5/13(土)-5/14(日)の2日間に渡って開催されたD.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ 2023 R2 腕時計のベルモンドCUP
第2戦は「みんなのモトクロス」というコンセプトを元に、普段開催されているクラスに加えて地方選手権のナショナルクラスと、ライセンスを持っているライダーなら誰でも参加可能なエンジョイクラスが併せて開催された。
そのため普段とは異なる変則スケジュールで行われ、土曜日にはCX/K65/JX/NA/EJの予選と決勝(IB OPENはヒート1決勝まで)、そしてIAとLMXのフリープラクティス。日曜日にはIA/IB/LMXの予選や決勝が行われた。予選も通常とは異なり、タイムアタック形式を採用。ゴールした順ではなくラップタイムで競われるため、各ライダーがタイミングを図りながらベストラップを更新していく心理戦が目立つ予選となった。なお、天気は曇時々雨。まとまった雨は降らなかったものの、突如変わる天候にライダーたちは翻弄されることとなった。
D.I.D JMX 2023 R1 HSR九州大会 観戦情報IA1
ジェイ・ウィルソン強し。第2戦も全勝を果たす
開幕戦で全勝した#27ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM / YZ450F)の勢いは凄まじく、今大会の予選もトップで通過。予選では#2能塚智寛(Team Kawasaki R&D / KX450-SR)がウィルソンと同じ1分33秒台、#1富田俊樹(YAMAHA FACTORY RACING TEAM / YZ450FM)や#8内田篤基(Yogibo マウンテンライダーズ / カワサキ KX450)が1秒差の1分34秒台につき、連勝を止めるライダーが現れるかと注目が集まった。なお、能塚は予選時の転倒により負傷。決勝をリタイアしている。
決勝は15分+1周の3ヒート制。スタートで前に出ることが勝利の鍵となる中、華麗なホールショットを決めたのはウィルソンだった。#6大倉由揮(Honda Dream Racing Bells / CRF450R)が食らいつくも、ウィルソンは1周目から5秒以上ものリードを広げ、独走状態となった。2番手を走る大倉には富田が迫りバトルを展開。3周目に富田が大倉をパスすると、さらに4番手を走っていた#4大城魁之輔(Honda Dream Racing Bells / CRF450R)も大倉をかわし、順位が大きく入れ替わることとなった。レース終盤にかけて富田、大城、大倉の差が縮まり2番手争いが展開。ラスト2周という場面で大城が富田をかわし、2番手に浮上。1位ウィルソン、2位大城、3位富田でフィニッシュとなった。
ヒート2も同じくウィルソンがホールショットを獲得するが、6コーナーで曲がりきれずコースアウト。これにより大倉がトップに立ち、大倉、富田、内田、ウィルソンという順でオープニングラップを通過した。しかし、ウィルソンはすぐに大倉に追いつくと3周目にトップに浮上。富田もウィルソンに続くように大倉をパスし2番手に上がった。大倉は富田に抜かされた直後に転倒し順位を落とす。内田が3番手に上がり富田に迫る勢いを見せたが、富田に追いつく前にタイムアップとなり、1位ウィルソン、2位富田、3位内田でゴール。
ヒート3もまるでぶれない、安定したスタートでウィルソンが1周目からリードを広げていく。2番手には好スタートを決めた#12道脇右京(TEAM KOHSAKA バイカーズステーション金沢 with CARVEKCRF / ホンダ 450R)、さらに富田、内田、大倉が続いた。2周目には富田、内田、大倉が順に道脇をパス。各ライダーの差は徐々に開き、それぞれ単独走行に。ウィルソン、富田、内田という順でレースを終えた。
#27 ジェイ・ウィルソン
「今回行われた予選のタイムアタック形式は、これまで参戦してきたオーストラリア選手権やAMA、MXGPでは一般的な形式だから僕にとってはむしろ慣れ親しんだものだったよ。天候がレースごとに変わっていたけど、チームと直前まで話し合って調整したことでレースもうまくいったと思う。自分にとっても新たな挑戦になったよ」
