6/3(土)-6/4(日)に開催されたD.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ 2023 R3 SUGO大会

大会前日の降雨により土曜日のコンディションはマディ気味。しかし午後にはコンディションが回復し、決勝日には砂埃で視界が遮られる場面も見られた。コースには深い轍が掘られ、レースを重ねていくごとに荒れる路面に多くのライダーたちが苦戦を強いられることとなった。荒れている中でも最適なラインを見つけ、いかにスピードを乗せていくか、ライダーに求められる対応力はいつも以上に高度であった。

D.I.D JMX 2023 R4 SUGO大会 観戦情報

IA1

追い上げのジェイ・ウィルソンを抑えることはできるか

IA1クラスは今大会も15分+1周の3ヒート制で行われた。第2戦で怪我を負った#2能塚智寛(Team Kawasaki R&D / カワサキ KX450-SR)と#5小方誠(TEAM HAMMER / ホンダ CRF450R)が不在の今大会、予選では開幕戦から連勝を重ねる#27ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM / ヤマハ YZ450F)を抑え、#8内田篤基(Yogibo マウンテンライダーズ / カワサキ KX450)がクラス内トップのラップタイムを記録。さらに、ウィルソンの転倒により#1富田俊樹(YAMAHA FACTORY RACING TEAM / ヤマハ YZ450FM)が予選をトップ通過するなど、IA1ライダーに立ちはだかる壁を崩すことができるかと決勝に注目が集まった。

ヒート1、ホールショットを獲得したのは富田。続いて#4大城魁之輔(Honda Dream Racing Bells / ホンダ CRF450R)、内田、ウィルソンがつけ、富田がレースをリードしていく。追い上げの展開となったウィルソンだが、序盤で大城、内田、富田を冷静にかわしていきトップに浮上。しかし富田もウィルソンに食らいつく走りを見せ、横並びの接戦が繰り広げられる。ウィルソンが段々と富田との差を広げていく中、3番手を走る内田が富田に迫り2番手争いを展開。一方、後方からは4番手の#6大倉由揮(Honda Dream Racing Bells / ホンダ CRF450R)が着実に距離を縮め、終盤には三つ巴の戦いに。なお、大倉は開幕戦からずっと4位が続いており、なんとしてでも表彰台を獲得したいとコメント。その表彰台への意地を見せ合う3者のバトルはラストラップまでもつれこんだ。

レース終盤、内田が富田に仕掛けたところで両者ともに転倒。後で話を聞くと、大倉は2人のバトルを予測してラインを変えて走行していたとのこと。そのライン取りが功を奏し、2番手争いを制する結果につながった。結果、1位ウィルソン、2位に大倉、3位には転倒からリカバリーした内田となり、大倉は待望の表彰台を獲得した。

ヒート2では大城がスタートから前に出ると、内田と大倉が大城を追いかける展開。ウィルソンはスタートで少し出遅れ4番手からの追い上げとなった。大城は1周目をトップで通過。大倉と内田は後方から迫るウィルソンを抑えるも、ウィルソンがかわして2番手に浮上した。

大城はこのまま逃げ切りたいところだが、2周目に転倒を喫する。すぐにリカバリーするものの、トップをウィルソンに譲るかたちとなった。ウィルソン、大城、内田、大倉という順位でレースは進行。レース後半には、7番手よりポジションを上げてきた富田が大倉をかわし4番手に浮上。しかし表彰台には届かず、トップ3はウィルソン、大城、内田という順位でゴールとなった。

ヒート3は、富田がスタートから前に出ると、大城と大倉、内田が続いていく。しかし内田は序盤で転倒し後退。富田、大城、大倉がレースを引っ張っていく。一方、ウィルソンはスタートで出遅れ5番手となるが、その遅れをものともせず、大倉をパス。その後も勢いを止めることなく、前を走る大城と富田に狙いを定めた。トップ3の距離は詰まっていき3人それぞれの差が1秒を切る接近戦に。大城がウィルソンを抑えるも、ウィルソンはKYBジャンプ手前で大城をかわし2番手へ。さらに富田に迫り、レース中盤でついにトップに浮上した。

また、レース後半には3番手を走る大城に4番手の大倉が差を縮めていき、終盤には3番手にポジションアップ。ここでも大倉の表彰台への熱意が感じられた。結果は1位ウィルソン、2位富田、3位大倉でフィニッシュ。ウィルソンは開幕戦から9連勝を達成した。

