5月17日(土)〜18日(日)、埼玉県川越市にあるオフロードヴィレッジにてD.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2025 第3戦 21Groupカップ オフロードヴィレッジ大会が開催される。今大会はIA1・IA2・レディース・IB OPENクラスに加えて、承認クラスのジュニアクロス・キッズ65・チャイルドクロス・エンジョイクラス・ホンダCRF125カップが併催される。土曜日に承認クラス、日曜日に公認4クラスの予選と決勝が行われるスケジュールで、両日ともに決勝レースが行われるため、ぜひ土曜日から足を運んで各クラスのバトルを目にしてほしい。
また、IAクラスはこれまで30分+1周の2ヒート制で行われてきたが、今回は今季初となる15分+1周の3ヒート制で行われる。30分ヒートとは異なり、序盤からハイペースでバトルが繰り広げられるレース展開に注目だ。
なお、日曜日には音楽フェス「CROSS RIVER Vol.8 meets 全日本モトクロス選手権 21グループカップ」も行われる。時間は13:00〜19:00。総勢26名の出演者が音楽で盛り上げる。初の試みとなるこちらのイベントもチェックしてほしい。
会場となるオフロードヴィレッジは、アップダウンが少ないものの、リズムセクションやテーブルトップなど多様なセクションが設けられているのが特徴だ。昨年の第7戦ではスーパークロスコースを模したレイアウトで注目を集めたが、今回は周回方向やレイアウトこそ同じものの、リズムセクションやジャンプが新設されたモトクロスコースとなっている。タイトコーナーが多いため、スピードを落とさずに周回を重ねること、リズムセクションの攻略など、各ライダーのライディングテクニックに注目だ。
IA1
ウィルソンの連勝、今季初のスプリントレースの行方は

IA1クラスは第2戦で#1ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY RACING TEAM/ヤマハ YZ450FM)が2ヒートともに優勝し、2戦を終えた時点で負けなしの4連勝を飾っている。第2戦では追い上げのレースとなったものの、前のライダーを着実にかわしトップを奪取。ウィルソン自身も「30分間焦らず落ち着いて、前にいるライダーを着実にパスすることに集中することができた」と、自分の走りに満足している様子。

一方、スタートからレースをリードしたのが#2横山遥希(Honda Dream Racing LG/ホンダ CRF450R)だ。ヒート1では終盤にウィルソンとのトップ争いを繰り広げ、引けを取らない速さを見せつけた。さらに、第2戦では#4大倉由揮(Honda Dream Racing Bells/ホンダ CRF450R)が両ヒートともに3位入賞し、自身初となる30分ヒートでの連続表彰台獲得を果たしており、安定感のある走りで存在感を示した。
第3戦は15分+1周の3ヒート制という超スプリントレースだ。短いレース時間の中で勝利を手にするには、スタートで前に出ることや、序盤からペースを上げていくことが重要となる。これに対してウィルソンは「自分はスプリントレースでのスピードに自信がある。第2戦ではスタートで出遅れたから、第3戦では良いスタートが決められるように準備をしていくよ」と話す。一方、横山は「並行して参戦しているオーストラリアモトクロス選手権は予選がタイムアタック形式ということもあって、スプリントレースに焦点を当てたトレーニングを常にしています。ハマれば前に出られる自信もあるので、前回感じた自分の殻を破って勝ちたいです」とコメント。ウィルソンが連勝を重ねるのか、それとも新たなライダーが勝利を掴むのか、レースの行方は見逃せない。
IA2
地元大会で連勝を目指す中島、成長を実感した田中

IA2クラスも15分+1周の3ヒート制で決勝レースが行われる。これまでの2大会を振り返ると、開幕戦でドイツ出身の#53ブライアン・シュー(AutoBrothers/GASGAS MC250F)が2連勝、第2戦では#1中島漱也(YAMAHA BLU CRU RACING TEAM TAKA/ヤマハ YZ250F)が両ヒート優勝を飾った。クラス内で群を抜く強さを見せた中島は、第2戦を振り返り「今回自分が追われる立場になって、初めてディフェンディングチャンピオンとしてのプレッシャーや雰囲気みたいなものを感じました。それで余計守りに入ってしまったのですが、この走りだと一年通して成長できないと思ったので、意識を変えることができてよかったです」とコメント。さらに「ブライアン・シューが第4戦あたりで帰ってくると聞いているので、それまで全勝することを目標にしています」とシリーズを見据えている。第3戦の会場となるオフロードヴィレッジは中島にとって地元コースであり、2024年を振り返ると同会場にて行われた第7戦で3連勝を果たしており、今回の活躍にも期待がかかる。