IA2
激しいバトルの末、ビクトル・アロンソが両ヒート優勝
予選では、スペインから参戦中の#58ビクトル・アロンソ(Auto Brothers / ヤマハ YZ250F)と#3柳瀬大河(Bells Racing / ホンダ CRF250R)が共に1分34秒を記録し、予選各組をトップ通過。30分+1周という決勝で両名によるバトルが期待された。
直前に降った雨の影響でコンディションが急変したヒート1。柳瀬がスタートで前に出ると、続いて#2浅井亮太(bLU cRU フライングドルフィンサイセイ / ヤマハ YZ250F)、アロンソという順で1周目を通過する。アロンソを抑える走りを見せていた柳瀬だが、3周目に転倒し3番手までポジションダウン。浅井がトップを守りながらレースを先行していくが、レース終盤にアロンソがトップへ浮上。浅井が抜き返し、アロンソが再び抜き返す、激しい攻防戦が繰り広げられたが、最後はアロンソに軍配。1位アロンソ、2位浅井、3位柳瀬でフィニッシュ。
ヒート2はコンディションが回復し、砂埃も立たないベストな路面状況で行われた。ヒート1に続いて柳瀬がホールショットを獲得すると、アロンソと浅井が続き、3者によるトップ争いが激しく展開された。柳瀬がトップで1周目を通過するも、2周目にアロンソが柳瀬をかわしトップに浮上。続いて浅井も柳瀬をパスし、差は徐々に開いていく。レース中盤には、アロンソが単独走行となりトップを快走。2番手の浅井には10番手から追い上げてきた中島が迫った。結果は、1位にアロンソ、2位には浅井とのバトルを制した中島が入り、浅井が3位となった。
#58 ビクトル・アロンソ
「ヒート1は雨に降られて、スリッパリーな路面で少し難しかったね。走りとしては調子がよかったけど、他のライダーも速くて、プッシュしていくのに少し苦戦したよ。両ヒートとも優勝できて嬉しいし、もちろん次戦も優勝を目指していくよ」
IB OPEN
住友が両ヒート優勝を果たす
唯一2日間にわたってレースが行われたIBクラス。目まぐるしく変わる天候によって変わるコンディションに各ライダーが苦戦する中、予選では開幕戦の各ヒートで優勝を飾った#63藤井武(TEAM HAMMER / ホンダ CRF250R)と#53住友睦巳(bLUcRUフライングドルフィンサイセイ / ヤマハ YZ250F)がそれぞれの組をトップで通過した。
土曜日に迎えたヒート1は、住友が好スタートを決めホールショットを獲得。続いて#34村岡仁(bLU cRU チームピットイン / ヤマハ YZ250F)、藤井が住友を追いかける展開となった。住友はそのまま後方とのリードを広げ、単独走行に。一方、3番手の藤井は2番手を走る村岡を交わして2番手に浮上。住友、藤井、村岡という順でゴールした。
ヒート2は日曜日の午後に行われた。ヒート1同様、住友が反応よくスタートを切りホールショットを獲得。#6鎌倉大樹(レーシングチーム鷹 / ヤマハ YZ250F)、#14石平凌大(バイカーズステーション金沢レーシング with MOTUL / ヤマハ YZ250F)が続き、住友に迫る。鎌倉が住友をかわしてトップに立つと、住友も負けじと抜き返し再びトップに。激しいバトルを制した住友が1位、鎌倉が2位、3位には13番手からの追い上げた藤井が入り、両ヒートともにトップを守り切った住友が総合優勝を果たした。
#53 住友睦巳
「シーズンオフから両ヒート優勝を目標に練習を重ねてきましたが、開幕戦はそれが達成できずに悔しい思いをしました。今回はスタートから前に出て逃げ切ることができて、前回の悔しさを結果に生かすことができたのでよかったです。今回の結果にホッとしている部分もあるんですけど、これからも優勝を重ねていけるよう頑張ります」
LMX レディース
レディースクラスに新星誕生。濱村いぶきが初優勝
開幕戦で優勝を飾った#2川井麻央(T.E.SPORT / ホンダ CRF150R)は、今大会の会場であるオフロードヴィレッジがホームコースということで、2連勝に向けて注目が集まった。