#27 ジェイ・ウィルソン
「コースはすごくドライで、オーストラリアのトラックにかなり似ていたと思う。路面がとても荒れていて、テクニカルな部分が多くて、とても楽しかったよ。ただ、土曜日の転倒で肩を少し痛めていて、固くてギャップの多い路面はハードだった。その中でも9連勝を達成できてとても嬉しいよ。次戦の広島は走ったことがないんだけど、コースの動画を見る限りすごく楽しそうなコースだから楽しみだよ」

#4 大城魁之輔

「走り的にはどんどんよくなっていて、今回も練習走行から走りも良かったです。ヒート3以外はネガティブな面の中にも良さがあって、今日感じた良さは自分の自信にしていいかなと思います。ただ、3戦連続『良いところもあったけど……』というコメントしてるんで、いい加減、全てのヒートで結果をまとめられるようにしたいですね」

#1 富田俊樹

「ヒート1はジェイを意識して、前に行かないとって考えてたら中盤以降でミスって転倒もしちゃって。ヒート2に関しては砂埃と水撒きでコース攻略ができなかったです。ヒート3は結構コースが荒れていましたが、荒れていた方がリズムが掴みやすくて好きですね。自分の走りをすることができたと思います」

#6 大倉由揮

「ヒート1は前の2人が積極的にバトルを展開していたので、何か起こるかなと思ってラインを変えたのが正解だったなと思います。ヒート2は転倒しちゃって、身体が動かなくて思うようにペースを上げることができませんでした。ヒート3はラスト2周くらいで前を抜くことができました。今回に向けて体力面でのトレーニングもしてきてたので、もうひとつ、もうふたつ上に登れるように頑張ります」

IA2

連勝を重ねるアロンソ、佐野は初表彰台を獲得

IA2クラスは30分+1周の2ヒート制で開催。予選A組ではポイントリーダーの#58ビクトル・アロンソ(Auto Brothers / ヤマハ YZ250F)が2度転倒し6位に。荒れた路面に苦戦する中、トップで通過した#8西條悠人(ピュアテックレーシング / カワサキ KX250)は、アロンソを上回るラップタイム記録。さらに予選B組は地元の#14佐々木麗(Y’sRACINGwith麗BRAND / ヤマハ YZ250F)がホールショットを獲得。同じく地元ライダーの#5横澤拓夢(TKM motor sports いわて / ホンダ CRF250R)がトップで通過するなど、アロンソの勢いを止めるものが現れるかと期待がかかった。

ヒート1、ホールショットを獲得したのは西條。続いて#17田中淳也(YSP浜松/BOSSRACING / ヤマハ YZ250F)、#4中島漱也(bLU cRUレーシングチーム鷹 / ヤマハ YZ250F)、#11阿久根芳仁(Yogibo マウンテンライダーズ / カワサキ KX250)、アロンソ、横澤と続いた。トップを走っていた西条はレース序盤に転倒し最後尾からの追い上げに。田中がレースをリードしていく展開となった。

2番手を走る中島が田中をロックオンすると、1周目でトップに浮上。トップを守りたい中島はここでペースを上げていく。一方、その後方では5番手を走る横澤が4番手を走るアロンソをかわし3番手の阿久根に迫る。3番手争いは三つ巴状態となり、激しい攻防戦が繰り広げられた。横澤がアロンソを抑えるも、アロンソはラインをうまく変えながら攻めていき4番手に浮上。するとここからさらにペースを上げ、3番手を走る阿久根、2番手の田中をパスしていく。追い上げを続けるアロンソは、クラス内で唯一2分を切る、1分58秒台のラップタイムを記録し中島との差を縮めていく。トップを守る中島に対し、アロンソは冷静にラインを見極め、レース中盤に中島をパス。徐々に差を広げていった。結果は、1位アロンソ、2位中島、3位には田中からのプレッシャーに負けず3番手を守り切った横澤が入りフィニッシュ。

ヒート2も西條がホールショットを決めると、そのままレースをリードしていく。2番手にはアロンソ、3番手には#12渡辺陵(Team PITIN / ヤマハ YZ250F)、4番手に#20佐野雄太(ジュニアライダースフリーダムナナ /  カワサキ KX250)という順でレースが進んでいく。