一方で、中島に迫る勢いを見せたのが#4田中淳也(YAMAHA BLU CRU RACING TEAM YSP浜松/ヤマハ YZ250F)だ。第2戦ヒート1では中島の後方に迫り、僅差でトップ争いを展開。「今回やっとニュージーランドで学んできたことを出せた感覚があった」と、シーズンオフの成果を実感したという。さらに、第2戦ヒート2で自身初表彰台を獲得した#14吉田琉雲(Bells Racing/ホンダ CRF250R)にも注目だ。吉田は2024年に地方モトクロス選手権からIAクラスに飛び級昇格をした16歳のライダー。2025年開幕戦で7位/6位と両ヒートシングルフィニッシュを果たすと、第2戦でIA2クラス2年目にして表彰台を獲得した。田中と吉田、第2戦で自信をつけた両者がどんな走りを見せるのか、今大会も目が離せない。
IB OPEN
混戦の上位争い、髙木が一歩リード

IB OPENはIAクラスへ昇格できる5枠をかけて競い合うクラス。今回は15分+1周の2ヒート制で、通常より5分短いレース時間で行われる。第2戦までを振り返ると4ヒートのうち#57髙木碧(BLUCRUレーシングチーム鷹/ヤマハ YZ125)が2勝を挙げ、開幕戦で#58名島玖龍(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ250F)が、第2戦でスポット参戦した#10鎌倉大樹(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ450F)がそれぞれ勝利を収めている。ランキングを見るとトップに立つ髙木が頭ひとつ抜きん出たような状態だが、依然として上位ライダーの実力は拮抗している。なお、この3名は全員レーシングチーム鷹に所属し、オフロードヴィレッジをホームコースとしている。それぞれの実力の高さに加え、乗り慣れたコースでのレースということでトップ争いは混戦となりそうだ。

また、第2戦では表彰台争いが白熱。特にヒート1では表彰台をかけて名島と#54外間大詩(T.E.SPORT/ホンダ CRF250R)、#14笹谷野亜(TKM motor sports いわて/CRF250R)が接戦を繰り広げ、最終コーナーまでもつれこむバトルに注目が集まった。結果は笹谷が怒涛の追い上げを見せ2位、3位に外間が入賞し、2人は自身初表彰台を獲得した。さらに、#2島袋樹巳(Yogibo PIRELLI MOUNTAIN RIDERS/カワサキ KX250F)は2戦連続で2位を獲得し、レース後半で追い上げる粘り強さを見せている。短いレース時間の中で今回は誰が優勝を果たすのだろうか、まだまだ上位争いは見逃せない。
LMX
川井が2連勝、拮抗する表彰台争い

レディースクラスは開幕戦と第2戦で#1川井⿇央(T.E.SPORT/ホンダ CRF150RⅡ)が連勝を果たし、チャンピオンとしての強さとその存在感を示している。レースを振り返るとどちらも#6箕浦未夢(TEAM ITOMO/ホンダ CRF150RⅡ)がスタートで前に出て川井が追いかける展開。川井は「追い上げ中のミスが多いなと気づけたレースでした」と自身の走りを振り返り、地元大会となる第3戦に向けては「地元なのでたくさんの方が来てくれると思うし、だからこそプレッシャーもより感じると思うので、上手くコントロールしながらレースをしていきたいです」とコメントした。

一方、箕浦は第2戦で川井に抜かれた後も抜き返す走りを見せた。これには本人も「自分の粘り強さを発揮することができたかなと思います。次は最後の最後まで粘って1番高いところを取れるように頑張ります」と話し、第3戦も川井とのバトルに意欲を見せた。また、スタートからレースをリードした#4楠本菜月(TEAM HAMMER/ホンダ CRF150R)や、2戦連続3位表彰台を獲得している#8穗苅愛香(TOMOレーシング&美蔵withCONNECT/ヤマハ YZ85LW)、さらに第2戦で穂苅に迫る走りを見せた#12大久保梨子(KTM TOKAI RACING with ゆめチャンネル&331/KTM 85SX)の活躍も著しい。