10月18〜19日、埼玉県にあるオフロードヴィレッジにて「D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2025第6戦 21Group カップ 東福寺保雄記念」が行われる。第5戦から約1ヶ月を経て迎える今回、シーズンも残すところ2戦となり、チャンピオンシップ争いに拍車がかかる。

会場となるオフロードヴィレッジは、リズムセクションやテーブルトップなど多彩なレイアウトが特徴で、ライダーの繊細なライディングテクニックが光るコースだ。開催クラスはIA1・IA2・レディース・IB OPENという公認クラス4つに加え、承認クラスのジュニアクロス(JX)・キッズ65(K65)・チャイルドクロス(CX)、趣味としてモトクロスを楽しむエンジョイライダーに向けたファンバイククラスとHonda CRF125カップ、さらに今季3戦目のYamaha YZ125 BLU CRU Cup(ブルークルーカップ)が併催され、見応え満載の内容となっている。

土曜日は予選とIB OPENクラスの決勝ヒート1、公認クラス以外の決勝が行われ、日曜日にはIA1・IA2・レディース・IB OPENの決勝が開催される。

また、大会名に「東福寺保雄記念」とあるように、今年6月8日に逝去された全日本モトクロス選手権V9チャンピオン、東福寺保雄さんを追悼する場として、マシンやウエアなどの展示が行われる予定である。さらに土曜日のお昼休み(11:45〜)には「東福寺レーシングイベント」を開催。ライダーとして、またT.E SPORTの監督として業界に多大なる功績を収めてきた東福寺さんの軌跡をぜひ目にしてほしい。

さらに、日曜日にはAMAスーパークロス・プロモトクロス・スーパーモトクロス(SMX)シリーズに出場し、2025年SMXで日本人初となるチャンピオンに輝いた下田丈選手が来場する。レースへの出場はないが、D.I.Dブースでのサイン会や10月3〜5日に行われたモトクロス・オブ・ネイションズの報告会などが行われる予定だ。世界で活躍を続ける下田選手に会えるこの機会は見逃せない。

IA1

ランキング上位に大きな変動あり。白熱するチャンピオン争い

IA1クラスは今回15分+1周の3ヒート制で行われる。前戦第5戦を振り返ると、ポイントリーダーの#1ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY RACING TEAM/ヤマハ YZ450FM)が3連勝。第4戦では怪我により表彰台を逃したウィルソンだったが、インターバル期間での休養を経て復活を果たした形だ。

一方、レース展開を見ると、各ヒートで#4大倉由揮(Honda Dream Racing Bells/ホンダ CRF450R)と#8大城魁之輔(YAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松/ヤマハ YZ450F)が序盤で先頭に立ち、ウィルソンがそれを追いかけるという流れであった。ウィルソンを抑える走りを見せた2人の存在感は大きく、第6戦でのトップ争いにも期待がかかる。

また、第5戦は欠場した上位ライダーが多く、第4戦終了時点でランキング2位だった#2横山遥希(Honda Dream Racing LG/ホンダ CRF450R)は事前練習中の怪我により欠場。さらに大会当日の負傷によって#5能塚智寛(Team Kawasaki R&D/カワサキ KX450-SR)と#9小方誠(TEAM HAMMER/ホンダ CRF450R)も決勝への出場を辞退した。これにより、ポイントランキング上位に大きな変動が見られ、第5戦終了時点で2位に大倉、3位に大城、4位に#10内田篤基(Yogibo PIRELLI MOUNTAIN RIDERS/カワサキ KX450)がランクインした。なお、横山と能塚は自身のSNSで今シーズン中の復帰は厳しいとコメントしている。

なお、今大会にはタイ出身の#47JIRAJ WANNALAK(Honda Racing Thailand Team/ホンダ CRF450R)が出場する。2024年にモトクロス世界選手権(MXGP)にスポット参戦した際は最高17位を獲得。10月3〜5日に行われたモトクロス の国別対抗戦「モトクロス ・オブ・ネイションズ(MXoN)」ではFIM ASIAチームの代表に選抜され、チーム総合29位でレースを終えた。IA1クラスでどんな走りを見せるのか注目だ。また、地元ライダーである#14星野優位(レーシングチーム鷹/star racing 166/ヤマハ YZ450F)もスポット参戦をする。第3戦でも表彰台を獲得しており、今大会もトップ争いに絡んでくるだろう。