レース序盤、2番手のアロンソがトップを走る西條に迫りトップに浮上。西條もアロンソに食らいついていくものの、その差は開き、アロンソが独走状態に持ち込んでいく。一方、3番手を走っていた渡辺は後退し、ポジションを上げた佐野が3番手、その後ろには6番手から追い上げてきた横澤がつき、表彰台をかけたバトルが展開された。横澤が佐野をロックオンすると、距離を縮めて接近戦に持ち込んでいく。しかし佐野は横澤からのプレッシャーを跳ね除け、3番手を死守。一旦接近した両者だったが、再び差を広げ、佐野が3番手を守り切った。結果、1位アロンソ、2位西條、3位佐野という順位でゴール。アロンソが2大会連続パーフェクトウィンを達成し、佐野は自身初の表彰台を獲得した。

#58 ビクトル・アロンソ

「周りのライダーが速くて、追い上げのレースになって、すごくハードだったよ。路面もかなり荒れていて、轍やブレーキングギャップがかなり深かった。タフな路面だったけど、コースがタフな分、攻略する楽しさも出てくる。走っていて面白かったよ」

#8 西條悠人

「前回の結果がすごいボロボロだったので、今大会までの期間で自分に何が足りないのかというのを見つめ直して、フォームを改善して、それが今回うまくいきました。練習から結構良い感じに乗れていたんですけど、ヒート1では結果を求めすぎちゃって。いけるって思った気持ちが空回りしちゃって転倒につながりました。ヒート2は、ヒート1で学んだことを生かして冷静に走ろうと意識して走りました。本当はビクトル選手に勝ちたかったんですけど、やっぱり速くて。でも、今大会の目標である『九州で勝った時の感覚を取り戻す』ということは達成できたので、自分としては納得しています。次戦は両ヒートともしっかり結果をまとめて、総合優勝できるように頑張ります」

#4 中島漱也

「ヒート1は1周目でトップに立てたんですけど、今までこんな早い段階でトップに立てたことがなかったので、ちょっと走りが硬くなってました。その中でも自分の走りに集中することができました。後ろからビクトル選手が来て、抜かれた後もついていければチャンスあるなと思ったのですが、何もできず終わって悔しいです。ただ、今までにないレース展開が作れたのは良かったなと思います。次戦までスパン短いですけど、できることやって挑んでいきます」

#20 佐野雄太

「僕は今まで一桁の順位に入ったことがなくて、今回初表彰台かつ初トップ9に入れました。昨日の予選からスタート出れて、グリッドも良い位置で挑むことができました。ヒート1はマシントラブルでリタイヤしちゃったんですけど、ヒート2ではスタートからトップに絡めて、大坂登った時にトップが見えてたんで、これはいけるぞって思って、死ぬ気で走りました。後ろから来てた横澤選手はベテランだし、結構プレッシャー感じてたんですけど、なんとか前だけ意識して走りました。広島のようなハードな路面は得意ですし、北海道のようなサンドコースも好きです。これから得意なコースが続くので、勝ちにいきます」

#5 横澤拓夢

「両ヒートともスタートが出れなくて、すごく疲れましたね……。ヒート1はスムーズに追い上げることができて、表彰台に上ることができましたが、ヒート2は路面がかなり乾いていて、硬くて、砂埃もすごくてとコンディションに惑わされました。本当は前のライダーを抜いて表彰台獲りたかったのですが、届かなかったです。次戦の広島は昔大怪我をしたところで良いイメージがないので、今季でそのイメージを良い方に変えたいなと思います」

IB OPEN

鈴村が今季初優勝。悔しさを滲ませた住友が逆転勝利へ

第2戦で2ヒートとも優勝を飾った#53住友睦巳(bLUcRUフライングドルフィンサイセイ / ヤマハ YZ250F)が予選A組で安定した速さを見せる中、2位入った#5佐々木麗希(Y’sRACINGwith麗BRAND / ヤマハ YZ250F)がクラス内のベストラップを記録。今大会は今季初参戦ということだが、2022年の結果を見ると、最終戦でIBクラスに3年ぶりに出場し、そのヒート2で優勝。実力が未知数の中、表彰台争いに絡んでくる存在として期待が高まった。また、予選B組では地元ライダーの#34村岡仁(bLU cRU チームピットイン / ヤマハ YZ250F)がトップで通過。乗り慣れているSUGOの地で初優勝を狙った。

ヒート1、勢いよく飛び出しホールショットを決めたのは、16歳の#9鈴村絆(バイカーズステーション金沢レーシング with MOTUL / ホンダ CRF250R)。予選ではA組の住友と佐々木に次いで3位に入っており、スタートで出るとともにトップを快走していく。2番手には#14石平 凌大(バイカーズステーション金沢レーシング with MOTUL / ヤマハ YZ250F)、3番手には村岡がつけ、村岡と石平が2番手争いを展開する。一方、ランキングトップの住友はスタートで出遅れ5番手からの追い上げとなった。