スタートは川井が良い反応を見せたのだが、#9箕浦未夢(TEAM ITOMO / ホンダ CRF150R)が川井のインをついてホールショットを獲得。川井、#7川上真花(bLU cRU YSP大阪箕面 / ヤマハ YZ85LW)、#17濱村いぶき(T.E.SPORT / ホンダ CRF150R)が後ろに続くも、1コーナーから2コーナーに向かうストレートで川井が箕浦のマシンに接触し転倒。幸い他ライダーも絡む大きなクラッシュにはならなかったものの、最後尾からの追い上げとなった。
また、6コーナーでは3番手を走る川上が転倒し、川上の後ろにつけていた#4本田七海(bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド / ヤマハ YZ85LW)もクラッシュ。川井と本田ともに追い上げを強いられる、波乱の展開となった。
レースはホールショットを決めた箕浦が牽引。そのすぐ後ろに濱村が迫り、トップ争いを展開した。2周目、濱村が箕浦をかわしトップに浮上。箕浦も負けじと距離を詰め、抜きつ抜かれつのバトルを繰り広げる。なお、両者ともにこれまでトップに立った経験はなく、濱村に至ってはこれまで入賞すら逃し続けていたライダーだ。その後も2人はラインを交錯させながらトップ争いを続け、レース後半に濱村が箕浦を抜きトップに浮上。濱村が箕浦を制し、3番手には14歳の#8瀬尾柚姫(TEAM HAMMER / ホンダ CRF150R)が入った。
また、川井は最後まで追い上げ続けるも6位でフィニッシュ。本田も思うように順位を上げることができず、8位という結果に終わった。
#17 濱村いぶき
「去年は入賞すらできなくて落ち込んでいたのですが、結果にこだわらず楽しんで走ろうと気持ちを切り替えたことで、結果につながる走りができたのかなと思います。箕浦選手とバトルをしている時はすごく楽しくて、後ろがいないのもわかっていたし、自分の中でここで抜こうという駆け引きもできていました。今までこんな冷静に走れたことなかったんですけど、今回はうまくレースを運ぶことができました。次戦も優勝できるよう頑張ります!」
NA ナショナル
NAルーキーの吉田が実力の高さを見せつける
ナショナル(NA)クラスはIBクラス昇格を目指し競うクラス。各地方選手権で開催されているクラスだが、今大会は全日本選手権と併催のエキシビションということで、各地方のNAライダーが集結しレースが行われた。
決勝では、#56佐渡島健太(レーシングチーム鷹 / ヤマハ YZ250F)がホールショットを獲得。予選をトップで通過した#2吉田琉雲(Bells Racing / ホンダ CRF250R)はスタートで出遅れるも、1周目を3番手で通過。2番手を走る#11樋口絆里(bLUcRUレーシングチーム鷹 / ヤマハ YZ250F)とは3秒ほど差が開いていたが、徐々に距離を詰めていき5周目には2番手に、続く6周目にはトップに浮上した。吉田がリードを広げるレース後半には、佐渡島と樋口による2番手争いが激しく展開。3番手を走る樋口が2番手を走る佐渡島に迫ると、ラスト2周というところでパス。結果は、吉田、樋口、佐渡島という順位になった。なお、吉田は昨年近畿モトクロス選手権ジュニアクロスでチャンピオンを獲得し、今季からナショナルクラスに昇格。若干14歳の若手ライダーであるが、今大会を優勝したことでその実力の高さが示された。
JX
髙木が地元対決を制す
ジュニアクロスでは、開幕戦で表彰台に登った#155高木碧(レーシングチーム鷹 / ヤマハ YZ85)、#3勝又聖太(ホンダ CRF150R)、#58名島玖龍(KAZU Racing Project / ホンダ CRF150R)の関東勢の存在感が大きく、3人の地元ライダーによるトップ争いに注目が集まった。
ホールショットを獲得したのは高木。続いて勝又と名島という順で1周目を通過した。降雨の影響で路面は滑りやすくなっていたが、高木がマディコンディションへの対応力を発揮。スタートからトップに立つと、そのままリードを拡大していった。一方、勝又と名島の距離も徐々に開いていき、各ライダー間隔が開いた状態でレースが進行。結果は髙木、勝又、名島の順位となり、髙木が地元対決を制した。
CX
大橋が圧巻の走りを見せる
