っています」

#4 鴨⽥翔

「今大会に向けては事前テストでHSR九州を走って、地元でも対策をしてきました。雨が降って路面状況が変わったりして大変で、思うようにはいきませんでしたが、一回表彰台に登れたことは良かったと思います。欲を言えば勝ちたかったです。明日は優勝できるよう頑張ります」

#6 柳瀬⼤河

「予選でトップ通過できて、グリッドも1番で選べたのですが、スタートで前に出られなくて追い上げの展開になってしまいました。ヒート1は自分の中で乗れてるな、ペースも良いなと感じながら走っていて、その調子の良さで追い上げることができました。ヒート2は15分+1周ということで、追い上げきれず悔しいです」

#9 西條悠人

「HSR九州は1回優勝しているコースで、相性が良いのですが、今回は中島選手が速かったですね。結構乗り込みにきてたので、悔しいです。2位になりましたが、今回スタートした後の1コーナーを上手くこなせて、それで前に出られたのは良かったです。去年と比べても調子が良くなっていると思います。明日は今日よりもっと雨が降るようですが、マディ得意なのでもうずっと降っていてほしいです(笑)」

#13 阿久根芳仁

「ヒート1は転けてしまったのですが、走りはそんなに悪くなくて。ヒート2ではスタート出れて、前の西條くんについていく展開でした。かなりリラックスして走れていました。ただ最後の1周は表彰台がかかっていて転倒しないようになど色々考え込んでしまいました。無事表彰台に登れてよかったです。明日もやることは今日と同じなので、しっかりと決めていきたいと思います」

IBOPEN

箕浦・松岡が初優勝、追い上げの強さを見せる

IBOPENは10名のIA昇格枠を獲得するために一年を通して戦うクラス。昨年から走っているライダーに加えて地方選手権などから昇格してくる若手ライダーも多く、誰が上位を占めるのか、第2戦も注目が集まった。

今大会決勝ヒートは15分+1周で行われた。スタート直後の混戦を抜けたのは#17飯沼怜王(Honda Dream京都東 F.M.T’s/ホンダ CRF250R)、後方には#3島袋樹巳(カワサキ KX250F)、#53箕浦来輝(TEAMITOMO/ホンダ CRF250R)、#1飯塚翼(三恵技研工業 アシタプランニングMS/ホンダ CRF250R)、#18高橋生真(TEAM HAMMER/ホンダ CRF250R)と続く。レース中盤には飯沼と箕浦のトップ争い、その後方で島袋と飯塚の3番手争いが激しく展開された。レースも後半に差し掛かかるころ、#5松岡力翔(SP忠男広島/ヤマハ YZ250F)が猛烈な追い上げを見せる。8周目には松岡がベストラップを叩き出し3番手まで浮上。飯沼、箕浦、松岡の3台がチェッカーを受ける直前まで何度も入れ替わりながらトップを争った。結果、1位箕浦、2位飯沼、3位松岡でフィニッシュした。

ヒート2でポールポジションを奪ったのは高橋。その後#10齋藤啓太(Team Pitin/ヤマハ YZ250F)、#15深澤翼(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ250F)が追う展開。スタートで出遅れていた松岡が猛プッシュをかけ、2周目には4番手、3周目には2番手にまで順位をあげ高橋を追う形に。さらにペースを上げた松岡が5周目にはトップを奪った。一方、3番手には箕浦が上がってきた。そのまま独走状態に入った松岡が1位に。2位高橋、3位箕浦という結果となった。

#5 松岡力翔

「両ヒートともにスタートで前に出られなくて追い上げの展開でした。ヒート1は追い上げていって、一瞬トップに立って、良かったと思って気が抜けた時にインから刺されてしまいました。抜かされた後も最後までバトルして攻めたのですが、3位で終わって悔しかったです。ヒート2は追い上げからトップになれて、初優勝できて嬉しいです」

#53 箕浦来輝

「ヒート1はスタートで出られなくて追い上げのレースでした。トップと2番手の2人がバトルをしているのを追いかけていたのですが、2人の走りを見て抜くラインを探すことができて、最後2人がバトルしてタイム落としているところを狙っていきました。ただ冷静というわけではなく、行くしかないという気持ちでしたね。トップに立った瞬間はめちゃくちゃ嬉しかったです。ヒート2はスタートで失敗してトップまでは追い上げ切れなくて悔しいです。ただ、最後まで諦めず走って、3位に入れたのは良かったです。2ヒートとも表彰台乗ることができて良かったです」