鈴村がリードを広げていく中、2番手争いが加熱。レース中盤で村岡が石平をかわし2番手に浮上。さらに、その後方からは追い上げを続ける住友が石平をかわし村岡との差を縮めていく。住友と村岡の間隔は大きく、村岡に軍配が上がるかと思われた。しかし、レース終盤に村岡がエンストをし、住友が2番手に浮上。好機を掴んだ住友はその後も懸命に追い上げトップに迫るも、届かずフィニッシュ。1位鈴村、2位住友、3位には6番手からの追い上げを見せた佐々木が入り、鈴村は自身初優勝を獲得した。

ヒート1で笑顔を見せた鈴村とは対照的に、悔しさをあらわにした住友。ヒート2では誰が笑顔を見せるのか、トップ争いに注目が集まった。スタートから前に出たのは住友。その後ろには村岡が迫りバトルを展開する。初めは少し間隔が空いていたものの、村岡がじわじわと住友との距離を縮めトップに浮上。しかし、村岡は再びエンストを起こしてしまい、住友がトップに返り咲く。村岡はすぐにリカバリーし追い上げるも、住友が逃げ切りゴール。結果は1位住友、2位村岡、3位には#63藤井武(TEAM HAMMER / ホンダ CRF250R)でフィニッシュ。住友が見事ヒート1の悔しさを晴らし、総合優勝を獲得した。

#53 住友睦巳

「ヒート1は、中盤は前のライダーと離れたりしたこともあって、2番手に上がった時はトップとかなり差がありました。でも絶対に負けたくなくて、最後まで必死に追い上げたのですが、追い上げられなくて。すごく悔しかったです。ただ、ヒート1で学べたこともたくさんあったので、前向きに捉えて、ヒート2は絶対に勝つと思って気持ちを切り替えて挑みました。スタートから前に出れたんですけど、ラインが全然決まらなくて、乗れてない中後ろからプレッシャーも感じてました。レース後半は腕がかなり上がって、体力的にしんどかったんですけど、落ち着いて、焦らずに走ることを意識して走れたのが結果につながったと思います」

#9 鈴村絆

「ヒート1はスタートからずっと1位を走ることができて、あの20分間は転ばないこととミスしないことだけを考えて走っていました。腕もパンパンで、体力的にもしんどかったんですけど、サポートしてくれてるみなさんのおかげでなんとかトップを守り切ることができました。初優勝できて嬉しいです。これからも前を走っていけるように頑張ります」

#34 村岡仁

「1ヒート目はスタートで出て前を走っていたんですけど、ラスト2周くらいの時にエンストしてしまって、追い上げることができずに終わってしまいました。2ヒート目は、1ヒート目よりもスタートが良くて、トップの住友選手を抜かせたんですけど、またエンストして。頑張って追い上げて、もう一度住友選手に近づいて、ゴールで仕掛けたんですけど2位。結果もそうですし、地元で負けたというのもすごく悔しいです。次戦の広島は65ccの時に走った以来なので、しっかり乗り込んで感覚掴んで次は優勝目指します」

#63 藤井武

「今回は練習から絶不調でした。ヒート1はスタート出れなくて追い上げだったんですけど、2回転倒しちゃって。ヒート2は調子はよくなっていたんですけど、体力面で疲れが出てきてしまいました。路面の荒れとか、コース状況に苦戦することはなかったのですが、自分の気持ちが足りなかったと感じてます。次戦のコースはめっちゃ得意なので、次戦に向けて調子を上げていきたいと思います」

#5 佐々木麗希

「予選でタイムが出てたので行けると思ったんですけど、決勝ではスタートで前に出れなくて。スタートがもっと良ければ前に行けたのかなと思います。コースも荒れていて難しかったですね。普段の練習でも轍ができない時があるんですけど、今回轍もギャップも多くて、抜きどころがなくて、ライン変えてもその先のリズムが合わなかったり、苦戦しました。スポット参戦で、残りは関東大会と最終戦に出る予定です。今回の順位悔しかったので、次回までに乗り込んでいきたいです」