IA2

初優勝を飾った吉田、混戦極まるトップ争い

IA2クラスも15分+1周の3ヒート制で行われる。第5戦では#14吉田琉雲(Bells Racing/ホンダ CRF250R)がヒート2で初優勝を獲得。序盤6番手あたりから追い上げポイントランキングのトップ2である#1中島漱也(YAMAHA BLU CRU RACING TEAM TAKA/ヤマハ YZ250F)と#4田中淳也(YAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松/ヤマハ YZ250F)を抑えた走りには目を見張るものがあり、勢いに乗る吉田に注目が集まる。

また、田中はオフロードヴィレッジで行われた第3戦で自身初のIA2クラス優勝を果たした経験がある。コースとの相性は良く、今回も優勝候補として挙げられる。一方、中島は第5戦の2週間後、10月3〜5日にMXoNへ出場し、世界の強豪が集まる中、MX2クラスで予選14位/総合17位と健闘した。この結果に悔しさを滲ませた中島だが、この経験を糧にさらに成長してくるだろう。

なお、日本人ライダーのライバルとなるのが#53ブライアン・シュー(Auto Brothers/GASGAS MC250F)だ。第5戦ではマシントラブルや転倒によりリタイアという結果でレースを終えたが、調子を整えて再びトップ争いに絡んでくることは間違いない。第6戦では誰が前に出るのか、混戦となるトップ争いに注目だ。

IB OPENクラス

勢いに乗る島袋、ランキング争いはさらに僅差に

ランキング上位5位というIA昇格枠をかけて戦うIB OPENクラスは、第4戦まで毎大会新たな勝者が生まれるほど実力が拮抗している。そんな中、第5戦では島袋が両ヒートとも優勝を獲得。2ヒートとも1位でまとめたライダーは島袋が今季初めてであり、他のライダーより頭ひとつ抜きん出る存在感を示した。

一方、第5戦では#15酢崎友哉(成田MXパーク アシタプランニング/カワサキ KX450)がスタートからレースをリードし、ヒート2には3位を獲得。さらに、転倒するライダーが多く見られる中で追い上げ、2位入賞を果たした#58名島玖龍(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ250F)の安定感も目立ち、上位争いは依然として混戦だ。また、ポイントリーダーの#14笹谷野亜(TKM motor sports いわて/ホンダ CRF250R)はレース中に怪我を負いながらも4位/2位と上位でまとめた。2位の島袋とは僅か4ポイント差に縮まり、チャンピオンをかけた接戦は第6戦も目が離せない。

LMX

地元・川井が連勝を重ねるか

レディースクラスは#1川井麻央(T.E.SPORT/ホンダ CRF150RⅡ)が現在5連勝中。名阪スポーツランドでの初優勝も達成し、さらに調子を上げている。また、コースについて聞くと「オフロードヴィレッジは地元コースで自信もあります」とコメント。揺るがないその強さで6連勝目を果たすのか、注目が集まる。

一方、開幕戦前の怪我により欠場していた#3川上真花(BLU CRU YSP大阪箕面/ヤマハ YZ85LW)が、復帰戦となる第5戦で2位を獲得した。「最後までうまく乗れなくて優勝できず悔しいですが、ここで緊張はほぐれました。残り2戦は得意なコースなので、優勝したいと思います」と意気込みを語る。また、#10松木紗子(Yogibo PIRELLI MOUNTAINRIDERS/カワサキ KX85)の成長も著しく、第5戦ではホールショットを獲得し3位に入っている。オフロードヴィレッジは松木にとって自身初表彰台を獲得したコースである。さらに自信をつけて迎える第6戦での活躍は見逃せない。

ランキング2位の#6箕浦未夢(TEAM ITOMO/ホンダ CRF150RⅡ)をはじめ、第3戦で上位争いを展開した#8穗苅愛香(TOMOレーシング&美蔵withCONNECT/ヤマハ YZ85LW)や#13木村綾希(TeamPowerBand/カワサキ KX85)といった地元ライダー、#12大久保梨子(KTM TOKAI RACING with ゆめチャンネル&331/KTM 85SX)など、上位を争うライダーの実力は僅差である。

第6戦(10/18〜19)
◾️D.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ2025 第6戦 21Group カップ 東福寺保雄記念 情報

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