#18 高橋生真

「ヒート2はスタートから逃げ切りたかったのですが、松岡くんが速くて追いつかれて、焦ってミスが増えたことで抜かれてしまいました。後ろからのプレッシャーはすごく感じていたので、焦って転倒だけはしないように気をつけました。優勝は逃してしまいましたが、初表彰台を獲得できて嬉しいです」

#17 飯沼怜王

「ヒート1はスタートから調子よく走れて、後ろとの差も開いていたので余裕持って走っていました。ただラスト3周あたりでミスをして、その時に足が攣ってしまって、それでペースが落ちてしまいました。逃げ切れるかと思ったのですが、段々距離が縮まって、ラストラップで抜かれてとても悔しいです。第3戦こそは優勝できるよう頑張ります」

LMX

川井が優勝し速さを示す

レディースクラスは開幕戦では#4川上真花(bLU cRU YSP大阪箕面/ヤマハ YZ85LW)、#5瀬尾柚姫(TEAM HAMMER/ホンダ CRF150RⅡ)という若手ライダーの台頭が目立った。一方、昨年チャンピオンの#1川井麻央(T.E.SPORT/ホンダ CRF150RⅡ)がノーポイントでのスタートとなり、今大会でどう巻き返すか、その走りに期待がかかった。

ホールショットは#6濵村いぶき(T.E.SPORT/ホンダ CRF150RⅡ)。それに続いて#3箕浦未夢(TEAM ITOMO/ホンダ CRF150RⅡ)、川井、#2本田七海(LUTZ with 中西建設(株)NH/ホンダ CRF150R)となるが、13番〜15番コーナーで大きく順位が変動。トップに立ったのは箕浦、それに続いて川井、濱村、本田とトップ集団を形成していく。4周目には3番手を走行していた濱村が転倒して順位を落としてしまう。後半へと差し掛かる5周目にプッシュをかけた川井がトップを奪取。差を広げ確実に優勝へと手を伸ばす。ラストラップに本田が箕浦をかわし2番手に。1位川井、2位本田、3位箕浦という結果になった。

#1 川井麻央

「開幕戦で色々あって、今大会は勝ちにこだわるより自分の速さを証明したいなという思いで挑みました。レース前はプレッシャーとか不安とかあったのですが、ウエア着てヘルメット被ったらあとはやるだけですし、レースで戦える環境をチームが作ってくれたり応援してくれる方々がいたので、前向きな気持ちで走ることができました。決勝で勝って速さを証明することができて嬉しいです」

#2 本田七海

「タイムアタック予選から調子良くは乗れていなくて、100%の力を出せずじまいとなってしまいました。前半で追い上げられなかったのが大きかったと思うのですが、今回は走っている中で見えなかったラインが見えて、ラインを変えたりしながら走れたのが2位に繋がったと思います。今回は、後ろばかり気にしちゃう自分の悪い癖が出ず、前だけに集中して走ることができてよかったと思います。結果的には勝ちたかったし、満足はいっていませんが、走りを見ると良くなっていると思います 」

#3 箕浦未夢

「開幕戦で納得いく走りが全然できなかったので、今回は勝とうと思って挑みました。さらに今大会IBクラスで弟が優勝して、私も優勝するぞという気合いが入りました。最初はトップで走っていたので、抜かれてしまったのは悔しいです。抜かれた後も追いついていこうと思ったのですが、前半で体力がなくなっちゃって、本田選手が迫ってきた時もブロックなどできずにそのまま抜かれてしまったので悔しいです。明日は優勝目指して頑張ります」

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HSR九州大会

次戦は明日、4月21日(日)。第2戦と同じく熊本県HSR九州にて開催される。雨予報かつダブルヘッダーの2日目ということでタフなレースが予想される。ライダーたちはどんなバトルを展開するのか。ぜひ会場で目の当たりにしてほしい。

第2戦・第3戦(4/20〜4/21)
◾️D.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ2024 第3戦HSR九州 大会情報
https://mspro.jp/jmx/2024r2-r3
◾️D.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ2024 第3戦HSR九州 チケット発売中
https://mspro.jp/product-category/shop/ticket/jmx-ticket

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