LMX レディース

悔しさを晴らす川井。川上が初表彰台を掴み取る

レディースクラスでチャンピオン経験のある#2川井麻央(T.E.SPORT / ホンダ CRF150RⅡ)と#4本田七海(bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド / ヤマハ YZ85LW)は、第2戦で転倒により戦線離脱。川井は8位、本田は6位と、悔しい結果に終わった。今大会ではその悔しさをバネに強さを増してくるはず。両者の活躍が期待された。また、前大会表彰台を占めた若手の勢いも凄まじく、予選では#17濱村いぶき(T.E.SPORT / ホンダ CRF150RⅡ)や#9箕浦未夢(TEAM ITOMO / ホンダ CRF150RⅡ)、#8瀬尾柚姫(TEAM HAMMER / ホンダ CRF150RⅡ)、#7川上真花(bLU cRU YSP大阪箕面 / ヤマハ YZ85LW)らがトップ6を独占。自信を身につけた彼女らの走りも見逃せなかった。

箕浦が好スタートを決めるも、1コーナー直後で転倒。川井を筆頭に、本田、濱村、瀬尾、川上らがレースを引っ張っていく展開となった。また、スタート直後の3コーナーで多重クラッシュが発生。濱村が転倒すると、#12穗苅愛香(TOMOレーシング&美蔵 / ヤマハ  YZ85LW)、#16ペレーラ瞳美(moto line /  GASGAS MC85)、鑓水よう子(習志野レーシンググラブwithサドルバック / ホンダ CRF150RⅡ)の4台が巻き込まれ、各ライダー追い上げを余儀なくされる。1周目は川井、本田、瀬尾という順位で通過。川井がリードを保ち、レースを引っ張っていった。

川井はトップを快走。しかし、2番手につける本田も負けじと川井に食らいつき、周回を重ねて行くたびに差を縮めていく。徐々に距離が近くなり、本田が川井をロックオン。このまま抜かしにかかろうというところで、バックマーカーに阻まれ再び差が開いてしまう。また、3番手争いも激しく展開。川上が3番手を走る瀬尾に一気に迫っていくと、レース中盤で3番手に浮上する。なお、川上は第1戦で箕浦とのバトルに敗れ惜しくも4位、第2戦では転倒から追い上げのレースになるなど、これまで表彰台に手が届きそうで届かないという状況が続いていた。今大会では予選から安定した速さを見せており、決勝でも実に冷静な走りで表彰台県内を獲得。結果、1位川井、2位本田、3位川上という順でフィニッシュ。川井と本田は前大会の悔しさを晴らす走りを見せ、川上は表彰台への執念を見事に実らせ、自身初の表彰台を獲得した。

#2 川井麻央

「予選も決勝前の練習も調子よかったんですけど、決勝ではうまくリズムが掴めなくて、後ろとの差も開けなかったです。追うよりも追われている方がメンタル的にきついじゃないですか。後ろから本田選手がきてるのを感じていたんですけど、ミスしなければ逃げ切れると思って、ミスなく走るように意識してました。広島は事前練習に行った時、良い感じに乗れたので、自信持って次戦も挑みたいと思います」

#4 本田七海

「前大会ですごく悔しい思いをして今回挑んで2位という結果で、正直悔しいし、勝てたなと思うレースでした。ただ、前回と比べるとスタートで前に出れたしトップを走れたし、自分にとってプラスになったということが多くありました。コースも難しかったですけど、自分的には嫌いなコンディションではなかったです。川井選手に近づけたんですけど、バックマーカーをうまく処理できなくて、これは次の課題として修正していきたいなと思っています。次戦はレディースクラスが2ヒートなんですよ。広島ということで地元からコースが近いので、スパンは短いですけど、練習して両ヒートとも優勝できるように頑張ります」

JX

安定した走りで髙木が3連勝目を獲得

ジュニアクロスは、開幕戦、第2戦と2大会連続で#55髙木碧(レーシングチーム鷹 / ヤマハ YZ85)が優勝を獲得しその強さを確立し始めていた。しかし、髙木と同様2大会連続トップ3を占める#3勝又聖太(ホンダ CRF150R)と#58名島玖龍(KAZU Racing Project / ホンダ CRF150R)の存在感も大きく、今大会も3人の関東勢がリードするのか、それとも新たなライダーが関東勢の勢いを止めるのかが見どころとなった。なお、コースはべストコンディションだったものの、マディ時に作られたラインは綺麗なものではなく、深く掘られた轍ばかり。荒れた路面への対応力も求められるレースとなった。