チャイルドクラスは排気量50cc以下のマシンで競われる。国産車の4ストロークエンジンバイクで走るAクラスでは、#36大橋有真(ザ ライジングサンコーヒー / ホンダ CRF50F)がスタートから独走状態に。最後まで他を寄せ付けない速さで見事Aクラス優勝を飾った。
一方、Bクラスは外国メーカー車両の2ストロークエンジン車両といくつかの許可された電動モトクロッサーで競い合い、#212内山雷兜(ユースタイル ファクトリー / KTM 50SX)がホールショットを獲得。続いて、#59広野康輝(LMX365 / KTM SX-E5)と#222髙梨煌喜(WaveFactory RT / KTM 50SX)が内山を追いかける展開となった。開幕戦では1台のみの参戦だったBクラスだが、今大会は5台がエントリー。ライバルが多くなる中、内山は着実にリードを拡大。そのままトップを守り切り、内山、広野、高梨という順位でレースを終えた。
K65
他を寄せ付けない速さで伊良皆が圧勝
排気量65ccのマシンで競うK65クラスでは、#25伊良皆龍翔(GASGAS / MC65)がホールショットを決めるとすぐにリードを広げていく。2番手には#88堀田新(ヤマハ YZ65)、3番手には#823目黒結翔(桜井ホンダ / Husqvarna TC65)がつき、レースが進んでいった。伊良皆のラップタイムは他のライダーと比べて5秒以上速く、安定した走りでトップを快走。そのまま1位を獲得し、圧倒的な存在感を見せつけた。一方、2番手を走る堀田はレース中盤に転倒し目黒に2番手を譲るかたちとなった。堀田は5番手まで順位を下げるもチェッカーを受けるまで追い上げ続け、#8大久保英飛(YSP浜北大橋レーシング / ヤマハ YZ65)との3番手争いを制し表彰台の座を獲得。結果は1位伊良皆、2位目黒、3位堀田となった。
EJ
排気量も年齢も関係なくレースをエンジョイ
第2戦は「みんなのモトクロス」というコンセプトを掲げて開催。そのコンセプトに沿って実現したのがエンジョイ(EJ)クラスだ。同クラスはライセンスを持っていれば参加でき、排気量の制限はなし。各ライダーが全日本ならではの雰囲気やコースを楽しむことができるのはもちろん、排気量の異なるマシンとの対決も見どころとなった。決勝はAとBの2つに分けて開催。予選の上位半数がA決勝進出、下位半数がB決勝進出となった。
10分+1周で行われたA決勝では、普段は地方選手権のNB(ノービス)クラスを走る、15歳の#4山田嵐士(野田ジュニアRC / ヤマハ YZ250F)が1周目からトップを快走。2番手には#634大内健八(城北ライダース / カワサキ KX450F)、3番手には#24西信明(大磯ムスタング / ヤマハ YZ450F)が続いた。山田が安定した走りでトップを独走する中、スタートで遅れをとった#40大西凜音(オートスポーツ清水 / スズキ RM85)が怒涛の追い上げを見せる。フルサイズよりもパワーが少ない85ccにもかかわらず、5番手から徐々に順位を上げ、ゴール手前で2番手を走る大内をパス。1位山田、2位大西、3位大内という結果となった。
一方、B決勝も10分+1周で行われ、1周目からトップに立った#1織田道武(ヤマハ YZ250F)がレースを引っ張っていく。後方との差を広げていき独走状態へ。2番手には#100山田敏之(チームトータスレーシング&MHプロダクツ / ヤマハ YZ125)、3番手には#57嶋立浩一(Damian Club / ヤマハ YZ125)がつけレースが進んだ。山田と嶋立により2番手争いは接戦となったが、山田が守り切りゴール。織田、山田、嶋立という順でレースを終えた。
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次戦は舞台を北上し、スポーツランドSUGOにて開催。
D.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ 第三戦 SUGO大会は再来週06/03(土)〜04(日)開催
最速を賭けた戦いはまだまだ続く。
各種チケット発売中。
D.I.D JMX 2023 R3 SUGO大会 観戦情報