スタートで名島と髙木が前に出ると、3番手には外間大詩(T.E.SPORT Jr. / ホンダ CRF150RⅡ)、4番手に勝又がつけ、名島と髙木が一歩リードする形でレースが進んでいった。トップを走る名島は髙木よりも2秒ほど速いラップタイムで周回し、周回を重ねるごとに髙木との差を広げていく。レース後に髙木に話を聞くと「名島が予選より速くなっていたんですよ」と焦った様子を見せたのも印象強く、決勝でライバルをも動揺させるほどの速さを見せた。

このまま名島が逃げ切ると思われたが、レース終盤に転倒。この好機を掴み高木がトップに浮上する。名島はすぐに復帰し髙木を追いかけるも、追い上げきれずタイムアップ。髙木が見事3連勝を果たし、2位には名島、3位には外間を抜いた勝又が入った。

順位に変動はあるものの、3大会連続トップ3の顔ぶれは変わらず、3人の存在感が示された。次回ジュニアクロスが行われるのは第6戦の近畿大会。少し期間は開くが、ライダーたちが次戦までにさらに実力を伸ばしてくることは間違いないだろう。

CX

荒れた路面によってトップ争いが激化

チャイルドクラスはショートカットコースでレースが行われたが、フルサイズのマシンで作られた深い轍にライダーたちは大苦戦。特に、フィニッシュジャンプ後のコーナーでは転倒が相次ぎ、トップの入れ替わりが激しいレースとなった。

国産車の4ストローク50ccエンジンバイクで競うAクラスでは、#94阿部哲昇(マウンテンライダーズClub / スズキ DR-Z50)が好スタートを決めトップに立つと、後方から#88齋藤颯天(野田ジュニアRC / ヤマハ TTR-50E)が迫る。なお、阿部は第2戦で7位という悔しい結果を残しており、序盤からその悔しさを晴らすかのような走りでトップを快走していく。しかし、轍が深いコーナーで転倒。トップになった齋藤も転倒するなど、レースでは阿部と齋藤がお互い抜きつ抜かれつの展開となった。最後は2番手を走っていた阿部が齋藤をかわしトップに返り咲く。その後は安定した走りでトップを守り切り、見事阿部が優勝を獲得。2位には齋藤、3位には飯田龍生(隼ROOST / スズキ DR-Z50)という順でゴールを果たした。

一方、外国メーカー車両の2ストロークエンジン車両といくつかの許可された電動モトクロッサーで競い合うBクラスでは、#212内山雷兜(ユースタイル ファクトリー / KTM 50SX)がスタートからトップに出るも轍でスタック。その隙をついて2番手を走る#59広野康輝(LMX365 / KTM SX-E5)がトップに浮上。しかし、レース中盤に広野が転倒し、再びトップは内山に。その後も両者転倒があったものの、最後は内山が逃げ切りゴール。内山は前大会から続いて2連勝を飾った。

2st125

平山力がホールtoウィン

エキシビジョンマッチとして開催された2st125クラスは、ライセンスを持っている15歳以上のライダーが対象で、2ストローク125ccのマシンで競い合う。2ストロークのピーキーなエンジン音が会場全体に響き渡り、2ストロークマシンの迫力溢れるレースとなった。

決勝レースでホールショットを獲得したのは#931平山力(TeamCARRY TSF / ヤマハ YZ125)。2022年までIA1クラスに現役参戦していたライダーであり、タイムアタック予選で圧倒的な速さを見せつけていた。2番手には好スタートを決めた#253櫻井将太(PPG Racing / ヤマハ YZ125)がつけ、平山を追いかけていく。しかしその差は縮まらず、平山がリードを拡大。また、3番手には2006年モデルのKX125を駆る#966下山来夢(KRM motorsports  あおもり / カワサキ KX125)がつけ、櫻井に迫っていく。プレッシャーを与えながらも追いつくことはできず、平山、櫻井、下山という順位でフィニッシュ。平山のベストラップは2分13秒台と、櫻井と比べて4秒ほど速いタイムを記録。単独走行となった後も、安定した走りで周回を重ね、トップを守り切った。

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全日本モトクロス選手権シリーズ 次戦は3週間後の6/24(土)-6/25(日)広島県、世羅グリーンパーク弘楽園にて行われる。固い路面による豪快なビッグジャンプと、広大なコースを広く見渡せるロケーションが人気のコースは、2年ぶりの全日本選手権開催。中国地方のファンだけでなく全国のファンに、ぜひ眼前で繰り広げられる国内最速を競うレースと、その裏側にあるドラマを観てもらいたい。

各種チケット発売中。



D.I.D JMX 2023 R4 中国大会 観戦情報

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